長岡京エイリアン

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爆発しすぎ!! 四国の山川にアナログ特撮の極北を見た 映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』 ~資料編~

2014年11月24日 23時37分18秒 | 特撮あたり
映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』(1973年7月公開 32分 東映)

 映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』は、1973年7月18日に子ども向け映画興行『東映まんがまつり』の一編として公開された、東映の中編映画作品。
 日本列島を「変身ブーム」に包んだ『仮面ライダー』(1971~73年)の続編『仮面ライダーV3』(1973~74年)の劇場オリジナル映画。この年3月の『東映まんがまつり』春興行では、TVシリーズ第2話『ダブルライダーの遺言状』(1973年2月放送)をシネスコサイズにトリミングしたものが上映されたが、劇場用完全オリジナル作品としては本作が初となる。公開当時のキャッチコピーは、「ついにきた全面戦争のとき ゆけ!戦え!三人の仮面ライダー」。
 四国地方を中心にロケを敢行。高速フェリー「さんふらわあ号」(東京~高知)やホテル奥道後(愛媛県松山市)とタイアップし、奥道後バスやくるしまドック(愛媛県今治市)などの関連施設、高知城など四国の名所を織り込んで撮影が行われた。
 このロケ撮影は同工異曲のストーリーによって、TVシリーズ第20話『デストロン四国占領作戦』・第21話『生きていたダブルライダー』(1973年6・7月放送)と同時進行で行われ、ギロチンザウルスやドクバリグモが映画と TVシリーズにまたがって登場し、本来はタイホウバッファロー同様に映画オリジナルの新改造人間として用意された両者だが、TV シリーズで先に登場する形となった。そのため、本作と TVシリーズとの時間系列上の関係は特に明言されていないが、本作で志郎がすでにギロチンザウルスの名前を知っているということもあり、本作はTVシリーズ第20・21話の後に位置する「2度目の四国編」と解釈されることが多い。
 TV シリーズでも数々見られた火薬による大規模な爆発が、本作でもふんだんに採り入れられている。室戸岬(高知県室戸市)を舞台とした無人島でのデストロン基地の撮影は正式に地元の漁業協同組合の許可を得た上で行われたが、あまりの爆発の勢いに海岸の地形が変ってしまったほどで、担当官庁から叱責を受けたという。また、くるしまドック内での爆発撮影では、近所の民家から通報される騒ぎとなっている。ここまで撮影が大がかりになった理由は、制作のために軽トラック一杯に用意された火薬が些細な運転ミスで大爆発事故を引き起こしかねず、帰り道に乗せて帰りたくなかったために全て現地で使ったからだったという。
 最終決戦のロケは、四国ではなく東京都青梅市の採石場で行われた。そのため、四国ロケに運ばれた改造人間のスーツはタイホウバッファロー、ギロチンザウルス、ドクバリグモの3体のみであり、デストロン大幹部ドクトルG役の千波丈太郎もロケには同行していない。また、仮面ライダー1号と2号は変身前の姿では登場していないが、声は TVシリーズと同様に藤岡弘、と佐々木剛が担当した。

あらすじ
 原子物理学者・沖田徹夫博士は、四国山脈の山奥で幻の超放射能元素と言われた「サタンニウム」を発見した。それは原子爆弾の原料に使われるウラニウムの数百倍の放射能を持つ、特殊な鉱石だった。しかし、悪用を恐れた沖田は、東京への帰路で高速フェリー「さんふらわあ号」からサンプルの鉱石を海に捨てようとする。だが、それは既にデストロンの狙うところとなっていた。沖田は鉱石ごと、黒服の男によって和歌山県勝浦沖で拉致されてしまう。
 風見志郎と立花藤兵衛は勝浦沖の無人島にあったデストロン基地に向かい、沖田を救出。しかし、沖田は新改造人間タイホウバッファローに殺され、志郎も砲撃による大爆発に巻き込まれて姿を消す。志郎を失ったまま、藤兵衛は球純子やシゲルとともにデストロンを追って四国に向かう。


登場する改造人間
タイホウバッファロー
 本作の新改造人間。両肩に2門の大砲を備えている。単独でも砲撃できるが、戦闘員に弾込めの補助をさせることもある。「バァ~フォ~」と鳴く。
 映画本編では語られなかった設定によると、当時デストロン科学部門のエリート幹部として活動していた結城丈二(のちのライダーマン)が、もともとはダム建設の岩石爆破用に開発した改造人間だった。ただし、結城が TVシリーズに登場したのは1973年12月放送の第43話からであるため、結城本人とタイホウバッファローは本編では共演していない。

