長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『軍師官兵衛』  視聴メモ 第43回『如水誕生』

2014年11月27日 22時57分02秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第43回『如水誕生』(2014年10月26日 演出・田中健二)


登場する有名人・武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

黒田 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

徳川 家康      …… 知力102、統率力65
 (演・寺尾聰)

黒田 長政      …… 知力77、統率力63
 (演・松坂桃李)

浅井 茶々姫     …… 知力16、統率力21
 (演・二階堂ふみ)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

後藤 又兵衛 基次  …… 知力14、統率力75
 (演・塚本高史)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

井伊 直政      …… 知力69、統率力81
 (演・東幹久)

豊臣 秀次      …… 知力32、統率力35
 (演・中尾明慶)

増田 長盛      …… 知力85、統率力37
 (演・有薗芳記)

本多 忠勝      …… 知力66、統率力84
 (演・塩野谷正幸)

福島 正則      …… 知力45、統率力83
 (演・石黒英雄)

長束 正家      …… 知力87、統率力13
 (演・佐久間哲)

豊臣 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)


ざっとの感想

○ついに運命の貴公子・豊臣秀頼が誕生! いよいよ豊臣政権の物語も、クライマックスが見えてまいりましたなぁ。
 それにしても、その誕生の報に接した老父・秀吉が思いのほか冷静に、この大吉報を受けとめているように見られるのが、けっこう意外な演出でしたよね。もっと涙とかよだれをダラダラ流して狂喜すると思ってたのに……あと、まだまだ元気なときに全国の諸大名をムリヤリ参加させて「瓜売り」ミュージカルをやってたんですね、『へうげもの』とちがって。
 秀頼誕生で、久しぶりに思考回路が正常に戻ったか、太閤殿下!?

○「なんとしても生き残る! 意気地がないと言われようと、這いつくばって詫びを入れてでも生き残る……その方が、それがしにふさわしゅうございまする。」
 「それがし、まだ死ぬわけには参りませぬ! この命、お救い願いたい!!」

 もはや、恥も外聞もない「丸ボウズ&土下座」の2連発で秀吉に命乞いをする官兵衛、いやさ如水円清! この、天下人の器さえあると秀吉自身が評し、恐れすらした男のすがすがしいまでのプライドの捨てっぷりに、さすがの秀吉も、笑って赦免せざるをえないのであった……
 ここで、なおも無粋に切腹を押し通すという行為は、生粋のエンターテイナーであることを自らに課した秀吉には絶対に許されない選択肢になってしまったわけで、これはまさに、秀吉が正気であるのならば、そういう人物なのであるということを熟知した官兵衛だからこそできた大博打だったのでしょうね。うむむ……さすがは官兵衛よ!

 ただ、日本には古代から、「主人の家でめちゃくちゃいいことがあったら、家臣や臣民の罪は帳消しにする。」という、理屈はまるで通っていないんだけど、気分としてはよくわかる「恩赦」という不文律な制度があったわけなので、おそらく秀頼が誕生した時点で、史実の官兵衛はかなりホッとしていたのではないのでしょうか。そりゃもう、当時の豊臣家にとって、跡継ぎの男子が生まれる以上にめでたいことなんでないですからね。
 にしても、この官兵衛蟄居と剃髪隠居とをきわめて有機的に、ひとつのエピソードとしてつなげた脚本は、お見事の一言ですね。ここでの官兵衛が、一般的にはそれほど知られていなかったけれど、実はそ~と~に危ない状況にあったという知られざる物語が、とってもドラマティックに立ち上がったと思います。こういうのが、今までの歴史ドラマではサブキャラクターになりがちな人物を、あえて大河ドラマの主人公に選ぶことの醍醐味なんですよね~。

○「官兵衛の不自由な左脚」をたくみに利用した、なんともぶざまな土下座ポーズ! あくまでも、徹底的にカッコ悪く這いつくばる官兵衛の覚悟をわかりやすく見せる演出ですよね。そうそう、「いさぎよく散る」だなんてクソ喰らえ! という戦国人らしい生きざまがよく出ていると思います。

○「水は方円の器に従う……器の形に合わせて、水はいかようにも形を変えまする。」
 う~ん、まさに、如水のスタイルこそが、最強! つまり、黒田如水は戦国武将界のバイオライダーということか! 昭和、平成ぜんぶを通して見ても、あれほどズルい仮面ライダーもいませんからね。応援するどころか、当時まっさらぴんな小学生だった私でさえも、TV の前で「ずりー!!」って叫んじゃったもんね、あのフォームは。クライシス帝国も、つくづくひどいチート野郎を敵にまわしてしまったものです。

○秀吉「清正と正則はもとより、小早川隆景から、早く官兵衛を許して、朝鮮へ戻してほしいと書状が届いた。」
 諸大名からの除名嘆願の書に感謝しつつも、「いや、朝鮮行きだけはカンベンして……」と内心ずっこける官兵衛であった。あの、それとこれとは話が別っていうことで……隠居させてください!!

