長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

たのしい悪夢はいつ醒める?  映画『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦』 ~本文編~

2022年02月06日 17時47分29秒 | 特撮あたり
≪資料編は、こっちら~ん。≫

 みなさん、どうもこんにちは! 相も変わらずそうだいでございまする。今日もいい日ですか? コロナ、かかってませんか? 私はもうヒヤヒヤの毎日ですよ!
 さて、今日も今日とて、コロナウイルスだの北京冬季オリンピックだの夢想だにできなかった8年も前の映画の感想文でございます。こんなの、自己満足でしかないよ~! 今、昭和でも平成でもなく令和よ!? 気ィきかせて『大怪獣のあとしまつ』でも観てきてレビューすればいいのにねぇ。ただ、我が『長岡京エイリアン』では、当面かの映画を観に行く予定はまったくありません。わかっちゃいないね……どんなに迷惑だろうが、死んだら怪獣は怪獣ではない! そんな粗大ごみに興味はない。生きてこそ神秘、生きてこそ怪獣!! それに、そんなネタ、『ティガ』か『ダイナ』でとっくにやってましたよね。

 で、今回は仮面ライダーなんですけれども、あの平成ライダーシリーズの「鬼子」ともいえる禁断のお祭り作品『仮面ライダーディケイド』が開いてしまったパンドラの箱・「クロスオーバーシリーズ」! その第7弾である、映画『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』(2014年3月29日公開 98分 東映)についてのあれやこれやを、ぶつぶつつぶやいていきたいと思います。いや~、これは公開当時、かなり意気込んで観に行きましたね。
 そういえば、この作品を映画館で観た当時、私は就職に向けた修行がてらアルバイトをしていたのですが、バイト先で何気なくこの映画を観たと誰かに話をしていたら、それまでそんなに親しくもなかった職場のギャルっぽい20代前半の娘さんが、それまで見たことも無いキラッキラした瞳をさせて、

「で、平成と昭和、どっちが勝ったんですか!?」

 とグイグイ聞いてきたのには驚きました。まさか隠れライダーファンだったとは! 平成ライダーもイケメンばっかだしねぇ。

 まぁともかく、当時はあの藤岡弘、が本郷猛として初めて平成ライダーシリーズに登場するという話題性と、従来の共闘パターンでなく、真正面から昭和ライダー陣営と平成ライダー陣営が大抗争を繰り広げるらしいヨという触れ込みは、「いよいよクロスオーバーもここまで来てしまったか……」という驚愕をもたらしたのでありました。
 ただ、フタを開けてみれば、そりゃもうどっちも正義の味方であることに変わりはないのですから、どちらかが全滅するような結末もあるはずがなく、わざわざ昭和勝利と平成勝利の2パターンが撮影された本当のクライマックスにいたるまでは、多少の考え方の違いはあったとしても、昭和チームは平成チームの厳しい先輩といった感じのポジションで、若者らしい甘さもある平成チームを叱咤しつつ、両チーム共通の敵であるバダン帝国に立ち向かうのでした。ここらへんは、今までの大ショッカーやらスーパーショッカーやらを相手にしていた過去作とほぼ一緒ですよね。

 お話に入っていく前に、まず今回の敵組織・バダン帝国の重要な大幹部である、このお方についてのあれこれを。

謎のバダン帝国最高幹部・暗闇大使とは(Wikipedia より)
 バダン帝国の最高幹部。雑誌連載版『仮面ライダーZX 』第3回(1982年9月)より登場。ショッカー大幹部・地獄大使の従弟であり、通常改造人間の二回りほど大きいベルトにバダンの紋章が刻まれていること、兜の頭部中央に角があること、全身が金と銀を基調としていることを除けば、地獄大使と外見がよく似ている。演者も、地獄大使を演じた潮健児(当時57歳)である。
 冷酷無比な性格で、使命感が強い。地獄大使に見られた粗忽さがなく彼を軽蔑しており、劇中で仮面ライダー1号に「おのれ、地獄大使!」と間違えられた際には「地獄大使だと? あんな奴と一緒にするな!」と一喝する一幕を見せた。仮面ライダーの打倒が果たせなかった地獄大使に代わってその野望を果たすことで、自分の優秀さを証明しようとしている。
 右手の甲に生えた高電圧の電磁ムチと、左手のカギ爪を武器とする。また、体内には時空破断システムのコントロール装置が埋め込まれている。
 その正体は、サザエの能力を持った最強改造人間サザングロス。

