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日記に…なるかしらん

山形と最上義光の歴史1(1335~1582年)

2024年01月12日 10時58分58秒 | 日本史みたいな
『最上義光』                       2016年3月   伊藤 清郎   吉川弘文館人物叢書
『図説 日本の城郭シリーズ 第14巻 最上義光の城郭と合戦』2019年8月   保角 里志   戎光祥出版
『山形の城を歩く』                    2020年7月   保角 里志   書肆犀


建武二(1335)年
十二月
 鎮守府大将軍・北畠陸奥守顕家(18歳)、建武政権から離反した前鎮守府将軍・足利尊氏(31歳)を討つために陸奥国府・多賀城(現・宮城県多賀城市)で挙兵し兵5万で上洛を開始する。

建武三(1336)年
二月
 足利尊氏(32歳)、摂津国の合戦で鎮守府大将軍・北畠陸奥守顕家(19歳)に敗れ九州地方に逃れる。北畠顕家軍、陸奥国に帰国。
 足利尊氏の命を受けた足利家一門衆の斯波家長(16歳)、密かに陸奥国に下向し奥州総大将として斯波城(現・岩手県紫波郡)で挙兵し北畠顕家に対抗する(奥州管領のはじまり)。

建武四(1337)年
正月
 鎮守府大将軍・北畠陸奥守顕家(20歳)、足利方の斯波家長(17歳)の攻撃を受けて陸奥国府・多賀城を放棄し伊達郡の霊山城(福島県伊達市)に移転する。
八月
 鎮守府大将軍・北畠陸奥守顕家、吉野朝廷の後醍醐天皇(50歳)の勅命を受け兵3万を率いて上洛を開始する。
十二月
 奥州総大将・斯波家長(17歳)、相模国鎌倉で北畠顕家軍に敗れ討死(杉本城の合戦)。
 足利尊氏(33歳)、重臣の駿河国・伊豆国守護・石塔義房(?歳)を第二代奥州総大将に任命し陸奥国に下向させる。

暦応元(1338)年
五月
 鎮守府大将軍・北畠陸奥守顕家、和泉国石津合戦で北朝軍に敗れ討死(21歳)。
 南朝、北畠顕家の弟・北畠顕信(19歳)を陸奥介・鎮守府将軍に任命し陸奥国に下向させる。

承和元(1345)年
 室町幕府初代征夷大将軍・足利尊氏(41歳)、独断専行が目立ってきた奥州総大将・石塔義房を解任し、幕府引付衆の吉良貞家(?歳)と譜代武将・畠山国氏(?歳)の2名を初代奥州管領に任命して下向させる。

承和五(1349)年
九月
 室町幕府初代征夷大将軍・足利尊氏(45歳)、次男・足利基氏(10歳)を初代鎌倉公方に任命し、相模国鎌倉に下向させる(鎌倉公方のはじまり)。
 すでに鎌倉府執事として活躍していた上杉憲顕(44歳)、初代関東管領に就任し足利基氏を補佐する。

観応元(1350)年
十月
 室町幕府初代征夷大将軍・足利尊氏(46歳)と腹心である弟・足利左兵衛督直義(45歳)との対立が深刻化し戦闘状態に入る(観応の擾乱 ~1352年)。
 陸奥国も観応の擾乱の影響を受け、尊氏方の畠山国氏と直義方の吉良貞家、そして元奥州総大将・斯波家長の遺児・詮経と前奥州総大将・石塔義房の勢力が抗争する「四管領時代」となる。南朝方の鎮守府将軍・北畠顕信(31歳)も北朝の混乱に乗じて挙兵し、陸奥国府・多賀城を攻撃する。

観応二(1351)年
二月
 足利直義方の奥州管領・吉良貞家、将軍尊氏方の奥州管領・畠山国氏の陸奥国岩切城(現・宮城県仙台市宮城野区)を攻め落とし国氏を自刃させる。
 畠山国氏の遺児・平岩丸、陸奥国に定住し二本松国詮として勢力を保つ(二本松家のはじまり)。
十二月
 南朝方の鎮守府将軍・北畠顕信(32歳)、北朝方の陸奥国府・多賀城を攻略し奪回する。

文和元(1352)年
三月
 初代奥州管領・吉良貞家、南朝方の鎮守府将軍・北畠顕信(33歳)を破り陸奥国府・多賀城を攻略する。

文和二(1353)年
五月
 初代奥州管領・吉良貞家、南朝方の拠点・陸奥国宇津峰城(福島県中部)を攻略する。鎮守府将軍・北畠顕信(34歳)、陸奥国北部に亡命する(東北地方における南北朝騒乱の終結)。

文和三(1354)年
四月
 初代奥州管領・吉良貞家が死去し、嫡男の吉良中務大輔満家(?歳)が第四代奥州管領に就任する。
 前奥州総大将・石塔義房の三男・石塔左兵衛佐義憲(?歳)や元奥州管領・畠山国氏の遺児・二本松国詮が挙兵する。
六月
 石塔義憲の攻撃により陸奥国府・多賀城が陥落し、奥州管領・吉良満家、伊達郡(現在の福島県北部)の伊達家をたより亡命する。
 義父・足利直義を継いで室町幕府と対立する足利直冬(28歳)、石塔義憲を奥州管領(僭称)に任命する。
七月
 奥州管領・吉良満家、石塔義憲に反撃し陸奥国府・多賀城を奪回する。
 陸奥国の混乱を重く見た室町幕府初代征夷大将軍・足利尊氏(50歳)、幕府引付衆頭人・斯波家兼(47歳 斯波家長の叔父にあたる)を第五代奥州管領に任命し陸奥国中新田城(現・宮城県加美町)に下向させる(奥州管領は吉良満家と斯波家兼の並立状態に)。
十二月
 第五代奥州管領・斯波家兼、玉造郡(現・宮城県大崎市)の志栄山合戦で石塔義憲を討つ。

延文元(1356)年
六月
 第五代奥州管領・斯波家兼、死去(49歳)。
 室町幕府、斯波家兼の嫡男・斯波直持(30歳)を第六代奥州管領、次男・斯波兼頼(28歳)を初代羽州管領に任命する(大崎家と山形家のはじまり)。
 羽州管領・斯波兼頼、山形城(現・山形市)を建造し出羽国支配に着手する(現在の山形市・山辺町・天童市・鶴岡市を基盤とする)。
十月
 第四代奥州管領・吉良満家、死去(?歳)。

貞治五(1366)年
 奥州管領・斯波直持(40歳)、このころ姓名を「大崎」に改める。

貞治六(1367)年
 室町幕府第二代征夷大将軍・足利義詮(38歳)、譜代武将・石橋式部大輔棟義(?歳)を実質的な陸奥国守護に任命し下向させ奥州管領の補佐を命じる。

永和元(1375)年
 第六代奥州管領・大崎直持(49歳)、家督と奥州管領職を嫡男・大崎左京大夫詮持(?歳)に譲り隠居する。

康暦元(1379)年
六月
 初代羽州管領・斯波修理大夫兼頼、死去(63歳)。

明徳三(1392)年
 室町幕府、陸奥国・出羽国の支配権を鎌倉府に委任し、大崎詮持(?歳)の奥州管領職を廃止する。

応永六(1399)年
四月
 第三代鎌倉公方・足利満兼(22歳)、弟の足利満直(?歳)を陸奥国安積郡篠川(現・福島県郡山市)に、足利満貞(?歳)を陸奥国岩瀬郡稲村(現・福島県須賀川市)に派遣し陸奥国支配を強化する(篠川御所と稲村御所のはじまり)。

応永七(1400)年
 室町幕府、鎌倉府の陸奥国支配強化を懸念して鎌倉の前奥州管領・大崎詮持(?歳)を新たに奥州探題に任命し陸奥国に下向させる。
 この頃、斯波兼頼の嫡男・山形右京大夫直家(?歳)が継承していた羽州管領職も「羽州探題」に改称される。

応永八(1401)年
 陸奥国大名・伊達大膳大夫政宗(49歳)、第三代鎌倉公方・足利満兼(24歳)に対して挙兵し陸奥国信夫郡赤坂城(現・福島県福島市)に籠城する。

応永九(1402)年
 山形家、鎌倉府の命により伊達大膳大夫政宗(50歳)の籠城する赤坂城と刈田城(宮城県南西部)を攻撃する。

応永十七(1410)年
正月
 第二代羽州探題・山形右京大夫直家、死去(?歳)。後継は嫡男・満直(?歳)。

応永十九(1412)年
七月
 陸奥国大名・伊達兵部少輔氏宗(正宗の嫡男)、死去(42歳)。後継は嫡男・持宗(20歳)。

応永二十(1413)年
 陸奥国大名・伊達兵部少輔持宗(21歳)、鎌倉府に対して挙兵し篠川御所・稲村御所を攻撃して大仏城(現・福島県福島市)に籠城する。
 第三代羽州探題・山形満直、鎌倉府の命により奥羽地方の諸大名と連合して伊達持宗の大仏城を攻撃する。
八月
異説 第三代羽州探題・山形満直、死去(?歳)。後継は嫡男・満家(?歳)。

応永二十三(1416)年
十月
 前関東管領・上杉禅秀(?歳)、挙兵して第四代鎌倉公方・足利持氏(19歳)と関東管領・上杉憲基(25歳)を鎌倉から追放し鎌倉府を掌握する(上杉禅秀の乱)。
 室町幕府、山形満直ら奥羽地方の諸大名に鎌倉公方救援の指令を送る。

応永二十四(1417)年
正月
 室町幕府軍、鎌倉の上杉禅秀を追討し自害させる。

応永三十一(1424)年
八月
 第三代羽州探題・山形修理大夫満直、死去(?歳)。後継は嫡男・満家(?歳)。
異説 第四代羽州探題・山形修理大夫満家(?歳)、家督を嫡男・頼宗(?歳)に譲り長瀞城(現・東根市)に隠居する。

応永三十二(1425)年
異説 第四代羽州探題・山形修理大夫満家、長瀞城にて死去(?歳)。

貞享二(1430)年
異説 第五代羽州探題・山形右京大夫頼宗(?歳)、家督を弟・義春(?歳)に譲り隠居する。

永享十一(1439)年
二月
 第四代鎌倉公方・足利持氏(42歳)、関東管領上杉家との戦闘に敗れ自害し鎌倉府が滅亡する(永享の乱)。
 鎌倉府の滅亡後、下総国古河を拠点とする足利持氏の四男・足利成氏(当時2歳 のちの古河公方)と、室町幕府から伊豆国堀越に派遣された第六代征夷大将軍・足利義教(46歳)の四男・足利政知(当時5歳 堀越公方)との間で戦闘状態が続く(享徳の乱)。

嘉吉元(1441)年
二月
異説 先代羽州探題・山形頼宗、死去(?歳)。

嘉吉三(1443)年
三月
 第四代羽州探題・山形修理大夫満家、死去(?歳)。後継は次男・義春(?歳)。
 山形満家は長瀞城(現・東根市)に移転して死去しており、山形義春の兄弟から長瀞家がはじまる。

宝徳二(1450)年
五月
 羽州探題・山形義春(?歳)、庄内地方の清水城(現・鶴岡市)を攻めるが敗れ生け捕りにされる。
七月
 山形義春、清水城主・清水家との和議が成り解放される。

享徳三(1454)年
十二月
 第五代鎌倉公方・足利成氏(17歳)、関東管領・上杉憲忠(22歳)を鎌倉府で誅殺し上杉家との戦闘を始める(享徳の乱)。

康正元(1455)年
三月
 第五代鎌倉公方・足利成氏(18歳)、関東管領上杉家との戦闘を続けながら拠点を相模国鎌倉から下総国古河に移す(古河公方のはじまり)。

長禄四(1460)年
 室町幕府第八代征夷大将軍・足利義政(27歳)、羽州探題・山形右京大夫義春(?歳)と天童城城主・天童修理大夫頼勝(?歳 山形義春の伯父にあたる)に古河公方・足利成氏追討令を出す。

寛正三(1462)年
九月
 庄内地方の大浦城主・大宝寺淳氏(?歳)、室町幕府第八代征夷大将軍・足利義政(29歳)により出羽守に叙任される。

応仁元(1467)年
 庄内地方の大浦城主・大宝寺健氏(?歳 淳氏の嫡男)、山形城の山形義春(?歳)と会見する。

文明六(1474)年
三月
 第五代羽州探題・山形右京大夫義春、死去(?歳)。後継は弟・義秋(?歳)。

文明八(1476)年
 第二代羽州探題・山形直家の六男・成沢兼義の嫡男・満久(?歳)、出羽国比良台地(現・大蔵村)に清水城を建造する。

文明十一(1479)年
十一月
 奥州探題・伊達成宗(45歳 持宗の次男)、出羽国寒河江城主・寒河江為広(?歳)を攻めるが撃退される。

文明十二(1480)年
二月
 第六代羽州探題・山形右京大夫義秋、死去(?歳)。後継は、義秋の叔父・中野満基の嫡男・満氏(35歳 義秋の従弟にあたる)。
四月
 奥州探題・伊達成宗(46歳)、再び寒河江為広と戦闘するが菖蒲沼合戦で大敗し、伊達家重臣・桑折播磨守宗義、自害(?歳)。

明応三(1494)年
七月
 第七代羽州探題・山形治部大輔満氏、死去(49歳)。後継は満氏の嫡男・義淳(?歳)。

永正元(1504)年
七月
 出羽国寒河江城主・寒河江宗広、死去(?歳 寒河江為広の孫)。
 寒河江宗広の六男・孝広(2歳)が後継となるが、一族の内紛に乗じた羽州探題山形家と戦闘状態となる(郡中兵乱)。この戦乱により寒河江の慈恩寺、延焼する。
 出羽国寒河江地方の国人・白岩備前守満広(?歳)、白岩城(現・寒河江市)を建造する。
九月
 第八代羽州探題・山形左衛門佐義淳、死去(?歳)。後継は嫡男・義定(13歳)。

永正六(1509)年
八月
 奥州探題・伊達成宗の嫡男・尚宗(57歳)、出羽国寒河江家を支配下におく。

永正十一(1514)年
二月
 陸奥国大名・伊達稙宗(27歳 尚宗の嫡男)、出羽国大名・最上家の上山城(現・上山市)と長谷堂城(現・山形市)を攻略し家臣・小梁川中務少輔親朝を長谷堂城主におく。
 第九代羽州探題・山形修理大夫義定(23歳)、伊達稙宗の侵攻に備え山形城から中野城(現・山形市)に退避する。

永正十二(1515)年
 第九代羽州探題・山形修理大夫義定(24歳)、寒河江家の仲介により伊達稙宗(28歳)の妹を正室として迎え、伊達家との間に和議を結び山形城に戻る。

永正十七(1520)年
二月
 第九代羽州探題・山形修理大輔義定、急死(29歳)。後継者がおらず山形家はその後2年間内紛状態となる。
四月
 伊達稙宗(33歳)による傀儡化を危惧した最上家と上山城主・上山義房(?歳)、挙兵して伊達家と対峙する。
 伊達稙宗、山形・上山・天童・寒河江方面に侵攻し最上家の反伊達運動を弾圧する。

大永元(1521)年
 先代羽州探題・山形義定の弟・中野義建の孫・長松丸(のちの山形義守)が誕生する。
七月
 伊達稙宗(34歳)、出羽国高瀬山(現・寒河江市)に陣をしき寒河江家を威圧する。最上家も伊達軍に加勢する。
八月
 伊達稙宗、高瀬山の陣を解き撤退する。

