ギャオスとは
ギャオスは、大映の怪獣映画『ガメラ』シリーズに登場する怪獣。コウモリのような羽根を持つ飛行生物である。
直立歩行が可能で、前足が翼となっている。翼はコウモリのように数本の指骨に支えられ、その間を皮膜がつないだ構造に見えるが、コウモリにおける親指1本が遊離している位置には自由に動かせる指が3本ほど存在する。頭部は上方からの視点だと歪んだ六角形に見え、鼻先や後頭部両側後方が尖っているため、形状は「初心者マーク」と同じである。尾はあまり長くないが、先端が魚類の尾鰭に近い扇状になって縦向きに付いている。
ガメラシリーズでは、ガメラ以外で唯一、昭和と平成の時代をまたがって映画作品に登場している怪獣であり、その他のマンガやゲームなどの媒体作品でも、ガメラの敵役怪獣の中で出演回数が最多におよぶ。
超音波怪獣ギャオス
身長65m、翼長172m、体重25t。飛行速度マッハ3.5。出身地は日本列島の中部大断層地帯(フォッサマグナ)の地下空洞。
ガメラシリーズ第3作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967年)に登場する。
尾は短く、ジェット戦闘機の垂直尾翼に似ている。口からは何でも切断する300万サイクルの衝撃波「超音波メス」を発射するが、これは音叉の役割をする二股の頸椎から発振するため、太く短い首は正面でほぼ完全に固定された構造となっており、普通の動物のように振り向くことができない。あらゆる動物を食する肉食性であり、特に人間の血肉を好む。
頭部からは光のシグナルを発するうえ、空腹時は頭部の後ろが緑に、体調が危機に陥ると頭頂部が赤に発光する。夜行性で、太陽光線の紫外線を浴びると体細胞が破壊される弱点を持つが、再生能力は非常に高く、切断・欠損した部位も短時間で再生できる。光の他に炎も苦手とされるが、胸から放出する黄色い消火液で鎮火できる。血液はくすんだ色合いのピンク。
名称は、英一少年の「ギャオーと鳴くからギャオスだ」という発言から命名された。
主に空を活動域にしており、地上では活動が緩慢である。一方、ガメラは水中や地上では自由に動けるものの、空ではギャオスの機動力におよばないという風に、両者の活動の差がその戦いに影響を与える。英一少年を襲おうとした際にガメラと対決し、物語の後半では名古屋に飛来して名古屋城や新幹線などを襲う。
フォッサマグナ付近の地下空洞で眠っていたらしく、富士山の突然の爆発によって復活すると、そこへ飛来したヘリコプターを地下空洞から発射した超音波メスで切断し、その搭乗員を捕食する。やがて夜間に空洞から外へ飛来し、人間や家畜を襲う。ガメラとの初戦では強力な超音波メスを放って近寄らせなかった。
造形物は翼を広げたタイプと翼を折りたたんだタイプの着ぐるみ2体に加え、操演モデルと実物大の足の指が作成された。そのうち、翼を広げたタイプの着ぐるみは後に宇宙ギャオスに流用された。
宇宙ギャオス
『ガメラ対大悪獣ギロン』(1969年)に登場。身体が銀色の光沢を持つこと、血液が濃い紫色をしていることを除けば、過去のギャオスと変わらない。この種は複数登場した。
反地球の第10惑星テラは原子力を利用して文明を発達させていたものの、原子炉の爆発の影響によって宇宙ギャオスが生まれ、次々にテラの住人を襲って捕食するようになった。
ギロンとの戦闘では得意の超音波メスを放つものの、ギロンの包丁のような頭部で反射され、右足を切断されてしまう。今度は空中から背後に迫るが、ギロンの背面斬りで左翼を切断されて墜落したうえに右翼も切断され、身動きが取れなくなったところで首を切断され、ついに死亡する。肉は酷く臭いらしく、ギロンは殺した個体を切り刻んで食べようとしたが、あまりの臭さに食べるのをあきらめている。
過去のギャオスと違い昼間に活動し、血の色が紫色。ガメラとは戦っていない。
着ぐるみは『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967年)の翼を広げたタイプを流用。着ぐるみのほか、ギニョールや操演モデルも使用されている。
