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嗚呼、素晴らしき哉、人生!! ~映画『かがみの孤城』・資料編~

2022年12月25日 22時12分36秒 | アニメらへん
アニメ映画『かがみの孤城』(2022年12月23日公開 116分 松竹)

 『かがみの孤城(かがみのこじょう THE SOLITARY CASTLE IN THE MIRROR)』は、辻村深月による小説。2017年5月にポプラ社から刊行された。2021年3月時点で累計発行部数は100万部を突破しており、2018年に第15回本屋大賞を受賞した他、多数の文学賞を受賞している。
 雑誌『月刊ウルトラジャンプ』(集英社)にてコミカライズ版が2019年7月号から2022年3月号まで連載された(コミックス全5巻)。作画は武富智。
 本作のオーディオブック版が、2019年11月20日にオーディオブック配信サービス「audiobook.jp」から配信された(主演・花守ゆみり)。
 2020年8~9月に舞台版が東京・大阪・愛知の3都市で上演された(主演・生駒里奈)。また、2022年5~6月に『辻村深月シアター』として、同じ著者の長編小説『ぼくのメジャースプーン』舞台版と共に東京・新潟の2都市で上演された(主演・田野優花)。脚本・演出は成井豊、企画・製作・主催はナッポスユナイテッド。音楽は For Tracy Hyde。
 今回のアニメ映画化にあたり、孤城の美術デザインを担当したイリヤ=クブシノブは映画パンフレットでのインタビューにおいて、ドイツ中西部の都市クロンベルク・イム・タウヌス市の古城「クロンベルク城」(12世紀中期~1220年築城)を現地取材し参考にしたと語っている。

あらすじ
 中学一年生の女の子・安西こころは、同級生から受けたいじめが原因で不登校が続き、子供育成支援教室にも通えずに部屋に引き籠る生活を続けていた。五月のある日、こころの自室の鏡が突然光り出し、吸い込まれるように鏡の中に入ると、その向こうには西洋のおとぎ話に出てくるような不思議な城と、自分と似た境遇を持つ見ず知らずの中学生六人がいた。城には狼の仮面をかぶった女の子「オオカミさま」がおり、彼女は「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも、一つだけ叶えてあげよう。」と告げる。
 その期限は約一年間。こころは戸惑いつつも鍵を探しながら六人と共に過ごすが、自分も含めた七人には、ある共通点があることがわかる。互いの抱える事情が少しずつ明らかになり、次第に心を通わせていくこころたち。そして城が七人にとって特別な居場所に変わり始めた頃、ある出来事が彼らを襲う。
 果たして鍵は見つかるのか? なぜこの七人が選ばれたのか? それぞれが胸に秘めた「人に言えない願い」とは?
 すべての謎が明らかになるとき、奇跡が7人を待ち受けることとなる……

おもな登場人物とキャスティング
安西 こころ …… 當真 あみ(16歳)
 本作の主人公。中学1年生。おとなしく内気な性格でこれといった取り柄がなく、自分に自信が持てないでいた。物事をネガティブに考えてしまい、悩むことも多かったが、城のメンバーとの交流を経て徐々に変わっていく。4月に同じクラスの中心女子の真田美織らによるいじめに遭い、唯一仲良くなれそうだった近所の転校生・東条萌からも無視されるようになり、不登校になった。部屋に閉じこもり、閉塞感と焦燥感を募らせていたところ、自室の姿見鏡が光り、鏡の向こうの城に招かれる。好きな食べ物は三色そぼろ御飯と母が作る皮から手作りの餃子。両親が共働きのため、お米は毎日自分でといでいる様子。とある経験から恋愛が苦手で、ウレシノが自分に好意を寄せていると知った時には引いていた。

井上 晶子(アキ)…… 吉柳 咲良(18歳)
 中学3年生。明るく快活そうな容姿で背が高い。気が強く、思ったことは遠慮なく口にするため、彼女の発言が元で場が険悪ムードになることもある。突拍子もない行動に出た結果、周囲のメンバーが迷惑することもあるため、スバルは「問題児ってかんじだよぁ。」と冗談交じりにつぶやいた。しかしメンバーのお姉さん的な存在で初対面のこころに真っ先に話しかけ、こころとフウカをお茶に誘い紅茶とかわいいナプキンを用意するなど女子らしい気遣いができる一面もある。物語の中盤に学校の制服を着て城に現れ、このことがメンバーの共通点を知る重要な手がかりとなる。

