穴にハマったアリスたち

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(第26話)トロピカル~ジュ!プリキュア「晴れわたれ!キラキラ☆流星群の夜!」感想

2021年08月29日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第26話)トロピカル~ジュ!プリキュア「晴れわたれ!キラキラ☆流星群の夜!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第26話より)

ここ最近ローラが人魚にならないわ、くるるんがどっかで寝てるわで、海洋成分が足りません。サカナとしての矜持を思い出して欲しい。

それはそれとして。2年遅れてやってきた天文大好き少女を、トロピカる部がお手伝いするお話。

天文学部を新設したい仲川さん。ちょうどやってくる流星群に興味を惹かれた夏海さんらはお手伝いをすることに。
色んな活動をやってるトロピカる部は、部の宣伝にうってつけです。「トロピカる部がまた何かやってるぞ」の声援も上がっており、校内でも認知されているご様子。もしかしたら「サンドアート部」とかも出来てるかもしれない。

夏海さんとしては「他の学生を支援しよう」なんて意図はなかったはず。自分のやりたいことをやっていたら、結果的に他にも波及した。トロピカる精神と肉体が綺麗に回転しています。

あすか先輩のお父さんの祈祷は、科学的に見るなら全くの無意味(逆効果の恐れすらある)。ですが「熱意が何かを動かす」の観点ではトロピカっています。
結果的に晴れはしましたが、仮に曇りだったとしても、あの祈祷はそれはそれでイベントとして成立していますから参加者は多分楽しんでくれたはず。

桜川先生の動きも素晴らしい。夜の流星観測を相談されて、即座に校長先生にエスカレーション。夜間活動は一担任では決断できません。
校長室には無策で乗り込んでいるのも良いです。対策を練る前に、まず報告を上げる。それから考える。
解決策として出した「保護者の協力」は、結果的に家族イベントに繋がりました。中学生的には家族での参加はちょっと抵抗ありそうにも思えますが、要するに花見イベントのようなもの。現実社会の今の状況を思うと、家族や同級生とわいわいと集ってる様子は、それだけで何か胸にくるものがある…。

「結果的に」といえば、あとまわしの方々にも波及しています。
祈祷の効果だとしたら、ヌメリーらが流星群を見られたのはプリキュアやあすか父のおかげです。誰もそんなことは意図していなかったし気づきもしていませんが、結果的にヌメリーらの助けになった。

各自がバラバラの突拍子もないことをやっているようでいて、結果的に全体に良い結果をもたらしていく。
「意図していない」のに「結果的に」そうなっているのが良いな。

後期EDの歌詞がとても好きです。

『きっと変身願望、みんなこっそりあるでしょ?』
『ほんの少しの変化で不思議、見違えるね』

プリキュアになりたいとみんな常々思っているけれど(断定)、「プリキュアになる」とは分かりやすく変身アイテムが支給されることではなく、日常の些細なチャレンジなんだろうと思う。「プリキュアになろう」と意識したわけでもない、ささいなほんの少しの変化が、後から振り返ると結果的に「ああ、あの時プリキュアになったんだな」と思えるとか。そんなトロピカるな生き方をしていきたい。
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(第25話)トロピカル~ジュ!プリキュア「桜川先生パワーアップ大作戦!」感想

2021年08月22日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第25話)トロピカル~ジュ!プリキュア「桜川先生パワーアップ大作戦!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第25話より)

トロピカる部顧問・桜川咲先生のパワーアップ回。但しパワーアップはしない。

先にどうでもよいことを書いてしまうと、この先生、SplashStarの美翔さんに似てる。ビジュアル的には目が。
性格や言動も意外にこんな感じな気がする。美翔さんは相棒が日向さんだったからか「しっかり者」かのように扱われていますが、「熱中すると周囲が見えなくなる」娘さんなので他チームなら「うっかり天然系」のポジションだったと思う。美翔さんの母もそんな感じでしたし。
下の名前が「咲」なところと合わせて、SplashStarのハイブリッドがモチーフだったり…は考えすぎか。

「子供の仕事ぶりをチェックし、連れ戻そうとする」のはよくある構成ですが、親には全くその気はなく、そもそも見学に来ること自体も「ついで」なのはとてもトロプリ的だと思います。
お父さんは趣味のアイドルを応援していただけ。それが結果的に、仕事の問題の解決にも繋がった。子供を連れ戻してやりくりするのではなく、外部からリソースを得ています。

「ついでに」見学に来たのも素敵な流れです。遠方にいる子の生活が気にはなっても、わざわざ出向くかというとそれはそれで抵抗があります。だから「ついで」。
たまたま近くに行く用事があったなら、見に行くのは自然な発想。アイドルの応援をしていたことが、子との繋がりにもなった。

トロピカる部の「やるべきことをやっていたら、期せずして将来の役に立った」そのもので、トロピカる肉体と精神を体現なされています。こういうのを見習っていきたい。

桜川先生の職場での様子にも通じることに思えます。直接の描写はないものの、彼女が紹介や手配をしてくれてるイベントの数々は、同僚から渡されたものじゃないかしら。
邪推するなら「面倒くさそうなイベントを押し付けただけ」なのかもしれませんが、それも含めて彼女の普段の言動が結果的に活きている。

一方で「あとまわし」の方々の描写はちょっと気になります。
定番でいえば対比構造になっていて、あとまわし側は何か失敗をしていそうなのに、今回の話はそうは見えません。
夏休みボケのエルダのフォローとしてヌメリーが付き添い、過剰に口出しするでもなく見守り、失敗はしたものの頑張りは上に報告すると言ってくれています。問題を感じない。むしろ良い職場に見える。

