長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

堀内正美 VS 諏訪太朗 ……10年前にやってよ!! ~『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』第15話~

2019年07月21日 23時41分17秒 | ミステリーまわり
 みなさま、どうもこんばんは! そうだいでございます。今日も一日、大変お疲れさまでございました!

 緊急企画!緊急企画!! 今回は、かねてから楽しんでいた TVドラマでとんでもねぇ神回が放送されましたので、その衝撃をお伝えさせていただきたいと思います!
 いや~、三池崇史監督の「ガールズ×ヒロインシリーズ」、ついにやってくれましたね!
 どこからどう見ても実相寺昭雄監督リスペクト回じゃないですか本当にありがとうございます!!


TV ドラマ『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』第15話『名探偵 VS ファントミダイヤ!』(2019年7月14日放送 脚本・中園勇也、監督・山口義高)

 『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!(ひみつせんしファントミラージュ)』は、2019年4月からテレビ東京系列ほかで放送されている少女向け特撮テレビドラマ。『アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!』(2017~18年)、『魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!』(2018~19年)に続く、「ガールズ×ヒロイン!シリーズ」の第3作にあたる。キャッチコピーは「正義の怪盗 ひみつ×戦士ファントミラージュ! イケない心、ちょーだいします!」。

 主要キャスト陣は、2018年夏にオーディションで公募した中から選出された。シリーズ構成は『アイカツ!』、『妖怪ウォッチ』、『デュエル・マスターズ』などでメイン脚本を担当した加藤陽一(40歳)が担当。パイロット版(第1~3話)の監督は『アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!』、『魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!』に続き総監督の三池崇史(58歳)が担当。また、『ミラクルちゅーんず!』でチーフ監督を務めた山口義高がチーフ監督に復帰した。
 なお、本シリーズより「ガールズ×ヒロイン!シリーズ」は BSテレ東での放送を取りやめ、代わってテレビ東京系列以外での地方放送を開始した。

放送地方
テレビ東京、北海道、宮城県、新潟県、静岡県、愛知県、岐阜県、大阪府、滋賀県、和歌山県、香川県、岡山県、広島県、福岡県、長崎県、CS放送キッズステーション
※その他、インターネットチャンネルで有料、期間限定無料配信あり


あらすじ
 ファントミラージュとは、秘密の怪盗。ファンディーからの指令により、逆逆警察によって「イケナイヤー」にされてしまった人から、「イケない心」をちょーだいして平和を取り戻す。

ココミ「セイラちゃん、どうして一緒にファントミをやってくれないのかな? なにか秘密があるみたいだけど……」
サキ 「怪盗二十面相? だれ? そしてセイラちゃんがひとりで探偵事務所に?」
ヨツバ「たいへん! イケナイヤーにファントミダイヤの正体がバレちゃう!」

 ココミ達は、ファントミダイヤであるセイラと仲間になるため、彼女に認めてもらおうとしていた。そんな中、イケナイヤーが出現。4人で力を合わせてイケナイヤーをイケてる人に戻した。セイラもココミ達を認め、そのまま仲間になるかと思いきや、セイラには秘密があるようで……


主な登場人物、組織(年齢は TV初放送当時のもの)
ファントミラージュ
 人々の「イケナイ心」をちょーだいすることで世界を守る正義の怪盗たち。別名を「ひみつ×戦士」というだけあってその正体は極秘である。
桜衣 ココミ(ファントミハート)…… 菱田 未渚美(みなみ 12歳)
 本作の主人公。明るく元気な中学1年生の女の子。好物はプチトマトであり、ボウル1個分を一度に平らげてしまうほど。口癖は「私のハート、ファンファンしてる!」。イメージカラーはピンク。

明日海 サキ(ファントミスペード)…… 山口 綺羅(きら 15歳)
 頭が良くミーハーな性格で、いつもいろんなものをリサーチしている中学1年生。同級生のココミとともに SNS「Me tube」に動画を投稿している。口癖は「完全に始まってる!」。イメージカラーはブルー。

紫月 ヨツバ(ファントミクローバー)…… 原田 都愛(とあ 14歳)
 ボーイッシュで落ち着いた性格で、家族を大切にしている中学1年生。口癖は「守りたい、大切な人を!」。イメージカラーはパープル。

紅羽 セイラ(ファントミダイヤ)…… 石井 蘭(14歳)
 中学1年生。実は変装を得意とする怪盗一族の子孫で、伝説の怪盗「怪盗二十面相」の娘。口癖は「ファントミ的に、アリ(ナシ)!」。イメージカラーはレッド。他の3名と違ってセイラのみ「ファントミディアル」という専用のアイテムで変身し、ファントミディアルにしか内蔵されていない「ひみつキー」もある。
 父である二十面相を逮捕した名探偵・明土小五郎(あけっち こごろう)に復讐心を燃やしており、そのための超人的な努力(テーブルコショーを浴びてもくしゃみに耐える鍛錬など)がファントミラージュに選ばれる契機となった。

ファンディー …… 関口 メンディー(28歳)
 ファントミラージュのボス。ファントミラージュであることを絶対機密として、4人には口外を禁じている。

くまちぃ …… 本田 翼(声の出演 26歳)
 本作のマスコットキャラ。シルクハットがチャームポイント。ファンシーショップで売られていたクマのぬいぐるみに魂が宿った。
 逆逆警察から「イケてる正義の味方を増やそうとしている」容疑をかけられ追われており、逆逆警察とイケナイヤーの気配を「イケないにおい」として感知できる。ファントミラージュへの変身アイテム「ファントミリスティ」や不思議な能力を発揮できるアイテム「ひみつキー」の使い方を教えてくれる。

怪盗二十面相 …… 諏訪 太朗(64歳)
 祖先から続く怪盗一族の現当主。しかしライバルである名探偵・明土小五郎によって現在は逮捕・収監されている。

紅羽 月乃 …… 黒田 福美(63歳)
 怪盗二十面相の妻で、セイラの母。父に伍する怪盗となるために孤独な修行を続けている娘をひそかに心配している。

明土(あけっち)小五郎 …… 堀内 正美(69歳)
 怪盗二十面相のライバルである名探偵。相手の深層心理を冷酷に突く推理を展開する。好物はざるそば。探偵事務所に受付嬢はいるが、助手らしい人物の存在はドラマ中では確認されず。

逆逆警察
 今作における悪役。世間のイケている人を「逆逮捕」し、イケナイヤーを作り出す存在。「サカサマ帝国」からの刺客であり、アジトである「逆逆警察署」は重力が逆になっている。
ギャンヌ署長 …… 石田 ニコル(29歳)
 逆逆警察の署長。リーゼントヘアの婦警で、「一日一逆」と書かれたタスキを掛けている。しかし自分自身は怠惰な性格ゆえに人間界にはあまり出向かない。

アベコベ刑事 …… ぺえ(27歳)
 頭脳派の刑事。灰色のトレンチコートという、いかにもな刑事スタイル。イケている人を見つけると長ったらしい罪名を勝手につけて逆逮捕する。

マギャク巡査 …… 黒石 高大(32歳)
 パワー派の逆逆警察巡査。三つ編み髪と児童用帽子、名札付きスモックという幼稚園児のような服装が特徴的。基本的にはアベコベ刑事とペアで行動するが、単独で行動して逆逮捕することもある。

イケナイヤー
 世間のイケてる人が、逆逆警察によって逆逮捕され変わり果てた姿。左手に逆逆警察の手錠が変化した銀の腕輪と、ギザギザのビックリマーク(鍵穴が断裂したもの)が描かれた黒い手袋をしている。普段とは逆の悪事を働く。逆逆警察が誤認逮捕した人間(特にイケてるわけでもない人)もイケナイヤーになってしまう。