 本名はガモン。アメリカ合衆国サンフランシスコのスラム街出身で、サンフランシスコでの幼少時からフランス領インドシナ半島でのゲリラ戦線に至るまで、自身より3ヶ月早く生まれた従兄のダモン(のちの地獄大使)の影武者を務めてきた。ガモンは常にダモンに利用される立場だった。
 その有能さを見込まれてショッカーからスカウトを受けたガモンとダモンだが、東南アジアの山岳ゲリラ内での仲間の裏切りに遭って重傷を負う。2人はショッカーによって改造手術を受け改造人間として蘇生させられるものの、恋人の死によるショックやダモンへの反発心もあってガモンはショッカーから逃亡して姿を消し、やがてアマゾン奥地に隠れ潜んだナチス残党と結託してバダン帝国の基礎を作り上げる。
 バダン帝国最高幹部・暗闇大使となったガモンは、ショッカー大首領が歴代の秘密組織や大幹部を使い捨てていく様子を陰から見つめるうちに、自分が逃げた理由がダモンへの憎悪だけでなく、大首領に関われば破滅すると本能的に感じていたからだと悟る。しかし結局は大首領の思念から逃れきることができず、従兄の地獄大使と同様の末路をたどることになる。
 映画『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』では、外見は映画版『仮面ライダーディケイド』でデザインが一新された地獄大使と同じ黒い鎧をまとっている。

おさらい!! 仮面ライダークロスオーバーシリーズの歴代悪の組織
1、『仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(2009年8月)…… 大ショッカー
2、『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』(2009年12月)…… スーパーショッカー
3、『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』(2011年4月)…… 2011年まで存続したショッカー
4、『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX』(2011年12月)…… 財団X と超銀河王
5、『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(2012年4月)…… ショッカー・ザンギャック連合
6、『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z 』(2013年4月)…… スペースショッカー
7、『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』(2014年3月)…… バダン帝国


 というわけで、今回は『仮面ライダーZX 』に出てきたバダン帝国の復活であります。とは言っても、その実態は2014年までの歴代悪の組織の有名どころの再集結という、いつもの感じですよね。
 今回、オールブラックにリニューアルされた暗闇大使がかなりカッチョいいです。大杉漣さんのブラック地獄大使はいまいちピンときませんでしたが……そうそう、「暗闇」なんだから、ギラギラゴールドの昭和の原典よりも、こっちの方がそれっぽい! 演じる菅田さんも非常にハイテンションな哄笑でいい感じ。
 そんで、まぁある程度のライダーファンであれば、キャスティングを観た時点でピンとくるわけなのですが、今作での暗闇大使は非常に特殊な立場にありまして、ネタバレになるのではっきりとは申せないのですが、「暗闇大使本人」ではないんですよね。その正体が披露されるくだりは、「彼」にとって悲願のスクリーン独占だったこともあって非常に良かったのですが(それまでの『ディケイド』とかでの客演はカウントにならないよ!)、「じゃあ、いつ入れ替わったの?」というあたりについて語る尺がなかったのは実に惜しいことでした。できれば、昭和の『ルパン三世』式に、すっぱだかに縞のパンツ一丁になった本物の暗闇大使が、バダン帝国幹部着替え室のロッカーの中で、後ろ手に縛られて猿ぐつわをかまされた状態で「ムゴー!ムゴー!!」とかいってるところをコンバットロイドに発見されるくだりが観たかったのですが、しょうがないよね。でも菅田さん、本来の姿に戻ってもかなり悪役っぽかったぞ! それだけ潜入捜査は過酷だったのだ……映画『ディパーテッド』のディカプリオみたいなもんですよね。
 ところで、これだけは釘を刺しておきたいのですが、バダン帝国総統の声……そりゃまぁ似ているのかもしれないけど、ショッカー大首領とかの声を演じていた頃の納谷さんではないよね!? いらねぇっつうのよ~、ヨボヨボ味はよう!!