大永二(1522)年
 中野長松丸(2歳)、山形家を継ぎ第十代羽州探題・山形義守となる。実質的な政治は先代・義定未亡人(伊達稙宗の妹)を通して伊達稙宗が干渉する。
 陸奥国大名・伊達稙宗(35歳)、陸奥国守護に就任する。
四月
 山形家の伊達稙宗による傀儡化に反対する成生十郎、中山朝勝、天童頼長、東根頼景が挙兵するが鎮圧される。

天文三(1534)年
 第十代羽州探題・山形修理大夫義守(14歳)、立石寺・日枝神社(現・山形市)を改修する。

天文十一(1542)年
六月
 陸奥国大名・伊達稙宗(55歳)を嫡男・晴宗(24歳)が襲撃する事件が発生し、伊達家中の内乱となる(天文伊達の乱)。
 第十代羽州探題・山形修理大夫義守(22歳)、伊達稙宗に加勢して出羽国置賜地方の晴宗派を攻撃する。
十一月
 山形義守、天文伊達の乱に乗じて置賜地方を制圧する。

天文十五(1546)年
正月
 第十代羽州探題・山形修理大夫義守(26歳)の嫡男・白寿丸(のちの最上義光)、誕生する。

天文十七(1548)年
九月
 陸奥国大名・伊達稙宗(61歳)、嫡男・晴宗(30歳)に家督を譲り丸森城(現・宮城県丸森町)に隠居する。伊達晴宗、拠点を出羽国米沢城(現・米沢市)に移す。

弘治二(1556)年
 陸奥国大名・伊達晴宗(38歳)、奥州探題に就任する。

永禄元(1558)年
 第十代羽州探題・山形修理大夫義守(38歳)の嫡男・白寿丸(13歳)、元服。室町幕府第十三代征夷大将軍・足利義輝(23歳)より偏諱「義」を賜り山形源五郎義光と名乗る。
三月
 出羽国白鳥城主・白鳥十郎長久(?歳)、上洛し山科蔵人頭言継(52歳)らと共に飛鳥井参議雅春(39歳)主催の蹴鞠会に参加する。

永禄二(1559)年
六月
 第十代羽州探題・山形修理大夫義守(39歳)、嫡男・義光に偏諱を賜った礼として京の将軍・足利義輝(24歳)に馬を贈る。

永禄六(1563)年
六月
 山形城主・山形義守(43歳)と嫡男・義光(18歳)父子、上洛し室町幕府第13代征夷大将軍・足利義輝(28歳)に拝謁し馬・太刀を献上する。

永禄七(1564)年
四月
 庄内地方の砂越城主・砂越也足軒(?歳)、越前国一乗谷城主・朝倉家と会見し親交を深める。

永禄八(1565)年
六月
 庄内地方の清水城主・清水義高(?歳)、鳥打場合戦で大宝寺軍に敗れ討死する。

永禄九(1566)年
四月
 出羽国庄内地方の大名・大宝寺家の筆頭重臣・土佐林禅棟(?歳)、清水城主・清水義氏(20歳)を降伏させる。

永禄十(1567)年
八月
 陸奥国大名・伊達輝宗(24歳)の嫡男・梵天丸(のちの伊達政宗)、誕生(生母は山形義光の妹・義姫)。

永禄十一(1568)年
四月
 越後国村上城主・本庄繁長(29歳)、越後国大名・上杉謙信(39歳)に対して挙兵し、出羽国大浦城主・大宝寺義増(47歳)も本庄繁長と同盟する動きを見せる。
九月
 大宝寺義増、上杉謙信からの圧力を受け本庄繁長から離反して上杉家に服属し、交換条件として湯田川地方の七日台城・石堂山城・藤沢城を破却する。

永禄十二(1569)年
閏五月
 大宝寺家、庄内地方の清水城・鮭延城に城番をおき支配する。

元亀元(1570)年
正月
 山形義光(25歳)、出羽国立石寺(現・山形市)に立願成就を祈願する。
五月
 山形城主・山形義守(50歳)と対立していた嫡男・義光、宿老・氏家尾張守守棟(37歳)の仲裁により和解する。
 山形義守、家督を嫡男・義光に譲り出家して栄林と号する。

元亀二(1571)年
八月
 大浦城主・大宝寺義氏(21歳 義増の嫡男)、重臣筆頭の土佐林禅棟(?歳)を誅殺する。

天正元(1573)年
 陸奥国大名・伊達輝宗(30歳)、密かに出羽国の天童家・白鳥家ら有力七国人との同盟関係を深める。

天正二(1574)年
 山形義光(29歳)、この年に織田信長(41歳)の斡旋により出羽守に叙任される。
正月
 山形栄林(54歳)、嫡男・義光と対立し中野城(現・山形市)で挙兵する(最上の乱)。
 陸奥国大名・伊達輝宗(31歳 山形栄林の娘婿にあたる)、山形栄林に加勢して挙兵し、輝宗の命により高畠城主・小梁川中務大輔盛宗(52歳 輝宗の義兄にあたる)、義光方の里見民部少輔の上山城を攻撃する。
 寒河江家、山形義光派に属するが伊達家の意を受けた天童家・白鳥家ら七国人に攻められ降伏、山形栄林派に属する。
二月
 山形義光、伊達領の川樋(現・南陽市)を奇襲して勝利する。
三月
 山形義光、伊達家と和睦し楢下(現・上山市)から伊達軍を撤退させる。しかし山形義光、伊達領の北条(現・南陽市)に夜討ちをかけ伊達家と再び戦闘状態に入る。
四月
 荒砥城(現・白鷹町)と畑谷城(現・山辺町)が山形義光に敵対して挙兵し、伊達軍と義光軍との戦闘が本格化する。
五月
 山形義光、父・栄林方の若木城(現・山形市)を攻撃し、江俣でも合戦となる。
 伊達輝宗、自ら米沢城から出陣し義光方の新地・仙石・楢下・中山に進撃する。
 伊達家家臣・亘理修理亮重宗(23歳 輝宗の従弟にあたる)、伊達輝宗の命を受け笹谷方面から義光領に侵攻する。
六月
 山形義光、上山新地の伊達陣に夜討ちをかける。
 伊達輝宗、荒砥城に陣を移すが、義弟にあたる陸奥国大名・芦名盛興(28歳)急死の報を受けて撤退する。
七月
 伊達輝宗、家臣・亘理修理亮重宗に刈田口からの義光領への侵攻を命ずる。
 出羽国の有力国人・寒河江家、栄林方から離反し山形義光に加勢する。
 伊達輝宗、再び自ら出陣し義光方の五百川(現・朝日町)と新宿(現・上山市)に侵攻する。
八月
 義光軍と伊達軍、国境の刈田口・笹谷峠で戦闘する。
 伊達輝宗、楢下に侵攻するが山形義光への総攻撃を断念し和平交渉を始める。
九月
 伊達輝宗、義光方と和睦し楢下から撤退する(山形栄林・天童家は戦闘を継続)。

天正三(1575)年 
三月
 山形出羽守義光(30歳)と父・山形栄林(55歳)、伊達輝宗(32歳)の仲介で和睦し栄林、山形城下の龍門寺に隠居する。
 山形義光、栄林との内乱中に伊達輝宗に寝返った上山城主・里見民部少輔(?歳)を誅殺する。

天正五(1577)年
五月
 山形出羽守義光(32歳)、長井地方に侵攻する。
七月
 谷地城主・白鳥十郎長久(?歳)、上洛して大名・織田信長(44歳)に拝謁し馬を献上する。
八月
 山形義光、上洛して織田信長に拝謁する。
十一月
 陸奥国大名・伊達輝宗(34歳)の嫡男・梵天丸(11歳)、元服して政宗と名乗る。

天正七(1579)年
 最上八楯の盟主である天童城主・天童頼貞、死去(?歳)。後継は嫡男・頼澄(12歳)。
七月
 大浦城主・大宝寺義氏(29歳)、織田信長に馬と鷹を献上する。

天正八(1580)年
四月
 天童家、山形義光(34歳)と対立し天童城を改修する。

天正九(1581)年
三月
 大浦城主・大宝寺義氏(31歳)、鮭延城(現・真室川町)を攻略し清水・新庄・古口地方に侵攻する。
五月
 谷地城主・白鳥十郎長久(?歳)、伊達家との親交を深める。
 山形義光(35歳)、天童家・東根家と戦闘する。

天正十(1582)年
二月
 大浦城主・大宝寺義氏(32歳)、新庄地方に侵攻し鳥越城(現・新庄市)と猿羽根城(現・舟形町)を攻略する。
六月
 京で本能寺の変が起こり織田信長(49歳)が自刃する。
七月
 山辺家、大宝寺義氏と同盟し山形出羽守義光(37歳)と戦闘する。
八月
 山形義光、この頃から砂越城(現・酒田市)の砂越家と同盟関係を結び庄内地方の情勢を探る。
 山形義光、陸奥国大名・大崎家に鮭延城の救援を要請する。
 大宝寺義氏、由利地方(現在の秋田県南部)に侵攻して秋田家と戦闘する。
 大宝寺義氏の一連の領地拡大政策に対する家臣団の反発が高まる。
九月
 山形義光、天童頼澄(15歳)の天童城を攻めるが撃退される。


後半へ続く。 うらら~、うらら~、うらうらら~♪≫
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遅くても、やらないよりゃマシだバカヤロー☆ ~映画『首』~

2023年12月03日 10時29分46秒 | 日本史みたいな
 こじゃんとさむいねやぁ~! どうもみなさま、こんにちは。そうだいでございます。
 もう12月ですってよ、奥さん! 早いな~。もう2023年も残り1ヶ月きっちゃいましたよ。みなさんにとっては、今年も楽しく充実した年になりましたか?
 私の住む山形もいよいよ寒さが厳しくなってきたのですが、やっぱりこの時期になっても雪がほとんど無い……というか、今シーズンまだ一度も積もるほど降ったことがないというのは、ちと異常ですわなぁ。年明けにやっと積もるくらい降るか、って感じなのかなぁ、この冬も。大人にとっては雪かきがなくなるからありがたいばっかりなんですが、子ども達にとってはさすがに、つまんないですよね。

 今年2023年も、私はといいますと御覧の通りに自分勝手、気ままに楽しく生きさせていただきました。もう不惑を越えていくとせかが過ぎ、人生の折り返し地点を回っちゃったかなという年齢になったのですが、まことにありがたいことに大した病にもかからず、身体にも目立つガタはきておらず、このままうまくいけば無難に新年を迎えられそうであります。無事これ名馬!!
 今年度から、個人的には生活にも多少の時間的余裕を持つようにし(代わりに経済的余裕がなくなってますが)、おかげさまでこの数年でたまりにたまった部屋の積ん読を、あたかもはらぺこあおむしが葉っぱをムチムチとはむかのような速度で減らし始め(©江戸川乱歩)、長年の懸案だった「片道500km の山梨ドライブ旅行」も7月に無事に終え(すんごい楽しかった!!)、しまいにゃほぼ毎週末に話題の映画を観るために映画館に通うという、自分なりに理想としていた「おっさんライフ」を堪能できるようになりました。なかなかうまくいかないことも当然のようにありますが、振り返れば心の安楽が得られた非常に幸福な一年になったかと思います。このままうまく過ごせればね……歳末こそ、気を引き締めねば!

 読書に時間をさけるようになったのもうれしいのですが、今年は比較的頻繁に映画を観られるようになったのもありがたいことで、そりゃまぁ出費は痛いには痛いのですが、いろんな作品を楽しむことができました。ちょっと手元のメモをひもといてみますと、なになに、今年最初に観た映画は、ドキュメンタリー映画の『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』(監督・武石浩明)でしたか! けっこう渋い選択から始めてたんですね、面白かったけど。そうかそうか、『かがみの孤城』とか『すずめの戸締まり』は去年の映画でしたか。ホント、光陰矢の如しですな!

ん……あれ、この、1月に観た『レジェンド&バタフライ』って題名の映画、どういうお話だっけ……洋画かな?

 あぁ、思い出した。綾瀬はるかさんが殺人マシーンになる映画だった。旦那さんは、なんかヒマさえあればめそめそ泣く甲斐性なしだったな。
 あれ、その旦那さん、キムタクっていうか……織田信長?

 え、織田信長!? 織田信長って、私がゆうべ見た映画で、出るシーン出るシーンぜんぶで青筋と首筋おったてて、真っ白い顔で絶叫しまくってたキ〇ガイ!? キムタクとあの山王会若頭が、同一人物ぅ!?


映画『首』(2023年11月23日公開 131分 東宝)
 映画『首』は、2019年12月に出版された北野武による時代小説を原作とし、北野自身による脚本・編集・監督・主演で、出版元の角川書店の製作により映画化された作品である。R15+ 指定。
 総製作費15億円。北野武監督にとっては6年ぶりの新作映画で、2023年5月に開催された第76回カンヌ国際映画祭の「カンヌ・プレミア部門」に日本人映画監督として初めて出品された。撮影は山形県鶴岡市のスタジオセディック庄内オープンセット、岩手県奥州市のえさし藤原の郷、長野県富士見町などで行われた。
 北野武脚本・監督作品としては、『あの夏、いちばん静かな海。』(1991年)以来、約32年ぶりに東宝の配給作品となる。

あらすじ
 時は戦国時代末期。織田家重臣・羽柴秀吉と豪商・千利休に雇われ、謀反人と逃げ延びた敵方を探して各国を旅する抜け忍・曽呂利新左衛門は、織田信長に反旗を翻した武将・荒木村重を偶然に捕らえる。一方、丹波国篠山の農民・茂助は、播磨国へ向かう秀吉の軍勢を目撃し、戦で功を立てようとその従軍に紛れ込む。
 信長、秀吉、織田家重臣・明智光秀、信長と同盟する東海地方の大名・徳川家康までをも巻き込み、荒木村重の首を巡る戦国の狂宴が始まり、それはやがて本能寺の変へと繋がっていく。

おもなスタッフ(年齢は映画公開当時のもの)
監督・原作・脚本・編集 …… 北野 武(76歳)
製作 …… 夏野 剛(58歳)
プロデューサー …… 福島 聡司(62歳)
音楽 …… 岩代 太郎(58歳)
撮影 …… 浜田 毅(71歳)
衣裳 …… 黒澤 和子(69歳)
特殊メイク / 特殊造形スーパーバイザー …… 江川 悦子(?歳)
殺陣 …… 二家本 辰己(70歳)
能楽 …… 二十六世観世宗家 観世 清和(64歳)
製作 …… 角川書店
配給 …… 東宝、角川書店

おもなキャスティング(年齢は映画公開当時のもの)
羽柴 秀吉 …… ビートたけし(76歳)
羽柴 秀長 …… 大森 南朋(51歳)
黒田 官兵衛 孝高 …… 浅野 忠信(50歳)
徳川 家康 …… 小林 薫(72歳)
千 利休  …… 岸部 一徳(76歳)
荒木 村重 …… 遠藤 憲一(62歳)
服部 半蔵 正成 …… 桐谷 健太(43歳)
本多 忠勝  …… 矢島 健一(67歳)
宇喜多 忠家 …… 堀部 圭亮(57歳)
蜂須賀 小六 正勝 …… 仁科 貴(53歳)
滝川 一益  …… 中村 育二(69歳)
丹羽 長秀  …… 東根作 寿英(51歳)
安国寺 恵瓊 …… 六平 直政(69歳)
弥助     …… 副島 淳(39歳)
難波 茂助  …… 二世 中村 獅童(51歳)
明智 光秀  …… 西島 秀俊(52歳)
斎藤 利三  …… 勝村 政信(60歳)
初代 曽呂利 新左衛門 …… 木村 祐一(60歳)
丁次      …… アマレス兄(アマレス兄弟 48歳)
半次      …… アマレス太郎(アマレス兄弟 39歳)
間宮 無聊   …… 大竹 まこと(74歳)
般若の佐兵衛  …… 寺島 進(60歳)
清水 宗治   …… 荒川 良々(49歳)
織田 信長   …… 加瀬 亮(49歳)
織田 信忠   …… 中島 広稀(29歳)
森 蘭丸 成利 …… 寛一郎(27歳)
遣手婆マツ   …… 柴田 理恵(64歳)
多羅尾 光源坊 …… ホーキング青山(49歳)
為三      …… 津田 寛治(58歳)


 いや~、すごいもん観ちゃいましたねコリャ。とんでもない怪作でございました。
 だいたいみなさま、映画を観なくても、上のキャスティング表を見れば、この映画がいかに異常な映画なのかがよくわかるでしょ!?
 よく見てくださいよ、主要キャストで女性はただ一人! しかも、柴田理恵さんなのよ!? すごすぎるだろこれ……
 かと言って、この作品が漢っ気ムンムン、お色気ゼロのむくつけきマッチョ映画なのかといいますと、そうでもないのよね。なんだったら、男性俳優でお色気方面もカバーしようとしてるんですから。なぜおなごにお願いしない!?
 本作での最濃カップルとなる「光秀×村重」、西島さんが50歳過ぎてるのもそうとうなもんなんだけど、エンケンさんにいたっては還暦過ぎてるんですからね(撮影時はもうちょっと前か)!? 邪魔男爵もいろんな仕事をふられて大変だなぁ~オイ!

