いま読んでいる本がおもしろいのです。
「古事記」のなかでは、ヤマトタケルは
父帝である景行天皇から疎まれて、王権の中心から疎外され、
辺境に追いやられ続けています。
悲劇的な英雄として文学的な表現で描かれているそうです。
ヤマトタケルの暴力性は、兄のオオウスノミコトを
殺してその手足をもぎとり、薦(こも)に包んで投げ捨てたりで、
そんな反秩序的な態度が、周縁に追いやられる原因となったようです。
父の命令を受けたヤマトタケルは、西国のクマソタケルを討伐したり、
東国の荒ぶる神を鎮めるようにと、休む間もなく派遣され続けます。
クマソタケルの兄弟を討つあたりの描写は特によくて、
美しい童女になりすまして、討ち果たす箇所は、悲惨なのだが
悲惨さは感じないほど、おもしろい表現です。
痛快な部分だと思います。
父帝から見捨てられた悲劇の主人公として、
強いられた孤独のヤマトタケルとして、文学的に描かれているのです。
古代のお話っておもしろいですね
「日本書紀」では、違うのですね。
景行天皇に忠実な皇子として描かれているみたいです。
父帝の信頼を受けつつ、行動している様子が描かれているそうです。
こうした、いにしえの『古事記』と『日本書紀』との
描き方に違いがあるのも、理由があるそうですよ。