 この映画、いろいろ語りたいこと、気になったことはたくさんあったのですが、私としましてはおおむね楽しめたと言いますか、それまでのクロスオーバーシリーズの不満点を解消していると感じた部分がけっこうありました。単純に面白かったです。

 いちばんいいなと感じたのは、さすがに15名 VS 15名の対決なので全員というわけにはいかず数名にスポットライトを絞りながらも、現役チーム以外にも比較的丁寧な描き方がされている客演ライダーが数名いたこと。今作の場合、平成ではファイズとディケイド、昭和では1号、 X、ZX あたりが、もはや鎧武チームを喰っちゃう勢いでバンバン出てきてましたよね。コメディリリーフとして、探偵稼業を嬉々としながら続けている Wが観られたのも良かったです。
 特にファイズの扱いは、TV 本編の直接の後日譚ともいえる内容になっていて、回想シーンや亡霊の形でありつつも、あの草加雅人さんが、サブライダーならば誰でもいいようなゲスト扱いでなく、ちゃんと新規撮影で物語の重要に絡んできたのは素晴らしかったですね。ほんと、『仮面ライダー555』は愛されてるなぁ!

 また、映画の主軸となるシュウ少年と父レン(仮面ライダーフィフティーン)、母サキの親子の物語に、主人公であるはずの鎧武を差し置いてズズズイと入り込んでいくディケイドこと門矢士の存在感が、ずるいくらいに大きいのなんのって! 最後にバダン帝国に捕らわれたシュウ少年を助け出すの、ディケイドなんだもんね。しかも、その時にシュウにかける「よくがんばったな。」という言葉のあたたかさは、まごうことなき仮面ライダー1号の熱き血を継承する正義のヒーローのあかし!! もはや鎧武の映画じゃなくて『仮面ライダーディケイド』の「平成 VS 昭和の世界」編だこれ!! 本作は、ファイズの後日譚であると同時に、ディケイドの本当の「完成の物語」なのかもしれませんね。もっとも、どちらの旅もまだ終わりそうにはありませんが。
 序盤の初登場シーン、例のカメラを持った士がちらっと出て来ただけなのに「うわーヤバい奴きた! これからお祭りが始まるぞ!!」なゾワゾワ感がハンパなかったですよ。なんてったって、どんな仮面ライダーに出遭っても平然と状況を把握して「だいたいわかった。」で済ませられるお人なんですから。クロスオーバー映画のストーリーテラー役として彼以上に使い勝手のいいキャラもいません。歩き方もかなりスムーズになって余裕しゃくしゃくな感じになったし、先輩の乾巧に上から目線で「仮面ライダーの道」を諭すしで……士、というか井上さん、ほんと成長したな~!! 隣に青いストーカーがいないのが少々寂しいですが。
 現役時代以降、様々な経験を積んでここまで士がオンリーワンな存在になってしまった以上、見方によっては孤高で不気味なジョーカーでもあるそのポジションは、かつての鳴滝さんに限りなく近くなっているわけで、こうなると鳴滝さん、いらないよね。物語全体の説明、もう士がやれますから! でも、今作でも鳴滝さん、出てくるんだよなぁ。ゾル大佐とドクトルG になった分際で、よくもノコノコと……あ、漫才コンビという意味で、士には鳴滝さんが必要なのかな? だったらいっか。

 今回の映画は、シュウ少年をめぐる「過去を後悔する人々」の物語とファイズの物語が絶妙にリンクしている部分が魅力なのですが、そういったちょっと深刻になりがちな本筋をカバーするべく、「平成アップデート版本郷猛のおでまし」、「神敬介と港町の面々」、「左翔太郎のズッコケ探偵稼業」、「ディケイド VS フィフティーンのライダーものまねバトル」といった彩りもバランス良く配置されており、エンターテイメントとして結構いい感じにできあがっていると思うんですよ。本郷が大真面目に「アーマードライダーなどと浮かれてるようだが」と語る、その破壊力! この一言で、昭和が平成にケンカを売っている理由が丸わかりですよね。そりゃまぁ、立花のおやっさんと採石場で汗だくの特訓をしないとパワーアップできなかった世代からしたら、なんかよくわかんないオモチャみたいな道具でホイホイとフォームチェンジできる奴らはそう見えるか。
 また門矢士に限らず、左翔太郎も乾巧もかなりできあがっている濃い~キャラクターばっかりなので、中盤の脱線パートもなにかと楽しいですよね。過去出演陣のこういった夢の競演形式で、 TV本編の撮影で忙しい『鎧武』チームの穴を埋めるのって、便利だし豪華でいいなぁ! これが長期シリーズの強みでしょうか。細かい配慮として、翔太郎も巧も神敬介も、ちゃんと生活にバイクがあるのが心憎い! なんたって仮面ライダーだもんねぇ。