≪観れば観るほど侮れない! 濃厚な23分間の緊迫視聴メモ≫
・本話は、前話のイケナイヤーをファントミラージュ4人の初共闘で撃破した直後、コニカミノルタサイエンスドーム(八王子市こども科学館)のプラネタリウムから物語が始まる。セイラはこのエピソードのそうとう前(第9話)から「謎のファントミラージュ」としてココミ達に試練を与える敵とも味方ともつかないポジションでチラッチラっと登場していたのだが、がっつり合流するのは本話からとなる。満を持しての登場! セイラを演じる石井さんがとにかく初々しい!!
・セイラの衝撃の発言、「私のお父さんは、二十の顔を持つ伝説の怪盗、『怪盗二十面相』だった!」により、前話でセイラが見上げていた「シルクハットに黒マント、モノクルに立派な口ひげの紳士」の肖像画の主が誰であるのかが明らかとなる。まぁ、ドラマが「怪盗×魔法少女」ものなのだから、そういう家族のいるレギュラーキャラがいても不思議ではない。怪盗のサラブレッド、セイラ!
・ここから、現役時代の怪盗二十面相の活躍がダイジェストで描かれるのがありがたくてしょうがない。しかも、演じる諏訪太朗さん、カツラつけてる~!! これは夢か幻か。
・セイラの追加発言「ちなみに、おじいちゃんは怪盗四十面相、ひいおじいちゃんは怪盗六十面相だった!」と、それのためだけに別バージョンの肖像画(どれも諏訪太朗さん)をしっかり作る制作陣の努力がすばらしい。いちいちツッコんでもいられないのだが、それじゃセイラは怪盗0面相になるじゃないか……
・しかしセイラによれば、彼女の祖先は父も含めてことごとく警察のお縄になっており、父も現在収監中であるという。「実の父が犯罪者」という、プリキュアシリーズでもお目にかかれないような超激重な家族状況……やっぱ「ガールズ×戦士シリーズ」は攻めてんなぁ!
・セイラの語る「父親逮捕の瞬間」にあわせて、チャイナドレスに金髪のツインおだんごという美女に変装した諏訪太朗さんが、くしゃみでカツラを落として潜入がバレるシーンが流れるのが、もう感涙レベルでくだらない。なにあれ、強烈な催眠術か光学迷彩みたいな感じで周囲には美女に見えてんのか!?
・そのような過酷な家庭事情の中でセイラは「絶っっ対に優秀な怪盗になる!」と心に決め、父逮捕のきっかけとなった「くしゃみ」を徹底的に克服するために、テーブルコショーを顔にふりかけてくしゃみを1000回連続で我慢するという超人的な荒行をやってのける。そんな彼女の姿に感銘を受けたかのように、光に包まれた変身アイテム「ファントミディアル」が彼女の手元に降臨! これがファントミダイヤ誕生の瞬間だったのだ。
・こういった経緯なので、ずっと「何者かがファンディーの部屋からファントミディアルを盗んだ」という雰囲気だったのだがそうではなく、ディアル自体が意志を持ってセイラのもとに飛んだという真相だったようである。魔法少女ものらしい経緯!
・義賊だったとしてもガチの犯罪者の娘であるという、握りしめた拳から血を流すようなセイラの告白を聞いてなかったかのように、かなり純真無垢な笑顔で「セイラちゃんなら、きっと正義の怪盗になれるよ!」「かっこいいし、変装もすごいし!」「ファントミダイヤ、セイラ! 完っ全にはじまってる♡」「いっしょにファントミ、やろうよ!」とグイグイ仲間に勧誘してくるココミ達。ちょっとこわい……
・やはりセイラはココミ達の誘いにおいそれと応じることはせず、「私はひとりで最高にアリな怪盗にならなくちゃならないの、ひとりで!」と峻拒するのだった。この時の、セイラを演じる石井さんの柔和な顔にうっすらと浮かぶ苦悶の表情が非常にうまい! 演技自体は当然ながらたどたどしいのだが、その表現力には目を見張るものがあり、まさしく追加戦士となるにふさわしい才能を秘めた女の子であることがわかる。すごいぞ!
・主を失ったセイラの家を守る怪盗二十面相の妻・月乃もまた、そうとうな実力を秘めた怪盗一族のひとりであることがわかる、ただ者でないオーラをまとった女性である。だって、演じてるの黒田福美さんなんだぜ、『電撃戦隊チェンジマン』(1985~86年放送)の、悪の女王アハメスなんだぜぇ!? 月乃の現役時代も見たかった……たぶん、全身シルバーでキツネ耳だったんだろうなぁ。最高のキャスティング!
