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「世界はいつ分岐したのか」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2021年02月14日 | ハグプリ最終回考察
私は「世界はひとつ、歴史は変わらない」派ですが、思考の幅のため「分岐」「歴史改変」の立場でも考えてみます。
そして考えた結果、最終回から2年たった今ようやく「分岐」「改変」でも説明できそうな道を見つけた。人は成長する。

【世界の分岐点】

そもそもの出発点となる「分岐」はいつ起きたんだろう?

分かりやすいたった一つのポイントがあるのか、それとも曖昧に行ったり来たりしながら複数の要素の積み重ねで分岐が確立したんだろうか。
そんなの特定のしようもないので、ひとまず「何かポイントとなる分岐点があった」と仮定してみる。
候補になりそうなのは5つあります。

①野乃さんの前髪の失敗
②はぐたんの飛来
③敵幹部の救済
④黒白先輩の召還
⑤アンリくんの救済

順に考えてみる。

【候補①野乃さんの前髪の失敗】

第1話冒頭にて野乃さんは前髪のカットに失敗します。
別世界の野乃さん(仮)は違う前髪をしていますから、「この前髪失敗が世界の分岐点だった」といえる。視覚的にも分かりやすい。

…分かりやすいのですが、ここから始まる大きな出来事の行方が「前髪をどう切ったか」で決まっていいんだろうか。

野乃さんたちが頑張ったから変わったのではなく、前髪を失敗したから未来は明るくなった。肩透かし感が否めません。
もちろんバタフライ効果的に積み重なったからであって、前髪が全てではない、とも主張はできます。
が、バタフライ効果を前提にするなら、未来は変わりまくるのが当たり前。ジョージたちの「何度やっても未来は変わらない」と致命的に矛盾します。

候補①の肝は「はぐたんの飛来前に分岐していた」ですから、これを採用するのであればそこを活かしたい。
つまり「実は第1話が始まりではなく、もっと前から仕込まれていた」。タイムトラベルものの王道です。

【候補②はぐたんの飛来】

はぐたんが来たから分岐した。分かりやすい。

欠点も分かりやすいです。
第一に「過去に戻る」行為の発端は未来ですから、分岐点は過去ではなく未来になってしまう。
また、飛来しただけで変わるなら、先ほどと同様にジョージたちは何を悩んでいたのか分からない。

「いつ飛来したのか」も何気に曖昧です。

第1話を見ると、はぐたんが飛来したかのような描写は
・野乃さんの登校中
・屋上に三人集まっていたとき
・夜の野乃邸
の3つがある。

とりあえず最初の「登校中」が分岐点だとすると、元の歴史は何となく想像できます。

「登校中の野乃さんは、ボールに当たりそうになっているお祖母さんを見かけ、反射的に庇った。
この瞬間にはぐたんが飛来し、なぜか時間が停止。あれボールが当たらないぞと不思議に思い、体勢を変えたところで時間再開、ボールがぶつかる」

この流れでしたから、はぐたんが来なかった場合、野乃さんはそのまんまボールの直撃を受けます。
当たりどころが悪くて登校できず、何なら骨をやってしまい入院。出だしでつまづいたのでクラスに溶け込めず。
入院中に薬師寺さんは役者が忙しくなり、輝木さんはますますグレてしまい、交遊関係も築けず。
これが本来の歴史だったのかもしれない。入院中に髪が伸びたとすれば、前髪の違いも解消できます。

ただこれだと、どうやってプリキュアになるんだろう?
ジョージは「未来は変わらない」と認識していますから、「2018年にプリキュア出現」なんて大事件には動揺するはず。動揺しなかったということは「元の歴史でもプリキュアはいた」と考える方が自然に思えます。

【候補③敵幹部の救済】

②との区別を明確にするため、③④⑤は「元の世界でも、はぐたんが未来からやってきた。が、解決しなかった」とします。「はぐたんの飛来」までは史実どおり。それから変わった。

