この作品は、舞台は日本になっているのですが、作者のキョウコ・モリは
アメリカ在住で大学の英文学助教授をしていて、英語で書かれたというこ
とで、カテゴリーは「海外作家」にしました。まあカズオ・イシグロも海外
作家にしてますので、いいでしょう。
外国の作家が日本人や日本を描くと、痛いとこついてきますな、と思うこと
もありますが、たいていは誇張しすぎだったり、そもそも間違ってたりする
ことが多く、ガッカリしてしまいます。
が、この『シズコズ・ドーター』は、日本人が描く日本が舞台の内容で、
間違いはないでしょう。ただそれがアメリカ人にどう評価されたのか、
結果としては新聞の書評で絶賛され、賞も受賞していますので、これは
もう快挙でしょう。
神戸に住む12歳の有紀。”その日”は、有紀の通うピアノ教室で、レッスン
開始時間が遅れるので、家に電話します。
家には母親の静子がいて、帰るのが遅くなるよ、と伝えます。
家に帰った有紀は、台所で倒れていた母を見つけ、ガスが充満していたので
窓を開けはなちます。父の会社に電話をかけると、父は、すぐ医者を連れて
帰る、と。
もう手遅れです、と診断され、有紀は母の部屋へ行きます。そこには、ミシン台
に有紀の着る縫いかけのスカートが。
テーブルの上には有紀あての遺書が。
「母さんが有紀を愛していることは信じてください」
「母さんがいたら、有紀を邪魔してしまう」
それから一年、父は再婚します。相手は同じ会社の部下。結婚式の前に、有紀は
新しいお母さんの支度部屋へ。継母は、なんとか有紀とうまくやっていこうと
話しかけますが、有紀は、あなたを「お母さん」と呼んでもいいけど、本当の
母さんとは思わない、幸せになれるかわからない、と言います。
それから、父、継母、有紀の3人で新しい家で暮らし始めますが、継母は「この
子は私のことを嫌っている」と思い、有紀も必要以上に関わらず、父はその様子を
傍観するだけ。
学校でも、ちょっとした問題を起こしたり、違う学校の友達ができますが、仲は
長く続かなかったり、祖父母の家に遊びに行っては憎まれ口を叩いたりします。
愛情というものがよくわからなくなっている有紀。
そんな中、母の葬式から父の再婚までの一年間お世話になった叔母の彩だけには
心を開きます。
ちょっと強く握ったら壊れてしまいそうな繊細な心で、でも一方で負けるもんか
というタフさもあり、有紀は高校卒業を機に神戸を離れることに。
長崎の美術大に進学する有紀は、屋根裏にしまってあった母の遺品を長崎に持って
いこうとします。どうせ自分がいなくなったら継母は全部捨てるだろうから・・・
そこで見つけたのはスケッチブック。
母が、家族のなにげない一コマを描いていたのですが、それを見た有紀は・・・
なんともいえない空虚から、燦々とする輝きまで、その瞬間の空気感が伝わって
くる文章の表現力にハッとさせられます。
作者のキョウコ・モリも、12歳のときに母を亡くし、それからすぐに父が再婚、
はやく神戸をいや日本から離れたいと思い、20歳で渡米、ということで、自伝的
作品となっています。
アメリカ在住で大学の英文学助教授をしていて、英語で書かれたというこ
とで、カテゴリーは「海外作家」にしました。まあカズオ・イシグロも海外
作家にしてますので、いいでしょう。
外国の作家が日本人や日本を描くと、痛いとこついてきますな、と思うこと
もありますが、たいていは誇張しすぎだったり、そもそも間違ってたりする
ことが多く、ガッカリしてしまいます。
が、この『シズコズ・ドーター』は、日本人が描く日本が舞台の内容で、
間違いはないでしょう。ただそれがアメリカ人にどう評価されたのか、
結果としては新聞の書評で絶賛され、賞も受賞していますので、これは
もう快挙でしょう。
神戸に住む12歳の有紀。”その日”は、有紀の通うピアノ教室で、レッスン
開始時間が遅れるので、家に電話します。
家には母親の静子がいて、帰るのが遅くなるよ、と伝えます。
家に帰った有紀は、台所で倒れていた母を見つけ、ガスが充満していたので
窓を開けはなちます。父の会社に電話をかけると、父は、すぐ医者を連れて
帰る、と。
もう手遅れです、と診断され、有紀は母の部屋へ行きます。そこには、ミシン台
に有紀の着る縫いかけのスカートが。
テーブルの上には有紀あての遺書が。
「母さんが有紀を愛していることは信じてください」
「母さんがいたら、有紀を邪魔してしまう」
それから一年、父は再婚します。相手は同じ会社の部下。結婚式の前に、有紀は
新しいお母さんの支度部屋へ。継母は、なんとか有紀とうまくやっていこうと
話しかけますが、有紀は、あなたを「お母さん」と呼んでもいいけど、本当の
母さんとは思わない、幸せになれるかわからない、と言います。
それから、父、継母、有紀の3人で新しい家で暮らし始めますが、継母は「この
子は私のことを嫌っている」と思い、有紀も必要以上に関わらず、父はその様子を
傍観するだけ。
学校でも、ちょっとした問題を起こしたり、違う学校の友達ができますが、仲は
長く続かなかったり、祖父母の家に遊びに行っては憎まれ口を叩いたりします。
愛情というものがよくわからなくなっている有紀。
そんな中、母の葬式から父の再婚までの一年間お世話になった叔母の彩だけには
心を開きます。
ちょっと強く握ったら壊れてしまいそうな繊細な心で、でも一方で負けるもんか
というタフさもあり、有紀は高校卒業を機に神戸を離れることに。
長崎の美術大に進学する有紀は、屋根裏にしまってあった母の遺品を長崎に持って
いこうとします。どうせ自分がいなくなったら継母は全部捨てるだろうから・・・
そこで見つけたのはスケッチブック。
母が、家族のなにげない一コマを描いていたのですが、それを見た有紀は・・・
なんともいえない空虚から、燦々とする輝きまで、その瞬間の空気感が伝わって
くる文章の表現力にハッとさせられます。
作者のキョウコ・モリも、12歳のときに母を亡くし、それからすぐに父が再婚、
はやく神戸をいや日本から離れたいと思い、20歳で渡米、ということで、自伝的
作品となっています。
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