『宇宙怪獣ガメラ』(1980年)のギャオス
宇宙海賊船ザノン号にコントロールされ、名古屋を襲撃する。登場シーンはすべて『ガメラ対ギャオス』(1967年)の映像の流用である。
平成ガメラ3部作のギャオス
超遺伝子獣ギャオス
身長85m、翼長185m、体重75t。飛行速度マッハ4.2以上。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)に登場。劇中では当初「鳥」と呼ばれていたが、後にガメラの背中にあった古代の石板に記された碑文を解読した結果、「ギャオス」と呼称されるようになった。
平成ガメラ3部作では、はるか太古に滅亡した超古代文明による遺伝子工学の産物であり、目的は不明であるがのちの『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』で「増えすぎた人口を減らすため」という説が提唱されていることからも、一貫して「餌は人間、敵はガメラ」という設定である。人間だけでなくブタやイヌなども食することが示唆されているほか、共食いすら行う。昭和版のギャオスは首を動かせなかったが、今作でのギャオスは問題なく動かせるうえ、超音波メスも首を動かしながら発射できる。体細胞のうち染色体は大きいものが1対のみで、無駄な塩基配列がない完全な構造となっている。また、卵生で孵化直後は全員雌であるが、さまざまな生物の遺伝子情報が入っているため、性転換できる。これにより単独で産卵、繁殖することが可能である。孵化直後から体長は数メートルとすでに人間よりも大きいうえに成長速度が非常に速く、翼長については約15メートルから数日後には46メートルの亜成体となり、さらに185メートルの成体に成長する。体格も昭和版よりも格段に巨大化しているうえ、成長に伴って凶暴性も増していく傾向があり、食糧不足になると同種間での共食いも始め、弱った仲間や死んだ仲間に平然と食らいつく。
昭和版に比べると体色は赤く、頭はやや平たく幅広くなり、眼は目立たないものの蛇や猫のような瞳孔で、より動物的なプロポーションとなり、地上での活動も自由自在でガメラとも格闘戦で互角に渡り合っている。昭和版では動かなかった首も、何ら問題なく動かせる。地上を走り、翼を振り回して殴りかかり、低く飛び上がって足の爪で攻撃することもでき、設定ではこの爪から神経毒を分泌する。また、昭和版と同様に光が苦手で活動は主に夜間が中心となるが、夕暮れ時に飛び回るシーンがあることから、昭和版よりは幾分耐性があるらしく、細胞の破壊が起こる様子はないようである。強力かつ迅速な自己進化能力を持っており、成体になると眼の辺りに無数の水晶体で作られた遮光膜が発生し、苦手だった太陽光にも耐性ができ、光の反射によって目が赤く光って見えるようになる。終盤におけるガメラとの戦いでは、昼間にもかかわらず普通に活動できている。しかし防御力はあまり高くなく、成体になってもガメラの火球攻撃に耐えることはできない。敵からの攻撃に対しては、空中を飛翔して回避することが主である。飛行速度は昭和版と同じくガメラを上回り、可変翼戦闘機のように「空中で羽根を折り畳み、空気抵抗を減らす」ことによって、その速度をさらに増すことも可能である。捕食する際には相手を手掴みして口へ放り込む昭和版と違い、直接口で食らいついて貪る。体液は宇宙ギャオスのような紫色であり、これは後に登場するギャオス・ハイパーも同様である。超音波メスは、音波を収束させて放つビームのような描写がなされており、その影響か劇中ではケージを切断する際に収束した音波がケージを振動させていた他、近くにあった吊り橋のワイヤーロープの留め具が外れたり、腕時計の文字盤のガラスが割れたりする描写があった。
当初は長崎県五島列島に出現し、嵐の夜に姫神島の小さな集落を壊滅させた。この時点での体長は数メートルで、3体が確認されている(姫神島の洞窟でも、仲間に食害された死骸が2体発見されている)。
スーツアクターは、ギャオスの体格の細さから、女性の亀山ゆうみが起用された。
