高炉水素還元の技術開発を進める試験炉(千葉県君津市)
日本製鉄は20日、脱炭素戦略の一環として開発中の高炉水素還元の製鉄手法で、二酸化炭素(CO2)を40%以上削減する技術を試験炉で確立したと発表した。
40%を超える削減は世界で初めてといい、開発目標としていた2025年末から1年前倒しで達成した。今後は50%以上の削減と実機高炉での活用を目指す。
東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)で24年11~12月に実施した試験で43%の削減を確認した。加熱した水素を使ったり、高炉内の熱のバランスを調整したりして比率を向上させた。
従来の世界最高の数値は日鉄が23年に確認した33%だった。高炉による製鉄では、鉄鉱石に含まれる酸素を石炭を使った化学反応で取り除く。
だがこの方法だと石炭からCO2が大量に発生するため、水素での代替に取り組んでいる。水素を使うと熱を奪う反応が起きるため、酸素を取り除きにくいという課題があった。
日鉄は26年4月に君津地区の第2高炉で実機規模の実証試験を始める予定。第2高炉に水素を吹き込むための工事を今後進めていく。