 あっ、本題に入る前にちょっとすみません。
 私、上記のように本作の原作本の出版社と、映画化に際して製作・配給を担当した企業のことを「角川書店」とあえて旧名で表記しているのですが、これはもう、現在の社名の超絶ダサさが心の底から大嫌いなので、強い抗議の意味も含めて旧名で通させていただきます。
 ダサい!ダサい!!クソダサい!! なに、日本語きらいなの!? そんな社名にして泉下の角川源義が納得してるとでも思ってんのか!? 最近のグループの大失敗の数々は、絶対に荒ぶりまくってる源義の怨霊のしわざだからな!! 即刻もどせェい!!
 でもあそこ、最近は狂ったように横溝正史のマイナー小説を復刊させてくれてるしな……「 KADOKAWA、だぁ~いすき♡」と、ハズキルーペの CM並みにはりついた笑顔でエールを贈らせていただきましょう。

 すみません、少々取り乱してしまいました。

 先ほども申した通り、今年2023年は「よわよわキムタク信長」に始まり、「正統武闘派ひらパー岡田准一信長」が大河ドラマ枠で大暴れし、そして再び銀幕では「超超破滅型ブチギレ加瀬亮信長」が疾走して終わるという、織田信長大豊作な年になったと思います。みんな信長で、みんないい! 多様性信長社会 SDGs に決まっとるがやぁあ~!!
 作品の出来不出来は別としましても、「ほんとは暴君でも魔王でもなかった他力本願信長」に、「ほんとは幼なじみの家康が大好きだったツンデレ信長」に、本作の「愛情の示し方が暴力しかない哀しきヘッジホッグ信長」と、フィクションの世界ならではの百花繚乱な信長解釈があって、天界の信長さんご本人が見下ろしたら、とってもおもしろい景色が広がっていたのではないでしょうか。
 前にも我が『長岡京エイリアン』のどこかの記事で申したかもしれませんが、私そうだい個人としましては、史実の織田信長というお人は、そんなに始終激怒しているわけでも、年がら年中マントをはおって闊歩しているような新し物好きでもない、ただ他の同時代人たちと比べて「異様に勘と運が良い」、きわめてマジメな仕事人間だったと思うんですけどね。

 それで、今回観た北野武待望の映画最新作『首』だったのですが、さすが世界のキタノと申しますか、公開当初からさまざまな反響がネット上でも沸き起こっております。まさに賛否両論! 「超おもしろかった!」から「たけしも老いたな……」まで、正反対な声が轟々とうなりまくってますね。
 私が昨夜、公開から1週間が経過した時点の週末土曜日に観に行った時も、広めのスクリーンの会場は観客層はやや高めではあるのですが、熟年夫婦を中心にしたお客さんで半分以上埋まっておりました。1週間たっても客足があんまり変わらないのって、山形ではけっこう珍しいと思います。

 そんでま、ここからはつらつら~っと私が観た感想をつづっていきたいのですが、本作はホントに不思議な怪作といいますか、


異常な世界を淡々と観察し続ける、完成されたモキュメンタリー調キタノ映画


 みたいな感じになりますでしょうか、簡潔に言っちゃいますと。

 例えば、かつて我が『長岡京エイリアン』にて私は、何の因果か、この『首』のきっかり10年前に公開された、同じく信長の晩年付近の日本史をテーマにした映画『清須会議』(2013年 監督・三谷幸喜)をはっきり「おもしろくない」と評価いたしました。あっ、でも『鎌倉殿の13人』は最高よ!?
 そう評した理由は、ご覧の通りこまごまと先の記事にて述べ立てたわけなのですが、結局のところフィクション作品として「つまんない」としか言いようのない、自分のかましたギャグへの「責任感の無さ」を全編に感じたからだったのでした。滝川一益や神戸信雄をあれだけ史実からかけ離れた笑いものにしておいて責任を取らないんですよ。要するに、「この作品はパロディコントです。」というただし書きをちゃんと付けないから、私みたいなねちっこい歴史おたくが「織田家家督・信忠はどこいった」とか「三法師の母親が武田の娘なわけないだろ」とかいきり立ってしまうのです。
 つまり、あの『清須会議』における最大の失敗は、三谷さんご本人が自分でちゃーんと冒頭に明示していた、前田玄以が「動く絵巻」を開陳して広げた大風呂敷という「えそらごと」のパッケージを、ド忘れしたかのようにラストでたたまなかったこと。これに尽きると思います。最後の最後に絵巻物を片付ける玄以さえ出てきてくれたら、観客は「あそっか、史実と違ってムチャクチャでもしょうがねっか、えそらごとなんだから。」と納得してくれるはずだったのです。

 なんで『首』の感想を言ってる記事なのに三谷さんを叩いてるんだといぶかる向きもあるかと思いますが、要するに「オチ」というものはそのくらい大事なものだということなのです。オチが悪かったら全て悪し!

 その点この『首』はどうなのかと言いますと、声を出して笑えるかというとそれほどでもないのですが、最後の最後のカットでたけし演じる秀吉が叫ぶ一言は、「あぁ、これで終わりだな。」と万人が納得するオチになっていたと思います。全てが無に帰す、ゼロに還る一言。それまで131分もの時間をかけて積み上げてきたものを瞬時に破壊してしまう秀吉の感覚は決して無責任な放り投げエンドではなく、歴史的に観れば新しい価値観の台頭ともとれる革命的な言葉ですし、そこまで持ち上げなくとも、あれほどまでにさんざん馬鹿にされ、泥水すすって生きてきた老獪な秀吉の心の底からの叫びなのです。めんどくせーんだよバカヤロー!! みたいな。これに、自分の身の回りの倦み疲れた日常の煩雑さを連想して共感しないお客さんはいないと思いますよ、よっぽどのおこちゃまでない限り。
 おれも、たけしみたいに蹴っ飛ばしてやりてぇなぁ! このルサンチマン、エネルギーを人々に呼び覚まさせる扇動術こそが、芸歴半世紀を超えるビートたけしの魔力の源泉であり、その必殺技をもって締めくくりとする『首』という作品は、完成されたひとつの「領域展開」といいますか、スタンド「じょ~うだんじゃっ、ないよっ」なのです。だからもう、史実がどうこうとか、登場人物たちの生活感がまるでないとか四の五の言っても意味無いんですよ。全ての不完全さ、いい加減さが、ビートたけしの芸のうちなんだから。

 こうなっちゃうと、もうね……131分という上映時間が冗長なのも、秀長役の大森さんのアドリブ対応がへったくそなのも、寛一郎さんのカツラが合わなくて頭が縦に長いのも、「そういうもんなんだからしょうがない。」という空気になっちゃうので、くさすだけ野暮になっちゃうんですよね。
 ずるい! 殿はずるいなぁ!! でも、その老獪さが主人公の秀吉と見事にオーバーラップしちゃうんですよね。ですから、本能寺の変が起きた時の史実の秀吉が数え年46歳だったのに、その役を30歳も年上のたけしが演じるのはどうなんだという声もあるとは思うのですが、70歳を越えたビートたけしだからこそできる秀吉像というものを、本作はちゃんと見せてくれていたと思います。
 本作の後半にて、中国攻めの陣営で信長横死の報を公表しながら下手なウソ泣きをする弟・秀長の様子をうかがい、屏風の裏で忍び笑いをする秀吉という描写があるのですが、ここは単なるコント風スケッチのようでありながらも、「時代を観察し嘲笑する秀吉」という、原作者兼脚本兼監督兼編集のたけしの視点をバッチリ提示してくれる象徴的なカットだと思います。軽いようで超重要! やっぱりタケちゃんはすごいな!!

 わたし、最近の『ゴジラ -1.0』みたいな「監督兼脚本」が当たり前のようになっている風潮は全く好きではないのですが、今回の『首』に関して言えば、ここまで原作者の言いたいことが気持ちよく伝わるんだから、これは同じ人がやる方がいい稀有な例なんだろうな、と思います。でもこれは、監督のほうの手腕がそうとうのもんでないと無理な変換でしょうけど。

 ちょっと話が変わりますが、私の持論として、21世紀に活躍する俳優さんが、だいたい20世紀以前の「歴史上の人物」を演じる場合、その年齢は「史実の10歳くらい年上がちょうどいい」と思っています。それは、人生経験的にも生物としての平均寿命の高齢化的にも、健康医学の向上といった点でも。多くの人々にとって、現代は「人生五十年」ではないわけです。
 そういう意味で、年齢が晩年の信長とほぼ同じはずの加瀬亮さんは、ちょっと若すぎて見えますよね。逆に秀吉と家康はやっぱり本能寺の変前後にしては老けすぎていると思うのですが、たけしと小林薫さんの「小牧・長久手合戦」を観てみたい気はします。
 ただ、そういう上下のブレはあっても、本作に出演する俳優さんがたの多くはもうバッチリどストライクの全盛期と言いますか、秀吉のネガともとれる無名の農民・茂助役の獅童さんとそろり役のキム兄は無論のこと、秀長役の大森さんも官兵衛役の浅野さんも、なんだったらちょっとだけしか出てこない安国寺恵瓊役の六平さんにいたるまで、「今撮らなくていつ撮る!?」という最高の演技を見せてくれていたと思います。『アウトレイジ』三部作では、ちょっと無理して頑張ってるかな、という息切れ感のあるベテラン俳優の姿もちらほら見られたのですが、今作は全体的に若返っているというか、キャスティングで大成功を確定させている面が大きいと思うんですよね。
 なので、確かに「たけしが秀吉!? 遅すぎるだろ!」と感じる人もいるのは分かるのですが、作品全体としてはたけしの実年齢をおぎなって余りある万全の態勢で作られている、脂ののりきった絶好のタイミングの一作であることは間違いありません。

 キャスティングでいえば、さすがたけしと言いますか、そろり役のキム兄と最終的に対峙する役の人が、よりにもよって「あの人」というのも、日本お笑い演芸史の東西対決と言いますか、なんか「ヒトシ VS タケシ」の代理戦争を見るかのようでおおっと手に汗握るものがありましたね! まぁ、ここでたけしの側で出るのが軍団のどなたかでないのが、そこはかとなく寂しくもあるのですが……
 あと、個人的に本作の中でいちばん気になっていた登場人物が、実はキム兄とはまた違った角度での「ヒトシの代理人」といった感じでキタノ映画に出向して来た堀部圭亮(言うまでもなく放送作家・竜泉)さん演じる宇喜多忠家で、終始どのシーンでも「借りてきたネコ」のようなカッチンコッチンの姿勢と表情でいたのが、ある意味でたけし=秀吉に匹敵するほど中身と役とが一致し過ぎていて笑ってしまいました。また、宇喜多忠家という「板ばさみ人生」というか、どこでどう生きても常に目上にコワい誰かがいるザ・苦労人な武将を堀部さんが演じているというのが、おもしろうてやがて哀しきキャスティングになっているんですよね! この『首』の世界線での宇喜多直家って、どんなヤバい人だったんだろうなぁ……配役するなら、やっぱ演じるのは椎名桔平さん一択でしょ! こわ~!!

 こんなことつぶやいても仕方ないんですが、私の勝手な理屈で言うのならば、本能寺の変前後の頃の秀吉をたけしが演じるのならば、それは50代半ばごろ、つまりは2000年代前半ということで、ちょうどキタノ映画で言うと『 BROTHER』(2001年)とか『座頭市』(2003年)を制作していたころで、俳優面で言うと『バトル・ロワイアル』(2000年)とか『血と骨』(2004年)に出ていたたけしになるわけです。
 ホ~ラかっこいいでしょ、めっちゃくちゃ見たいでしょ!? やっぱ、髪の毛染めてタップダンスやってる場合じゃなかったんだって! 『御法度』(1999年)から直行で秀吉もやるべきだったんだってぇ~!!
 でも、それはそれで、今年の『首』よりもだいぶナルシスティックで主観的な秀吉像になっていたろうし、第一、周辺に集まる俳優陣も、本作程に心身ともに充実したメンツにはなっていなかったかも知れないんでねぇ。それはもう、今回の『首』と20年前の『座頭市』のどっちにも出演している浅野忠信さんの成熟度を見ても明らかだと思います。今の方がだんぜん、いい!
 そういう意味では、本作は2000年代のキタノ映画とは趣が変わってプロの俳優さんの比率がだいぶ上がった現在だからこそ完成度も上がった、と言えるのかも知れません。キム兄の、たけし派でないからこそみなぎりまくっていた緊張感も良かったわけだし。やっぱり、いくら遅い遅いと言われようが、この『首』は今のタイミングで世に出るのが最高なのです!!
 ただ一点、大杉漣さんの出ている『首』も、観たかったような気はします。人間、先立つ不孝だけはやりたくないもんですな……

 少なくとも私にとって、今回の『首』はとっても満足のいく内容のものでしたし、その力技を押し通す勢いに元気ももらい、「ビートたけし健在なり!」という手ごたえを感じさせるものとなりました。
 でも、本作は始まって十数秒の時点で、苦手な人にとってはかなりキツい残酷描写が展開されますし、女性がいない分、戦国時代に「一流武士のたしなみ」として流行していたという衆道、同性愛の愛憎が露骨に絡む内容にもなっているので、最後の最後までドギツい描写がどこかで必ず出てくる作品となっています。もうタイトルからして『首』なので、全く覚悟せずに観に来るお客さんもそうそういないかとは思うのですが、それでも耐え切れず脱落してしまう人がいても、それは仕方のないことかと思います。ほいほい人に勧められる作品ではない、ということですね。