強いて違いを挙げるなら、「エルダの世話を主目的としていたヌメリー」と「先生の見学はあくまでついでだったお父さん」でしょうか。そういえば女王様もローラを放置気味に育てています。もし狙っての演出なら、トロプリさんは意外に厳しい。「計画に縛られるな」と同様に「教える・教えてもらう」にも否定的なのかしら。
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(第24話)トロピカル~ジュ!プリキュア「熱血バトル!トロピカる部VS生徒会」感想

2021年08月15日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第24話)トロピカル~ジュ!プリキュア「熱血バトル!トロピカる部VS生徒会」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第24話より)

テレビ中継中のあおぞら中にて。トロピカる部がやらかして、お怒りの生徒会長とクイズ対決することに。

今日の夏海さんのトチ狂いぶりは逆に新鮮なほど。全く一切役に立たないどころか、要所要所で足を引っ張っていらっしゃる。
話の盛り上げ的にぎりぎりまで負けさせる必要があるのはともかくとして、夏海さんの特性的にもこうなってしまうのかも。

微妙に見落としていたのですが、トロプリ組だと体力担当が被っています。
最後の早押し競争は、夢原さんや星空さんだとそもそもついていけません。宇佐美さんや野乃さんは奮闘しそうだけど結果は厳しそう。星奈さんは食い下がりそうな気はするものの、やっぱり天宮先輩に任せると思う。
それらと比べ、夏海さんは勝ってもおかしくなさそう。なのでリタイアさせるために不運に見舞われる悲劇。転んでも泣かない!

知性麗しいわけでもないので正攻法では役に立たず、思ったことはすぐに行動するので計算的なものもできず、閃きに格段に優れているのでもない。
何かボロクソな言い方ですけど、これまでの彼女はむしろかなり優秀な活躍をしていますから、ギャップがすごい。何故こうなるんだろう?「クイズ」というルールがあると「トロピカる精神と肉体」は機能しなくなるんだろうか。無理やりこじつけるなら、「計画して動くのはダメ」に通じる話なんだろうか。

こじつけついでで言うなら、「本来は正解のはずのローラが不正解」もルールのせいです。

海洋世界の知識がないヒトにとっては、近所のダイオウイカおじさんは選択肢にならない。
あと、おそらくこの番組は、クイズ対決の体裁で地方のご紹介をして回る番組と思われます。「砂浜」「重ね着(服屋)」「ボタン展」はいずれも観光スポットなんでしょう。だとすると「クジラ」も観光関係っぽい。多分この近辺にはクジラがいて観光の目玉になっているとか。だから答えは「シロナガスクジラ」。
出題は「世界最大の『生き物』」なので、「木(セコイア)」や「キノコ(オニナラタケ)」とも言えますが、ルールを読まねばならないので「クジラ」が正解。

尤も、番組的には女子中学生様が泥につっこむところを撮りたいでしょうから、ひっかけ問題にする可能性は高い。「ひっかけ」るとしたら「実はクジラではない」と「そんな雑学は常識なので裏をかく」のどちらなのか読みづらいです。回答不能なので運に任せるしかない。「他者に生殺与奪を握られてしまったら、トロピカりようがない」とも。ローラが泥にまみれたのは、そんな面倒な事情があったからなんです。決して魚脳だからではなく。たぶん!

次回は顧問の先生のパワーアップ回。これまでのトロピカる部の活動は何気に先生に支えられています。
今日の様子を見るに、これまで夏海さんが優秀に動けていたのは顧問の提供する環境が良かったからかもしれない。そういう方向にオチがつくのかしら。
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(第23話)トロピカル~ジュ!プリキュア「南乃祭り!教えて、ローラの願いごと!」感想

2021年08月08日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第23話)トロピカル~ジュ!プリキュア「南乃祭り!教えて、ローラの願いごと!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第23話より)

合宿最後の夜。一行は島の南乃祭りに参加し、石に願いを書いて海中に投下。
「願い」といっても他力本願で大きな願いではなく、1年ぐらいで叶える目標のようなもの。
毎年来てもらおうという観光地的工夫を感じますがそれはともかく、皆の願いが印象的です。

・食べ頃野菜を見極められるようになる
・太極拳を極める
・南乃島の可愛いを持って帰る

いずれも島での体験が元になっています。

振り返ってみると、この3人は合宿に「お弁当や枕」「読みたい本」「自前のコスメ」を大荷物で持ち込んでいました。
一般的な旅行の知識として、これらは悪手です。旅に不慣れな人がやりがちなミスで、せっかくの非日常なのに日常に無理に拘ってしまっている。
実際、島についてからはこれらは活躍していません。話数の問題はあるにせよ「島と街の交流」のようなストーリーでも不自然ではなかったのに、そうは描写されていない。

それが帰り際の願い事では、島の出来事に強く影響を受けたものに変わってる。若干の唐突さすらありますが、だからこそ思いを感じます。

「願い」=「納期1年の努力の目標」なのもトロピカる部らしい。
一生涯の夢のような巨大な目標ではない。「夏休みをとるため」のような目先の目標でもない。中目標です。
但し「大目標を叶えるためのブレイクダウンした中目標(マイルストーン)」ではない。