 主要キャスト以外の脇役陣を観ても、巧と敬介のいる食堂よしだやに押し入る指名手配犯の役を、今作で仮面ライダーフィフティーンのスーツアクターを務めている富永研司さんがノリノリで好演していたり、大ケガを負って敬介の医院に運ばれた漁師マサの役を、あの「ブラァーッ!!」こと岡元次郎さんが熱演していたりするお遊びがほほえましいです。スーツアクターが脇役を演じるのも、昭和ライダー以来の伝統よね! こういうノリ、まさにお祭り感があって最高ですが、これらが単なるマニア向けのサービスでなく、指名手配犯を真正面から説得したり、患者に時に厳しく接したりする敬介の生きざまを語るディティールとして機能しているのが実にうまいです。
 要するに、ただの恒例オールスター出演ものにはしたくないという意気込みが随所から伝わってくるのが、本作のいいところだと思うんですよね。ただずらずら~っと有名な歴代ライダーが出てきても子どもは喜ぶのでしょうが、もっとそれ以上の何かを目指すために、どこかに明確な照準を合わせてじっくりと語っていく。「巧と敬介」パートは特に、そういった野心的な姿勢に満ちていると思いました。こういう形の昭和と平成のカップリング、もっと観たかったなぁ~!


 だがだが、しかし! こうやってほめてばっかりでもいられないのがファンのつらいところなのでありまして……やっぱり本作でも、なんだか納得のいかない部分はあったんですよね。

 なんといっても一番気になったのは、本作における敵組織バダン帝国が、いったい死んでいるのか生きているのか、そこがはっきりしないところ!
 中盤で明らかになる、シュウ少年が実は〇〇だったという衝撃の展開は確かに意外なのですが、だとしたら、そのシュウ少年を利用して地下と地上とを逆転させようとするバダン帝国は何者なのか。全員、一度は仮面ライダーに敗れて地下の黄泉の国に叩き落とされた死者たちなのか、それとも、黄泉の世界の死者を利用して地上世界を混乱させ、それに乗じて世界征服を果たさんとする生者の組織なのか?
 後半で暗闇大使は、バダン帝国の侵略計画を語る際に自分たちのことを「亡者」と呼んでいるのですが、ライダーと闘っているバダン帝国のみなさんは、まず物理的に殴り合っていますし、負けるとフツーに爆死します。今までのショッカー系の「生きた」悪の組織と、なんら変わりがないのね! ということは、今回のバダンのみなさんもまた、何かの拍子に偶然見つけた「なんでもひっくり返す」超能力を持つシュウと、地下の黄泉世界に頼りっきりの他力本願なチンピラにしか見えないのですが……ま、他力本願なのはショッカー以来の伝統ですけどね。
 あえて好意的に解釈するのならば、バダン帝国総統がすでにシュウの超能力に近い機能をわずかながら手に入れていて、少しずつ身近な手駒をシコシコと実体化(再生)させて地上に送っていたからこそ、地上でライダーたちと闘う者たちはふつうに肉体を得ていた、ということになるのでしょうが……そこらへん、説明不足すぎない!? だいたい、地上と地下との見た目の違いが全然ないので、鎧武たちがどっちの世界で闘っているのかがよくわからなくなるんですよね。人が少ない以外にも、もうちょっと地下世界の特徴を出しても良かったのでは? 空の色とか。
 バダン帝国の先兵になっているレン(フィフティーン)が、顔色の悪いメイクをしているために生きているのか死んでいるのかがはっきりしないのも、地味にミスリードになっていて意地悪ですよね。彼の、シュウが地上に出てきたら母親のサキが喜ぶぞという説得の仕方も、その理屈がよくわからない。シュウが来たらサキは地下に行くんじゃないの?
 クライマックスになって地下から出てくる、そこらへんをふよふよ漂っている紫色の煙みたいな亡霊たちと、しっかり実体化しているバダン帝国の改造人間たちがどう違うのかもよくわかんないしね。ともかく、そこらへんが「うん、まぁ、雰囲気でわかってね。」みたいな大雑把なくくりになっているのが気持ち悪いんですよ! 死者の集団なんだったら、バダン帝国なんてしゃっちょこばった組織名にしないで、「故・ショッカー」にしといたらよかったのに。そういう無駄にプライドの高いとこが敗因なんですよ、総統~!!