・セイラがココミ達への仲間入りを強く拒んだ理由とは、「父の変装を見破った名探偵・あけっち小五郎」への復讐の邪魔になると判断したからだった! 小五郎の探偵事務所に保管されているという「お父さんのカツラ」を奪回するために、敵の本丸たるあけっち探偵事務所に単身乗り込まんとするセイラ! ほんとにこのエピソード、いつもとアツさが違いすぎる!!
・事前に、事務所にいる小五郎の昼食時間をリサーチしていたセイラは、ファントミディアルの盗聴ひみつキーを使って小五郎が電話で出前を頼んだそば屋とメニュー「ざるそば5人前」を聞きつけ、変身ひみつキーで出前のそば屋に姿を変えて事務所に乗り込むという完璧かつスマートな手法で潜入に成功する。これほどまっとうに「怪盗」らしいアイテムの使い方が、これまであっただろうか!?
・変装したセイラが潜入したあけっち探偵事務所は、都心のオフィス街にあるビルのワンフロアを利用した、スーツ姿の受付嬢もいてレンガ壁もあしらわれたオシャレな雰囲気の間取りなのだが、入口にある金属製の「明土探偵事務所」レリーフの字体が『ベルサイユのばら』みたいなメルヘンチックな字体になっているのが実に興味深い。これたぶん、『ファントミラージュ』が放送されているのがテレビ東京だから、かつて同じテレ東で放送されていた伝説の TVドラマ『江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎』(1970年放送 主演・滝俊介)のタイトルロゴをイメージしたのではないだろうか。芸が細かい!
・首尾よく、小五郎がざるそばを勢いよくすすっているスキを見て、小五郎のデスクの引き出しから秘密の保管室の鍵を盗むセイラ。それはそれとして、小五郎の部屋の奥をよく見ると、ガラス張りのラジオブースのようになっている別室に、頭に回転するパトランプを着けた敵組織・逆逆警察の幹部アベコベ刑事が座って、事務所の所員らしき女性と話し込んでいるのが見切れている。どうやら放送時間の都合でまるまるカットされたらしいのだが、アベコベ刑事は一般の依頼人のふりをして事務所に先に入っていたらしい。逆逆警察を敏感に察知できるくまちぃが同行していないセイラだからこそ起きた偶然のニアミスであるわけだが……そんなに都合よく鉢合わせ、するぅ!?
・ついに鍵を使って保管室に忍び込み、悲願の「お父さんのカツラ」に王手をかけるセイラ! それにしても、実の父親がカツラを愛用しているという事実をまったく嫌悪せず、むしろリスペクトさえしている中1の娘がいるということがすばらしい。どんな教育をしたら、そんなにまっすぐで他人をさげすまない観音様みたいな人に育つんじゃ……
・アベコベ刑事が今回のイケナイヤーの素体に狙いをつけたのはなんと、「なぜか毎日のように事件に遭遇し一目見ただけで犯人が分かってしまう罪」の名探偵あけっち小五郎その人であった! よりによって、この人かい! とんでもない強敵になりそうな予感……わくわく!
・ということで、本日のイケナイヤーは小五郎を素体にした「真実なんてどうでもいいナゾトカナイヤー」となった! ただ、具体的な悪行はというと「ナゾトカナイヤー!」と叫んで徘徊し、周囲の女性を気持ち悪がせる程度である。ただそれをやっているのが、子ども向け番組とは信じがたい真に迫った苦悶の表情を浮かべた堀内正美さんなので、ヤバさがハンパない……ちょっと、あの『怪奇大作戦』のお蔵入りエピソードでの岸田森サマの狂態を思い起こさせるものがある迫力だが、さすがにアップは一瞬しか映らない。いやほんと、もっと若い時に実相寺作品でやってほしかった! 『ウルトラマンマックス』のメトロン星人回でも、ここまではハッスルしてませんでしたよね!?
・ナゾトカナイヤーの暴走に逃げ惑う人々の悲鳴を聞いて、「義を見てせざるは勇無きなり」とばかりに、お父さんのカツラ奪回をひとまず保留して、単身ファントミダイヤに変身して食い止めようとするセイラ! あの父の宿敵・小五郎を向こうに回してかなり思い切った選択なのだが、小五郎だって「いくら名探偵でも70歳前後の肉体なんだし」という甘い見通しがあったのかも知れない。しかし、話はそうは問屋が卸さず……