ドクバリグモ
 黒服の男(演・中村文弥)に姿を変え、さんふらわあ号で沖田博士を拉致し、紀伊半島勝浦沖のデストロン基地に連行した。さらにサタンニウム鉱脈の地図を追って、四国各地で暗躍する。仮面ライダー V3の必殺技「V3 反転キック」を受けても爆死せずにこらえていたが、仮面ライダーたちを狙ったタイホウバッファローの砲撃の誤射を浴びて粉々になった。

ギロチンザウルス
 ドクバリグモを援護して、ホテル奥道後の遊園施設「錦晴殿」(京都の鹿苑寺金閣の模造建築 2001年に台風被害のため閉鎖)に現れる。

ピッケルシャーク、ジシャクイノシシ
 勝浦沖のデストロン基地内で志郎を待ち受ける。のちに最終決戦にも参加した。

再生怪人軍団
 ピッケルシャーク、ジシャクイノシシ、スプレーネズミ、ミサイルヤモリ、ドリルモグラ、クサリガマテントウ、バーナーコウモリ、レンズアリ、ガマボイラーの9体。3人の仮面ライダーと戦うが、ライダーたちを狙ったタイホウバッファローの砲撃連射の巻き添えを食らって全滅した。


主なスタッフ
監督    …… 山田 稔(47歳 1995年没)
脚本    …… 伊上 勝(42歳 1991年没)
音楽    …… 菊池 俊輔(41歳)
美術    …… 八木 功(22歳)
技闘    …… 高橋 一俊(30歳 1991年没)、大野剣友会
主題歌
オープニング『斗え!仮面ライダーV3 』(歌唱・宮内洋)
エンディング『V3 のマーチ』(歌唱・水木一郎)

主なキャスティング
風見 志郎 / 仮面ライダーV3 …… 宮内 洋(26歳)
立花 藤兵衛        …… 小林 昭二(42歳 1996年没)
珠 純子          …… 小野 ひずる(18歳 1977年頃に芸能界引退)
珠 シゲル         …… 川口 英樹(12歳 1977年頃に芸能界引退)
沖田 徹夫         …… 二瓶 秀雄(40歳 2001年没)
沖田 ひろ子        …… 森 桃江(23歳)
ドクバリグモ人間態     …… 中村 文弥(27歳 2001年没)
ドクトルG(ゲー)     …… 千波 丈太郎(46歳)
デストロン首領の声     …… 納谷 悟朗(43歳 2013年没)
仮面ライダー1号      …… 藤岡 弘(現・弘、 27歳)
仮面ライダー2号      …… 佐々木 剛(26歳)
ナレーション        …… 中江 真司(38歳 2007年没)


 いや~、ついに来ましたね、個人的に「歴代ライダー映画作品ナンバー1」の大傑作が!
 なにがナンバー1ってあーた、現在じゃ再現不可能な撮影がバンバン出てくるんですもんね、主に火薬の量において! ていうか、火薬の量のみで!!

 振り返れば、俗にいう昭和ライダーシリーズ(一部、平成初期も含んでいる)は、断続的ながらも1971~94年の23年間、13タイトルあったのですが、それに対して、現在も続いている平成ライダーシリーズは、今年始まった『仮面ライダードライブ』まで2000~2014年、休むことなく続いて16タイトル! もはや「昭和ライダーだけしか認めんぞ~!」などという妄言は許されないパワーバランスとなってきたわけです。そりゃいくら寛容な昭和ライダー勢でも、後輩に大人げなくケンカを売りたくもなりますよね。

 だが、それでも! そんなに若さモリモリで先輩がたをヒヤヒヤさせる平成ライダーシリーズでも! この映画版『 V3』の、文字通り「無法地帯」な爆発スペクタクルは、おそらく今も未来も絶対に再現することは不可能なのだ……いや、むしろやって欲しくないのだ! あぶないから!!
 また、この『 V3』の主人公・風見志郎を演じた稀代のアクションスター・宮内洋ほど、「前作でライダーを演じた先輩を完全に超えてやりますよ☆」という野心マンマンでメインライダー役を買って出たお人も、平成ライダーシリーズ、いやさ、全ライダーシリーズ中ではそうそういないのではないのだろうか。おかげで、それ以降の歴代主演ライダー俳優さんは軒並み高いハードルにご苦労なされることとなったわけで……罪な人だぜ!!

 後年、多くのファンに真似される「ブイスリャー!!」という変身時の絶叫こそまだ確立されておらず、『 V3』を語る上で欠かせないキーパーソン・結城丈二(ライダーマン)も登場していないのですが、まさに怒涛の番組後半戦に向けて勢いに乗る上り坂のわちゃわちゃを克明にフィルムに活写した映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』のあれこれ本文編は、また次の講釈だ~い。果たして、いつになるかな!? も~いつもよね。
コメント
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