すっかり涼しくなって、朝晩はヒンヤリとするぐらいで、家の中で半袖短パンでいるのがちょっと辛くなってきました。
あの暴力的な暑さはどこへいってしまったのか。
さて、北村薫さん。この作品はファンタジー感のある物語ではなく、「山岳小説」といったらちょっとオーバーでしょうけど、山登りのお話。それだけではなく、主人公の仕事関係の話であったり、プライベートの話もあります。
東京の出版社で働く女性が趣味の登山に行くのですが、「グレートトラバース」みたいな、あそこまでハードな登山ではありません。とはいっても日帰りのトレッキングレベルではなく、〇泊〇日の日程で山小屋に泊まったり、ハイドレーション(水の入った袋からチューブが出ててそこからチューチュー飲むやつ)を持って行ったり、雪の山道でアイゼン(靴に装着する金属製のスパイク)を装着したりと、なかなか本格的。でもその他の荷物は「必要最低限」ではなく、着替えがちょっと多めだったり、お菓子もいっぱいだったり、あと出版社勤務で本好きということで必ず本を持って行きます。そして、幼なじみの友人に「槍を攻める」とメール。すると友人が「戻ってこなかったらこの前着てたコートちょうだい」とエール。
「槍を攻める」とは、標高3,180メートルの槍ヶ岳に登ること。といっても「攻める」という言葉を使っていいのは、上級者コースからアタックする人で、主人公はそこまで無茶はせず、初心者向けの人気コース。
新田次郎「孤高の人」の主人公は、人嫌いで無口、でも山に入ると人恋しくなるというのが面白いなあと思ったのですが、こちらの女性は別に人嫌いでも無口でもありません。が、山小屋でたまたま出会った初対面の人に自分の高校時代の話をしたりします。
日常生活を送っているときと山登りをしているときがまるで別人になったようで、このギャップが山登りの魅力なんでしょうか。「死」というものを普段はそんなに意識したり実感したりというのは少ないでしょうが、山ではすぐ隣。この話の主人公も、友人の死というのを経験はしているのですが、死生観というまで大げさなものではありませんが、そこまで重苦しく描いてはなく、山にいるとき、ふと思い出すのです。
「そこに山があるからだ」とは、登山家のジョージ・マロリーが「なぜ山に登るのか」と聞かれたときに答えた有名な言葉ですが、まあエベレストに行くレベルの人はともかく、趣味レベルでも「なぜ山に登るのか」という答えが、じつはけっこう簡単な答えが、この本にはあるような気がします。
あの暴力的な暑さはどこへいってしまったのか。
さて、北村薫さん。この作品はファンタジー感のある物語ではなく、「山岳小説」といったらちょっとオーバーでしょうけど、山登りのお話。それだけではなく、主人公の仕事関係の話であったり、プライベートの話もあります。
東京の出版社で働く女性が趣味の登山に行くのですが、「グレートトラバース」みたいな、あそこまでハードな登山ではありません。とはいっても日帰りのトレッキングレベルではなく、〇泊〇日の日程で山小屋に泊まったり、ハイドレーション(水の入った袋からチューブが出ててそこからチューチュー飲むやつ)を持って行ったり、雪の山道でアイゼン(靴に装着する金属製のスパイク)を装着したりと、なかなか本格的。でもその他の荷物は「必要最低限」ではなく、着替えがちょっと多めだったり、お菓子もいっぱいだったり、あと出版社勤務で本好きということで必ず本を持って行きます。そして、幼なじみの友人に「槍を攻める」とメール。すると友人が「戻ってこなかったらこの前着てたコートちょうだい」とエール。
「槍を攻める」とは、標高3,180メートルの槍ヶ岳に登ること。といっても「攻める」という言葉を使っていいのは、上級者コースからアタックする人で、主人公はそこまで無茶はせず、初心者向けの人気コース。
新田次郎「孤高の人」の主人公は、人嫌いで無口、でも山に入ると人恋しくなるというのが面白いなあと思ったのですが、こちらの女性は別に人嫌いでも無口でもありません。が、山小屋でたまたま出会った初対面の人に自分の高校時代の話をしたりします。
日常生活を送っているときと山登りをしているときがまるで別人になったようで、このギャップが山登りの魅力なんでしょうか。「死」というものを普段はそんなに意識したり実感したりというのは少ないでしょうが、山ではすぐ隣。この話の主人公も、友人の死というのを経験はしているのですが、死生観というまで大げさなものではありませんが、そこまで重苦しく描いてはなく、山にいるとき、ふと思い出すのです。
「そこに山があるからだ」とは、登山家のジョージ・マロリーが「なぜ山に登るのか」と聞かれたときに答えた有名な言葉ですが、まあエベレストに行くレベルの人はともかく、趣味レベルでも「なぜ山に登るのか」という答えが、じつはけっこう簡単な答えが、この本にはあるような気がします。
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