ローラの夢は女王様になることですが、今回書いた願いは全くかすってもいない。
それでいて「小さな願いを積み重ねると幸せへの道筋になる」とも語られている。

バタ足ができるようになるのが、女王になるための何の役に立つのかさっぱり分かりません。それでもやっぱり「糧になる」のは直感的に分かります。
あえて言葉にするなら、異なる身体条件で努力することは多様性への理解を深めてどうたらこうたらとか、不利な条件を克服した経験が工夫と思考の広さの礎になってどうのこうのとか語れはしますが、これらは割と後付けです。

やっていた当時は何かの役に立つとは全く思わなかったのに、後から振り返って「ああ、あれが活きたな」は体感としてしばしばあります。
「小さな石ころが積み重なって、大きな道になる」。トロピカる部の「具体的に何と計画するのでもなく、今一番大事なことを積み重ねる」方針そのもの。
「ハートキャッチ」の「詳しい事情は分からないがお手伝いならできる」を、セルフでやってるような感じとも。

最近の自分事として思うと、昨年から約1年かけてやってたハグプリ最終回考察がそれだったかも。
「最終回のえみるの行動が不可解なので、何とか救いたい」をきっかけに、色々と買って読んで考えて、自分なりの着地点には到着できた。何というか妙な高揚感があったのですが、なるほどあれが「トロピカる精神」に違いない。

「仕事のため」のような明確な目的あってでもなく、「生涯の趣味」のような長い話でもなく、「瞬間的に楽しいから」といった刹那の消費でもなく、「冷静に考えたら何でこんなことやってるのか分からんが、とにかく興味があって面白いこと」に1年かけて取り組んで達成するのは、確かに良かった。
「トロピカる肉体」の方も含めて、今後の生活に取り入れていきたい。
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(第22話)トロピカル~ジュ!プリキュア「ヒミツの大冒険!人魚の宝を探せ!」感想

2021年08月01日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第22話)トロピカル~ジュ!プリキュア「ヒミツの大冒険!人魚の宝を探せ!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第22話より)

満月をバックに跳ねる人魚。素晴らしき様式美。
とある夏の夜に起きた、南乃島の奇跡の出来事です。目撃した語り部の御婆や子供たちは、きっとこの感動を長く語り継いでいくのでしょう…。

…実態は、入場料を払って観光してた人魚が、転んで溺れかけて慌ててサカナになって跳ねただけとは知らぬままに。ひとり迷子だ!

「トロプリ」さんは真面目に練りこんだ演出なのか、勢い任せのジョークが愉快に炸裂してるのかよく分からないことが多いのですが、今回もそんな感じ。

探検するつもり満々で挑んだ洞窟は、実際には観光地化されており、照明等もばっちり。でも現に実在した「人魚の宝」は未発見のまま。それがあったのは『危険』の注意書きの先。感覚に従って漠然と進み、事故で乗り越えてしまった結果、見つかりました。


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第22話より)

転落するローラの両手が伝統芸。

それはともかく、堅苦しく考えるなら「人生は未知の冒険のようではあるが、実際にはある程度の整備がちゃんとなされている。ただ「お宝」は未踏の危険な脇道の先にある」かのような。トロピカる部の方針的にも「事前にがっちり準備するのではなく、その場で臨機応変に対応せよ」ともあります。
まぁ「本気で大冒険させると、真似して事故にあう子供が出かねない」に配慮したのかなとも思いますが、わざわざ観光地だと明言するのは何か深読みはしたくなります。

地味にトロピカる部の顧問の先生も思い出します。今までの部活イベントの大半は、あの顧問が手配してくれていました。夏海さんが無軌道にはしゃいでいるようでいて、何気に道筋を大人が示してくれています。今回の洞窟と同じく、大冒険のようでいて、基本の道筋はちゃんと整備されているんです。
改めて思い返せば、これまでの「プリキュア」シリーズでは「顧問」の存在感はかなり薄かった。一般社会の人間に限定すると、ストーリーに関与しているケースはほとんどなく、「トロプリ」さんの特色なのかもしれない。

一方で、「脇道で見つけたお宝」は実のところ半分です。
愚かしくもローラは、追加玩具にばかり気を取られ、やる気パワーが充填されているらしき壺を見落としています。ヌメリーも同様で、何を探してこなければいけなかったのか把握していなかった。
これに関しては「事前に準備をすべき」だった。伝説の宝が何なのか知ってさえいれば、このミスは防げたのに。
だとすると今回のは失敗エピソードなんだろうか。たぶん「失敗とか成功とか、その一部分だけを切り取っても分からないし、そこに拘るのはナンセンスだ」な気がする。

「人魚であるローラが溺れかける」シーンも気になります。
「人魚がいる雰囲気ではない」とわざわざ言及され、ヌメリーさんもズリズリと下半身を引きずって苦労して移動しています。この洞窟は、人魚に全く向いていない。
だけど水が雪崩れ込んできたあの局面は、人魚であったことが活きた。水陸両用の面目躍如。何が起きるか事前には分からないからこそ、色んな側面の「自分」を持ってるのは大事だ。

そして冒頭に記載の「満月をバックに跳ねる人魚」の図。
おばあさんたちの感動と、実態のずれがなかなかに愉快です。ただ、だからといってそれが何か悪さをしてるのでもない。
「ハートキャッチ」の「他人の事情は分からないが、お手伝いならできる」の逆パターンです。ローラ達は全く意図していなかったのに、事情を知らない御婆たちは感動してくれた。