造形物は着ぐるみがアクション用とアップ用の2体作られ、前者は『3』のギャオス・ハイパー爆破シーンに流用された(頭部のみ現存)。そのほか、ギニョールや操演モデルなどが製作された。
なお、ギャオスのデザインには西洋のドラゴンや中国の龍のイメージが投影されている。
ギャオス・ハイパー
体長88m、翼長190m、体重78t。
『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』(1999年)に登場。
前作『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)のレギオン戦でガメラが大量の「マナ」を消費した影響により、世界中にある耐久卵が一斉に孵化したことが示唆されている。『大怪獣空中決戦』のギャオスに比べて体格はよりシャープかつ動物的なものとなり、体色も黒っぽくなっている。両翼の上部には新たに肘が形成されており、被膜を支える指のうち2本が肘の先から生えているほか、翼の皮膜のない3本の指の1本が親指のように生えている。また、飛行能力のみならず繁殖力も大幅に増大しているほか、爪に猛毒を持つ。
物語の冒頭で、東南アジアにて幼体の死骸が確認できるほか、メキシコにおいても成体の目撃が報告される。日本には渋谷近辺に『大怪獣空中決戦』のギャオスと同じサイズにまで成長した個体が2頭出現するが、1頭は画面登場の時点でガメラのプラズマ火球によって墜落したうえ、全身に大火傷を負って眼球が飛び出すなどの深刻なダメージを受けた状態であり、墜落した後に着陸してきたガメラにとどめを刺された。もう1頭はガメラと渋谷にて交戦し、プラズマ火球の連射を回避しながら超音波メスを放つなどの高い戦闘力で渋谷が壊滅するほどの激戦を展開する。なお、世界中に大量発生したその他のギャオスもガメラによって倒されていたことが、劇中の台詞で示唆されている。
ラストではギャオス・ハイパーの大群が日本に向かって飛来するシーンが描かれる。
造形物は着ぐるみではなく、すべてギニョールや操演モデル。幼体の死骸は実物大の造形物である。
『小さき勇者たち ガメラ』(2006年)のギャオス
体高30m、翼長90m、体重500t。
1973年にガメラと戦った怪獣。成体4頭の群れで出現し、集団で襲いかかってガメラを苦しめたが、ガメラの最後の手段である自爆に巻き込まれて全滅した。その後、ギャオスの再発生は確認されておらず、具体的な出自などについてもまったく触れられていない。
設定上では歴代個体と同様、強靱な生命力を持っている。本作で後に登場する怪獣ジーダスは、ギャオスの死骸を食べた爬虫類が変異したものと設定されており、人肉を好む性質など共通点も多い。
造形物は『ガメラ3』と同様にぬいぐるみはなく、すべてギニョールや操演モデルである。また全身モデルはなく CGで表現されている。体色と翼の構造はギャオス・ハイパーとほぼ同じだが、被膜のない指が2本になっている。
『GAMERA』(2015年)のギャオス
ガメラ生誕50周年記念でKADOKAWA制作、石井克人監督の CG映像作品『GAMERA』(2015年10月公開)に登場。本作でも平成3部作のように群れで東京を襲撃し、逃げ惑う人々を追い回しては捕食する姿や、共食いする姿が描かれている。超音波メスを発射している個体も背景に複数いた。
3DCG で表現されてより細身になり、背中に1列の背鰭が骨状に隆起して並ぶほか、歴代ギャオスとの最大の違いはそのドラゴンを思わせる姿(尾が細長く頭部や舌も鳥類よりはヘビなどの爬虫類に近いうえ、口先などが幾分丸みを帯びている)にある。ガメラに倒される際には、ギャオス・ハイパーのように眼球が飛び出る描写がある。
ギャオスの亜種
イリス
『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』に登場。作中ではギャオスの変異体と見なされているがその経緯は一切不明で、その容姿はギャオスとは程遠い。
≪その、うす汚れ切った生きざま……愛さずにはいられない!! 本文マダナノヨ≫