 結局、昭和 VS 平成の噛ませ犬として登場するんだったら、設定うんぬんなんかどうでもいいという本音が聞こえてくるような気もしないではないのですが……そこらへんが、ご用とあらばいつでもどこでも復活してくる悪の組織の立場の弱いところなのよね~! でも、オリジナルに対する適切なフォローも敬意もなく「おれたちもバダン帝国ですが、なにか?」みたいな演技をさせられるジェネラルシャドウやジャーク将軍の身にもなってちょうだいよ……大神官バラオムの実にやる気のないたたずまいなんか、見ていて涙が出てきますよ!
 まぁ、TV本編で因縁のあった仮面ライダーBLACK RX に引導を渡されたぶん、ジャーク将軍は比較的マシな扱いはされていたのかもしれませんが、仮面ライダーBLACK とBLACK RX が別の人間という解釈は、平成ライダーシリーズのデフォルトなのか? 将軍、かわいそう!


 こんな感じに言いたいことをつれづれに書きつらねてまいりましたが、今回もまたいい加減な字数になってきましたので、あとはこまごま気がついた点と、バダン帝国のみなさまの活躍の記録をまとめてみたいと思います。いやぁ、なんだかんだいっても面白いポイントがそこかしこにあって、やっぱ楽しいやね!