構図としては、6話の卒業生と同じです。
像を探していた卒業生のお姉さま方には、そんな意図は全くなかったのだけど、夏海さんは勝手にインスパイアされ、トロピカる部の活動方針を捻りだしました。
冬にハトプリと組むという先入観もあってか、これもテーマ的に意図してやってるように思えます。

満月といえば、第2話でもローラは月を背景に跳ねています。あの時は女王様になる夢を語っていました。
今回のこのお宝事件、はっきりとはしませんがおそらくは先代だか先々代だかの女王様絡みと思われますから、奇妙な縁です。
尤も当事者のローラはそんなことは露ほども考えず、溺れかけたので跳ねただけですけど。
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(第21話)トロピカル~ジュ!プリキュア「夏休み!トロピカる部の合宿計画!」感想

2021年07月18日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第21話)トロピカル~ジュ!プリキュア「夏休み!トロピカる部の合宿計画!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第21話より)

夏休みです。登校できるようになったばかりなのに、いきなり長期休暇のローラはぶんむくれ。
でも夏休みだからこそできることはあるんです。毎日筋トレとか、毎日読書とか。ローラはますますぶんむくれ。
そこで夏海さんの実家の南乃島で合宿することになりました。島の目玉は?海!ローラはひたすらぶんむくれ。

「人魚がいるが故に、海イベントが減る」。ちょっとした盲点です。
ローラの性格的に、海の中を紹介しようとかホームで上機嫌になろうとかにはならず、地上を探索する方向に振れるため、いかにもありそうな海中探検とかが起きません。

島に行ったら何をするか。夏海さんが途切れなく語る魅惑スポットを、次々と計画に盛り込んでみる。
なんか途中で涼村さんが変な間で割って入っていましたが、たぶん夏海さんを一旦止めるためだと思う。なかなかに地味で大事なポジションを確立なされたな…。

紙に書き連ねた過密スケジュールは、残念ながら非現実的。最終的に、どうしても外せないものだけに絞り込まれ、あとはその場に任せることになりました。
トロピカる部成立の時と同じ流れだ。今一番大事なことをやる。完璧なる計画でも、何も持たずに行き当たりばったりでもなく、備えはしつつ臨機応変に構える。

その流れを考えると、後の展開は色々と悩みます。

涼村さんやみのりん先輩は重装備で現れた。彼女らが持参した物は、島とは直接の関係がない。冷たく言うなら所持品として失敗だと思う。
あすか先輩の弁当も、リアルに考えると外しています。何せ割とすぐに島についていますから、あの弁当を食べる機会はなかったのでは?おそらく島では歓待の準備をしていたでしょうし。

夏海さん自身はお土産や遊ぶための道具に全力集中していました。
彼女の場合、実家への帰省ですから着替え等々は不要だったと思われます。ゼンゼンヤラネーダにより、街中に下着をぶちまけられる騒動にならなくて、本当に良かった…。

明らかに夏海さんが最も重装備なのに、みのりん先輩らを「大荷物」と評していたのもちょっと気になります。誰もツッコまない謎のボケ。
無粋に深読みするなら「島に行く」目的に沿った準備をしていた夏海さんは「大荷物」ではない、微妙に外していた他3人は「大荷物」とか。
ただ夏海さんも宿題を持参し忘れてるから、無条件に「良い」でもなさそう。

あとまわしの方々は夏休みを欲して、我先にと出撃を志願なされた。
いつもの「あとまわし」とはだいぶ様子が違います。彼らの主義主張としては、とにかく「あとまわし」にしてしまえば休みも何も関係ないのでは?
目的のために率先して頑張るのは、良い行動に思えますが、これは「彼らも根っこは同じである」演出なのか「何かが違う(休む=あとまわしにするために頑張るのは間違っている?)」演出なのか。いやまぁ「特には意味はない」可能性も普通にありますが。

「今一番大事なこと」「あとまわし」やそれから生まれる計画等々の結果が、夏休みや合宿の終了時に分かるはず。最終回の展開の前哨戦とも言えそう。楽しみです。

【通りすがりのプリキュア】

秋映画は「ハートキャッチ」さんとのコラボだそうです。
正直、売上や人気面はともかくテーマ的には全く予想してなかった。何というか最大戦力を惜しげもなく連打してくる感がパワフルだ。

「ハートキャッチ」のテーマは「他人の事情は分からない。だから本質的な問題解決はできない。だけどお手伝いだけでも大きな助けになる」だと思ってます。
服を変えても内面が変わらないと意味がない。でも服を変えれば引きずられて気持ちも変わる。本質的な解決ではないけれど、それでいいと思うんだよね。とは来海さんの弁。

前回のヒープリ&GoGoが、お互いのテーマを補完しあう形でしたから、今回もそうなんじゃないかと期待しています。
それを念頭に先走った読みをしてみる。

第5-6話にて、卒業生が大事にしていたモニュメントを、トロピカる部は勝手に処分してしまいました。
一切悪気はない。それどころか5話では、皆で協力したポジティブなこととして描かれていた。

だけど卒業生の方々にとっては大きなマイナスで、それを挽回するためにトロピカる部は駆けずり回ることに。幸いにしてモニュメントは回収でき、これを通じて夏海さんは「今一番大事なこと」に気づきました。

このエピソードからいくつか想像すると…

(1) 花咲理論の弱点「他人の事情が分からない故に、裏目を引くことがある」の話です。
夏海さんはこれを挽回し、そこから良い結果にもたどり着いた。
なお今にして思えば、花咲さんの天然サークルクラッシャーぶりは、この要素を反映していた…のかもしれない。たぶん違う。