○秀吉の「極めつけは……茶々からじゃ。」という言葉に、まさしく「聞いてないよー!!」というリアクションを思わずとってしまうダーイシ。おもしろいなぁ~! 秀吉の家族サイドに思いがいたっていなかったとは、どんだけ詰めが甘いんだお前は!? そういう、人情がらみの根回し工作にまったくうといというキャラクターを如実にあらわす演出がとってもいいですね。所詮は、人望においてまるで勝負にならない器の差があったということなのか。あわれなり!

○岡田さんは、ほんとに剃髪してるんですよね? いいですねぇ~、本物のボウズ頭は。頭の形がいいと、かっこいいですよね~。

○関白秀次、いいなぁ~! ていうか、中尾明慶さんが、ものすんごくいいなぁ~!!
 『軍師官兵衛』の物語には、やっと今エピソードから本格的に参加するわけなのですが、もう初登場の時点で秀頼が生まれてるんだもんね! すでに死亡フラグがビンッビンにおったっております!! ち~ん。
 この時期の秀次の、言い知れぬ不安とあせりを一挙手一投足のすべてに投影させる、その演技魂の入れ込みよう。あぁ、できればもっと早くから登場して、出番を増やしてもらいたかった……ほんと、かわいそうなお人ですよね、秀次さん。

○官兵衛の献策により、「秀頼と自分の娘(2歳)との縁談を取りつける」という粋なはからいで秀吉の機嫌をとることに成功する秀次。よかったね!
 それにしても、このエピソードが描かれた1593年の時点で、秀次は26歳の若さでありながらも、すでに「四男一女」に恵まれているという、なかなかな子沢山ファミリーのパパでもありました(子どもたちは全員、母親違い)。
 叔父さんがあんなに子作りで苦心惨憺しているというのに、たいした苦労もせずに4人も跡継ぎ候補がいるという、このあまりにも空気を読まないハッピー感……いや、秀次にとってはどうしようもない不可抗力なんでしょうが、そこらへんに、秀吉が秀次に対してなんらかの悪感情を持つ重大な素因があったのかもしれません。
 どんなになにげないものでも、人よりも運がいいということは、ときに恐ろしい嫉妬を生む……よりにもよって、あの秀吉にねたまれちゃったんですから、まぁ~先は茨の道ですよね。

○家康「分けても長政殿は、他人のような気がせん。」
 うをを、なんという家康必勝の落としテク! これに心を奪われない若手大名がいるでしょうか!? 「あなただけは、別♡ 」という言葉の魔力は、古今東西、男女を問わずものすごいものがありますよね~。怖いね!
 女性方面の話題はなかなか取り上げられない『軍師官兵衛』の家康なんですが、絶対に女性にもモテモテのようなオーラをふんだんに放っている寺尾家康は、明らかにそのルックスだけではない色気を、そのセリフづかいにも濃厚に帯びているのでありました……さすがはルビーの指輪!!

○秀次「官兵衛……今は本気であったか? わざと負けたのではないか?」
 くぅ~、この、秀次と官兵衛との将棋のエピソード、ものすっごくいいですねぇ! 秀次の政治家としての度量の限界と神経質さ、そしてどうしようもない人の良さを、これほど端的にものがたるシーンがあるでしょうか? 秀次、ホンットになんでこんなに出番が遅かったの!?
 「仕える者の顔色をうかがっているようではいけませぬ。」という言葉の重さね。いや、仕える者の内心は絶対につかんでいなければならないわけなんですが、その作業を仕える者自身に感づかれてはいけないという、非常に高度な情報戦の極意ですよね。いや、確かにそれは、秀次には難しいことなのかもしれません。
 しかし、明に暗に、将棋でも政治でも、自分がおそらくは永久に勝てない存在がいるということを知ってしまう秀次の悲しさ。そこを悲しいと感じずに、能天気に達観して生きるという道は、果たして秀次にあったのでしょうか。鈍感に生きるのも、才能ですよねぇ。
 でも、相手が手加減してるってわかるゲームほどつまんないものも、ないよね……


結論、「第44回がとてもたのしみです。」

 案外、スラスラ~ッと文禄役の停戦までトントン拍子で進んでいった今エピソードでしたが、ついにテロップが「文禄四(1595)年七月三日」となり、あの大河ドラマ『秀吉』(1996年)では語られることのなかった、「秀次失脚事件以降」の竹中秀吉の末路編が開幕となりました! うわ~、あんまり観てて気持ちのいいものになりそうにはないけど、やっぱり観たいよう!!

 秀吉の死、家康の台頭、そして運命の関ヶ原合戦……まさに見どころ目白押しの残り数回。豊臣政権のドロドロは、いったいどのような終焉へと歩を進めていくのでありましょうか!?
 正直言って、官兵衛ファミリーのなんやかやはそんなに興味はないけど、慶長九州戦争の初映像化(?)はとっても楽しみです!
 『軍師官兵衛』、どうか尻すぼみだけはせずに、ゴールまでがんばっていってね~!!
コメント
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