 以下は、そんなに気になったわけでもないけど少しばかり不満に感じたことをば。

・本能寺の変前後の歴史的出来事のどこをピックアップするのか取捨選択を行った結果、登場人物のうち誰かのエピソードが中途半端になってしまうことは仕方のないことなのですが、荒木村重の「その後」に全く触れないまま映画が終わってしまうのは、非常にもったいないと感じました。あの後の村重の生きざまこそが一番面白いと思うんですけどね……それとも北野監督、もしかして続編『首 びよんど』を制作する腹づもりなのか!? いずれにしても、エンケン入魂の村重はもうちょっと長く観たかったような気がしました。有岡城攻防戦での、喉がカッスカスに枯れ切ってもなお「逃げるなー! 逃げるなー!」と絶叫し続ける村重の姿は、もう地獄そのものでしたね。
・画面の色彩配置が、なんか全体的にふつうだったような。冒頭の「切り口とカニ」とか、高松城攻防戦下の豪雨の中を傘をさして歩く官兵衛とか、絵になりそうなカットはいくつもあるのですが、それぞれが断片的であるため散漫であんまり効果的と言えず、かつてのカラー映画時代の黒澤映画にあったような「えらいもん観てもーた」的な毒々しいインパクトが無かったように感じました。そもそも黒澤映画と比較すること自体が無理難題なのですが、それでも、もうちょっと一矢報いるくらいの冒険は観たかったような気がします。黒澤和子の衣装も、もはやそこらじゅうの時代劇で見られるような「ちょっとおしゃれなデザイン」くらいにまでありふれたものになっちゃいましたしね……明智光秀だから水色か紫、織田信長だから黒、羽柴秀吉だから黄色って……ベタですよね。

 そして、この映画はあくまでもビートたけしの芸を観る映画としてよくできているのであって、かつて万人が恐怖したような得体の知れない不条理、理屈の全く通らない火山噴火か台風のような「死の美しさ」を描いていた北野武の映画とは、全く別種のものになっていたと思います。その点を物足りないと感じている人は、けっこうおられるのではないでしょうか。
 言ってみれば、キタノ映画は絵画であり、今回の『首』は落語だと思います。そのくらいの別次元のものになっているってことですね。でも、それは仕方のないことだとも思えます。天下御免のビートたけしも歳はとるし、いつまでも気が狂わんばかりに過酷な世界で闘い続けてもいられないでしょう。

 にしても、今回の『首』の、娯楽映画としての完成度は間違いないと思います。アレルギー物質も塩分も辛みも徹底的に除去されている病院食のような時代劇ばかり観ていてもう飽き飽き!という方はぜひとも映画館に足を運んで、2023年のたけしの挑戦状に立ち向かってほしいと思います。

 そうそう、ホント、「こんなえいがに まじになっちゃって どうするの」の世界なんですよね……ブチギレるのは加瀬亮信長に任せといて、私たちはわろとけ、わろとけ~!!
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そりゃあね……おもしろくはないっすよね。  映画『清須会議』  ~10年ごしの感想!!~

2023年11月01日 23時20分00秒 | 日本史みたいな
≪前回までのあらすじ、もなにも……≫
 資料編歴代信長家臣団のあゆみの記事から、なんと10年が経っちゃったよ!


 ……いや~、ついにこの時が来てしまいました。じゅ、10年!? 感想言うのに10年もかかっちゃったの!?
 でもね、今回、ついに重すぎる腰を上げて記事をまとめようと思って、DVD で再見してみたのですが、ほんとに面白くないと私が感じた理由は、もうこんなに時間をかけるまでもなく単純明快なんですよね。ただ、当時から今に至るまでなんやかやと記事の完成を先送りにしてしまっていただけなんです。何か難しい事情があったとか、そんなことは全く無かったのであります。

 ただ、この10年で私の中での三谷幸喜さん作品への印象もだいぶ変わりました。っていうか、昨年2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、ほぼ正反対に転換したわけだったのです。
 『鎌倉殿の13人』は、もうほんとに面白かったんです。なにが素晴らしいって、脚本の伏線の張り方、オリジナリティの打ち出し方に、「史実に誠実に対峙する」という態度がしっかり守り抜かれていたんですよね。破天荒に見えるキャラクターや展開があっても、そこは三谷さんだけの発想で生み出されているんじゃなくて、一見無茶苦茶に聞こえる「異説」や「伝説」が現代に残っている状況を丁寧に取材した上で組み立てている「ハイブリッド新説」に仕上がっているのです。その、歴史への仁義の切り方が非常にすがすがしい!
 登場人物の面々も、役者さんがのきなみ名演を見せてくれましたし、第一、「人の死」というものがこれほどまでに恐ろしく哀しいものなのかと、最終回のラストカットまで戦慄させられ通しになってしまう緊張感と重厚さが、『鎌倉殿の13人』には行き渡っていたと思います。
 映画『清須会議』もそうなのですが、三谷作品の大河ドラマ『新選組!』と『真田丸』には、歴史上実在した人物の死を、正面きって重苦しいものとして描く姿勢がない……とまでは言いませんが、観やすいものに軽くしていた手法があったかと思います。いや、そうでもしないと江戸幕末も戦国時代末期も、血なまぐさ過ぎてとてもじゃないが見られたもんにならないだろうという配慮もあったのでしょうが。
 でも、『鎌倉殿の13人』は、死ぬ人死ぬ人、みんなの最期の演技が本当に真剣勝負なんですよね。あまりにも重すぎて、ハードディスクや映像ソフトで何回も繰り返し観たいとは思えないかも知れませんが、すごいよね……死にざまがすごいってことは、生きざまもすごいってことだもんね。義経、全成、上総広常、比企能員、善児、そして義時。パッと今思い出しただけでも、一体いくつの名シーンがあったでしょうか。個人的には、実朝暗殺のときの源仲章の小物感たっぷりの死にざまが最高でしたね。NHK であそこまでギリギリの表現はすばらしい。でも、私の中での『鎌倉殿の13人』ベストカットは、巴御前の最後の絶叫です。あれはもう……涙なしには観られない。

 話が長くなりましたが、結局なにが言いたいのかと言いますと、『鎌倉殿の13人』の精華は、まさしくこの『清須会議』の大失敗なくしては生まれ得なかった、「泥沼に咲いた蓮の花」だったのではないかということなのです! リメンバー『清須会議』!! 無かったことにするなかれ、黒歴史にするなかれ!!
 あ、あと、『清須会議』とはまったく関係がないのですが、今月末に公開されるらしい映画『首』が、なんだか非常にかんばしいかほりのする予告編で妙にぞわぞわしてきましたので、そっちを観る前に、いい加減こっちの方にケリを着けようという気分にもなったので、今回の感想編にとりかかる運びとなりました。『清須会議』のちょうど10年後に『首』とは……なにやら因縁めいたものを感じちゃいますね。今年の初めに公開された映画『レジェンド&バタフライ』もそうとうな珍作でしたが、なかなかどうして『首』もすごそうだぞ~。青筋おったてて家臣をののしり蹴りまくる織田信長って、いったい何十年前から時の止まっている化石イメージなのでしょうか。

 お話を『清須会議』に戻しますが、私がこの作品をおもしろくないと感じた理由は、まさに『鎌倉殿の13人』の真逆の作風、つまり「史実に敬意の無い創作設定」をけっこう多めに弄しておきながら、その効果が「単に歴史上の人物をバカにしているだけ」にとどまり、作品の面白さに全くつながっていなかったから。ほんと、ひとえにこれだけのことなのです。

 映画をざっと見て気がついただけでも、この作品では、

・「織田家家督・織田信忠」という事実の無視
・武田松姫の設定
・池田恒興の設定
・滝川一益の設定と描写演出

 という、「そこでウソついちゃったら『清須会議を舞台にしているお話』って言う資格ないんじゃない?」と言いたくなるえそらごとが満載なのです。
 これ、映画のタイトルが『喜劇・清須会議』だったり、『きよそ会議』だったら私もそんなに怒らなかったかと思うのですが……題名の段階で「フィクション史劇以前のコントで~っす☆」って言ってくれればよかったのにねぇ。

 要するに、史実の清州会議は前提として「本能寺の変の6年も前から勝幡織田家第6代当主になっていた織田信忠」の嫡男である織田三法師の「後見人」を決める宿老会議であり、その三法師が武田松姫の実子である可能性はゼロで、宿老の一人・池田勝入斎は会議に参加する前の段階で完全に秀吉派になっており、滝川一益は最初から会議に参加する気など無かったのです。

 おいおい、作品の根幹を揺るがす「事実と異なる創作ポイント」が最低4コもあるよ! しかもこれらは、「そうだったかもしれない」可能性がまるでない完全なるでっちあげなのです。「そういう異説もあるよ」なんていうロマンなどかけらもない三谷コントの思いつきと申してよろしいでしょう。ぜ~んぶ、えそらごと。

 当然、三谷さんも無鉄砲ではないわけで、言葉にこそしていませんが、本作は「史実そのまんまではありませんよ~。」と解釈できる演出は、ちゃんと冒頭で提示しています。
 すなはちこの映画は、物語の脇役であるはずの前田玄以が誰もいない清須城の1階大広間に現れて、京での本能寺の変をアニメ的に表現する不思議な絵巻物を開陳するところから始まるのです。つまり、この映画の全ては玄以の披露するえそらごとであります、と。
 でも、だったらだったで、この清州会議の後に秀吉に取り入り、最終的に豊臣政権五奉行に名を連ねる程に出世した前田玄以がこの『清須会議』を語る必然性があってもよいものかと思うのですが、この映画は玄以の出てくる冒頭の演出の意図を全く説明せず、フツーに勝家と秀吉が別れる描写で終わるのです。織田信雄があんなにバカ殿さまに描かれる理由も、黒田官兵衛が吹き矢を放って勝家がビーチフラッグスに負ける理由も、ありもしない信忠と松姫との円満な家庭生活が空想される理由も、第一に玄以が途中から脇役以下に成り果てて物語にいっさいからまなくなる理由も、説明は一切ナシです。あと、西田敏行さんや天海祐希さんがあんなにくだらない出番のためにひっぱり出された理由も!

 ほんとね、清須会議が終わった後の残り30分、本当にいらない!! なんか、あの西田さんやら天海さんやら松山ケンイチさんやらが、クソどうでもいい役柄でちょっとだけ出てくるノリって、「私の映画には、こんな日本芸能界を代表する名俳優のみなさんがたも、どんな役でもいいから出たいってせがんできちゃうんですよね~。困っちゃうなぁもう♡」みたいな声が聞こえてくるようで、とっても嫌な気分になってしまうんですよね。いや、こんなの私の一方的な思い込みなんでしょうけれどね……モテモテな陽キャののろけ話を聞かされてるようで、心のズイから怒りがこみあげてきます。

 役者さんの話をするのならば、確かに本作も、三谷監督作品らしく当代人気の俳優さんがたのオンパレードといった陣容です。その中でも、私としましては大泉さんと浅野忠信さんの演技が光っていたかな、と思います。あと、やや軽めの立ち位置でかなり自由に遊んでおられた佐藤浩市さんの「小物」演技と、中谷美紀さんのハイテンションなダンスも素晴らしかったですね。あんな浩市さんと中谷さん、今じゃもう観られないのでは?
 ただ、それ以外のみなさんは、まぁ彼 or 彼女だったらそのくらいの仕事はするだろうな~、といった感じの、まるで TVのバラエティコントのような緊張感のない演技の持ち寄りあいにしか見えませんでした。ただダッシュさせてただけの阿南健治さんとか、ボーっとしてるだけの梶原善さんとか、一体どういう感覚をしていたらそういった貴重な人材をドブに捨てるような使い方ができるのかがまったく理解できません。
 特にもったいないにも程があるのは、やっぱり主演の役所広司さんでしょう。まるで三船敏郎のものまねのような安っぽい豪傑感! 絶対にその程度しかできない俳優さんじゃないのに、なんであんなことになってるんだろう。それはもう、確実に演出している監督が「そんな感じでいいです。」とギアダウンさせてしまっているのでしょう。役所さんに限らないことでしょうが。
 やっすいものまねと言えば、お市の方役の鈴木さんもひどかった。どこからどう見ても黒澤明の『乱』における原田美枝子さまのものまね……なんですが、設定として本作でのお市の方の年齢が三十代半ばなので、演技においてもビジュアルにおいても全面でオリジナルに劣っているという負けいくさっぷり。まさか黒澤明に TVバラエティコントで挑もうとするとは……浮き輪ひとつで太平洋に浮かぶ人間を、ホホジロザメは笑って許してくれるかな?
 そしてど~しても見逃せないのは、武田松姫役の剛力さんですよね。たぶん、ご本人はとっても真面目で勉強家なんだろうなぁ。でも、声の質と絶対的能力値が……三谷さんも、よくもまぁあそこでワンカットの長ゼリフを彼女にぶっつけたな。三谷さん、剛力さんキライ?


 とまぁ、そんな感じで10年もの時が経過した今もなお、1万字になんなんとする思いのたけは、まだ残ってました!
 でも、しゃべり出したら記事を何回やってもきりがないので、最後にその他気になった点をズラズラ~っと羅列するいつもの流れでしまいにしたいと思います。一部、先に触れたことと重複する内容もありますが、DVDを観ながらたったかたーっと打ったものですので、なにとぞご寛恕いただきたく。