(2) 花咲理論の弱点「通りすがりには手伝う動機がない」の回答になる。
先輩方は、夏海さんを「手伝う」意識すらなかったのに、夏海さんは助かっています。

(3) 花咲理論の弱点「他者が手伝ってくれないと救われない」の回答になる。
「今一番大事なこと」に気づけたのは、夏海さん自身の行動によります。

(4) 花咲理論の弱点「解決策がまったく不明だと手伝えない」の回答になる。
部の方針をどうするかとモニュメント捜索には直接の関係はない。だけど問題解決につながった。

トロプリの他のお話も踏まえると「今一番大事なことをやることで、思わぬ別の物事の助けにもなる」といった方向でしょうか。ローラでいえば、地上を満喫することが女王候補としてもいつか役立つとかの流れです。そういえば「ローラが女王様になるために、何かのアイテムを集める」のようなストーリーでもないです。「直接的な解決方法にチャレンジする」ではなく、「別の行動が思わぬ助けになる」がテーマだったならしっくりくる。

回りくどく書いていますが、「今の自分にとって大事なことをやったら、思わぬ形で未来の自分の役に立つ」は納得がいきます。スタプリ以降の共通テーマに思える「今を生きて、未来につなげる」にも沿っています。

逆にトロプリ理論(色々と不明ですが)の弱点は「自己完結的な局所最適に陥ること」と言えそう。
今一番大事なことをやり、他者の助けなしに、一種のひらめきで自分で答えを見出していくと、どうしても視野に限界が来る。水陸両用のローラが、もはやニンゲンは不要とばかりに自分だけで戦ったなら、やっぱり行き詰ってしまう。
事情を全く知らない通りすがりの第三者からの手助けで、新しい知見やリソースが提供されるのは大事です。

表面的なストーリー予想をするなら、
「気ままに今一番大事なことをやっていたトロプリがピンチ」
→「通りすがりのハトプリが手助けしてくれる」
→「しかしながら事情を知らないこともあり、再度ピンチに」
→「序盤でやっていた、今一番大事なことが、期せずして役に立ち逆転」
→「事情を把握せぬままハトプリが協力して解決」
のような感じかしら。

というかごちゃごちゃ書きましたが、花咲さんを再度銀幕で拝めるのはとても嬉しいです。
ちなみに花咲さんは「人魚姫」をやったことがある。これも何かの縁なのかもしれない。


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(第20話)トロピカル~ジュ!プリキュア「名探偵みのりん!消えたメロンパン事件!」感想

2021年07月11日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第20話)トロピカル~ジュ!プリキュア「名探偵みのりん!消えたメロンパン事件!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第20話より)

メロンパンが消えました。部室から忽然と。誰かが食べたのです。
現場は状況的に密室。容疑者はトロピカる部の面々。
ずっと現場で寝ていた、普通なら最も疑われる立場のくるるんは、「食性が違う」からとすぐに容疑から外れました。食べないにしても、いたずらしてどっかにやったとか考えられると思うのですが、皆のくるるんへの信頼が厚いです。

みのりん先輩の指揮のもと調査を始めたものの、全員に犯行の機会がある。
くるるんに聞けば何か確証が得られそうなものですが、誰もそれは試みません。くるるんに聞いても無駄だ。皆の信頼が厚いです。それが失敗だったのですが…。

真相としては、犯人はローラでした。むしゃむしゃ食べた。飢えに耐え切られず、こっそり食ったのです。
ただまぁ無理もない。常人が侵入できない、アクアパットの中の彼女の冷蔵庫にあったのだから、疑いもせずに食いはする。

尤も、ローラ自身に覚えのないメロンパンなんですから、持ち込んだのはくるるんのはずです。事実、くるるんが入れたものだった。
ということは、ローラは「くるるんの」メロンパンだと認識しながら食ったことになる。

くるるんはメロンパンを食べない(確信)ので、冷蔵庫に入れたのはローラのため、と考えても不思議はない。
察するに日常的にこの状況は起きているんだろうか。ローラはくるるんを飼っているつもりですが、くるるんに餌付けされているのはローラの方なのかもしれない…。

そういえば終盤にくるるんが「ぬいぐるみのふり」をしていましたが、全くごまかせずに「変わったアザラシ」として認知されている気がします。
餌とかもらってそうなので、そのままローラに融通してるんだ。それをむしゃむしゃ食ってるローラ…。

なおローラは言及しませんでしたが、水没していたメロンパンは不味かったんじゃなかろうか。それもあって、話題のメロンパンと結びつかなかったのかもしれない。
「メロンパンを冷蔵庫に入れる」自体が若干謎の行動だし、くるるんが優秀なのかどうなのか、すごく絶妙だと思う。

【あとまわしの世界】

犯人が誰か分からずに揉めたトロピカる部。
犯人が誰か明白なので揉めたあとまわしの人たち。

奪う意図がなくても謝ったトロピカる部。
奪う意図があった上で悪びれない あとまわしの人たち。

色々と深読みできそうなので、あとで思い返してみよう。

【尾びれのある世界】

今回のお話、地味に人魚なことを活かしています。
「ローラが現場にいることはいるが、確認もできず、存在を意識できない状況である」「冷蔵庫にアクセスできる存在が限られている」を満たしつつ、「ローラを人魚姿にする」合法的な理由も作れます。
メロンパン事件のギミックとしてアクアパットがあるのではなく、アクアパットおよび尾びれを活かすためにメロンパン事件を考案したんじゃないかの勢い。素晴らしい。今後も尾びれを大切にして欲しい。