・映画冒頭から昭和ライダー(ストロンガー、スカイライダー、J )と平成ライダー(カブト、フォーゼ、鎧武)の大混戦が展開されるのだが、既視感は否めない。開始1、2分でもうおなかいっぱいなんですが……
・シュウ少年の「なんでもひっくり返す」超能力がスタンドみたいでおもしろい。使いみちが意外と難しいが……これ、ロボット的なコンバットロイド相手に使ったらコミカルに処理されてたけど、生身の人間にやったらどうなるんだろう? 諸星大二郎みたいな上映不可能な惨事になっちゃうのか?
・変身したとたんに、なんかスリムになる仮面ライダー1号。ていうか、変身する前のほうが強そうなんですが……
・今作での戦闘員キャラであるコンバットロイドを相手に必殺技「ライダーキック」をかます1号が大人げないように見えるのだが、思えばコンバットロイドだって、1号が闘っていたショッカー戦闘員から数えて9世代目くらいに当たるわけなので、多少は歯ごたえのある強さになっているのかもしれない。たぶん、ショッカーの蜂女とかコブラ男(改造前)よりは強いんじゃないだろうか。そうでなくっちゃ、散華していった無数の歴代戦闘員さんがたのみたまが浮かばれねぇよなぁ。
・ヤマアラシロイドの平成リファインデザインがけっこういい感じにカッチョいい。相方のタイガーロイドが昭和のまんまなのは気になるが……昭和の時点で完成されてるもんね。
・バダン帝国大幹部として登場したジェネラルシャドウの声が柴田秀勝さんじゃなーい!! これはバダン帝国、負けたな。
・今作における悪の仮面ライダーこと、仮面ライダーフィフティーンのデザインは、頭の「十五」こそダサすぎるのだが、武田信玄の「諏訪法性兜」や後藤又兵衛基次の「熊毛総髪形兜」みたいな毛の生えた兜をイメージしていると考えれば、なかなか個性的で面白い。でも、ヘッドに対してボディスーツがちょっと貧相なんだよなぁ。でっかい剣も持つから、なおさらね。
・板尾さん、蜘蛛男役、電人ザボーガーの主役ときて今度は悪のライダー役ですか! やるなぁ。
・ヤマアラシロイドに「どけ!」と言われているあたり、仮面ライダーフィフティーンの新人改造人間としての立場の低さが見て取れる。映画『仮面ライダー対ショッカー』のザンジオー以来の、厳しい伝統ですよね! 悪の組織は年功序列にうるさいのだ。
・本郷猛に続いて神敬介も、 Xライダーに変身するとちょっぴりスリムになる。いい機能だな……
・昭和ライダーと平成ライダーが対峙したシーンで、仮面ライダー1号が話しかけているのが門矢士という時点で、このお話の主人公が誰かがわかりますよね。露骨!
・平成ライダーたちの死者への未練がバダン帝国を生んだという、1号の論理がよくわからない。せいぜい「バダン帝国のメガ・リバース計画を助長した」くらいじゃないの?
・数十人 VS 数十人の殺陣シーンを3分間もたせるって、制作スタッフにしてみたらとんでもないムチャぶりですよね……変幻自在のカメラワークはもちろんのこと、今回は市街戦であることに加えて、だんだん日が傾いて夕陽になって行くところが新機軸かなと思いました。お仕事ご苦労様です!!
・「めんどくさいから敵味方まとめて攻撃」という、映画『仮面ライダーV3 対デストロン怪人』のドクトルG 以来の愚策を繰り返すバダン帝国総統。おめぇがやっちゃあおしめぇよ!!
・あんなチャラチャラした格好でも、殉職の直前に「バダン、ばんざーい!!」と絶叫して散るヤマアラシロイドの実直さが涙ぐましい。ほんとはいい奴だったんだな……
・アクションの発想が面白いので観ていて楽しいは楽しいのだが、やっぱりスーパー戦隊の客演はいらねぇって……真剣勝負に水を差すっつうか、なんつうか。
・本作の目玉の強化フォーム「1号アームズ」……ねぇ……もうあれか、ダサいって思った方が負けなのか?
・昭和ライダー全員の力を結集した「ライダーシンドローム」をもってしても、1人の少年の命さえも完全に蘇らせることはできないというところに、作り手の良識を感じる。正義のヒーローだからって、なんでも願いが叶うってわけでもないのよね。
・あくまでも平成ライダーの甘さに鉄槌を下すことを忘れない1号ライダー! 大事なことなので、わざわざ変身を解除してから通告して、また変身し直しました!!
・熱い、熱すぎるぞ1号ライダー! たぶん、昭和ライダーの中でも「もう昨日久し振りにずっと闘って寝てねぇんだからさ、なぁなぁにして帰ろうよ……」と、平成ライダー以上にうんざりしている人は何人かいるはずだ!! 先輩の妙なハイテンションに付き合わされるのって、大変ですよね。
・15 VS 15の、朝日の輝く海岸での決戦は非常に絵になるのだが……徹夜で闘う身になってみれば地獄そのもの! 還暦すぎもいる昭和組に、さすがにこれはキツい!!


画面で確認できる限りの、バダン帝国のみなさんのご活躍(コンバットロイドは省略)
本編開始して
38分30秒後 …… タイガーロイド、仮面ライダーファイズに敗れ殉職
49分35秒後 …… バダン帝国大幹部ジャーク将軍、仮面ライダーBLACK とBLACK RX のダブルライダーキックで殉職
~以降はバダン帝国と昭和&平成ライダー連合との最終決戦~
70分50秒後 …… ザンジオー、仮面ライダーZX の ZXキックで殉職
71分13秒後 …… カメバズーカ、仮面ライダーZO のキックで殉職
71分17秒後 …… バダン帝国大幹部ドラス、仮面ライダー響鬼の太鼓ドンドンで殉職
71分20秒後 …… バダン帝国大幹部マシーン大元帥、仮面ライダーV3 の V3キックで殉職
73分00秒後 …… その他全員、バダン帝国総統の高熱火炎弾により殉職、っていうか、これは一斉解雇かな?
76分05秒後 …… ヤマアラシロイド、仮面ライダーバロン、斬月・真、龍玄の3体同時攻撃で殉職
86分55秒後 …… 仮面ライダーフィフティーン、仮面ライダー鎧武1号アームズのライダーキックで変身ベルトを破壊され戦闘不能

