路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

聾 唖

2008-07-04 | 『リー』

三丁目で『リー』と遊んでいると良く子供連れの親子や、

子供達だけの集団に声を掛けられる。

大抵の場合、「猫ちゃんに触ってもいいですか?」

といった言葉から始まる。



しかし、その少女は違っていた。

話さないのだ。

小学校高学年位で、友達が居ないのか、何処か淋しげに一人で遊んでいた。

公園で『小鉄』『茜』の写真を撮っていると、

その少女が何も話さずにじっと見ている。

私は「猫と仲良くなる方法」を話しながら

聞こえているのかすら解からないまま、写真を撮った。



次の日、公園へ行ってみると笑顔の少女がいた。

私が家から持って来ていた猫の写真集を見せると、

昨日とは違い、少女は沢山話しをした。

おじいちゃんのいる田舎で猫を飼っていた話や、

猫が子猫を沢山産んだ話。

そこへ、「足長おじさん」のように

猫の餌を庭先へ置いていく人が居た事を。




おそらく彼女は、

私の事は「知らない人」だったので話さなかっただけだろう。

次の日、「知らない人」は「昨日会った人」に変わったので

沢山話してくれたのかもしれない。




子供の頃、私は言葉が遅く、母が聾唖ではないかと

心配する程だったらしい。

その頃の事は余り憶えていないが、黙々と絵を描いていたと思う。

足りないモノを補える何かを、誰もが持っているものなのかも知れない。





買い物へ出たある日、あの少女が元気に同年代の友人達と遊んでいた。

私は通りすがりの猫のように、彼女を見て立ち止まり

再び、ゆっくりと歩き出した。








今日は何位?
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コメント (4)
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