職場で風邪が流行って、それがうつったせいで、しばらく
ブログを書く元気がありませんでした。
幸い週末ゆっくりできて、ほぼリカバー。
そういうわけで、十日ほど前に起こったある出来事を今ま
で書きそびれていたのですが……
忘れてしまわないうちに、今日、ここに書き留めておこうと
思います。
それは、今年の8月、光に還っていった友だち、リラさんを
めぐる、小さな「奇跡」でした。
リラさんのことは、今まで数回、ここに書いたことがあるの
で、覚えてくださっている方もあるでしょうね。
彼女と知り合ったのは、16年前、がんにかかって入院した
時のことでした。
血液の病気で骨髄移植を経験した彼女は、極めて繊細な
心を持ち、多くの困難に傷つきながらも、驚くべき強さでそ
れを乗り越え、生きてきました。
健康を取り戻した彼女は仕事をエネルギッシュにこなし、
見ていてまぶしいほどキラキラしていましたっけ。
けれども、数年前から、再びリラさんの体の自由は次第に
奪われていって……
気管切開をし、人工呼吸器を常時つけた状態になりました。
その状態がどんなものか、実際に経験がなければ、想像す
ことさえも難しいことでしょう。
私にとっても、そうでした。
24時間、ベッドから離れられない。
栄養補給は、「胃ろう」。
そういう状態のリラさんと、メールでどんなことを話したらい
いのだろう。
旅行や食べ物のことは話題にする気になれないし、音楽や
スポーツ観戦、テレビなんかも、興味ないみたい……。
考えあぐねた私は、ある日、彼女にこんなことを聞いてしま
いました。
「好きな匂いは何?」
そんなメールを見て、リラさんはどんなことを思ったのでしょ
う。
「何て的外れな、気の利かない話題のチョイスなんだろう。」
もしかしたら、そんなふうに思ったかもしれません。
でも彼女は、ぷりぷりした様子は毫も見せずに、こんなふう
に返事をくれたのです。
「好きな匂いと訊かれて思い浮かぶのは、子供の頃にライラ
ックが公園にあっていい匂いだった。
今は気管切開をしているから、匂いは殆どしないの。
でも嫌な匂いもしないから、便利な時もあるよ。」
これを読んだとき、私は心の中で思わず「ありがとう!」と叫
んでいたのでした。
そしてこれが、彼女をブログの中で「リラ」さんと呼ぶようにな
ったきっかけだったのですが……(「リラ」は「ライラック」のフ
ランス語名なのです。)
あれはもう、一年半も前のこと。
新しいステージへと旅立ったリラさんの面影も、ほんの少し
ずつ遠くへ行ってしまうような、そんな気がしはじめていた
ある日。
通勤のバスの中で、しばらくぶりにリラさんのことを思い、
ふと開いた本に、こんな俳句があったのです。
この駅の一人の客にリラ匂ふ 篠江 一舟
「私は、ここにいるよ。」
その瞬間、リラさんからの、そんなメッセージを見つけたよ
うな気がして、胸がいっぱいになりました。
リラさん、リラの花の匂いって、どんなだっけ。
ねえ、教えてくれない?
ブログを書く元気がありませんでした。
幸い週末ゆっくりできて、ほぼリカバー。
そういうわけで、十日ほど前に起こったある出来事を今ま
で書きそびれていたのですが……
忘れてしまわないうちに、今日、ここに書き留めておこうと
思います。
それは、今年の8月、光に還っていった友だち、リラさんを
めぐる、小さな「奇跡」でした。
リラさんのことは、今まで数回、ここに書いたことがあるの
で、覚えてくださっている方もあるでしょうね。
彼女と知り合ったのは、16年前、がんにかかって入院した
時のことでした。
血液の病気で骨髄移植を経験した彼女は、極めて繊細な
心を持ち、多くの困難に傷つきながらも、驚くべき強さでそ
れを乗り越え、生きてきました。
健康を取り戻した彼女は仕事をエネルギッシュにこなし、
見ていてまぶしいほどキラキラしていましたっけ。
けれども、数年前から、再びリラさんの体の自由は次第に
奪われていって……
気管切開をし、人工呼吸器を常時つけた状態になりました。
その状態がどんなものか、実際に経験がなければ、想像す
ことさえも難しいことでしょう。
私にとっても、そうでした。
24時間、ベッドから離れられない。
栄養補給は、「胃ろう」。
そういう状態のリラさんと、メールでどんなことを話したらい
いのだろう。
旅行や食べ物のことは話題にする気になれないし、音楽や
スポーツ観戦、テレビなんかも、興味ないみたい……。
考えあぐねた私は、ある日、彼女にこんなことを聞いてしま
いました。
「好きな匂いは何?」
そんなメールを見て、リラさんはどんなことを思ったのでしょ
う。
「何て的外れな、気の利かない話題のチョイスなんだろう。」
もしかしたら、そんなふうに思ったかもしれません。
でも彼女は、ぷりぷりした様子は毫も見せずに、こんなふう
に返事をくれたのです。
「好きな匂いと訊かれて思い浮かぶのは、子供の頃にライラ
ックが公園にあっていい匂いだった。
今は気管切開をしているから、匂いは殆どしないの。
でも嫌な匂いもしないから、便利な時もあるよ。」
これを読んだとき、私は心の中で思わず「ありがとう!」と叫
んでいたのでした。
そしてこれが、彼女をブログの中で「リラ」さんと呼ぶようにな
ったきっかけだったのですが……(「リラ」は「ライラック」のフ
ランス語名なのです。)
あれはもう、一年半も前のこと。
新しいステージへと旅立ったリラさんの面影も、ほんの少し
ずつ遠くへ行ってしまうような、そんな気がしはじめていた
ある日。
通勤のバスの中で、しばらくぶりにリラさんのことを思い、
ふと開いた本に、こんな俳句があったのです。
この駅の一人の客にリラ匂ふ 篠江 一舟
「私は、ここにいるよ。」
その瞬間、リラさんからの、そんなメッセージを見つけたよ
うな気がして、胸がいっぱいになりました。
リラさん、リラの花の匂いって、どんなだっけ。
ねえ、教えてくれない?
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