その変わったタイミングとして、まず思い浮かぶのは「各幹部の救済」です。
チャラリートとの最終戦で剣をタクトに変えていますから、いかにも「変わった」感はある。

元の歴史ではチャラリートは普通に斬首された。
ルールーは寝返らず、エトワールのプリハートも返却されなかった。必然的にエトワール脱退。
その後ルールーは撃破されアムールも出現せず。
以下、苛烈な消耗戦になり、誰も幸せになれない泥沼に。

とりあえずストーリーとして成立はしますが、「じゃあ何で変わったのか」が分からない。
①と同様に「バタフライ効果的な偶然」では腑に落ちません。

【候補④黒白先輩の召還】

「何か理由づけになりそうなこと」と言えば「はぐたんのタイムトラベル」です。
厳密に言うなら「なぜ今回の歴史ではタイムトラベルをしたのか」の問題にすり変わるだけなのでエンドレスなんですが、それは横に置こう。

はぐたんの不思議パワーとしては第1話の他、第21話の黒白先輩の召還が印象的です。すなわち「元の歴史では黒白キュアは召還されなかった」。
そのためパップルに敗退、または容赦なく撃破。以下、泥沼な消耗戦へ。

15周年の記念シリーズですから、「初代プリキュアの介入により未来が拓けた」は美しい気はする。
とはいえ横に置いた問題「じゃあ何で今回の歴史では召喚したの?」で止まってしまう。

【候補⑤アンリくんの救済】

ジョージが「歴史が変わった」と明言しています。それまでは狼狽えていなかった(とも限らなかった気もしますが)ので、ここが分岐点。
ただ結局は①②③④と同様に「何が違ったから今回は変わったのか」が分かりません。
また、ここまで来てからの分岐だと、元の世界と大差ない気がする。野乃さん(仮)はこの時点からどう「失敗」したんだろう…?

【私たちとプリキュア】

一通り見ましたが、考えれば考えるほど「なぜその変化が起きたのか」「その原因は以前は起きなかったのに、今回はなぜ起きたのか」が延々と続くので解決しません。
量子論的な揺らぎによる変化だったらジョージの「未来は変わらない」と矛盾するし、特別な何かで変わったならそれはなぜ起きたのか。
これはもうハグプリ世界の中で考える限りどうにもならない。やはり「歴史改変」「平行世界」には無理がある…と思ったのですが。

候補④「黒白先輩の召還」は突破口があった。


(「HUGっと!プリキュア」21話より)

あの時マシェリは「おもちゃをくれ」とねだっていました。
これを見た我々は、おそらく誰もが追加おもちゃを連想したし、我々の知る最も頼もしい「おもちゃ」は「プリキュア」です。
そして、はぐたんが不思議パワーで「おもちゃ」を召還した。我々が連想した「おもちゃ」の代表格たるプリキュアを。

つまりは概要としてはこんな感じ。

『ハグプリ世界は未来不変。歴史は変わらない。延々と2043年からのクライアス侵攻や破綻を繰り返している。
しかし今回のループは外部の存在(私たち視聴者)が観測していた。その影響で歴史が変わった』

この演出は「オールスターズメモリーズ」で行われています。15年のプリキュアの歴史を知り、応援するみんながいた。だから復活できた。
同様に21話も、プリキュアを知る我々が視聴していたから黒白が召還された。

この時の出来事を、雪城さんは「別の世界に迷い込んだ?」と表現していますから、単なる瞬間移動ではなく「時間移動」や「異世界」でも辻褄はあう。
まさにあの瞬間まで、あの世界には黒白先輩はいなかった。しかしあの瞬間に歴史が変わり、プリキュアの歴史が生まれた。「プリキュア」を知る私たちが観測し、マシェリの呼び掛けに「プリキュア」を連想し、それをはぐたんが呼び出したから。

「積み重ねた15年(こどもにとっては人生そのもの)があったから踏ん張れる」はハグプリの根幹ですから、ここを起点にするのはかなりすっきり理解できる気がする。
細かい部分は整理するとして、大枠の光は見えてきたんじゃないかしら。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
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