※物凄くどうでもよいことですが、トロプリでは「尾ひれ」で統一されています。「尾びれ」ではない。
「尾ひれ」とは「尾やひれ」のことであり、末端部のひれ以外の背びれ等も含むらしい。
ローラがサカナであることを強調するのであれば、腹びれなどの存在も示唆する「尾ひれ」の方が適切だと思うのですが、個人的には胸びれ等には興味がないので「尾びれ」と名指しで書きたい。
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(第19話)トロピカル~ジュ!プリキュア「まなつパニック!学校の七不思議!」感想

2021年07月04日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第19話)トロピカル~ジュ!プリキュア「まなつパニック!学校の七不思議!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第19話より)

学校の七不思議を調べることになりました。ローラの人魚騒動をごまかすために。そして廃屋の人形に夏海さんが取りつかれました。哀れ、毎日お供えものをする下僕に。
しかしながら日々お供えを続ける内に、人形との交流が深まりました。メロンパンと卵焼きが好きだそうです。
お友達が帰ってくるのを、おなかをすかせながらこの寂しい廃屋で待っているらしい。健気さに、夏海さんも涙。

一方の後回しサイド。プリキュアに迎撃されたエルダは帰還手段を失い、敵地に孤立。辛うじて風雨はしのげるものの、食料調達もおぼつかない。床に残るナメクジ痕が痛々しいです。プリキュアの追撃に怯えながら、必死に逃げ込んだんでしょう…。
我々でいえば、敵だらけの深海で立ち往生し、食べるものもない状況です。呼吸の心配はないとはいえ、これはかなり厳しい。しかも同僚の信条は「あとまわし」です。終わった。

ところが意外にも、後回しの方々は後回しにすることなく、救援に来てくれました。数日かかったのは気がかりですが、通信手段もなかったようなので無理はないかもしれない。
そして助けにきた彼らが見たものは、包囲を縮めるプリキュアどもの姿。恐怖、激高。迷うことなくゼンゼンヤラネーダを起動。やる気を奪う相手もいないので業務上のメリットはないのですが躊躇なし。仲間を守らねば…!

プリキュアと魔女陣営。お互いにお互いを認識していなかったが故に生まれた奇妙な交流。ローラと真夏さんとの間でできたことが、再現された。
あとまわしの魔女様が何をやりたいのか、幹部の皆様はなんで慕ってるのか等々が謎なだけに、今後どう動くんだろう?

【私にも聞こえる】

10周年ということで「スイートプリキュア」とコラボされるそうです。

プリキュア プリティストア

【10周年】7月15日(木)に発売する10周年記念イラストを大公開!プリキュア プリティストアがオープンした時に放送していたスイートプリキュ...

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単発なのか、映画共演のような全体に関わることなのかは分からないですけど、「コラボ相手がスイート」なのはとても納得しました。
これまで「フレッシュ」や「スマイル」等々を考えたものの、今の流れを見ると確かに「スイート」です。

悲しみと幸せは表裏一体。音符の並び一つで変わるもの。
対立するように思えた私たちも、共に過ごし、体験を共有することで分かりあえる。
悲しい=悪ではない。悲しい気持ちは私にもある。「悲しい」は私にも分かる。

最終決戦でのメロディさんの嘆き「ノイズ、あなたは何者なの…?音のない世界にしたいなんて理解できない」からの「ノイズの正体は悲しみだった。「無音」は理解できないが、「悲しい」は分かる。それは私も経験したことだ」は、プリキュア史に残る大どんでん返しだと思う。

トロプリでいうなら、「陸と海」「今やることと後回し」。これらは表裏一体で、善悪で区分けするものではない。そんな方向なのかしら。
今回の話も、敵味方の先入観なく、共に過ごしたら分かりあえています。
魔女様は何を後回しにしたいのか、「後回し」は手段なのか目的なのか等々で、今後のトロプリはもちろん、スイートの解釈にも影響しそう。楽しみすぎる。

「5」「GoGo」が「ヒープリ」のおかげで補強されたように、「スイート」もそうだとしたら「悲しみも大事だ」とかだろうか。
テレビ本編では「悲しみも悪ではない」どまりで、積極的に悲しみを活かそうとまではいかなかったように思う。なのでそこからの発展はありえるのではというか、正式続編の小説版がまさにそんなお話です(感想)。悲しみを力に変えるキュアメロディ。

「トロプリ」は例年と比べて顕著に、日々の会話に「平和を守る」「故郷を取り戻す」的な話題が出てきません。よくある「敵の暴虐に逃げ惑う異世界の民」的な回想とかもない。敵の事情も味方の事情もよく分からない。「目的や状況は分かるのに真相が分からない」だった「スイート」とは真逆のアプローチだけど、「真相が分からない」という面では共通しているのか…。
「トロプリ」の方も何か仕掛けがあるだろうし、ローラに足が生えて物語としては一段落がついただけに、次の展開は気になります。
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(第18話)トロピカル~ジュ!プリキュア「歩くよ!泳ぐよ!ローラの初登校!」感想

2021年06月27日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■(第18話)トロピカル~ジュ!プリキュア「歩くよ!泳ぐよ!ローラの初登校!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第18話より)

歩くよ!泳ぐよ!
喜びと可能性が満ち満ちたタイトルと、冒頭からの堂々たる尾びれの見せつけ。
「人魚に戻れるのか?」の不安もなんのそので、水陸両用のパーフェクト生物に進化なされていました。もはや怖いものはない。

