建国後の合衆国-21 1824年選挙とアメリカ体制https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/0f3f8499ef04f8c215d11f40988cc818
からの続き
ジャクソン政権
ジャクソン政権は、1828年選挙で、奴隷制南部の堅固な地盤の上に北西部の票を加え、さらに中部大西洋岸の大票田、オランダ移民が創ったニューヨーク(旧ニューアムステルダム)とペンシルヴァニアの支持を得て成立しました。
ヴァン・ビューレンが国務長官に就任し、ニューヨークで創り上げた組織規律を全国の政治に持ち込みました。
他方、カルフーン一派は間もなくジャクソンと袂(たもと)を分かちます。 しかし、ジャクソンは南部インディアンを追い出し政策を打ち出して南部プランターの支持を固めました。
北部の版ジャクソン派のなかには、インディアンの味方とは言えませんが、ジャクソンおよび南部人たちの性急な追い出し政策には批判的な者も少なからずいました。
与野党間の政策上の激突は、次の1832年の大統領選挙の前哨戦のなかで起こりました。
南部共和派の中には、ジェファソン以来、合衆国銀行反対の伝統が残っていました。大統領としてのジャクソンは、この伝統に乗ります。
しかし、議会では4年後の1836年にきれる合衆国銀行の特許期間の延長を支持する勢力の方が強く、大統領出馬を狙うヘンリー・クレイは、この問題を選挙の争点にするために、合衆国銀行特許延長法案を通過させました。
ジャクソンは、この法案に拒否権を行使することによって挑戦に応えました。
1832年選挙では、ジャクソンはヴァン・ビューレンを副大統領に従えて、クレイを破り再選を果たします。
かくして、フィラデルフィアに本店を置く第二合衆国銀行の特許延長は不可能になり、金融中心地は完全にニューヨークのウォール街に移ったのです。
1832年は、ヘンリー・クレイの『アメリカ体制論』にとっても転機となりました。 1824年、1828年、1832年と大統領選のたびごとに、関税法が改訂され国内製造業保護の政策基調が貫かれました。
しかし1832年秋、カルフーンを指導者とするサウスカロライナ州は、州民代表者大会を招集し、そこでサウスカロライナ州における連邦関税法の無効を決議しました。
これに対し、ジャクソンは、一方で武力弾圧の脅しをかけてサウスカロライナを屈服させ、他方で南部の支持者たちの利害を代弁して関税引き下げの必要性を強調し、世論転換を指導しました。
このような状況下で、クレイは1833年妥協関税法成立を指導し、みずから『アメリカ体制論』を後退させました。
以後、南北戦争前夜まで、州権論が強調される中で、自由貿易主義が合衆国の経済政策の基調となりました。
(関連情報)
1. 建国後の合衆国-1 ジャクソン大統領による土地強奪
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e3133076c791bcb68fb784f0fda0aada
2. 建国後の合衆国ー2 メキシコ領土獲得戦争
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b98362c56ee34ea0232ce7abf35a2b18
3. 建国後の合衆国ー3 有料道路建設https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f7732681a17552137e8e825d693d70bc
4. 建国後の合衆国-4 大運河建設ブームhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5a8e291c0bbcae626aa9c16566cf0b1b
5. 建国後の合衆国-5 蒸気ボートhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/36926fea375feebeec7b870a643154c2
6. 建国後の合衆国-6 鉄道時代の開幕https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e41b415af0cde7ab639ced37ea333168
7. 建国後の合衆国ー7 工場制度の出現
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/406176fab1ec1dcdaf117cefbabd0024
8. 建国後の合衆国ー8 世界最初の紡績一貫工場https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/31c7061b6eed00409710025e11d2456e
9. 建国後の合衆国ー9 労働者階級の出現https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/8bdbf78f3133393e6b6bce7fd5f600f7
10. 建国後の合衆国-10 アメリカ労働運動の出現https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e5101f09aaf0bd4a9f80e26db3ad96ad
11. 建国後の合衆国ー11 南部奴隷制社会 綿花王国の形成
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/d6b63441e361c8a771e9185c019a9534
12. 建国後の合衆国ー12 南部奴隷社会 黒人奴隷の文化https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a7fd8a1c3adb08f6e6bec419395a4192
13. 建国後の合衆国ー13 南部奴隷社会 黒人奴隷の家族https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f641aafdfca84d2c422a977033cccfa8
14. 建国後の合衆国ー14 家父長的権威の衰退と近代家族https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/50d8dea63fd8e50975de0d2578a6355b
15. 建国後の合衆国ー15 女の領域https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b011ff116289118297da861e549bb71a
16. 建国後の合衆国-16 公立学校制度と画一教育https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e98bed7042483ab28ecfa02272604f84
17. 建国後の合衆国-17 内陸都市ロチェスターの成長https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c53ab40276a4e800df642139fc66ba13
18. 建国後の合衆国-18 焼き尽くされた地域https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/ac955ecb88e338ba09a50de5d660f0ef
19. 建国後の合衆国-19 政党制度の出現 好感情の時代https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/018a91cbff03ab84edcb296dc32822ab
20. 建国後の合衆国-20 職業政治集団の形成
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/775f580510b5eec0373919a0d760ba09
21. 建国後の合衆国-21 1824年選挙とアメリカ体制https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/0f3f8499ef04f8c215d11f40988cc818
22. 建国後の合衆国-22 ジャクソン政権https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/17bbe82433d9b04d2d750c1f794d847b
PS.
・アメリカを正しく認識する 建国までの歴史概略シリーズのまとめhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c92a98cc78bf8a2cff02eab33b4b245b