・セイラのファントミダイヤへの変身バンクは、さすが EXILEや E-girlsを擁する芸能プロ「 LDH」の生え抜きな石井さんだけあって、約50秒間にわたるソロダンスも堂々としたカッコかわいいものである。しかも、メンバー4名が各自、トランプの意匠の他に四季を振り分けた変身イメージになっているので、真紅のもみじの葉が舞い踊る秋を背景としたダンスは非常に鮮やかできれいである。秋を司る魔法少女って、知的でおもしろいな!
・果敢にナゾトカナイヤーに立ち向かうセイラなのだが、ここでナゾトカナイヤーの恐ろしすぎる真の実力が発揮されてしまう! その技「イケない推理」とは、相手の心の弱みを細部まで解析し尽くし、そこを巧みな弁舌であばき立てることで相手を廃人にまで追い詰めるという、子ども番組では一番やってはいけない種類の陰湿きわまりない攻撃法なのだった!! こんな残酷非道な敵、『スマイルプリキュア!』のジョーカー以来じゃない!?
・でも考えてみると、イケナイヤーにならずとも小五郎(というかモデルの明智小五郎)は、そんなこと日常茶飯事でやってるような気が……
・ということで、ここから披露される小五郎演じる堀内さんの推理の語り口は、本家の明智小五郎そのまんまの、紳士的ながらもずけずけと核心に迫ってくる緊張感あふれるものとなる。うん、もう明智小五郎ってことでいいよ!
・「いつもあなた(セイラ)は一人っきりですね。」「他のファントミラージュの3人と仲良くやらないんですか?」「あなたは友達がいない!」「強気な態度は、孤独の裏返し!」「どうやって仲間を作ったらいいかわからないから、友達なんかいらないと嘘をついているだけだ!」「あなたは怪盗としてナシだ!」「怪盗二十面相と同じように、あなたの正体をあばいてやろう……♡」などと、あの「お菓子の皇帝」ザッハトルテのようにまったりとした甘~い堀内ヴォイスで語りかけるのだから、その効果は絶大である。こわすぎ!!
・堀内さんの壁ドン→肩をわしづかみ→耳に口を近づけてささやきと、非常にイヤな3連コンボをもろにくらい、ちょっと日曜朝の TVでは放送していけないレベルの廃人顔になって膝から崩れ落ちるセイラ。これ、ファントミラージュの4名の中でも、相手がセイラだからここまで効いてしまう攻撃法なんだろうなぁ。ほんと、対セイラに特化し過ぎた天敵なのである。恐るべし、あけっち小五郎!!
・実相寺作品を観ても分かる通り、本来ならば堀内さんは端整すぎるほどの美形なのだが、とにかくその詰め寄り方が過酷にもほどがあるので、対するセイラというか、石井さんが本気で怖がって迫真の演技を見せてくれるのがすばらしい。これ、ほんとに堀内さんの演技が石井さんの演技を引き出してるってことなんですよね! でも、14歳のみそらでこの体験は強烈すぎるでしょ……PTSD にならないことを切に祈ります。
・ソロ初戦からトラウマ級の敵と鉢合わせし、廃人寸前にまで追い込まれるセイラ。しかし、そんな彼女を救ったのは本話冒頭でのココミ達の「セイラちゃんなら、きっと正義の怪盗になれるよ!」「いっしょにファントミ、やろうよ!」という言葉だった。(能天気に)応援してくれる仲間が待っていてくれることを助けに、「なれる……なれる! 私なら、最高にアリな怪盗になれる!!」と力強く立ち上がり、必殺技「ひみつのフィナーレ(約1分間のソロダンス)」で冥途送りとなるナゾトカナイヤーであった。まぁ、所詮はおじいちゃんだから。
・それで再び、本題のお父さんのカツラ奪回に取りかかるセイラだったのだが、不意にくしゃみをしてしまい、失神していた小五郎を起こしてしまう。やはり、因縁のくしゃみには勝てなかったよ……
・セイラの奪回を阻むかに見えた小五郎だったが、彼はしみじみと「このカツラは、私の生涯のライバル・怪盗二十面相の物だよ……二十面相の変装は見事だった……探偵と怪盗、立場は違うが、お互いを認め合える存在がいたからこそ、私は名探偵になれたんだ。」と語る。その言葉に大きな力をもらったセイラは、カツラの奪回を諦めて去り、ココミ達のもとを訪ねるのであった。いや~、すっごくうまくできてるエピソードだこれ!!
・何よりも、小五郎との対決の前と後とで、石井さんの表情がまるで変っているのが最高である。セイラだけでなく、石井さんの心も確実にこの戦いで成長している! 小五郎は、セイラの宿敵であると同時にメンター(導師)でもあるという、まさしく堀内さんが演じるにふさわしい超重要な役だったのだ!! 石井さん、これからもステキな女優さんになっていってくださいね。