しかしながら。意気揚々と初登校したものの、授業は困難を極めた。
地上の地理など基礎教育の範疇を超えています。地上の一地方の昔の言葉や文化とか、知ってるはずがない。

言うまでもなく、これらはローラが「ポンコツ」だからではなく、生息地による差異です。
逆に、プリキュア界で最も優秀な子たちをグランオーシャンに送り込んだら、同様に「ポンコツ」になるはず。運動方程式に水圧や浮力が登場し、塩化ナトリウムが塩として存在できない世界…。

これまで「足がない」のが最大の壁かのようにミスリードされてきましたが、実際のところ身体的差異より文化や地域の背景の方が大きい。
「足がなくても楽しめる」の別アプローチで、「足があっても解決しない」。水陸両用のパーフェクト生物なんて幻想でした。

泳ぎについても、ローラは「足」のせいにしていましたが、おそらくは「呼吸」と「泳法」の問題です。
ホモサピエンスもサカナも、肺(鰓)に空気(ガス)を取り込み、酸素の確保とともに浮力を調整して泳ぎます。この基本の入り口がいきなり違うのだから、溺れるのも無理がない。テクニックの問題なので、たぶん「息を思いっきり吸った後、ゆっくり吐きながらドルフィンキックだけする」なら驚異的なタイムを叩き出したんじゃないかな。

定番の「転入初日のドタバタ騒動」は、これまでもちょっと危ういところがあった。
昨年のアスミさんの「箸をうまく使えない」は、箸文化のない他国の人に箸を渡して笑うかのような危険がある。初代「ポンコツ」のまこぴーやトワ様も、彼女らの生い立ちを考えればできないのは無理がない。
その懸念を「足の有無は問題の根本ではない」にひっかけて昇華させ、お話としても愉快な形に仕上げられてるのが素晴らしい。

ローラが優秀さを発揮できたのが「生物」の分野なのも面白いです。確かにこの分野は、そこまで大きな違いはなさそう。
深読みするなら「身体差異は壁としては低い方だ」ということなのかもしれない。

もしもローラが「足を生やす」ことを目的にしていたら、今回の話は悲劇になっていました。アンデルセンの「人魚姫」と同じく、「人間になったとしても、問題はそこじゃない」現実。「足が生えたのは結果論であって、目的でも手段でもない」経緯の差が、いきなり出た。「足が生えた!」の次の回でこの話なのは、テーマ的にも愉快さ的にも美しいな。

【蛇足】

「ローラは歩けないままの方が、身障者のメタファーとして良かった」との意見を見かけたので、ちょっと触れます。

個人的には尾びれが好きなので、サカナならサカナのままで居て欲しいのですけど、テーマ的には歩けるようになるのが順当だと思う。というのも「歩けないことが個性なのだから、歩けないままで」は、「身障者は身障者らしくせよ」に繋がってしまいます。「歩けないのは不幸」は間違いだし、「歩けなくてもよい」のですが、「歩くべきでない」は違う。

足がない人が義足をつけて100メートルを10秒で走ったら、アイデンティティが失われたのか?
車いすのままで疾走する方が「真っ当」なのか。それとも車いすでそんなことをするのは「不謹慎」なのか?
当然そんなわけはなく、やりたいのならばやってよいし、できないからといってダメなのでもない。

これは「プリキュアになる」にも通じると思う。
生まれながらの身体的不利のある人類が、プリキュアになることで戦闘できるようになる。
足がない人が義足をつけて走るのと構造は同じです。「プリキュア」は差異を埋める補助器具。
人類は戦闘に向かないから戦わなくてよいはおかしいし、戦えないままだったとしても劣っているのでもない。

考えてみればこれまでも「謎生物にとっては、プリキュアに変身するようなもの」はありました。ココナツの人化とか。
彼らの変身も当時は話題になりましたが、今回の人魚の時ほどアイデンティティだの何だのは注目されなかった。「人魚」の持つ強力なメッセージ性を改めて感じます。
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(第17話)トロピカル~ジュ!プリキュア「人魚の奇跡!変身!キュアラメール!」感想

2021年06月20日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
(第17話)トロピカル~ジュ!プリキュア「人魚の奇跡!変身!キュアラメール!」感想


(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第17話より)

ローラがプリキュアになりあそばされました。足が生えた。
「人魚に足が生える」。これだけを見るなら人魚ものの定番ですが、そこに至るまでの経緯が素晴らしかった。

(1) 自ら解決策に向かうローラ

攫われたローラは、プリキュアのために目印を残しました。それだけでも十分なのに、彼女はプリキュアの救援に依存せず自力での脱出を試みた。
くるるんに鍵を取りに行かせた後も、バレることを見越して罠をしかけた。
結果的にプリキュアは助けにくることができず、くるるんも失敗していますから、二段構え三段構えのローラの優秀さが光っています。
アクアポットを取り返しに行く際にも、くるるんは先に脱出させている。「くるるんの安全を優先するため」が主目的かもしれませんが、このおかげでピンチを切り抜けられた。

魔女様からの取引に、「自分で叶える」と啖呵を切ったそのとおり。説得力がありすぎます。
プリキュアが助けに来てくれるのを、ただ待つだけじゃない。むしろ逆で、「自分がいないとプリキュアは駄目だから」とアグレッシブに助けに行っている。
「足を生やして仲間に入れてもらう」のでも、「無力な人魚なので助けてもらう」のでもない。「私が」助けに行くし、そのための手段としての変身(および足)なんです。

