仲睦まじい親子『茜』と『尚人』と『直人』にも、独り立ちの季節がやって来た。
『小鉄』が去ってからも公園に居続けた『茜』の事だから、
きっと『尚人』と『直人』がこの公園を去り、それぞれに新しい縄張りを作るのだろうと思っていた。
…が、公園を去ったのは『茜』だった。
猫の独り立ちは、厳しく非常にすら見えるライオンの崖落しにも似ている。
ある日突然やって来るからだ。
住み慣れた公園には、近所に住む猫好きの人達がこっそり置いていってくれる餌もある。
近くには川もあり、車にさえ気を付けて渡れば水場も近い。
猫にとっては安心して住める場所(好条件の縄張り)は財産、誰にも取られたくはない筈だ。
追い出そうとしても出て行かなかったから、自らが出て行っただけかもしれないが
「親心」という人間の主観で見たくもなる。
親を慕う子の心も、子を想う親の心も同じ。
鬼の様に突き放して置きながら、実は一番住み良い場所を子供に残して去る『茜』は、
したたかな優しさと、しなやかな強さを持った本当の母親だ。
「金」の為に親が子を殺し、「嫌いだから」と子が親を殺すこの時代。
私達に欠けているとても重要で、とても必要な何かを、
路地を行く猫が言葉なく教えてくれる。
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トータル
餌が豊富なこの場所を自ら離れていく母猫、すんごい愛情を感じます
フツーに考えれば、親の方が早くあの世へ旅立つので、子供達にとって生活しやすい場所を譲り、
自分はまた厳しい条件の中で、いかに住み易い場所を探し当てるか。
茜たん、がんばれ。
そして、たまには息子達のところに遊びにおいでね～
茜は尚人と直人が気になるらしく、余り離れていない場所に縄張りを移しました。
時々、尚人達の公園へ行くと茜が何処から見ていたのか直ぐに飛んで来るのが不思議です。
最近は茜より尚人と直人の方が大きくなりつつあります。