ギャオスは、大映の怪獣映画『ガメラ』シリーズに登場する怪獣。コウモリのような羽根を持つ飛行生物である。
直立歩行が可能で、前足が翼となっている。翼はコウモリのように数本の指骨に支えられ、その間を皮膜がつないだ構造に見えるが、コウモリにおける親指1本が遊離している位置には自由に動かせる指が3本ほど存在する。頭部は上方からの視点だと歪んだ六角形に見え、鼻先や後頭部両側後方が尖っているため、形状は「初心者マーク」と同じである。尾はあまり長くないが、先端が魚類の尾鰭に近い扇状になって縦向きに付いている。
ガメラシリーズでは、ガメラ以外で唯一、昭和と平成の時代をまたがって映画作品に登場している怪獣であり、その他のマンガやゲームなどの媒体作品でも、ガメラの敵役怪獣の中で出演回数が最多におよぶ。
超音波怪獣ギャオス
身長65m、翼長172m、体重25t。飛行速度マッハ3.5。出身地は日本列島の中部大断層地帯(フォッサマグナ)の地下空洞。
ガメラシリーズ第3作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967年)に登場する。
尾は短く、ジェット戦闘機の垂直尾翼に似ている。口からは何でも切断する300万サイクルの衝撃波「超音波メス」を発射するが、これは音叉の役割をする二股の頸椎から発振するため、太く短い首は正面でほぼ完全に固定された構造となっており、普通の動物のように振り向くことができない。あらゆる動物を食する肉食性であり、特に人間の血肉を好む。
頭部からは光のシグナルを発するうえ、空腹時は頭部の後ろが緑に、体調が危機に陥ると頭頂部が赤に発光する。夜行性で、太陽光線の紫外線を浴びると体細胞が破壊される弱点を持つが、再生能力は非常に高く、切断・欠損した部位も短時間で再生できる。光の他に炎も苦手とされるが、胸から放出する黄色い消火液で鎮火できる。血液はくすんだ色合いのピンク。
名称は、英一少年の「ギャオーと鳴くからギャオスだ」という発言から命名された。
主に空を活動域にしており、地上では活動が緩慢である。一方、ガメラは水中や地上では自由に動けるものの、空ではギャオスの機動力におよばないという風に、両者の活動の差がその戦いに影響を与える。英一少年を襲おうとした際にガメラと対決し、物語の後半では名古屋に飛来して名古屋城や新幹線などを襲う。
フォッサマグナ付近の地下空洞で眠っていたらしく、富士山の突然の爆発によって復活すると、そこへ飛来したヘリコプターを地下空洞から発射した超音波メスで切断し、その搭乗員を捕食する。やがて夜間に空洞から外へ飛来し、人間や家畜を襲う。ガメラとの初戦では強力な超音波メスを放って近寄らせなかった。
造形物は翼を広げたタイプと翼を折りたたんだタイプの着ぐるみ2体に加え、操演モデルと実物大の足の指が作成された。そのうち、翼を広げたタイプの着ぐるみは後に宇宙ギャオスに流用された。
宇宙ギャオス
『ガメラ対大悪獣ギロン』(1969年)に登場。身体が銀色の光沢を持つこと、血液が濃い紫色をしていることを除けば、過去のギャオスと変わらない。この種は複数登場した。
反地球の第10惑星テラは原子力を利用して文明を発達させていたものの、原子炉の爆発の影響によって宇宙ギャオスが生まれ、次々にテラの住人を襲って捕食するようになった。
ギロンとの戦闘では得意の超音波メスを放つものの、ギロンの包丁のような頭部で反射され、右足を切断されてしまう。今度は空中から背後に迫るが、ギロンの背面斬りで左翼を切断されて墜落したうえに右翼も切断され、身動きが取れなくなったところで首を切断され、ついに死亡する。肉は酷く臭いらしく、ギロンは殺した個体を切り刻んで食べようとしたが、あまりの臭さに食べるのをあきらめている。
過去のギャオスと違い昼間に活動し、血の色が紫色。ガメラとは戦っていない。
着ぐるみは『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967年)の翼を広げたタイプを流用。着ぐるみのほか、ギニョールや操演モデルも使用されている。