 はぁあ~、もう大満足……最高な回でした。

 この記事のタイトルの通り、もう堀内さんも70歳手前なので、遅かったかとは思います。思いはするのですが、まさか実相寺昭雄監督が遠行されてはや14年になろうかというこの日本で、よもや堀内さんが名探偵・小五郎を演じる日が来ようとは! そりゃ厳密に言えば「明智小五郎」ではない、子ども向け番組のパロディではあるのですが、実際にご覧いただければ分かると思います、堀内さんはド本気で演じてらっしゃる!! たぶん諏訪太朗さんも本気なはず。

 いや、もうこれ、堀内正美さんも明智小五郎を演じたということでいいでしょ! 認定、認定! 少なくとも我が『長岡京エイリアン』においては、堀内正美さんを明智小五郎俳優、諏訪太朗さんを怪人二十面相俳優の中にしれっと列席させちゃいますよ! いいよもう!!
 諏訪さんはカツラネタが炸裂したし、おもしろいおじさん的な感じで視聴している女児にウケたかもしれませんが、120% 全力でイヤな名探偵を演じきる堀内さんなんて、子ども向け番組に出ていい人選じゃないよ! すばらしい。こうやって今でも厳しい規制の網をかいくぐって、日本の子ども達の脳裏に「あのオトナ、なんだったんだろ」的な異物を埋め込んでる番組はあるんだなぁ。感服つかまつりました。

 このお2人と黒田福美サマは、あくまでも『ファントミラージュ』のレギュラーキャラ・紅羽セイラの周辺にいるゲストキャラでしかないので今後のエピソードに再登場されるかどうかは怪しいのですが、それでも本話で十二分すぎるほどに存在感を発揮する素晴らしい仕事をしてくださったことは間違いないので、とにかくこの顔合わせを実現してくださった制作スタッフの皆様には、もう感謝しかありません。本当にありがとうございます!! しかも、天才名探偵という属性を最大限に活かした、子ども向け番組コードギリギリの精神攻撃キャラ……サイコー♡

 ただ、本話では堀内さんと諏訪さんが同じ場所で共演しているシーンは全くなく、そもそもお2人の古巣ともいえる実相寺昭雄監督作品をひもといてみましても、実は共演シーンってなかったりするんですよね。え、マジか!?
 え~と、堀内正美さんが実相寺作品に出演するようになったのは、あの映画『ウルトラQ 星の伝説』(1990年)におけるインパクト大な主役級の役割を演じた記者・浜野役からで、『ウルトラマンティガ』(1997年)や『ウルトラQ ダークファンタジー』(2004年)などの円谷プロ作品における実相寺演出回にもたびたび出ておられます。実相寺監督の明智小五郎シリーズ(明智役は嶋田久作さん!)にも出ておられるのですが、ずっと明智役ではありませんでした。
 いっぽう諏訪太朗さんは……え!? 諏訪さんって、実相寺監督の作品は『ウルトラマンマックス』の第22話『胡蝶の夢』(2005年)にしか出ておられないの!? じゃあ実相寺組じゃないじゃん! 顔が監督とそっくりだし『マックス』でも監督役だったから、てっきり長い付き合いかと……意外でした。

 ともかく、お互いに日本映像界の中で長いキャリアを持った名優同士ではあるのですが、今回の『ファントミラージュ』においても、ニアミスはしても直接対決はかなわなかったということで……なに? 仲わるいのかな。

 昨今、とにかくインパクトの強烈ないわゆる「実相寺アングル」を意味もなく取り入れることで実相寺リスペクトを標榜する輩も多いような気がするのですが、今回の『ファントミラージュ』のように、配役で実相寺ファンを喜ばせるという手法は珍しいかと思います。しかも、それを江戸川乱歩テイストのキャラで対峙させるとは! 実相寺監督は泉下でどんな顔をされてるかな!?

 いや~『ファントミラージュ』。まったく子ども向け番組だのタカラのおもちゃ販促だのと馬鹿にできないネタを投入してくる、侮れないドラマです。レギュラー陣もかわいいし、ダンスうまいし!! 目が離せませんね……うちはテレ東が視聴できない山形県民ですが、なんとか万障繰り合わせて最終回まで楽しませていただきますぞ! 私はブルーのファントミスペード山口きらちゃん派!!

 今後も必ず、何かしら我が『長岡京エイリアン』の琴線をポロロ~ンとつまびく回が出現するはず! 刮目して待ちましょう。
 六平直政さんとか、絶対に出てくれるよね!? ここは鉄板でしょ!!
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