(2) 足がなくても楽しめる

撃墜されたローラは夢を見る。トロピカる部でお歌をやる夢を。
歌は足がなくても楽しめる。皆でできる。そう「足がなくても」不幸ではないんです。

「足が生えて良かったね」だと、身体的差異や文化的マイノリティは不幸なのか?それらは矯正して修正すべきことなのか?の問題にぶつかってしまいます。
足はなくてもよい。そこは主目的ではない。

実際ローラの初戦場は「海中」でした。足はなくても構わない。あえて深読みするなら、ローラが戦いの場を即座に船上に移したのは「海中では不利だ」と悟ったからかもしれません。まぁ「まなつが溺死する」のもあるでしょうけど。ニンゲンって不便。
(蛇足ながら、ローラが蹴り技主体で戦っているのも「足が生えて嬉しかったから」というか、「人魚の喧嘩の基本は尾びれの一撃だから」だと思い込みたい。事実クジラは尾びれでシャチを撃退したりするそうです)


(1)(2)ともに、「人魚」モノとして凄く大事です。
厄介な話をすると、古典的な「人魚姫」は「多数派(よく言われるのが非障がい者や、男性社会)に受け入れてもらうには、心身を刻むほどの代償がいる」というネガティブな側面を抱えています。ディズニーの「リトル・マーメイド」も炎上騒ぎを起こしてる。しかも物凄く面倒なことに「王子のために自分らしさを犠牲にするのは女性差別だ」という批判と、「過激な服装をして父親に反発する娘なんてけしからん」という逆方向の批判を受けている。

ローラの変身は、これらの問題を(服装が過激かはともかくとして)昇華しているように思う。
彼女は譲歩したり代償を払ったりはしていない。海の世界を捨てたり否定もしていない。
友を助ける手段としてプリキュアに変身したら、結果として足が生えただけです。生えたんだから活用しよう。前向きだ。人間化は目的ではなく、手段ですらなく、結果論。

上記はシンプルにストーリーだけを考えるなら、やらない方が良い。
「捕まったローラを助けにプリキュアが来てくれた。でも魔女様相手に大ピンチ。その時ローラが変身して…」の方が素直です。今回の流れだと「サマーたち、役に立ってないな」ともなりかねない。
「足がなくても楽しめる」の夢のシーンも不要です。「え、足がなくてもいいとか言ってたのに、結局は足が生えるの?矛盾してる」と誤解されかねない。
でもこれらの描写があったかどうかで、「人魚に足が生える」の説得力が段違い。「プリキュア」シリーズであると同時に、「マーメイド」ものとしても成立しています。

そしてこんな手間がいる「マーメイド」を演出に採用したということは、これが全体テーマにも関わっていると思われます。
みのりん先輩の無表情とかも、「無表情=悪いこと」ではなく、やる気がないわけでもないと繰り返し描写されています。かといって変身後の陽気さを否定してもいない。
涼村さんでいえば「紫が好きなのに別の色を選んだ」、あすか先輩の「会長と何かある?(察するに風紀とか勉強系?)」とかも、その観点で再解釈されるのかも。

それらに「プリキュア」エッセンスをどう組み合わせるのかも気になります。
相羽さんの記事(「トロピカル~ジュ!プリキュア/感想/第16話「魔女の罠!囚われたローラ!」(ネタバレ注意)」)にとても共感したので引用しますと

[引用]
『世界に押し付けられる「条件づけ」を無効化して、本来の自分のまま(精神的にも物理的にも)自由に「境界」を移動できる存在=プリキュア』
[引用終]

今回のローラの変身そのものは、割とあっさり描かれてるんですよね。打ちのめされて溜めて溜めてからの「プリキュアになりたい…!!(ぴかー)」ではない。「この精神性・行動力のローラが、プリキュアになるのは当然だ」ぐらいの勢いです。
秋映画の舞台が「冬山」(夏海さんにとってもローラにとってもアウェイの第3の世界)なのも「境界」の移動に関連してるのかも。

「プリキュアでマーメイドものをやるとこうなる」もしくは「マーメイドもので、プリキュアをやるとこうなる」のようなジャンルの横断的な興奮があります。今年はいつにも増して、いつもとは違う方向からも楽しいな。
しかも来週は「人間化したマーメイドを、即座にプールに放り込む」ですよ!「濡れたらサカナに戻る」のか「思うように泳げず溺れる」のか「息ができない!?足とか以前に呼吸器の差が!」なのか「凄まじく美麗に泳いで見せつける」のか、何かもうどのパターンでも愉快です。愉快で、それぞれ色々と考察も捗る。制作者様のマーメイドの扱いが適切すぎて、感嘆と称賛が止まらないです。

【蛇足】

改めて考えてみれば、今回の「マーメイド」もの+「プリキュア」のように、ジャンル横断的な試みはこれまでもされてたのかしら。
「ハグプリ」は時間SFとしてかなり高度で、「歴史改変」と「未来不変」を矛盾なく成立させつつ、そのギミックに「プリキュア」を使う…という驚異的なことをされている、と思う(参考:「タイムパラドックスの真相」)。

私が未熟で気づかなかっただけで、「魔法つかい」や「Goプリ」でも、「魔法学校ものの定番のネタ」「プリンセスものの伝統的なギミック」とか仕込まれてたんじゃなかろうか。
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