『宇宙怪獣ガメラ』(1980年)のギャオス
宇宙海賊船ザノン号にコントロールされ、名古屋を襲撃する。登場シーンはすべて『ガメラ対ギャオス』(1967年)の映像の流用である。
平成ガメラ3部作のギャオス
超遺伝子獣ギャオス
身長85m、翼長185m、体重75t。飛行速度マッハ4.2以上。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)に登場。劇中では当初「鳥」と呼ばれていたが、後にガメラの背中にあった古代の石板に記された碑文を解読した結果、「ギャオス」と呼称されるようになった。
平成ガメラ3部作では、はるか太古に滅亡した超古代文明による遺伝子工学の産物であり、目的は不明であるがのちの『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』で「増えすぎた人口を減らすため」という説が提唱されていることからも、一貫して「餌は人間、敵はガメラ」という設定である。人間だけでなくブタやイヌなども食することが示唆されているほか、共食いすら行う。昭和版のギャオスは首を動かせなかったが、今作でのギャオスは問題なく動かせるうえ、超音波メスも首を動かしながら発射できる。体細胞のうち染色体は大きいものが1対のみで、無駄な塩基配列がない完全な構造となっている。また、卵生で孵化直後は全員雌であるが、さまざまな生物の遺伝子情報が入っているため、性転換できる。これにより単独で産卵、繁殖することが可能である。孵化直後から体長は数メートルとすでに人間よりも大きいうえに成長速度が非常に速く、翼長については約15メートルから数日後には46メートルの亜成体となり、さらに185メートルの成体に成長する。体格も昭和版よりも格段に巨大化しているうえ、成長に伴って凶暴性も増していく傾向があり、食糧不足になると同種間での共食いも始め、弱った仲間や死んだ仲間に平然と食らいつく。
昭和版に比べると体色は赤く、頭はやや平たく幅広くなり、眼は目立たないものの蛇や猫のような瞳孔で、より動物的なプロポーションとなり、地上での活動も自由自在でガメラとも格闘戦で互角に渡り合っている。昭和版では動かなかった首も、何ら問題なく動かせる。地上を走り、翼を振り回して殴りかかり、低く飛び上がって足の爪で攻撃することもでき、設定ではこの爪から神経毒を分泌する。また、昭和版と同様に光が苦手で活動は主に夜間が中心となるが、夕暮れ時に飛び回るシーンがあることから、昭和版よりは幾分耐性があるらしく、細胞の破壊が起こる様子はないようである。強力かつ迅速な自己進化能力を持っており、成体になると眼の辺りに無数の水晶体で作られた遮光膜が発生し、苦手だった太陽光にも耐性ができ、光の反射によって目が赤く光って見えるようになる。終盤におけるガメラとの戦いでは、昼間にもかかわらず普通に活動できている。しかし防御力はあまり高くなく、成体になってもガメラの火球攻撃に耐えることはできない。敵からの攻撃に対しては、空中を飛翔して回避することが主である。飛行速度は昭和版と同じくガメラを上回り、可変翼戦闘機のように「空中で羽根を折り畳み、空気抵抗を減らす」ことによって、その速度をさらに増すことも可能である。捕食する際には相手を手掴みして口へ放り込む昭和版と違い、直接口で食らいついて貪る。体液は宇宙ギャオスのような紫色であり、これは後に登場するギャオス・ハイパーも同様である。超音波メスは、音波を収束させて放つビームのような描写がなされており、その影響か劇中ではケージを切断する際に収束した音波がケージを振動させていた他、近くにあった吊り橋のワイヤーロープの留め具が外れたり、腕時計の文字盤のガラスが割れたりする描写があった。
当初は長崎県五島列島に出現し、嵐の夜に姫神島の小さな集落を壊滅させた。この時点での体長は数メートルで、3体が確認されている(姫神島の洞窟でも、仲間に食害された死骸が2体発見されている)。
スーツアクターは、ギャオスの体格の細さから、女性の亀山ゆうみが起用された。
造形物は着ぐるみがアクション用とアップ用の2体作られ、前者は『3』のギャオス・ハイパー爆破シーンに流用された(頭部のみ現存)。そのほか、ギニョールや操演モデルなどが製作された。
なお、ギャオスのデザインには西洋のドラゴンや中国の龍のイメージが投影されている。
ギャオス・ハイパー
体長88m、翼長190m、体重78t。
『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』(1999年)に登場。
前作『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)のレギオン戦でガメラが大量の「マナ」を消費した影響により、世界中にある耐久卵が一斉に孵化したことが示唆されている。『大怪獣空中決戦』のギャオスに比べて体格はよりシャープかつ動物的なものとなり、体色も黒っぽくなっている。両翼の上部には新たに肘が形成されており、被膜を支える指のうち2本が肘の先から生えているほか、翼の皮膜のない3本の指の1本が親指のように生えている。また、飛行能力のみならず繁殖力も大幅に増大しているほか、爪に猛毒を持つ。
物語の冒頭で、東南アジアにて幼体の死骸が確認できるほか、メキシコにおいても成体の目撃が報告される。日本には渋谷近辺に『大怪獣空中決戦』のギャオスと同じサイズにまで成長した個体が2頭出現するが、1頭は画面登場の時点でガメラのプラズマ火球によって墜落したうえ、全身に大火傷を負って眼球が飛び出すなどの深刻なダメージを受けた状態であり、墜落した後に着陸してきたガメラにとどめを刺された。もう1頭はガメラと渋谷にて交戦し、プラズマ火球の連射を回避しながら超音波メスを放つなどの高い戦闘力で渋谷が壊滅するほどの激戦を展開する。なお、世界中に大量発生したその他のギャオスもガメラによって倒されていたことが、劇中の台詞で示唆されている。
ラストではギャオス・ハイパーの大群が日本に向かって飛来するシーンが描かれる。
造形物は着ぐるみではなく、すべてギニョールや操演モデル。幼体の死骸は実物大の造形物である。
『小さき勇者たち ガメラ』(2006年)のギャオス
体高30m、翼長90m、体重500t。
1973年にガメラと戦った怪獣。成体4頭の群れで出現し、集団で襲いかかってガメラを苦しめたが、ガメラの最後の手段である自爆に巻き込まれて全滅した。その後、ギャオスの再発生は確認されておらず、具体的な出自などについてもまったく触れられていない。
設定上では歴代個体と同様、強靱な生命力を持っている。本作で後に登場する怪獣ジーダスは、ギャオスの死骸を食べた爬虫類が変異したものと設定されており、人肉を好む性質など共通点も多い。
造形物は『ガメラ3』と同様にぬいぐるみはなく、すべてギニョールや操演モデルである。また全身モデルはなく CGで表現されている。体色と翼の構造はギャオス・ハイパーとほぼ同じだが、被膜のない指が2本になっている。
『GAMERA』(2015年)のギャオス
ガメラ生誕50周年記念でKADOKAWA制作、石井克人監督の CG映像作品『GAMERA』(2015年10月公開)に登場。本作でも平成3部作のように群れで東京を襲撃し、逃げ惑う人々を追い回しては捕食する姿や、共食いする姿が描かれている。超音波メスを発射している個体も背景に複数いた。
3DCG で表現されてより細身になり、背中に1列の背鰭が骨状に隆起して並ぶほか、歴代ギャオスとの最大の違いはそのドラゴンを思わせる姿(尾が細長く頭部や舌も鳥類よりはヘビなどの爬虫類に近いうえ、口先などが幾分丸みを帯びている)にある。ガメラに倒される際には、ギャオス・ハイパーのように眼球が飛び出る描写がある。
ギャオスの亜種
イリス
『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』に登場。作中ではギャオスの変異体と見なされているがその経緯は一切不明で、その容姿はギャオスとは程遠い。
≪その、うす汚れ切った生きざま……愛さずにはいられない!! 本文マダナノヨ≫