長久 昴(スバル)…… 板垣 李光人(りひと 20歳)
 中学3年生。背が高く色白でそばかす顔の男の子。こころからは『ハリー・ポッター』シリーズのロン似と評されている。紳士的で優しいが、物語中盤で髪を茶髪にし、皆を驚かせる。とある事情で両親と離れ、兄と共に祖父母の家で暮らしている。マサムネと仲が良く、彼が持ち込んだゲームでよく一緒に遊んでいる。ずっと城に来ていなかったこころを温かく迎え入れる。「イケメン」の意味がわからず、マサムネがリオンのことを陰で「イケメン」と言っていたのを聞いて悪口なのかと彼に尋ねていた。

政宗 青澄(マサムネ)…… 高山 みなみ(58歳)
 中学2年生。生意気で理屈っぽい性格で口が悪いため、他人と衝突しやすい。根っからのゲームオタクで愛着心が人一倍強い。自身が持っているゲームの性能の良さをしょっちゅう自慢し、ゲームに対する理解がなかったり基礎知識にとぼしかったりするメンバーにあきれ、時には喧嘩になることもある。公立中学には行く必要がないという家の方針もあり、中学には行かずに学習塾に通っている。頭は良く、全国模試の順位は良いらしい。物語の中盤でメンバーにあるお願いをする。

長谷川 風歌(フウカ)…… 横溝 菜帆(14歳)
 中学2年生。眼鏡をかけていて声が高い。ピアノが上手で幼少期から習っていたが、コンクールで受賞圏外になり伸び悩んでいる。

水守 理音(リオン)…… 北村 匠海(25歳)
 中学1年生。芸能人並みのイケメンで明るく気さくで、一癖あるこころたちメンバーにも平等に話しかけたりできるため、メンバーであることを不思議に思われている。穏やかで仲間思いな性格だが、怒らせると怖い。ウレシノがメンバーに暴言を吐いた際には「そんな言い方ないだろ」と咎めるなど、言うべきことはしっかり言う。趣味と特技はサッカー。ハワイへ留学しているが、本人は日本の公立中学へ行きたかったため、日本人であるメンバーと過ごす時間を大切に思っている。6歳の時に姉の実生を亡くしている。学校の関係で城には夕方からやってくる。メンバーにクリスマスパーティーの提案をし、母親が作ったケーキを持参した。城で過ごす中であることに気付くが、他のメンバーには言わずに胸に秘めている。

嬉野 遥(ウレシノ)…… 梶 裕貴(37歳)
 中学1年生。小太りの男の子。食べることが好きで、城に招かれて早々に食べ物はないかと気にしており、こころがリンゴを持ってきた際には大喜びしたりしている。恋愛気質で惚れっぽく、城に来て1週間ほどでアキに告白して振られた。その後、対象はこころに移り、しまいにはフウカになったため、女子陣には内心呆れられており、男子からもからかわれている。ずれた発言が多いためバカにされることが多く、本人は傷ついている。

オオカミさま …… 芦田 愛菜(18歳)
 狼の仮面をつけた少女。城の案内人。いつも西洋人形が着るようなかわいいドレスを着ている。常に尊大な口調で話し、城から逃げ出したこころや帰ろうとしたスバルに説教するなど、上から目線の態度であるため、こころは内心「ずいぶん横柄なお世話係だ」と思った。こころたちに城でのルールや過ごし方などの説明をする。メンバーとは常に一緒にいるわけではないが、呼べばすぐに現れ、呼んでいないのに突然現れることもある。意味深な発言でメンバーを翻弄する。ものは食べるらしく、クリスマスパーティーの際にリオンが持ってきたケーキを受け取り「分けてもらえるなら持ち帰らせてもらおう」と言っていた。

こころの母 …… 麻生 久美子(44歳)
喜多嶋先生 …… 宮﨑 あおい(37歳)
東条 萌  …… 池端 杏慈(あんじ 15歳)
真田 美織 …… 吉村 文香(14歳)
伊田先生  …… 藤森 慎吾(オリエンタルラジオ 39歳)
養護の先生 …… 滝沢 カレン(30歳)
水守 実生 …… 美山 加恋(26歳)
少年時代のリオン …… 矢島 晶子(55歳)