その他、気になったポイントメモ
〇2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』を存分に楽しんだ人間としては、やっぱり森蘭丸成利を染谷将太くん(当時21歳)が演じているのが非常に感慨深い。蘭丸くん、出世したねぇ~! 出世しても本能寺で死んじゃうけど。
〇織田信長役の篠井英介さんも、明智光秀役の浅野和之さんも、物語的に本作にはちょっとだけしか登場しないのだが、ビジュアルが非常に良い。特に光秀は、あんまり他の映像作品では採用されない「本能寺の変当時67歳説」がちゃんと採用されていて最高です。あとキンカン頭も!
〇若干コミカルに描かれている末期の信長が印象的。案外、そのくらいのフツーのおじさんだったのかも?
〇ビジュアルと言えば、「織田家の血筋の特徴」として、現代日本から見ても異様に見える程の高い鼻筋を、登場する織田家関係者全員が特殊メイクで表現しているのも、他映像作品ではなかなか見られない演出である。でも信包役の伊勢谷さんは自鼻だったとか? さすが。
〇本作の重要な物語要素として、織田信忠の嫡男、つまり信長の嫡孫の織田三法師秀信が、あの武田信玄の四女である信松尼松姫の実子であるという設定がある。つまり三法師が信長と信玄の両方の血を引くハイブリッド貴公子であるという非常に魅力的な話なのだが、実は史実の三法師の母親ははっきり確定しておらず、大小とりまぜて5説あるうちのひとつが松姫説ということになる。武田信玄の血を引く可能性20%か……でも、面白いから本作で松姫説が採用されるのも、しょうがないよね! 三谷作品だし。
〇ちなみに、松姫以外の三法師の母親候補の中には、織田家武将・森可成の娘もいる。もしこっちが正しいとすると、三法師は森蘭丸くんの甥ということになる。こっちはこっちで面白いが……武田信玄の娘に比べると、ちょっとスケールがねぇ。
●史実では、武田松姫は確かに織田信忠の「婚約者」とはなったものの、例の信玄西上作戦と三方ヶ原合戦で織田家との関係が最悪になってしまったために婚約は立ち消えになり武田家領内から出ることはなく、織田三法師が誕生した天正八(1580)年には兄・仁科盛信のいる信濃国高遠城下に、武田家滅亡後は北条家の庇護のもと武蔵国八王子にいたという。え、じゃあ、映画の中のように本能寺の変の時に信忠と一緒に京にいるのも、そもそも三法師を産むのもムリなのでは……? 本編開始3~4分のこの時点で、本作が「史劇」でないことは明確になっている。ファンタジー!
●ついでに言うと、映画では父母と一緒に京の二条新御所にいた織田三法師(当時3歳)も、史実では父の居城の美濃国岐阜城にいたらしいです。そりゃそうだよね、現代感覚の京都旅行じゃないんだから、織田家当主と次期当主候補が軽々しく一緒に行動するわけがありません。
〇本作のストーリーテラーである前田玄以が、本能寺の変当日に信忠と一緒に二条新御所にいたのは史実らしいのだが、やはり本作は、冒頭の演出から見ても「前田玄以が盛りに盛ったフィクション」と受けとめるのがいいかもしんない。でんでんさんらしいうさんくささ!
〇3年後の2016年大河ドラマ『真田丸』であんなにはっちゃけた秀吉を演じた小日向文世さんを観てしまうと、本作でいかにも苦々しく大泉秀吉の栄達を眺めている丹羽長秀の姿が非常に興味深く見える。今に見てろよ、コノヤロー!
〇実質どこからどう見ても秀吉 VS 光秀の大決戦だった山崎合戦だが、本作で描写される通り、形式上の秀吉方の総大将は信長の三男・神戸信孝だった。ここでの信孝の存在感も、他作品では省略されがちなので地味にうれしい。
●冒頭の絵巻物風アニメでも実際の撮影でも、本能寺は約2m そこそこの土塀で囲まれただけのふつうの寺として描写されているが、まさか戦国時代の真っただ中に京にあった法華宗大本山の寺院がそんなわけなく、実際には堀と土塁と石垣に囲まれた要塞のような城館であったという。だからこそ信長も油断してたし、光秀も全軍をガッツリ投入して攻め込んでたわけでねぇ。
●やっぱりこの作品は、丹羽長秀が信孝を次期織田家当主に擁立して、宿老筆頭の柴田勝家を際立たせるために古巣の尾張国清須城で会議を開こうと提案したという根幹の筋が決定的なえそらごとになっている。清州会議が開かれたのは、当時清州城に三法師(次期当主確定)がいたからなのでは……
●本能寺の変の時点で、羽柴秀吉はすでに15年以上、織田家武将として活動しているはずなので、本作の時期に正室お寧の方や弟・秀長があんなに百姓ライズした言動で秀吉を裏切者扱いしているのは、ちょっと何を今さらな感じがする。そもそもお寧は百姓じゃないし。木下家の特徴らしい耳の特殊メイクも、こっちはやりすぎじゃない?
〇予想通り、苦み走った表情に黒服の寺島官兵衛のビジュアルが非常にいい。岡田准一官兵衛ほど美化されてもおらず、斎藤洋介官兵衛ほど異貌でもない絶妙なバランス! 本作においては陽の面の強い大泉秀吉と好対照ですね。
〇上映開始から12分というスピード感で、本作の重要な舞台となる清須城が出し惜しみなく登場して、映画のタイトルがクレジットされる。清須会議が行われるのは、二重四階建て檜皮葺きの、黒壁でも白壁でもない非常に簡素な印象の天守閣の一階である。あの信長の城としては意外すぎるほど地味なのだが、だからこそ信長もちゃっちゃと清須城から出ていったと考えられるわけで、納得のいく外観ではある。そしてこの天守も、清須会議から4年後の天正地震で倒壊するわけ。言うまでもないことだが、今現在清州城跡に建っている三重四階建ての鉄筋コンクリート造の模擬天守とは全く関係がない。
〇20年ぶりに清須城に入るという柴田勝家を満面の笑顔で迎える、清須城の老足軽・義兵衛。彼を演じるのは三谷作品に欠かせない名優・近藤芳正なのだが、近藤さんは本作の翌年の大河ドラマ『軍師官兵衛』で、柴田勝家その人を演じることとなる。ものすんごい出世! でも、ずいぶんとかわいらしい鬼権六ですね。
〇本作では信長の妹・お市の方がもともと清須城に住んでいたような描かれ方になっていたが、史実の彼女は当時どうやら美濃国岐阜城にいたらしい。確かにあの信長の妹として、そっちの方が自然な気がするのだが、そこはそれ、映画ですからね……便宜上のショートカットということで。
〇清須城入城に際して勝家が一番優先したのがお市の方との接見で、秀吉が優先したのが清須城下の民衆への施しセレモニーという、上層 VS 下層の対比が非常にわかりやすい。いろいろと目端の利く秀吉の深謀遠慮を象徴するエピソード。
〇冒頭からちょいちょい登場している信長の三男・神戸信孝に対して、もっと上位のはずの次男・北畠信雄がずいぶんと後になって登場する。上映開始18分でやっと会話の中に名前が出てきて、しかものっけから勝家に「大うつけ!」と呼ばれているさんざんっぷり。まぁ、実際そうなんですけどね……山形県人の私としては、地元近くの天童市に非常に縁の深い方なので、ついつい信雄に肩入れしたくなっちゃう。
〇お市の方が秀吉を蛇蝎のごとく嫌う理由は、清須会議から9年前に彼女の夫・浅井長政を、信長の命を受けた秀吉が先鋒として攻め滅ぼし、夫妻の間にできた嫡男・万福丸を処刑したことにあるとされている。しかし、当然ながら秀吉の行動は全て主君・信長の代行としてのものであり、なんだったら勝家も浅井攻めにはしっかり参加しているのである。秀吉が嘆く通り、織田家の中でも秀吉だけを嫌っているお市の方が理不尽なのか、それとも、それだけのことをしでかしておいて「9年も経てば忘れてくれるだろう」と考えている秀吉が異常なのか……
〇上映開始から23分たち、ついに本作の台風の目となる重要キャラクター・北畠信雄が登場。しかし、居室には所狭しと役に立つんだか何だかさっぱり見当のつかない発明グッズやおもちゃの数々が……織田家きっての「奇人」としての信雄の印象を強調する演出だが、史実の信雄はそれなりの水準以上の教養はあったにしても、ともかく長期的な戦略眼のなさや中途半端な世渡り上手さがあったゆえに歴史の渦に飲み込まれた「凡人」という方が正しいような気がするので、ここらへんも本作の創作のにおいが強い。そんなの奇人変人度で言ったら、信雄なんか足利将軍家のみなさんの足元にも及ばないんじゃなかろうか。格が違う!
〇特殊メイクによるつけ耳がやたら印象に残る大泉秀吉なのだが、実は右手にずっと手甲のような布を巻いているのも、映像作品の中の秀吉像としては非常に画期的である。これはつまり、「秀吉の右手は6本指(多指症)だった」という、本作にもがっつり登場している秀吉の盟友・前田利家の証言を採用している演出であると思われる。これなんかは特に NHKの大河ドラマではまず映像化されないであろうし、映画作品ならではの味付けなのではないだろうか。別に中二病で黄金の指ぬき手袋をしてるわけじゃないんだぞ!
●これまた三谷作品の常連名優である梶原善さん演じる羽柴秀長の存在が、史実よりもずっと小さい。山崎合戦後のこの時期に秀吉の傍にいないなんてことはありえないと思うのだが……これはおそらく、ポジションが黒田官兵衛とかぶりすぎるために採られたカット策であると思われる。そんな、お寧といっしょに一般人ヅラしてこっそり入城なんてできるわけないでしょ。
〇上映開始36分で、本作の新たなるキーパーソン、織田信包が登場! 物語の中で、秀吉は清須会議を有利に導くための奇策として信包の懐柔を謀るが、史実の信包はもっと早く、本能寺の変の直後から秀吉=信雄派に属していたらしい。これはおそらく、信包も信雄も本拠地が同じ伊勢国にあるという地政学的判断からだと思われる。ちなみに、信包が本作のように兄貴譲りの西洋かぶれなオシャレ人だったという記録史料は残っていない。むしろ、毒にも薬にもならない、兄・信長に従順な常識人だったのではなかろうか。ほら、二人のあいだにいた信勝(信行)くんの一件もあるし……
〇上映開始44分で、清須会議の行く末を決める織田家新宿老として、今度は信長の乳兄弟の池田恒興が登場。演じる佐藤浩市さんの、長いものに巻かれる俗物感がいい。しかし、ここでの秀吉派と勝家派とのはざまでフラフラする恒興というのも、実は本作にしかない虚像であり、史実の恒興は中国大返しを果たした秀吉軍と合流して山崎合戦に参戦した功によって織田家宿老に昇格されたという流れがすでに清州会議前にあった。さらにこの時点で秀吉との間に、次女(若政所)を秀吉の後継者候補である甥・秀次の正室とし、次男・輝政を秀吉の養子とするという盟約を結んでいるため、会議の時にすでに恒興は、勝家と長秀がつけ入る余地などないほど濃厚な秀吉派になっていたのである。さすが、人たらしの秀吉! ちなみに、山崎合戦の直前に恒興は剃髪して勝入斎と名乗っているため、本作の時期にはツルッツルの僧形になっているはずである。なんか、信長の死後すぐに出家するというその素直さは、本作のイメージとはちょっと違う気がする。むしろ、大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU 』(1992年)で恒興を演じた的場浩司さんがぴったりな気がしますね。筋は通すゼ!
〇キャラクター造形の是非はおいておいて、当時もうすっかり大女優の仲間入りを果たしていたはずの中谷さんが、かなり長い時間を使って秀吉の饗宴シーンで愛知県重要無形民俗文化財「津島市くつわ踊り」のソロダンスを披露しているのが非常にうれしい。若いな~! さすがは中谷さんだ、キャリアは積んでも、アイドルグループ「桜っ子クラブさくら組」内のアイドルデュオ「 KEY WEST CLUB」時代のステップは衰えちゃいねぇぜ! 夢はマジョリカ・セニョリータ!!
〇清須城内での秀吉派の酒宴の乱痴気騒ぎっぷりを、「あれもいくさ」と寝室から冷静に分析する前田利家。しかし、そういう無礼講パーティにいのいちばんで飛び込みたいのは間違いなく、若いころの犬千代時代に「槍の又佐」、「織田家きってのかぶき者(狂犬)」とおそれられた利家のはずである。大人になったな~!
●本作の公開後、2018年に提唱された柴裕之氏の新説によると、清州会議の前日の日付で秀吉が関東にいたと思われていた滝川一益にあてた書状に、「徳川家康と連携して北条家の織田領への侵攻を防いでくれ」としたためられていることから、清州城に参集していた織田家要人たちは、最初っから一益を会議に呼ぶ気はなかったのではないかと唱えられている。そりゃそうですよね、「関東から一益が来るかも」なんていう不確定要素のためにいつまでも待っていられる悠長さなんて、信包に言われるまでもなく当時の織田家にあるわけがありません。
〇清須会議後の祝宴での、池田恒興の「この世は生き残った者勝ちだ。俺は生き残ってみせるよ。」という発言が非常に深い。だって、彼はこの2年後に……ねぇ。


 まぁ、ざっとこんな感じよ。

 いろいろ言いましたがこの『清須会議』は、つまるところ大失敗作だと思います。
 でも、それは間違いなくのちの『鎌倉殿の13人』の大成功に結実している、長い長~い道のりのひとつだと思います。

 今2023年、令和になってしばらく経ってから観直してわかってくる『清須会議』の嫌なところは、「茶化しておもしろがる」、「無駄遣いしておもしろがる」という、実に平成らしい文化の一側面だったような気がしてきます。そして、三谷幸喜さんはそこにとどまらず、『鎌倉殿の13人』をもって令和にも大傑作を打ち出していける脚本家として進化したのではないでしょうか。
 だとすると、令和はかなり殺伐とした、余裕のない社会時代なんだろうなぁ。それはそれで、平成がなつかしく思えてくる?

 さぁ、これから公開される『首』は、どうなりますかねぇ? とっても楽しみですね!
 『首』に小日向さんが出てこなさそうなのが、実に残念ですね! でも、それじゃほんとに『アウトレイジ』のタイムスリップ版になっちゃうか。逮捕しちゃうぞ、コノヤロー☆
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えっ、令和って、こんなに辛気くさい時代なの!? ~映画『レジェンド&バタフライ』~

2023年01月29日 20時46分12秒 | 日本史みたいな
 はいっ、みなさまどうもこんばんは! そうだいでございまする~。みなさま、休日いかがお過ごしですか?
 今年の冬、こちら山形は寒いは寒いんですが、降雪はぼちぼちといった感じで去年ほど雪かきに苦しめられることもなく過ごせています。今のところはね……このまま、暖かい春が来るといいなぁ、そうはいかないだろうけど。

 さてさて今回は、本日、わたくしにとりましては貴重な休日に観に行きました、映画の感想でございます。
 最近ね、今までちゃんと集めてなかった「映画館のスタンプカード」を、いっぺん最後までコンプリートさせてやろうじゃないかと、毎週末のお休みに必ず1本は映画を観ることにしてるんですよ。私の行ってる映画館のスタンプは、最後の鑑賞から半年が経つと無効になってしまうので、いっつも途中で挫折してたんですよね~。
 そんで、今までは「そのうち観に行こうかな~。」なんて思いつつもたいてい見逃しちゃってた映画も、気になったらちゃんと観に行こうじゃないかというキャンペーンを始めてはや1ヶ月、4~5本くらい観てきたのですが、やっぱり映画館に行くという行為は、特有のドキドキ感があっていいやね! まぁ、安くはない趣味なんですが。
 肝心の、観た映画が面白かったかどうかは、また別の話になってしまうんですが、まぁ今のところは当たりとハズレ、五分五分といった感じでしょうか。ちょっと、あまりにもすごい体験だったので、しんどくて記事にする予定はないのですが、フィル=ティペット監督の『マッドゴッド』は、ほんとに映画館で観てよかったな~! ベルリオーズの『レクイエム 怒りの日』で始まるオープニング、サイコー!!

 そんでま、今回観た作品は、果たして当たりかハズレか、いかに~!? 『マッドゴッド』の後だと、ふつうのストーリーがあるだけで、超安心……


映画『レジェンド&バタフライ』(2023年1月27日公開 168分 東映)
 『THE LEGEND & BUTTERFLY(レジェンド・アンド・バタフライ)』は、日本映画。主演は東映映画初出演となる木村拓哉。PG12指定作品。
 「東映70周年記念作品」として、総製作費20億円を投じて製作されている。タイトルの「レジェンド」とは織田信長のことであり、「バタフライ」とは、「帰蝶」という呼び名があったと言われる信長の正室・濃姫を意味する。
 政略結婚で出逢った織田信長と濃姫が、対立しながらもやがて強い絆で結ばれ、天下統一という夢に向かっていく姿を描く。

おもなキャスティング
織田 信長   …… 木村 拓哉(50歳)
濃姫(のうひめ)…… 綾瀬 はるか(37歳)
福富 平太郎 貞家 …… 伊藤 英明(47歳)
濃姫の侍女頭・各務野 …… 中谷 美紀(47歳)
斎藤 道三 …… 北大路 欣也(79歳)
織田 信秀 …… 本田 博太郎(71歳)
平手 政秀 …… 尾美 としのり(57歳)
明智 光秀 …… 宮沢 氷魚(28歳)
森 蘭丸 成利 …… 八世 市川 染五郎(17歳)
木下 藤吉郎 秀吉 …… 音尾 琢真(46歳)
徳川 家康 …… 斎藤 工(41歳)
滝川 一益 …… 増田 修一朗(42歳)
丹羽 長秀 …… 橋本 じゅん(58歳)
柴田 勝家 …… 池内 万作(50歳)
前田 犬千代 利家 …… 和田 正人(43歳)
池田 勝三郎 恒興 …… 高橋 努(44歳)
濃姫の侍女すみ …… 森田 想(22歳)
生駒 吉乃 …… 見上 愛(22歳)

おもなスタッフ
監督 …… 大友 啓史(56歳)
脚本 …… 古沢 良太(49歳)
音楽 …… 佐藤 直紀(52歳)
撮影 …… 芦澤 明子(71歳)
編集 …… 今井 剛(53歳)
製作 …… 東映京都撮影所
配給 …… 東映


 言わずと知れた当代一の大スター、木村さんの主演作品!! いや~、これは映画館で観なきゃ。

 あのキムタクが、ついに満を持して織田信長を……と言いたいところなのですが、木村さんはすでに約四半世紀前にいちど信長を演じておりましたね。TBS のスペシャルドラマ『織田信長 天下を取ったバカ』(1998年3月放送)です。「バカ」とは、なんとストレートな……「うつけ」って、イコール馬鹿とはまた違った意味合いもあるんですけどね。
 木村さんが当時25歳のときに主演された TVスペシャル版は、なんと坂口安吾の小説『信長』を原作として、2001年 NHK大河ドラマ『北条時宗』を手がけた井上由美子の脚本、『3年B組金八先生』シリーズの生野慈朗が演出を務めた話題作でした。
 当時、高校生だった私も観ていたはずなのですが、内容ぜんぜん憶えてない……それもそのはず、この作品、織田信長の生涯を総覧するものではなく、徹底的に信長の青春時代を描くという選択を採っており、今川義元はおろか木下藤吉郎、松平元康さえも登場しておらず、物語のラスボス的存在は信長の弟・信行(信勝)という、非常に実直かつ地味、でも今振り返ると逆に挑戦的にも見えるものになっていたのでした。これ、木村さんのスケジュールを見て、続編も順次制作していく算段だったのでしょうか。
 ただここで見逃してはならないのは、この TVスペシャル版でヒロイン・濃姫を演じていたのが、今回の映画で綾瀬はるかさん演じる濃姫の侍女頭・各務野を演じていた中谷美紀さんだったというところなんですな。時の流れを感じるな~! そういう経緯を頭に入れて、信長と濃姫の「新床」を見守り、そして慌ててトラブル収束に割って入る各務野のドタバタを見ると、おもしろいね!

