晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

川崎草志 『長い腕』

2009-12-24 | 日本人作家 か
『長い腕』は、第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作で、
過去の怨念が現代のコンピュータで甦る、というような
あらすじなのですが、ミステリーというよりは、どちら
かというと、ホラー要素が大きいです。
犯人は人間なのか、それとも得体の知れないなにか、と
いったドキドキ感が楽しめます。

ゲーム会社勤務の島汐路は、もうすぐ会社を辞めて海外の
会社に転職するまで、新商品開発に忙殺されます。
そんな中、彼女の同僚であるふたりの女性が、会社のビル
の屋上から飛び降り自殺します。
自殺したうちの一人の机の上には、見たことのないキャラ
クター人形がおびただしいほど多く置かれており、汐路は
気になり、調べてみると、あまり人気のないアニメの中の
「ケイジロウ」というキャラクターだと知ります。

会社を辞めて、次の転職まで期間のある汐路は、実家のあ
る四国へと帰ります。
しかし実家のある町は、彼女にとって、両親を事故で無くした
悲しい土地。
ネットでこの町を調べてみると、ある事実が浮かんできます。
それは、他の地域と比べて、異様に殺人事件の件数が多いこと。

調べてゆくうちに、家出をしたふたりの女子中学生がいて、その
うちひとりはもうひとりに殺されて、片方は未だ行方不明。
そして、彼女たちのカバンには、前の会社で自殺した人の机の
上にあった「ケイジロウ」の人形が・・・

ここから話は、思いがけない方向へと進み、最終的にはファンタ
ジックなホラーではなく、ちゃんとミステリー形式の締め方とな
ります。
ストーリーのアイデア、情景描写なども巧み。
ただ、作者の思い入れのある登場人物とそうでない登場人物との
差がけっこう見られましたね。なんていうか、主人公との多少の
絡みはありつつ、あとはほったらかし扱いにしてしまうというか。

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