おもなスタッフ
監督 …… 原 恵一(63歳)
脚本 …… 丸尾 みほ(64歳)
キャラクターデザイン・総作画監督 …… 佐々木 啓悟(?歳)
ビジュアルコンセプト・孤城デザイン …… イリヤ=クブシノブ(32歳)
音楽 …… 富貴 晴美(37歳)
美術設定 …… 中村 隆(2021年没 遺作)
美術ボード …… 大野 広司(70歳)
主題歌 …… 優里『メリーゴーランド』
制作 …… A-1 Pictures


≪原作小説と映画版とのおもな相違点≫
〇原作での東条萌は「フランス人形のようで、まるでハーフのような、日本人離れした顔立ち」と描写されているが、映画版ではそれほど目立つ容姿ではない。ただし、真田美織からは特別視されている。
・原作での東条萌の自宅は、こころの家の2軒隣だが、映画版でははす向かいにある。
・原作での雪科第五中学校の制服は襟の部分が青緑色のセーラー服だが、映画版の制服は一般的な濃紺色のセーラー服。
・原作でのオオカミさまの仮面は「縁日で売られるような」面だが、映画版ではリアルな毛皮のついた面。
・原作でのオオカミさまの着ているドレスは最初はピンク色でその後も何着か変わるが、映画版では同じ深い緋色のドレスのまま変わらない。
・原作で最初にこころが入る鏡の世界の場所は城の門外だが、映画版では城の中庭。
・原作でこころは、鏡の世界に入った初日は城に入らず逃げるが、映画版ではオオカミさまに引きずられて初日に城に入る。
・原作でオオカミさまの身体能力に特に描写はないが、映画版では中学生のこころを片手で引きずるほどの怪力がある。
・原作では登場人物たちの鏡に名札はなく、のちに自分たちで画用紙に書いた名札を作り貼っているが、映画版では最初からそれぞれの鏡の縁にアルファベットで通称名が彫刻されている。
・原作でフウカの声は特徴的に高いという描写があるが、映画版では特に高いというわけでもない。
・原作ではオオカミさまが声を荒げると本物の狼の遠吠えが二重に聞こえる現象が起こるが、映画版ではそのような描写はない。
・原作では城の中には電力が通っており、マサムネが持ち込んだ TVを使用している描写があったが、映画版では電源がなくマサムネはポータブルゲーム機でスバルと遊んでいる。
・原作ではこころもゲーム好きで、マサムネとゲーム談義をしたりマサムネやスバルと城でゲームに興じるシーンがあるが、映画版ではゲームに関して特に興味は示さず、アキの影響もあって男子たちとは距離を取っている。
・原作ではこころの視点から城に「あるもの」が無いという指摘があるが、映画版ではその点に触れられていない。
・原作では、城の窓は中庭に面したもの以外は曇って外の状況が見えないようになっているが、映画版では城が絶海の孤島の上に建っており、周囲を大海に囲まれている様子が見える。
・原作での、こころがリオンに時間を尋ねるエピソードが映画版ではカットされている。
・原作では、フウカの8月の誕生日と、それに関するこころとウレシノのエピソードがあるが、映画版ではカットされている。
・原作での、こころがスバルに、彼が『ハリー・ポッター』シリーズの登場人物ロンに似ていると告げるエピソードが、映画版では無い。
・原作では、スバルは夏休み期間に頭髪を脱色し耳にピアスをつけたが、映画版ではピアスはつけない。
・原作での、ウレシノの「スクール」という言い方をスバルが怪訝に思うエピソードが、映画版ではカットされている。
・原作での、ショッピングモール「カレオ」のフードコートで、こころの母がこころにフランス料理店での思い出を語るくだりが、映画版ではカットされている。
・原作での城のクリスマスパーティで、リオンがオオカミさまに、マサムネが他の6人にプレゼントを贈るくだりが、映画版ではカットされている。
・原作では、マサムネは「1月10日に集まろう」と提案するが、映画版では「始業式の日に集まろう」と提案する。そのため、原作でこころが違和感を感じるくだりが映画版では存在しない。
〇城の大階段の上にある大時計の位置が、原作と映画版とで違う。また、映画版では原作の城にはなかった巨大なオルゴール盤が暖炉の間にある。


 ……いや~、今回も、良い映像化でございました。原監督なんだもの、当ったり前よね。本文は、まったじっかい~。
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