 ともかく、奇しくもなのか敢えてなのか、今回の映画は、木村さんが初めて時代劇に挑戦したという TVスペシャル版の、まさしく「つづき」といったタイミング、つまりは信長と濃姫の祝言から始まっていくのでした。竹中直人さん演じる豊臣秀吉にとっての『秀吉』からの『軍師官兵衛』ではないですが、実に四半世紀ごし、織田信長の没年にいたる歳になった壮年キムタクによる「信長完結篇」といった体でしょうか。感慨深いね~!

 あと、私としてもう一つ気になったのは、映画の脚本が、今年2023年の NHK大河ドラマ『どうする家康』も務めている、今一番旬の売れっ子脚本家・古沢良太によるものである点ですね。
 実はわたくし、昨年の『鎌倉殿の13人』が非常に面白かった&激ビターだったので、まぁ今年の家康はその反動でトレンディ(死語)でほんわかした「カレーの王子さま」みたいな感じなんじゃないかな、まず津川家康に勝てるわけないしィ~みたいにたかをくくっていたのです。
 ところが放送の初回と第2回を観てみましたらあーた、「戦国時代ナメんなよ」ってなもんで、主演の松本さんが苦境苦境の連続に泣かされる、泣かされる! 史実の松平元康の胃袋キリキリな日々をしっかりと描いてくれているじゃありませんか。今川シン・ゴジラ義元もあっという間にセリフ死するし! まだ、とっかかりよ!? 視聴率がどうなってもいいのか!?
 こういった、そうとう捨て身な戦法を採る古沢さんにただならぬ気迫を感じた私でしたので、これは『どうする家康』の裏面と見えなくもないキムタク信長を見逃すわけにはいかないという気持ちになっていたのでした。
 ちょっと、映画の感想からは離れてしまうのですが、ここで『どうする家康』に現時点(2023年1月発表)で登場が決定している、映画の方にも出てきた主要人物たちのキャスティングを見てみましょう。

織田 信長 …… 岡田 准一(42歳)
織田 信秀 …… 藤岡 弘、(76歳)
明智 光秀 …… 酒向 芳(64歳)
木下 藤吉郎 秀吉 …… ムロ ツヨシ(46歳)
徳川 家康(まだ松平元康)…… 松本 潤(39歳)
柴田 勝家  …… 吉原 光夫(44歳)

 なるほどなるほど。たぶん濃姫は登場しないかな。
 いや~それにしても、信長・信秀父子、格闘能力に関しては史上最強なんじゃないですか!? 超怖い&ファッションセンスが黒い!! かつて大河ドラマで2回も信長を演じた藤岡さんが父・信秀を演じるっていうのも、いいな! おそらく再登場がなさそうなのが非常に残念!!
 映画を観た後で『どうする家康』と比較してみますと、織田信長と徳川家康のキャラクター造形が、みごとに逆転していることがよくわかります。たぶん、明智光秀もかなり違う人物像になると思うな、『どうする家康』は。酒向光秀、すっごい楽しみ!! 実際の信長と光秀の年齢差もそんな感じだったろうし。

 さてさて、そんなこんなで字数もかさんでまいりましたので、いい加減に肝心カナメの映画の感想に入りたいと思います。すんません、いっつも前置きが長くて……


退屈はしないけど、いろいろと惜しい点が目立つ、大味な大作映画でした!


 こんな感じかなぁ。
 私、個人的な事情を言いますと、この映画を観た日はお仕事こそなかったのですが、大きな予定とかやらなきゃいけないこととかが溜まってたせいで朝からそうとう忙しくて、体力もかなり消耗したヘトヘト状態で夜8時からの最終上映回を観るかたちになったんですよ。
 なので、「上映時間2時間48分」という、聞いただけで足が重くなっちゃう情報を知って、「これは途中で寝るかも……」と覚悟していたのですが、ぜんぜん眠くならなかったです! ここはさすが、ダブル主演の木村さん&綾瀬さんの、画面に映っているだけでついつい見入ってしまうスター性と、長尺の各所にピリッと引き締めるシーンを配置した大友監督の手腕のなせる業だと思います。

 面白かった点をいちいち挙げるとキリがないのですが、全体的に見て、大友監督は自身にとっての『影武者』なり『乱』なりを作る気なのだな、という気迫がひしひしと伝わってくる、画面設計の精度の高さでした。まぁ、「夫が妻にブンブン振り回される」という展開は、どこからどう見ても『蜘蛛巣城』なんですけどね。山田五十鈴!!

 あと、やっぱりなんと言っても無視できないのは、木村さんの目にも止まらぬスピーディな日本刀さばきと、それを軽くひょいっと凌駕する綾瀬さんの殺気ムンムンの全身アクションです。さすが綾瀬さん、大河ドラマ単独主役&座頭市の経歴はダテじゃないぜ!!

 余談になりますが、今現在の日本芸能界において、実写版『ふたりはプリキュア』をこの世に現出せしめんとするのならば、あの戦神キュアホワイトを演じ切ることができるのは、この綾瀬はるかさんをおいて他にはないと思います。私には見えます、ピーサードさんあたりの返り血を浴びて絶叫する綾瀬ほのかさんの畢生の演技が……東映さま、やるなら今しかねぇだ! ご英断を! ご英断を!! キュアブラックは宮原華音さんあたりでいかがでしょうか。

 ちょっと、こんな調子で感じたことをズラズラ語ってもとりとめがないので、私が観ていて「いかがなものか?」と思ってしまったポイントを整理してみたいと思います。


1、「意外な信長像」が、映画の主人公としてふさわしいのかどうか。
 難しいところなのですが、「まったく新しい信長像!」というセールスポイントがはっきりしているのはいいのですが、それが大作スペクタクル映画としての爽快感につながっていないような気がしたんです。
 別にこの映画はミステリーでもないので隠す必要もないのですが、この作品に登場する織田信長は、今まで無数の映像作品を彩ってきた「天下統一を目指した覇王」といった感じのキャラクターとはだいぶ違った味わいの人物になっています。
 やっぱ、あの木村さんが演じるのであったならば、完全無欠の革命児・信長であってほしいという声も多くありそうな中で、そこを気持ちよく裏切る信長像を選んだ古沢脚本は、「信長と濃姫の二人三脚」を成立させる確信犯的なチャレンジだったと思います。
 私としましては、この映画のタイトルの横文字、な~んかピンとこないんですよね。いっそのこと、タイトルは『泣き虫弱虫織田信長』か『奥様は殺戮マシーン』くらいでいいんじゃないですか?

 ただ、織田信長というひとりの人間にとって、スタートはそういった感じで濃姫にけしかけられての大博打でもいいのかも知れませんが、この映画を観る限り、信長発のオリジナリティがいまひとつ打ち出せず、濃姫に依存したまま成長のない「がらんどうの人生」を歩んでしまった、という印象が強くなり通しな気がしたのです。本能寺の変の起こった原因も、光秀に「正体を見透かされてしまったから」みたいな流れになっていたし。
 もちろん、史実の織田信長の実績が、「人に言われたからそうしました。」だけで成り立つわけがないことは言うまでもないのですが、今回の脚本は意図的に政治家としての信長を描いていないので、夫婦関係のことでやたら怒ったり泣いたりする信長のイメージだけ残る作風になっているのは、ちょっと……製作費20億円をかけた東映70周年記念作品として、その主人公像はどうなのよ!?
 2人の最期も、あんな感じだしねぇ。なんか、特に信長が「なんのために生きてるんだろ、オレ?」ってしか考えていないような一生に見えちゃって、不憫でしょうがないんですよね。信長がほんとうに『敦盛』を舞ったタイミングなんか、あれじゃ哀しすぎるじゃないですか。
 なまじ、木村さんがそういう繊細な演技がバツグンに上手いから困るんだよなぁ!! 落ち着きなく周囲の人の視線を気にしてチラッチラ動く目が印象的な織田信長って……確かにそういうとこはあったかもしんないけどさ! 少しは、後輩の岡田信長のどっしりした安定感を見習っていただきたいと。


2、なんか真面目すぎる脚本&監督。
 濃姫も、そのおつきの福富貞家も、史実上の動向がまるではっきりしない人物なんですから、もっと自由に物語の世界を立ち回ってくれるんじゃないかと期待していたのですが、なんか、後半にいくにつれてどんどん不自由になっていって、クライマックスたる本能寺の変にはいっさい手を出せない感じになってしまっていましたよね。
 もったいないなぁ、だって綾瀬さんと伊藤さんですよ!? そんなもん、炎の本能寺に馳せ参じないでどうするんですかぁ!!

 かつて、大河ドラマの『国盗り物語』や『軍師官兵衛』では、「史実の立場では同行しているはずない」とかなんとか言う、うるさがたのシチめんどくさいお小言なんかクソ喰らえ!といった感じで、濃姫が本能寺に居合わせて信長と一緒に明智軍と闘っていたのですが、今回こそ、それやらなきゃよう、綾瀬さんなんだから! でも、そんな荒唐無稽なことしないんですよねェ。まぁ、『軍師官兵衛』のときの「重いはずの日本刀をフェンシングばりに片手で振り回して応戦するうちゆき姫」のために明智軍は相当の苦戦を強いられていましたが、もしも今回のベルセルクはるか姫が本能寺にいたら、信長をとり逃がすどころか光秀のかよわい首のほうが危うくなるところでしたからね。

 でもさぁ……「本能寺の変後も生きていた」という説もある濃姫の最期をあんな感じにしてしまうのって、どういう意図があるのかなぁ。なんか、信長の最期とあいまって「悲劇の押し売り」みたいな感じがしなくもない。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』をやりたいのか? ヤだなぁ!
 ちゃんと最期が描かれた濃姫なんかいいほうですよ、福富さんとか各務野さんなんか、クライマックスで顔さえ出させてもらえないんだものねぇ! そりゃないでしょ、エンタメ作品として!! なんか、あまりにも雑すぎやしないかと! ほぼオリジナルキャラなのに、ぜんぜん自由じゃない。
 ビターな味わいのバッドエンドでも、お話をすっきりと締めくくるエンディングは、お客さんへのサービスとして用意してくれてもいいんじゃなかろうかと思うのですが……尻切れトンボなキャラほうり出しは、キツいですよね……
 フィクション作品としての飛躍は、クライマックスの「あのくだり」でカンベンしてください、ってことなんですかね。いやいや大友監督、あなた実写版『るろうに剣心』シリーズの監督さんですよね!? もっとはっちゃけてくださいよぉ! なに、ちぢこまってるんですか、今さら!!


3、とにかく神経質な残酷描写回避……
 別に、バッチリカメラ目線の生首とか、ちぎれた手足が見たいとかいうわけでもないんですけれども、あの『マッドゴッド』を観た後に今回のアクションシーンを観ちゃうと、描写があまりにも薄味でねぇ。あんなお茶のにごし方するんだったら、生首なんかムリして出さなくていいから!
 あがる血しぶきは確かに派手なんですが、なんかそれでごまかしてるばっかりに見えるし、その血しぶきさえも、かつての黒澤映画の合戦時代劇で観た血液の濃度とは、まるで違うような気がするんですよね。なんか、毎日玉ねぎまるごと1コ食べてたのかってくらいの、赤いぺんてる水性絵の具を水でといたようなサラッサラなうすさ。『乱』の、リアリティをかなぐり捨てたポスターカラーみたいなドロッドロの血の海のほうが、何万倍も戦争とか人と人との殺しあいの悲惨さを訴えかけますよね。
 そういったバトルアクションだけじゃなくて、この映画って、京の貧民窟の人たちとか、のちに重病に倒れた濃姫の外見でも、ぜんっぜん冒険してませんよね。メイクアップで多少インパクトの残るビジュアルにするのもダメなんですか!?
 貧民窟のほうは脇役だからいいとしても、さすがに病の濃姫の外見が大して変わってもいないのに、それを見た信長が「どうしてこうなるまで伝えなかった!!」って激怒するのって、無理がありすぎるでしょ。綾瀬さんはどう見てもガタイが良すぎるんだから、そこは裏方が腕を振るわないと、クライマックスへの流れができないじゃないですか! お金をかけるのはそこじゃないの!?

 なんか、令和の東映時代劇って、こんなに表現が窮屈なのかって、かなり残念な気分になってしまいました。『柳生一族の陰謀』の東映さんがですよ、『魔界転生』の東映さんがですよ……『徳川一族の崩壊』はやりすぎだけど。

 余談ですが、私、エンドロールを見てひっくり返っちゃったんですけど(注・実際には座席の背もたれがあるのでひっくり返っていない)、この映画、あの『帝都大戦』のスクリーミング・マッド・ジョージさまがクレジットされてたんですよね!
 え、どこ!? どこにそんな残酷成分が入ってた!? 私、映画を観てる最中ず~っと、「あぁ、この作品に彼が参加していたならなぁ。」って溜息をついてたんですよ!?
 まぁ、「特殊造形現場協力」っていう肩書だったので、そんなに大きく関わってはおられなかったのでしょうが、こんな人畜無害な作品なんですから、勝手な意見ながら、いっそのことクレジットしていただきたくなかったような気もしてしまいました。

 平成エンタメの軽薄さも好きではありませんでしたが、令和エンタメの、この「とにかく怒られないように配慮しました。」みたいな真面目一辺倒の神経質さも、なんとかならんものでしょうか……背景の CGや舞台美術の設計にどんなに予算をかけても、結局TVドラマと変わらないんですよね、画面からくる衝撃度が。そこは、製作スタッフの経験とアイデアがものを言う特殊効果や小道具の領分だと思うのですが。


4、織田信長はもう隠居してるっつうの!!
 いや、もちろん、本能寺の変まで織田信長は一貫して、織田家の最高権力者ではあったと思いますよ、ええ。
 でも、織田家の当主は明らかに、天正四(1576)年十一月からは信長の嫡男・信忠でしょ! そこを無視してはいけない。
 ですから、物語の都合上、信忠が登場しないのは仕方がないとしても、その後の天正十(1582)年の正月の席で、丹羽長秀が信長を「との」と呼ぶのは、ぜ~ったいにやってはならないことなんですよ! そこは「おおとの」なの!!
 細かいことなんですが、あるファミリアの、しかも人一倍「体面」を気にする信長が総帥となっている織田家の物語として、そこは必ず筋を通さねばならない部分だと思って、勝手に血圧が上がっていました。これだから、自称歴史好きはや~ね~!!

