三丁目で『リー』と遊んでいると良く子供連れの親子や、
子供達だけの集団に声を掛けられる。
大抵の場合、「猫ちゃんに触ってもいいですか?」
といった言葉から始まる。
しかし、その少女は違っていた。
話さないのだ。
小学校高学年位で、友達が居ないのか、何処か淋しげに一人で遊んでいた。
公園で『小鉄』と『茜』の写真を撮っていると、
その少女が何も話さずにじっと見ている。
私は「猫と仲良くなる方法」を話しながら
聞こえているのかすら解からないまま、写真を撮った。
次の日、公園へ行ってみると笑顔の少女がいた。
私が家から持って来ていた猫の写真集を見せると、
昨日とは違い、少女は沢山話しをした。
おじいちゃんのいる田舎で猫を飼っていた話や、
猫が子猫を沢山産んだ話。
そこへ、「足長おじさん」のように
猫の餌を庭先へ置いていく人が居た事を。
おそらく彼女は、
私の事は「知らない人」だったので話さなかっただけだろう。
次の日、「知らない人」は「昨日会った人」に変わったので
沢山話してくれたのかもしれない。
子供の頃、私は言葉が遅く、母が聾唖ではないかと
心配する程だったらしい。
その頃の事は余り憶えていないが、黙々と絵を描いていたと思う。
足りないモノを補える何かを、誰もが持っているものなのかも知れない。
買い物へ出たある日、あの少女が元気に同年代の友人達と遊んでいた。
私は通りすがりの猫のように、彼女を見て立ち止まり
再び、ゆっくりと歩き出した。
今日は何位?
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