昔、実家の庭には
大きな桜の木があって何故か一年中咲いていた。
勿論、満開という訳ではなく、
チラホラと数輪花開いている程度ではあるが
年末の雪の日も、暑い夏の日も、
本来の桜の季節外れにずっと咲いているので
家に遊びに来た人がビックリして帰るのが常だった。
四月になっても、やはり満開になる事はなく
「ちょっといつもより多目に咲いています」といった風情で咲く。
私がこの桜しか見た事がなかったら、
「桜ってこんな木なんだ」と勝手に解釈してしまうだろう。
きっと、人の常識や物差しってそういうものだ。
この時期に、
もう桜がこんなに満開に咲いているお宅があったので
写真を撮りながら、ふと実家の桜を思い出した。
「春に満開にならない桜なんてつまらない」…と言う人もいれば、
「一年中咲いているなんて気持ち悪い」…と言う人もいた。
それでも私は、
その桜らしからぬ、とぼけた桜の木が大好きだった。
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