 でも、明智光秀があの日に本能寺の変を決行したのも、信長が丸腰であると同時に「信忠も殺せる」状況だったから。おそらく信長が丸腰の条件だけだったらやらなかったという点は、もっと大事に扱うべきなんじゃないかと思います。それだけ超奇跡的なタイミングだったってことなんですよね。


5、明智光秀役は演技ができる人でお願い致します。
 なんで、そこ、雰囲気でキャスティングするんだよ~!?
 他の信長家臣団なんかどうでもいいから、光秀だけは演技の上手い人じゃなきゃダメでしょ~!? 安土城の饗応シーンなんて、木村さんと斎藤工さんの挟み撃ちに遭って,かわいそうすぎたじゃないかよう! 途中で演技できなくなった信長よりも演技がヘタでどうすんだよ、十兵衛! まず、ちゃんと髪を結えい!!
 あらためて、『どうする家康』の酒向光秀、たのしみで~っす!!

 ついでに他のキャスティングに関して言うと、池内万作さんが鬼柴田を演じている意味がぜんぜんわからない。まっったく、猛将に見えません! あんだけヒゲもしゃもしゃ生やしてるのに一向に強そうに見えない人も珍しいですよね。池内さんには池内さんの専門分野というものがあるのでしょうが、あんな、魚を空に飛ばすようなミスキャストは百害あって一利なしかと思いますよ。その意図がぜんぜんわかんない! 池内さんは佐久間信盛か林通勝って感じじゃないの!? 親父さんつながりで、次のトピックで出てくる人物を演じても、よかったかも?


6、足利義昭公が出てこない。マイナス1億点!!
 はい、それだけですよ。ええ。

 ただ、私怨はここまでにしておきまして、織田信長の生涯を描くドラマに義昭公が登場しないというのは、冷静に考えても異常なことですよね。まぁセリフの中に出てくるとはしても、義昭公、今川義元、浅井長政(しゃれこうべじゃなくて)、朝倉義景(同じく)、本願寺顕如あたりが登場しないということは、それはとりもなおさず、この映画が NHK大河ドラマのような定石どおりの史劇ではないということです。これはまぁ、歴史的偉人の一生を、長いにしても3時間弱の尺に収めるための窮余の策として、政治家としての信長の業績を可能な限りカットしたということなのでしょうが、少なくない歴史ファンにとっては、やや残念な物語構成になっていたのではないかと思います。私も、予想はしていたけどちょっぴり、がっかりしました。
 物語の焦点をはっきりさせるために、描写を「信長と濃姫のごくごく個人的な愛情の遍歴に限定する」という選択。これ自体はまったく問題ないことかと思うのですが、今回の構成は、前半で信長周辺のヤンキー集団みたいな若手家臣団や、伊藤英明さん演じる濃姫忠臣・福富平太郎や侍女頭の各務野にもけっこうスポットライトを当てています。そうなんだったら、本能寺の変後に彼らがどうなったのかをちゃんと描くのが筋なんじゃないかと思うのですが、ご覧の通り、映画の結末はあくまでも信長と濃姫「たったふたり」しか描かないままエンドロールとなっているのです。
 それはちょっと……不誠実じゃないのかなぁ。お客さんにも、彼ら彼女らを演じられた俳優さんがたにも。作品が尻切れトンボな印象を与えたのならば、原因はそこらへんにあるのではないでしょうか。
 作品の予算を背景や城郭再現の大道具製作や CG作成、エキストラ撮影に費やすのもけっこうなのですが、映画の良しあしはそれだけじゃないと思うんですけどね。前田犬千代や木下藤吉郎が、上洛後にどういった変貌を遂げていくのかが観たかったし、そこらへんは演じている俳優さんにとっても相当な腕の見せ所だったと思うのですが、あれじゃただひたすら下品で頭悪くて歯が汚いだけの成り上がり者でおしまいですよね。もったいないでしょうが!


 ……とまぁ、今回の映画を観て感じたあれやこれやは、ざっとこんなもんでございます。
 つまりこの作品は、「今までに無かった織田信長像」というのははっきりと打ち出せてはいるのでしょうが、東映というひとつの映画会社が記念映画として押し出すようなスペクタクルやスカッと感は、そんなにありません。最大公約数のお客さんが満足するエンタテインメントではないですよね。また、そんな信長像を木村さんがかなり真面目に実体化しおおせているのが、むしろ問題を明確化させているんですよね。そんなにウジウジして泣いたりキレたりしている男を3時間見て、なにが楽しいのでしょうか……でも、それが商品として成立しているのが、木村さんと綾瀬さんのものすごさですけど。

 せっかくの木村さんだし、もっと正統派の信長を見たかった気もするのですが、ま、そこらへんは後輩のブラック岡田さんが充分すぎるほどに担ってくれることでしょう。

 でも、『柳生一族の陰謀』とか『魔界転生』(言うまでもなく昭和の!!)の復活を、これほどまでにコンプライアンスやらなんやらで雁字搦めになっちゃってる令和の御世に求めるのは不可能なのでありましょうか……ああいう「意味はよくわからないがものすっげぇ!!」映画、スクリーンで観てみたいもんだなぁ。邦画は、うさんくさくて脂ぎっててナンボよね!

 急募! 令和の千葉真一、成田三樹夫、シン・キシダ~!! 森サマの明智光秀、みとうございました……
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未映像化天下人 or 宰相は誰だ!? 大河ドラマで雑に振り返る日本中世史 2000~22年

2022年11月13日 17時09分06秒 | 日本史みたいな
※年齢は初放映当時のものです。
※子役時代を演じた俳優さんは省略しています。

第39作 『葵 徳川三代』(2000年 全49話 作・ジェームス三木)
5.豊臣 秀頼(1593~1615年)…… 五世 尾上 菊之助(22歳)
12.前田 利家(1539?~99年)…… 北村 和夫(72歳 2007年没)
6.毛利 輝元(1553~1625年)…… 宇津井 健(68歳 2014年没)
4.上杉 景勝(1556~1623年)…… 上條 恒彦(59歳)
11.石田 佐吉 三成(1560~1600年)…… 江守 徹(56歳)
7.片桐 且元(1556~1615年)…… 小林 稔侍(58歳)
8.大野 修理 治長(1569~1615年)…… 保阪 尚希(32歳)
15.徳川 家康(1543~1616年)…… 津川 雅彦(60歳 2018年没)
8.徳川 秀忠(1579~1632年)…… 西田 敏行(52歳)
4.徳川 家光(1604~51年)…… 四世 尾上 松緑(24歳)
後陽成天皇(1571~1617年)…… 木下 浩之(41歳)
後水尾天皇(1596~1680年)…… 大場 泰正(27歳)
明正天皇(1624~96年)…… 藤原 ひとみ(11歳)
九条 幸家(1586~1665年)…… 山下 規介(37歳)
九条 道房(1609~47年)…… 中江 太(20歳)
鷹司 信房(1565~1658年)…… 川端 槙二(51歳)
鷹司 信尚(1590~1621年)…… 米山 信之(29歳)
近衛 信尹(1565~1614年)…… 狭間 鉄(50歳)
近衛 信尋(1599~1649年)…… 野地 将年(29歳)
一条 昭良(1605~72年)…… 綱島 郷太郎(26歳)
二条 昭実(1556~1619年)…… 寺田 農(57歳)
二条 康道(1607~66年)…… 安村 和之(24歳)

第40作 『北条時宗』(2001年 全49話 原作・高橋克彦)
九条 頼経(1218~56年)…… 宇梶 剛士(38歳)
九条 頼嗣(1239~56年)…… 土倉 有貴(19歳)
宗尊親王(1242~74年)…… 吹越 満(35歳)
惟康親王(1264~1326年)…… 藤沼 豊(15歳)
北条 時頼(1227~63年)…… 渡辺 謙(41歳)
北条 時宗(1251~84年)…… 和泉 元彌(26歳)
北条 貞時(1272~1311年)…… 佐保 祐樹(11歳)
2.北条 高時(1304~33年)…… 浅利 陽介(12歳)
平 盛綱(?~1263年)…… 宗近 晴見(64歳)
平 頼綱(?~1293年)…… 北村 一輝(31歳)
赤橋 長時(1230~64年)…… 川崎 麻世(37歳)
北条 政村(1205~73年)…… 伊東 四朗(63歳)
2.足利 高氏(1305~58年)…… 三觜 要介(11歳)
後嵯峨上皇(1220~72年)…… 木之内 頼仁(49歳)
亀山天皇(1249~1305年)…… 松田 洋治(33歳)
近衛 基平(1246~68年)…… 宮内 敦士(31歳)
一条 実経(1223~84年)…… 井上 順(53歳)
西園寺 実氏(1194~1269年)…… 大木 実(77歳 2009年没)
鷹司 基忠(1247~1313年)…… 三浦 諭(?歳)

第41作 『利家とまつ 加賀百万石物語』(2002年 全49話 原作・竹山洋)
10.足利 義昭(1537~97年)…… モロ 師岡(42歳)
11.織田 信長(1534~82年)…… 反町 隆史(28歳)
6.織田 信忠(1557~82年)…… 日野 誠二(24歳)
10.柴田 勝家(1522?~83年)…… 松平 健(48歳)
9.明智 光秀(1516?~82年)…… 萩原 健一(51歳 2019年没)
14.木下 藤吉郎 秀吉(1537~98年)…… 香川 照之(36歳)
9.羽柴 秀次(1568~95年)…… 池内 万作(29歳)
13.前田 利家(1539?~99年)…… 唐沢 寿明(38歳)
5.上杉 景勝(1556~1623年)…… 里見 浩太朗(65歳)
7.毛利 輝元(1553~1625年)…… 大森 啓祠朗(45歳)
12.石田 佐吉 三成(1560~1600年)…… 原田 龍二(31歳)
8.片桐 且元(1556~1615年)…… 吉見 一豊(35歳)
16.徳川 家康(1543~1616年)…… 高嶋 政宏(36歳)

第42作 『武蔵』(2003年 全49話 原作・吉川英治)
6.豊臣 秀頼(1593~1615年)…… 渡辺 大(18歳)
9.片桐 且元(1556~1615年)…… 入川 保則(63歳 2011年没)
9.大野 修理 治長(1569~1615年)…… 近藤 正臣(60歳)
17.徳川 家康(1543~1616年)…… 北村 和夫(75歳 2007年没)
9.徳川 秀忠(1579~1632年)…… 二世 中村 獅童(30歳)

第44作 『義経』(2005年 全49話 原作・宮尾登美子)
4.後白河法皇(1127~92年)…… 平 幹二朗(71歳 2016年没)
2.高倉天皇(1161~81年)…… 馬場 徹(16歳)
安徳天皇(1178~85年)…… 七世 市川 男寅(9歳)
3.松殿 基房(1144~1231年)…… 中丸 新将(55歳)
5.平 清盛(1118~81年)…… 渡 哲也(63歳 2020年没)
2.平 重盛(1138~79年)…… 勝村 政信(41歳)
6.平 宗盛(1147~85年)…… 鶴見 辰吾(40歳)
5.藤原 秀衡(1122~87年)…… 高橋 英樹(60歳)
4.藤原 泰衡(1155~89年)…… 渡辺 いっけい(42歳)
4.木曽 義仲(1154~84年)…… 小澤 征悦(30歳)
6.源 頼朝(1147~99年)…… 中井 貴一(43歳)
6.源 義経(1159~89年)…… 滝沢 秀明(22歳)
5.北条 政子(1157~1225年)…… 財前 直見(39歳)
5.北条 時政(1138~1215年)…… 小林 稔侍(63歳)
4.北条 義時(1163~1224年)…… 木村 昇(25歳)

第45作 『功名が辻』(2006年 全49話 原作・司馬遼太郎)
4.足利 義輝(1536~65年)…… 山口 祥行(34歳)
6.松永 弾正 久秀(1508~77年)…… 品川 徹(70歳)
11.足利 義昭(1537~97年)…… 三谷 幸喜(44歳)
12.織田 信長(1534~82年)…… 舘 ひろし(55歳)
7.織田 信忠(1557~82年)…… 今市 直之(21歳)
11.柴田 勝家(1522?~83年)…… 勝野 洋(56歳)
10.明智 光秀(1516?~82年)…… 十世 坂東 三津五郎(50歳 2015年没)
15.木下 藤吉郎 秀吉(1537~98年)…… 柄本 明(57歳)
10.羽柴 秀次(1568~95年)…… 成宮 寛貴(23歳)
7.豊臣 秀頼(1593~1615年)…… 石黒 英雄(17歳)
7.黒田 如水 孝高(1546~1604年)…… 斎藤 洋介(54歳 2020年没)
14.前田 利家(1539?~99年)…… 唐沢 寿明(42歳 2回目の利家役)
8.毛利 輝元(1553~1625年)…… 津嘉山 正種(61歳)
13.石田 佐吉 三成(1560~1600年)…… 八世 中村 芝翫(40歳)
10.片桐 且元(1556~1615年)…… タカ・コンドー(34歳)
10.大野 修理 治長(1569~1615年)…… 渡 洋史(42歳)
18.徳川 家康(1543~1616年)…… 西田 敏行(58歳)
10.徳川 秀忠(1579~1632年)…… 二世 中村 梅雀(50歳 『真田太平記』ぶり2回目の秀忠役)
2.後陽成天皇(1571~1617年)…… 柄本 時生(16歳)

第46作 『風林火山』(2007年 全50話 原作・井上靖)
後奈良天皇(1497~1557年)…… 四世 市川 段四郎(60歳)
三条 公頼(1495~1551年)…… 小杉 幸彦(51歳)
13.織田 信長(1534~82年)…… 佐久間 二郎(34歳)
19.松平 元康(1543~1616年)…… 坂本 恵介(16歳)

第48作 『天地人』(2009年 全47話 原作・火坂雅志)
14.織田 信長(1534~82年)…… 吉川 晃司(43歳)
12.柴田 勝家(1522?~83年)…… 菅田 俊(53歳)
11.明智 光秀(1516?~82年)…… 鶴見 辰吾(44歳)
16.豊臣 秀吉(1537~98年)…… 笹野 高史(60歳)
11.豊臣 秀次(1568~95年)…… 真島 秀和(32歳)
8.豊臣 秀頼(1593~1615年)…… 中村 倫也(22歳)
15.前田 利家(1539?~99年)…… 宇津井 健(77歳 2014年没)
9.毛利 輝元(1553~1625年)…… 中尾 彬(66歳)
6.上杉 景勝(1556~1623年)…… 北村 一輝(39歳)
14.石田 佐吉 三成(1560~1600年)…… 小栗 旬(26歳)
20.徳川 家康(1543~1616年)…… 松方 弘樹(66歳 2017年没)
11.徳川 秀忠(1579~1632年)…… 中川 晃教(26歳)

