【シリコンバレー=渡辺直樹、ワシントン=八十島綾平】
米グーグルは20日、インターネット検索が反トラスト法(独占禁止法)に違反していると認定された訴訟を巡り、自社の改善案を裁判所に提出した。
ネット閲覧ソフト「クローム」などを各社のスマートフォンに標準搭載することを見直す。独占状態の解消に向けて米政府が求めた事業分割を拒否した。
グーグルは検索で世界シェアの9割、パソコンやスマホの閲覧ソフトで7割を握る。
ワシントンの連邦地裁は8月、反トラスト法に違反しているとの判決を出した。原告の米政府は独占の解消に向けた是正案を11月に裁判所に示し、クロームやスマホの基本ソフト(OS)「アンドロイド」の売却などを要求していた。
グーグルにも改善案を求めていた。地裁は両者の案を検討し、最終的な是正策を来夏までに決める。
グーグルの改善案は対価を支払って自社の検索サービスや閲覧ソフトを各社のスマホなどに標準搭載する契約を減らすことが柱だ。複数のサービスや製品を組み合わせて顧客を囲い込むビジネスモデルを見直し、他社が参入しやすくする。
政府案が採用されれば収益の柱であるネット広告の減少に直結し、経営に大きな痛手となる。
グーグルの改善案は政府案を拒否し、事業売却など会社の骨格の見直しには踏み込まない内容だ。グーグルは提出した書類で政府案を極端な措置だとして批判し、技術革新を阻害しないようにするべきだと訴えた。
グーグルの訴訟はトランプ前政権時代に始まり、バイデン政権に引き継がれた。巨大テクノロジー企業に対し、独禁訴訟で厳しく対峙してきた路線をトランプ新政権が修正するかが焦点になる。
ひとこと解説
ウェブブラウザの高機能化により、ウェブブラウザがOSのように多様なアプリケーションの実行基盤となっていおり、ウェブブラウザはOSという位置づけになる。
それで思い出すのはマイクロソフトと司法省の反トラスト訴訟である。
当時、マイクロソフトは地裁では分割判決となったが、控訴審では巻き返し、分割不要に持ち込んだ。
しかし、その訴訟を通じて、マイクロソフトは大きく力を削がれることとなった。米国新政権の動向を含めて、今回のグーグルと司法省の反トラスト法訴訟は行き先がみえないが、グーグルのビジネス競争力は下がることはあっても、上がることはないのではないか。
引き続き、動向に注目すべきだ。
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ひとこと解説
Gmailのサービス開始は2004年、Google mapは2005年、Google docsのもととなるWritelyというサービスをもつUpstartle社を買収したのが2006年(同年内にGoogle Docs & Spreadsheets提供開始)、Googleカレンダーも2006年。
当時、「業務のすべてがブラウザで完結する」と想像できていた人は世の中にどれだけいたでしょうか。
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