この本(文庫ですが)のあとがきに、クィネルが”仮面”を脱いだ
理由と、彼の経歴が書かれていて、そもそも実名も写真も公開しな
かった理由としては、ある人によってはかなり”ヤバイ”ネタを小説
のテーマにしている、ということだったのですが、『サン・カルロの
対決』も、中南米にある架空のサン・カルロという国で起こったクー
デターの話ですが、ここらへんの国々では、いつ同じようなことが
起きても不思議ではない、というか、どこかの国をモデルに書いたの
では、なんて思ってしまうほど。
中南米の小国サン・カルロで、革命軍「カマリスタ」が首都を攻撃、
アメリカ大使館までもカマリスタに制圧され、大使のピーボディは
とらわれてしまいます。
学生戦士のリーダー、フォンボナはピーボディを今すぐにでも殺した
くて仕方がないのですが、そこに現れたのは、キューバ情報局のホルヘ・
カルデロン。
ピーボディはキューバでも「反共主義者」として名前が通っており、
情報局の持っている、カストロ暗殺計画をピーボディが知っているの
では、ということで、彼を尋問することに。
カルデロンは、拷問による聞き出しを好まず、対象者の”心”を掌握
し、ネタを吐き出させることに快感をおぼえるタイプで、手荒なことは
しません。が、じわじわとピーボディを追い詰めます。
しかしピーボディも、心の底から憎んでいる共産主義に屈してたまるか
という意地と、アメリカ合衆国の外交官というプライドにかけて、なか
なか口を割ろうとはしません。
ところがここで問題が。カマリスタの指導者が首都制圧してからという
もの、はやくも独裁者じみてきて、カルデロンが連れてきた愛人に手を
出している様子。しかも尋問の期限はあと少しで、もし話を聞き出せな
ければ、ピーボディをフォンボナに引き渡す、と・・・
さて、この事件はアメリカでも問題になっていて、はやいところ解決し
なければ、ということで大統領補佐官は、陸軍大佐のスローカムに、大使
奪回作戦の指揮をとってもらうことに。
しかしスローカムは、補佐官の持ってきた作戦案を聞いて愕然。これでは
前線の兵士たちが無駄死にではないか、と怒り、なんと直接大統領に自分
の立てた作戦で行かせてほしい、と提案します。
なかなか口を割らないピーボディ、あせるカルデロン。そして期限の日が
・・・
はじめは、あれ、ちょっと読みにくいな、と思ったのは、この小説のほと
んどが、ピーボディとカルデロンとスローカムの「一人称現在形」で書かれ
ていることです。
ですが、読み進めていくうちに、この文体こそが緊迫感をこれでもかと盛り
上げていると気づいてからは、もう夢中になってしまいます。
ピーボディとカルデロンのせめぎ合いは、ひらたくいえば「話せ」「いやだ」
の繰り返しなんですが、それこそ超一流の剣士の決闘を見ているよう。
理由と、彼の経歴が書かれていて、そもそも実名も写真も公開しな
かった理由としては、ある人によってはかなり”ヤバイ”ネタを小説
のテーマにしている、ということだったのですが、『サン・カルロの
対決』も、中南米にある架空のサン・カルロという国で起こったクー
デターの話ですが、ここらへんの国々では、いつ同じようなことが
起きても不思議ではない、というか、どこかの国をモデルに書いたの
では、なんて思ってしまうほど。
中南米の小国サン・カルロで、革命軍「カマリスタ」が首都を攻撃、
アメリカ大使館までもカマリスタに制圧され、大使のピーボディは
とらわれてしまいます。
学生戦士のリーダー、フォンボナはピーボディを今すぐにでも殺した
くて仕方がないのですが、そこに現れたのは、キューバ情報局のホルヘ・
カルデロン。
ピーボディはキューバでも「反共主義者」として名前が通っており、
情報局の持っている、カストロ暗殺計画をピーボディが知っているの
では、ということで、彼を尋問することに。
カルデロンは、拷問による聞き出しを好まず、対象者の”心”を掌握
し、ネタを吐き出させることに快感をおぼえるタイプで、手荒なことは
しません。が、じわじわとピーボディを追い詰めます。
しかしピーボディも、心の底から憎んでいる共産主義に屈してたまるか
という意地と、アメリカ合衆国の外交官というプライドにかけて、なか
なか口を割ろうとはしません。
ところがここで問題が。カマリスタの指導者が首都制圧してからという
もの、はやくも独裁者じみてきて、カルデロンが連れてきた愛人に手を
出している様子。しかも尋問の期限はあと少しで、もし話を聞き出せな
ければ、ピーボディをフォンボナに引き渡す、と・・・
さて、この事件はアメリカでも問題になっていて、はやいところ解決し
なければ、ということで大統領補佐官は、陸軍大佐のスローカムに、大使
奪回作戦の指揮をとってもらうことに。
しかしスローカムは、補佐官の持ってきた作戦案を聞いて愕然。これでは
前線の兵士たちが無駄死にではないか、と怒り、なんと直接大統領に自分
の立てた作戦で行かせてほしい、と提案します。
なかなか口を割らないピーボディ、あせるカルデロン。そして期限の日が
・・・
はじめは、あれ、ちょっと読みにくいな、と思ったのは、この小説のほと
んどが、ピーボディとカルデロンとスローカムの「一人称現在形」で書かれ
ていることです。
ですが、読み進めていくうちに、この文体こそが緊迫感をこれでもかと盛り
上げていると気づいてからは、もう夢中になってしまいます。
ピーボディとカルデロンのせめぎ合いは、ひらたくいえば「話せ」「いやだ」
の繰り返しなんですが、それこそ超一流の剣士の決闘を見ているよう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます