晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宮本輝 『血脈の火』

2011-12-04 | 日本人作家 ま
この作品は「流転の海」シリーズ第3部で、愛媛の漁村から
大阪に出て、一代で大きな会社を創業した松坂熊吾を中心と
して、茶屋で働いていた房江と結婚し、戦時中は一時、愛媛
に戻り、熊吾は50歳にして伸仁という子宝に恵まれ、戦後
にふたたび大阪で会社を立ち上げるも、病弱な妻と子が心配
で、愛媛にまた戻る、というところまでが第1部で、第2部
「地の星」では、愛媛での熊吾一家の、親戚や村の人々との
交流、変なゴタゴタにも巻き込まれ、もう一度チャレンジだ
といって、また大阪へ、というところまで。

時代は昭和27年、戦後の混乱も落ち着いた大阪で、熊吾は
知り合いを頼りに家を買って、そこを拠点に中華料理店をは
じめます。さらに近くのサラリーマン相手に雀荘も開いて、
これだけでは飽き足らず、水に強い布用接着剤の販売権を取
って、大阪じゅうの消防署に、ホースの補修にと売り込み
をかけますが、思わぬ邪魔が入り・・・

さて、小学生になった伸仁ですが、どうにも落ち着きのない
子どもに育ってしまい、房江は心配しっぱなし。なんと、あ
まりガラの良くない大人とも付き合いがあり、愛媛から熊吾
の母と妹、妹の子どもも大阪に来ることになるのですが、こ
の妹というのが、男運が悪いといいますか、変な男に引っか
かってしまい、母は故郷に帰りたい帰りたいと懇願。

中華料理店の料理長の知人関係を頼りに、戦前、熊吾が世話
になった中国人の周さんの行方をつかみます。周さんは中国
に戻る前に日本の女性と恋仲になり、娘が生まれたのですが、
その後の成長ぶりは知らず、熊吾は石川の金沢に出向き、高
校生になった麻衣子という娘を探し出して、中国に手紙を出
すと、返事をもらい、熊吾は彼女の父代わりになると決意。
ところが麻衣子は、地元金沢の旧家の息子で、大学で研究を
している井手という男と恋愛関係にあり、しかしこの井手と
いう男は、麻衣子と付き合いながらも親の縁談で婚約までし
た女性がありながら婚約破棄をしたというのです・・・

そんな中、熊吾の調子がどうも良くなくて、医者に見てもら
うと、糖尿病という診断が下され入院。

あっちに顔を出しては世話をし、こっちを心配し、仕事の手
は休めず、さらに多角経営に乗り出し、和菓子の“きんつば”
まで売り出します。

そして、第3部もラストのほうで、伸仁はかなりショッキング
な事件に巻き込まれます。



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