第50作 『江 姫たちの戦国』(2011年 全46話 原作・田渕久美子)
12.足利 義昭(1537~97年)…… 和泉 元彌(36歳)
15.織田 信長(1534~82年)…… 豊川 悦司(48歳)
8.織田 信忠(1557~82年)…… 谷田 歩(35歳)
13.柴田 勝家(1522?~83年)…… 大地 康雄(59歳)
12.明智 光秀(1516?~82年)…… 市村 正親(62歳)
3.近衛 龍山 前久(1536~1612年)…… 江良 潤(60歳)
2.近衛 信尹(1565~1614年)…… 杉崎 真宏(36歳)
17.豊臣 秀吉(1537~98年)…… 岸谷 五朗(46歳)
12.豊臣 秀次(1568~95年)…… 北村 有起哉(36歳)
9.豊臣 秀頼(1593~1615年)…… 仲野 太賀(17歳)
8.黒田 如水 孝高(1546~1604年)…… 柴 俊夫(63歳)
16.前田 利家(1539?~99年)…… 大出 俊(70歳)
10.毛利 輝元(1553~1625年)…… 浜田 晃(69歳)
7.上杉 景勝(1556~1623年)…… 和田 唱(35歳)
15.石田 佐吉 三成(1560~1600年)…… 萩原 聖人(39歳)
11.片桐 且元(1556~1615年)…… 三田村 邦彦(57歳)
11.大野 修理 治長(1569~1615年)…… 武田 真治(38歳)
21.徳川 家康(1543~1616年)…… 北大路 欣也(67歳)
12.徳川 秀忠(1579~1632年)…… 向井 理(28歳)
5.徳川 家光(1604~51年)…… 木咲 直人(23歳)

第51作 『平清盛』(2012年 全50話 作・藤本有紀)
2.白河法皇(1053~1129年)…… 伊東 四朗(74歳)
2.鳥羽法皇(1103~56年)…… 三上 博史(49歳)
2.崇徳上皇(1119~64年)…… 井浦 新(37歳)
2.藤原 忠実(1078~1162年)…… 国村 隼(56歳)
2.藤原 忠通(1097~1164年)…… 堀部 圭亮(45歳)
近衛 基実(1143~66年)…… 村杉 蝉之介(46歳)
2.近衛 基通(1160~1233年)…… 永嶋 柊吾(19歳)
4.松殿 基房(1144~1231年)…… 細川 茂樹(40歳)
松殿 師家(1172~1238年)…… 阿久津 秀寿(10歳)
4.九条 兼実(1149~1207年)…… 相島 一之(50歳)
2.藤原 頼長(1120~56年)…… 山本 耕史(35歳)
藤原 師長(1138~92年)…… 片山 景介(29歳)
藤原 兼長(1138~58年)…… 中根 大樹(19歳)
2.信西入道(1106~1260年)…… 阿部 サダヲ(41歳)
2.藤原 信頼(1133~60年)…… 塚地 武雅(40歳)
5.後白河法皇(1127~92年)…… 松田 翔太(26歳)
近衛天皇(1139~55年)…… 北村 匠海(14歳)
二条天皇(1143~65年)…… 冨浦 智嗣(20歳)
3.高倉天皇(1161~81年)…… 千葉 雄大(22歳)
6.平 清盛(1118~81年)…… 松山 ケンイチ(26歳)
3.平 重盛(1138~79年)…… 窪田 正孝(23歳)
7.平 宗盛(1147~85年)…… 石黒 英雄(23歳)
6.藤原 秀衡(1122~87年)…… 京本 政樹(53歳)
5.藤原 泰衡(1155~89年)…… 小林 タカ鹿(36歳)
7.源 頼朝(1147~99年)…… 岡田 将生(22歳)
7.源 義経(1159~89年)…… 神木 隆之介(18歳)
6.北条 政子(1157~1225年)…… 杏(25歳)
6.北条 時政(1138~1215年)…… 遠藤 憲一(50歳)
5.北条 義時(1163~1224年)…… 中山 卓也(23歳)

第53作 『軍師官兵衛』(2014年 全50話 作・前川洋一)
7.松永 弾正 久秀(1508~77年)…… ミッキー・カーチス(75歳)
13.足利 義昭(1537~97年)…… 吹越 満(48歳)
16.織田 信長(1534~82年)…… 江口 洋介(46歳)
9.織田 信忠(1557~82年)…… 中村 倫也(27歳)
14.柴田 勝家(1522?~83年)…… 近藤 芳正(52歳)
13.明智 光秀(1516?~82年)…… 春風亭 小朝(58歳)
4.近衛 龍山 前久(1536~1612年)…… 河井 克夫(44歳)
九条 兼孝(1553~1636年)…… 米村 亮太朗(36歳)
18.豊臣 秀吉(1537~98年)…… 竹中 直人(57歳 2回目の秀吉役)
13.豊臣 秀次(1568~95年)…… 中尾 明慶(25歳)
10.豊臣 秀頼(1593~1615年)…… 葉山 奨之(18歳)
9.黒田 如水 孝高(1546~1604年)…… 岡田 准一(33歳)
17.前田 利家(1539?~99年)…… 横内 正(72歳)
11.毛利 輝元(1553~1625年)…… 三浦 孝太(29歳)
16.石田 佐吉 三成(1560~1600年)…… 田中 圭(29歳)
12.大野 修理 治長(1569~1615年)…… 嶋尾 康史(45歳)
22.徳川 家康(1543~1616年)…… 寺尾 聰(66歳 2回目の家康役)

第55作 『真田丸』(2016年 全50話 作・三谷幸喜)
17.織田 信長(1534~82年)…… 吉田 鋼太郎(57歳)
10.織田 信忠(1557~82年)…… 玉置 玲央(30歳)
14.明智 光秀(1516?~82年)…… 岩下 尚史(54歳)
19.豊臣 秀吉(1537~98年)…… 小日向 文世(62歳)
14.豊臣 秀次(1568~95年)…… 新納 慎也(40歳)
11.豊臣 秀頼(1593~1615年)…… 中川 大志(17歳)
18.前田 利家(1539?~99年)…… 小林 勝也(72歳)
12.毛利 輝元(1553~1625年)…… 浅地 直樹(50歳)
8.上杉 景勝(1556~1623年)…… 遠藤 憲一(54歳)
17.石田 佐吉 三成(1560~1600年)…… 山本 耕史(39歳)
12.片桐 且元(1556~1615年)…… 小林 隆(56歳)
13.大野 修理 治長(1569~1615年)…… 今井 朋彦(48歳)
23.徳川 家康(1543~1616年)…… 内野 聖陽(47歳)
13.徳川 秀忠(1579~1632年)…… 星野 源(35歳)

第56作 『おんな城主直虎』(2017年 全50話 作・森下佳子)
18.織田 信長(1534~82年)…… 十三世 市川 団十郎(39歳)
15.明智 光秀(1516?~82年)…… 光石 研(55歳)
24.徳川 家康(1543~1616年)…… 阿部 サダヲ(46歳)

第59作 『麒麟がくる』(2020年 全44話 作・池端俊策)
細川 晴元(1514~63年)…… 国広 富之(66歳)
3.三好 長慶(1522~64年)…… 山路 和弘(65歳)
三好 義継(1549~73年)…… 黒部 弘康(40歳)
5.足利 義輝(1536~65年)…… 向井 理(37歳)
2.三好 政康(?~1569年)…… 岡 けんじ(55歳)
2.三好 長逸(?~?年)…… 宮原 奨伍(39歳)
2.岩成 友通(?~1573年)…… 高野 弘樹(57歳)
足利 義栄(1538~68年)…… 一ノ瀬 颯(22歳)
8.松永 弾正 久秀(1508~77年)…… 吉田 鋼太郎(61歳)
正親町天皇(1517~93年)…… 五世 坂東 玉三郎(69歳)
14.足利 義昭(1537~97年)…… 滝藤 賢一(43歳)
19.織田 信長(1534~82年)…… 染谷 将太(27歳)
11.織田 信忠(1557~82年)…… 井上 瑞稀(19歳)
15.柴田 勝家(1522?~83年)…… 安藤 政信(44歳)
16.明智 十兵衛 光秀(1516?~82年)…… 長谷川 博己(42歳)
5.近衛 龍山 前久(1536~1612年)…… 本郷 奏多(29歳)
二条 晴良(1526~79年)…… 小籔 千豊(46歳)
20.羽柴 秀吉(1537~98年)…… 佐々木 蔵之介(51歳)
10.黒田 如水 孝高(1546~1604年)…… 濱田 岳(31歳)
19.前田 利家(1539?~99年)…… 入江 甚儀(26歳)
25.徳川 家康(1543~1616年)…… 風間 俊介(36歳)

第61作 『鎌倉殿の13人』(2022年 全48話予定 作・三谷幸喜)
6.後白河法皇(1127~92年)…… 西田 敏行(74歳)
5.九条 兼実(1149~1207年)…… 田中 直樹(50歳)
2.後鳥羽上皇(1180~1239年)…… 二世 尾上 松也(37歳)
2.土御門 通親(1149~1202年)…… 関 智一(49歳)
7.平 清盛(1118~81年)…… 松平 健(68歳)
8.平 宗盛(1147~85年)…… 小泉 孝太郎(43歳)
5.木曽 義仲(1154~84年)…… 青木 崇高(41歳)
7.藤原 秀衡(1122~87年)…… 田中 泯(76歳)
6.藤原 泰衡(1155~89年)…… 山本 浩司(47歳)
8.源 頼朝(1147~99年)…… 大泉 洋(48歳)
8.源 義経(1159~89年)…… 菅田 将暉(28歳)
2.源 頼家(1182~1204年)…… 金子 大地(25歳)
2.源 実朝(1192~1219年)…… 柿澤 勇人(34歳)
7.北条 政子(1157~1225年)…… 小池 栄子(41歳)
7.北条 時政(1138~1215年)…… 坂東 弥十郎(65歳)
6.北条 義時(1163~1224年)…… 小栗 旬(39歳)
2.北条 泰時(1183~1242年)…… 坂口 健太郎(30歳)
2.北条 政村(1205~73年)…… 新原 泰佑(21歳)
2.平 盛綱(?~1263年)…… きづき(31歳)


≪結果その1、大河ドラマでの2022年度までの天下人出演回数ランキング~!!≫
第1位(26回)…… 徳川家康(2021年の幕末大河ドラマ『青天を衝け』でのナビゲーター出演も含む。津川雅彦、寺尾聰、北大路欣也が2回演じた。)
第2位(20回)…… 豊臣秀吉(緒形拳、仲村トオル、竹中直人が2回演じた。仲村さん、ちょっとズルいぞ!)
第3位(19回)…… 織田信長(高橋幸治、藤岡弘、が2回演じた。)、前田利家(唐沢寿明が2回演じた。これもちょっとズルい。)
第5位(17回)…… 石田三成(小栗旬が2回演じた、とみていいか。でも、天下人か?)
第6位(16回)…… 明智光秀
第7位(15回)…… 柴田勝家
第8位(14回)…… 足利義昭、豊臣秀次
第10位(13回)…… 大野治長、徳川秀忠(中村梅雀が2回演じた、とみていいか。)
12回 …… 毛利輝元、片桐且元
11回 …… 織田信忠、豊臣秀頼
10回 …… 黒田如水
8回 …… 平宗盛、源頼朝、源義経、松永久秀、上杉景勝
7回 …… 平清盛、藤原秀衡、北条政子、北条時政
6回 …… 後白河法皇、藤原泰衡、北条義時
5回 …… 九条兼実、木曽義仲、足利義輝、近衛前久、徳川家光
4回 …… 松殿基房
3回 …… 平重盛、高倉上皇、三好長慶
2回 …… 白河法皇、鳥羽法皇、崇徳上皇、藤原忠実、藤原忠通、信西入道、藤原信頼、藤原頼長、近衛基通、後鳥羽上皇、土御門通親、源頼家、源実朝、北条泰時、平盛綱、北条政村、北条高時、足利尊氏、足利義稙、六角義賢、三好三人衆、近衛信尹、後陽成天皇
1回 …… 源頼義、源義家、藤原頼通、近衛天皇、二条天皇、安徳天皇、藤原師長、藤原兼長、近衛基実、松殿師家、九条頼経、九条頼嗣、宗尊親王、惟康親王、北条時頼、北条時宗、北条貞時、平頼綱、赤橋長時、後嵯峨上皇、亀山天皇、近衛基平、一条実経、西園寺実氏、鷹司基忠、後醍醐天皇、尊良親王、護良親王、宗良親王、恒良親王、成良親王、後村上天皇、守邦親王、金沢貞顕、赤橋守時、金沢貞将、長崎円喜、長崎高資、足利直義、足利義詮、高師直、仁木頼章、細川顕氏、細川頼春、光厳天皇、光明天皇、後花園天皇、後土御門天皇、一条兼良、二条持通、足利義教、足利義勝、足利義政、日野富子、足利義視、足利義尚、足利義遐、細川持之、細川勝元、細川政元、畠山持国、畠山義就、畠山政長、斯波義廉、斯波義敏、細川晴元、細川氏綱、三好義継、足利義栄、後奈良天皇、正親町天皇、三条公頼、二条晴良、九条兼孝、後水尾天皇、明正天皇、九条幸家、九条道房、鷹司信房、鷹司信尚、近衛信尋、一条昭良、二条昭実、二条康道


≪結果その2、大河ドラマでの2022年度までの天下人を演じた俳優さん回数ランキング~!!≫
第1位(5回)…… 西田 敏行(後白河法皇、北条義時、豊臣秀吉、徳川家康、徳川秀忠)
第2位(3回)…… 滝田 栄(柴田勝家、前田利家、徳川家康)、松平 健(平清盛、北条義時、柴田勝家)、近藤 正臣(明智光秀、石田三成、大野治長)、中尾 彬(後白河法皇、柴田勝家、毛利輝元)、高橋 幸治(源頼朝、織田信長2回)、十五世 片岡 仁左衛門(高倉上皇、後醍醐天皇、豊臣秀頼)、内藤 武敏(北条時政、一条兼良、明智光秀)、津嘉山 正種(藤原泰衡、毛利輝元、片桐且元)、勝野 洋(赤橋守時、徳川秀忠2回)、大出 俊(後花園天皇、足利義昭、前田利家)、滝沢 修(白河法皇、後白河法皇、藤原秀衡)

天下人としての出演回数2回のみなさん …… 緒形 拳、津川 雅彦、石坂 浩二、十二世 市川 団十郎、江守 徹、田村 正和、加藤 嘉、金田 龍之介、御木本 伸介、伊藤 孝雄、松村 達雄、宅麻 伸、藤岡 弘、、渡辺 博貴、児玉 清、フランキー堺、清水 綋治、郷 ひろみ、仲村 トオル、岸谷 五朗、佐藤 慶、佐藤 浩市、長塚 京三、川野 太郎、伊武 雅刀、渡辺 徹、真田 広之、山下 規介、寺田 農、渡辺 謙、大木 実、入川 保則、北村 和夫、中丸 新将、渡 哲也、高橋 英樹、小林 稔侍、柄本 明、斎藤 洋介、唐沢 寿明、八世 中村 芝翫、二世 中村 梅雀、鶴見 辰吾、宇津井 健、北村 一輝、和泉 元彌、北大路 欣也、伊東 四朗、石黒 英雄、遠藤 憲一、吹越 満、江口 洋介、中村 倫也、竹中 直人、寺尾 聰、小林 勝也、山本 耕史、阿部 サダヲ、国広 富之、向井 理、吉田 鋼太郎、小栗 旬


≪結果その3、大河ドラマで2022年度までに映像化されていない天下人さまがた~!!≫
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