米デュポン幹部「分割後、半導体材料のリーダーに」

日本経済新聞の取材に応じた米デュポンのエレクトロニクス&インダストリアル部門を統括するジョン・ケンプ氏

米化学大手のデュポンは上場3社に事業を分割する方針を掲げる。その1社となるエレクトロニクス&インダストリアル部門を統括するジョン・ケンプ氏は日本経済新聞の取材に応じ、分割後に「半導体材料の分野でリーダー的存在になる」と話した。

積極的なM&A（買収と統合）で事業を拡大する。

現在のデュポンは、2017年に経営統合で設立したダウ・デュポンから19年にダウが分離して誕生した。計画では、エレクトロニクス部門と水処理部門を分離し、存続会社はバイオ医薬品などの分野に集中する。独立した形になる2社もそれぞれ上場を目指す。

ケンプ氏は分離後のエレクトロニクスを中心とした企業について、「半導体材料、パッケージング材料などでリーダー的存在になるだろう。事業ポートフォリオを拡大するのに魅力的な機会を見込んでいる」と語った。M&Aの候補となる地域や分野は明らかにしなかった。

デュポンは回路形成に使う「フォトレジスト（感光材）」やチップの封止に使う材料など幅広い半導体材料を手掛けており、ウエハーにできた凹凸を平らにするのに使う研磨パッドなどで高いシェアを持つ。

2023年12月期の売上高は121億ドル（約1兆8200億円）で、そのうち29%を電子分野が占める。

ケンプ氏は「世界最大級の電子材料の専業企業となり、製造・研究開発においてグローバルに非常に強力な基盤がある」とし、規模の優位性を強調した。売上高のうち7〜8%を研究開発費として投資する。

台湾や韓国などに、顧客に隣接した製造・研究開発拠点を保有している。各拠点がグローバルで連携することで、顧客の要望に対して24時間365日対応できるようにしているという。

日本ではレゾナック・ホールディングスやホースなどを手掛けるニッタなどと合弁会社を設立し、半導体材料を製造販売している。

10月には、新潟県阿賀野市でフォトレジストの新工場が稼働した。ケンプ氏は「今後も日本への投資を継続していくことは間違いない」と話した。

バイデン政権は、中国とのハイテク覇権争いを制するために半導体産業を支援しており、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造（TSMC）や米インテルが新工場を建設している。

次期大統領のトランプ氏は中国に対し強硬姿勢で、米国の半導体産業を優先する政策を採るとみられる。

米政府の半導体支援について、ケンプ氏は「半導体のサプライチェーンという業界の一部への投資に過ぎず、エコシステム全体への追加投資が必要だ」と語った。

受託生産だけでなく、材料や装置、人材への投資の重要性を強調した。

（シリコンバレーで　藤生貴子）

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パソコンやスマホの半導体や、電気自動車（EV）に使われるパワー半導体とは。TSMCやラピダス、キオクシアなどのメーカーの動向や供給不足、シェア推移など関連業界や市場の最新ニュース・解説をタイムリーに発信します。

日経記事2024.12.16より引用

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