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(第29話)ひろがるスカイ!プリキュア「ソラと、忘れられたぬいぐるみ」感想

2023年08月20日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第29話)ひろがるスカイ!プリキュア「ソラと、忘れられたぬいぐるみ」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第29話より)

あまりに異質で不思議なお話でした。

突然沸いてきた動くぬいぐるみの怪異。
これまでとは全く違う、何かを助ける話。
ミノトンらしからぬ戦い方で、しかも戦略として意味も必然性もない。

ここまで異質だと、意図してのものとしか思えません。

館ランボーグの体内での出来事は、素直に見るなら「オールスターズメモリーズ」のミデンとの戦いのオマージュに見えます。
「際限なく追いかけてくる巨大な敵」「不思議な空間で手を差し伸べる」「捨てられた大事な品」などなど。

但し、決定的に異なることがある。

・思い出を持たなかったミデンに対し、ぬいぐるみは思い出を持っている
・思い出を土台にしたエールに対し、スカイは思い出を持たない

立場が入れ替わっている。
努力する機会すらなかったミデンと比べて、ソラさんには鍛錬の過去がありますから、綺麗にひっくり返っているのではない。
とはいえ、かなり象徴的な対比になってる。

これまでも繰り返し描写されてきたように、ソラさんには幼少期に遊んだ子供らしい思い出がない。
現実世界でいえば、医者などになるために遊びを我慢して勉学に励んできたようなもの。
そう思うと、ソラさんは「プリキュア(子供時代の遊びの思い出)」を知らないプリキュアなのか。

10周年や15周年では、子供時代の思い出(プリキュア)を胸に、現実の不幸に立ち向かっていました。
20周年の今年は、考え方が逆なのかもしれない。
現実の壁にぶつかったかつての子供が、自分が切り捨ててきた子供時代の思い出の大切さに気付くとか。

これも現実世界で見ればイメージしやすいかも。
ずっと勉強やスポーツに励んできて、それしか知らないまま社会に出て、壁にぶつかった。
そんな最中にふと経験した、これまで「無駄だ」と馬鹿にしてきた子供っぽい遊びが、新しい視点をもたらし成長につながった。

ここまで劇的ではないにしても、社会人になって子供時代の楽しみを忘れる人は珍しくないと思う。
忙しい激動の日々に、とにかく早く一人前(ヒーロー)にならなきゃと職場と自宅を往復するだけの日々。
ぬいぐるみを忘れてきてしまったように、かつて大好きだった「プリキュア(に象徴される子供時代の宝物)」を忘れてしまった。
そんな折に、忘れてきた思い出と再会するのが「ひろプリ」なのかもしれない。

確かに、全プリキュア展等でメインターゲットに据えた「20代女子」は、ドンピシャリでそのような方々が多数いそう。
私自身が20年ずっとプリキュアを見てきてるせいで失念しちゃってましたが、「子供の頃に応援して、その後プリキュアから離れる」方が多数派だものな。
「プリキュアは子供っぽい」と卒業したお子様たちが、社会人になり改めて「プリキュア」に触れる。20周年作として非常に納得できるコンセプトです。

一方で、1か月後に公開の「オールスターズF」は「プリキュアしかいない世界」が舞台のようです。
ヨヨ邸での日々は「プリキュアしかいない」ので、それに掛かってるのかとは思っていましたが、今回の話を見ると正に「ひろプリ」の本質に直結する要素っぽい。

「プリキュア」と「ヒーロー」の違いも、ようやく朧げに見えてきた気がします。
考えてもみれば、子供時代の遊び(プリキュア)を知らないソラさんがプリキュアをやってるのは、かなり異様です。
プリキュアを知らないキュアスカイが、自身も成長しながら、プリキュアを忘れてしまった私たちにプリキュアを思い出させてくれる物語か。

奇しくも今年は春映画がなく、ソラさんたちはストーリー上も他のプリキュアのことを知らない。
20周年でありながら「プリキュアを知らないプリキュア」というのは、なかなか尖ってる。俄然、面白さが加速してきた。
コメント
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