その他の地下帝国バダンのみなさん
ヒルカメレオン、十面鬼ユム・キミル、ジェネラルシャドウ、剣聖ビルゲニア、大神官バラオム、コブラ男ガライ、超銀河王
さそり男、サボテグロン、ゴースター、ジャガーマン、毒トカゲ男、ギリザメス、シオマネキング、ガニコウモル、サドンダスβ、怪魔ロボット・シュバリアンなど


 さて、2009年いらい、東映ヒーロー映画の定番となりつつあるクロスオーバーシリーズも今回で7作目となり、振り返ってみれば「昭和ライダーの復活」、「昭和の悪の組織の復活」、「タイムトラベル if世界もの」、「スーパー戦隊との共演」、「宇宙刑事との共演」ときて、ついに「昭和ライダー VS 平成ライダー」まできてしまいました。
 とかく話題性の大きいシリーズではあるのですが、はっきり言ってこれ以上に世界設定や登場キャラクターの規模を拡大するのは無理なんじゃなかろうか……実際、今作だってクローズアップされるライダーの人数は6~7人が限界でしたし、よくよく観れば、キャラクター造形の点で諸先輩がたに大きく溝をあけられていた現役『鎧武』チームの肩身が狭いという主客転倒な状況にもなっていました。経験の厚みが違うんだもの、しょうがないですけどね。
 確かに面白くはあるのですが、雑なところはとことん雑、しかもそれのあおりを食らうのはいっつも悪の組織のみなさんという、この「楽しい悪夢」は、今後一体どんな新展開を見せるのか、はたまた「も~やめやめ! 解散!!」になるのか。同じく東映のドル箱シリーズになっている「プリキュアオールスターズ」のメンバー急増化対策とともに、憂慮すべき大問題だと思います。
 でも、過去のヒーローがゲスト出演するのって、手っ取り早くお客さんを集められるカンフル剤だもんね。一度やってしまったら、そう簡単に禁じ手にはできんぞ……まさに麻薬!! おっそろしいもんだなぁ。鳴滝さんじゃないけど、これこそが仮面ライダーディケイド最大の罪ですよね。おのれディケイドぉおお!!

 余談ですが、本作をもって、平成ライダーシリーズの主人公ライダーは15名となり、サブライダー(ライダーマン)も、厳密にはもう平成に入っちゃってる時期の映画やオリジナルビデオの単発ライダーもかき集めた昭和ライダー15名と、人数で並ぶこととなりました。そして『鎧武』以降も平成ライダーシリーズは当然のごとく続くので、もはや「仮面ライダーといえば昭和だろ!」とは言えない局面に入ってしまったということなんですな。シリーズの期間にしても、昭和の「23年(1971~94年)」を平成ライダーシリーズが超えていくであろうことは、ほぼ間違いないわけです。そもそも、昭和ライダーは平成ライダーみたいに23年間ずっと TVで放送してたわけでもないし。
 そうなると、この「2014年」というタイミングは、昭和ライダーが平成ライダーに堂々と闘いを挑むことができる「最後のチャンス」だったのかもしれませんね。これ以降は数で差が出てきちゃうもんな! 私のような昭和ライダーファン(厳密には『 BLACK』とか『 BLACK RX』がリアルタイムなので半分昭和じゃないのですが)にとっては寂しい話ですが、「仮面ライダーは改造人間である。」という大前提も、歴史の1ページにすぎなくなっちゃんですよね。

 とはいえ、これからも昭和ライダーにはがんばってほしいんだよなぁ! 映画『仮面ライダー1号』やオリジナル配信『仮面ライダーアマゾンズ』シリーズの例もあることですし、これからも、手を変え品を変え、ニチアサ枠でゆる~くなった平成ライダーの面々に喝を入れてほしいところです!
 あっ、もちろん、悪の組織もがんばってね~!! ゴルゴムの3神官も、『仮面ライダーBLACK SUN 』に出るとしたら気合い入れなおせよ! 白石監督だからな!!
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