「Dancing☆Starプリキュア」(ぼくプリ)が未就学児の観劇禁止だったことを受けて「子供向け」のワードをあちこちで見かけたので、自分なりの解釈をまとめてみます。
【子供向けとは何か(1)】
この言葉はかなり曖昧で、そのせいで擁護・批判のどちらも話がかみ合っていないように見えます。
私の考えとしては、この言葉の背景は主に2つある。
まずストレートに「子供を大切にしよう」という「大人」としては当然の思想です。
子供席がなくても、自然と子供を前に誘導して譲っている光景は、プリキュアイベントでは頻繁に見かけます。
この感覚が(そうでない人もいますが)共有されているので、子供を優先しないことに大きな違和感を持ってしまう。
「仮面ライダー」等よりこの感覚が強く表れるのは、「プリキュア」の対象年齢が短いことが理由の一つかと思います。
保育園・幼稚園の年中・年長さんが最盛期で、小学校に上がると徐々に恥ずかしさを覚え、フェードアウトしていく。これが一般的なイメージでしょう。
「仮面ライダー」等より対象年齢が低く、「アンパンマン」等ほど記号化されていない。
だから短い期間を精一杯楽しんで欲しいという気持ちが、他より強く出る。
もう一点、対象としてイメージするのが「女児」なのも影響していると思います。
これに関しては正直あまり良いことではないのですが、「女の子は(男の子より)守るべきだ」が出やすい。男の子は我慢しろ。
完全に差別ですけど、是正すべきは「男の子は我慢」の方だと思うので、これ以上は触れないことにします。
(「スイートプリキュア♪」ラブギターロッドのCMから引用)
やや蛇足になりますが、このラブギターロッドのCMは個人的にとても好きです。
なりきり遊びを楽しむ女児(小学生ですが)と、それを受けてお姉さんやオッサンが楽しく踊りだす。中心に子供がいて、周囲が盛り上げる。
この項でいう「子供向け」の精神が現れていると思う。
【子供向けとは何か(2)】
もう一つの背景は、「子供向けに相当する内容が好きであり、それをプリキュアらしさと認識している」。
「(プリキュアにおける)子供向け」としてすぐ思いつく要素だと、とりあえずはこのあたりが代表例かと思います。
・恋人がいない。過度の恋愛描写(例えばベッドシーン)がない
・性的な強調をした入浴や水着などがない
・腕が切断されたり、メインキャラクターが死んだりしない
・バッドエンドで終わらない
※例外もある。例えば夢原さん。絶対の条件ではなく傾向と捉えてください。
これらは、同じ「子供向け」でも「仮面ライダー」等にはあてはまりません。
逆に「アンパンマン」等だと、もっと厳しい制約がある。
つまりは「子供向け」とは「プリキュアの基本方針」「プリキュアのレギュレーション」を言い換えている面がある。
「プリキュアは子供向けだから」とは、「プリキュアは過度の恋愛描写がなく、お色気シーンがなく、グロシーンもなく、ハッピーエンドで終わるものだ」と、この点ではほぼ同義です。
そのため「子供向けではない」と言われると、これらのレギュレーションが撤廃されたように感じてしまう(後述しますがこれは誤認)。
言い換えると、「プリキュアらしい」と感じていた諸々の要素の撤廃ですから、「プリキュアらしくないなら、そんなのプリキュアじゃない」となります。
【批判側の誤解(と私が思うもの)】
次に、批判側が誤解していると思うことに触れてみます。
(1)の「子供向け」については、逆に言えば「卒業してしまう小学生を捕まえるために企画した」とも考えられます。
「(いわゆる)腐女子狙いだ」のようなレッテルが先行し、擁護側も「大人向けなんだから子供は騒いで迷惑」のような反応をしているせいで、影が薄くなっちゃっていますが、小学生や中学生をターゲットにしていても何らおかしくはありません。
その場合も「未就学児が見られない」ことは何も変わらないんですけれど、印象は大分違います。
アニメのプリキュアに恥ずかしさを覚え始めたら、次はステージのプリキュアへ。
例えば公式のキャッチコピーが「プリキュアを卒業した子供たちへ」などだったら、子供向け(未就学児)から子供向け(小学生)への拡張ですから、反発は減ったと思う。
(2)については、プリキュアらしさ(過度な恋愛シーンがない等)を捨てるとは発表されていません。
「挑戦」「大人向け」を強調して擁護しすぎているせいで、ありていに言えばBL的要素や露出が増えるんじゃないかのような懸念があるのですが、現時点では被害妄想の域です。
その視点で見ると、発表されているコスチュームは露出度が低く、もしかしてこの懸念を事前に防ぎたかったのでは?とすら思えます。
【擁護側の誤解(と私が思うもの)】
一方、上記の「子供らしさ」の言葉の背景を踏まえると、擁護意見の幾つかは「反論」になっていないのが分かるかと思います。
「小学生も子供だ」は、この文脈でいう「子供」とは、コアターゲットの未就学児のことなのでずれている。
「小学生になってから見ればよい」は、「小学生になったら卒業」とかみ合わっていない。
「映像化してから見ればよい」は、「子供に譲る」精神に反するし、そもそも見せられる代物なのかの疑問が残る。
「仮面ライダーにも子供お断りがある」は、「ここでいう「子供向け」とはプリキュアのレギュレーションのこと」なので、他番組は関係ない。
「未就学児は騒ぐから」「楽しめないから」は、「そこを放棄したらプリキュアじゃない」。
「新しいことへの挑戦、多様性を認めよう」は、「プリキュアらしさを全否定するなら、ただの破壊だ」。
深夜放送予定の「まほプリ」続編については、見ようと思えば未就学児も見られますから、前提が異なります。
オトナプリキュアの発表の際に「子供向けなのは変わらない」とのコメントも出ていたので、(2)の要素にも反しない。
【公式サイドに望むこと】
反論は多々あるかと思いますが、以上がひとまず今の私の認識です。
その上で公式様にはできればお願いしたいこと。
とにかくさっさと情報を出して欲しい。
これらの問題は、あらすじが発表されるだけでもそれなりに解消します。
舞台稽古の様子がアップされれば、どんなノリかもある程度は分かります。
「ああそうか、プリキュアのレギュレーションが全撤廃ではなく、ここを変えるだけなのか」のように分かれば「子供向けじゃないからプリキュアじゃない」は薄れるはず。
「小学生の子供を連れて行っても大丈夫なのか?」を懸念している親御さんもいるんじゃないかと思います。
現状だと擁護も批判も誤解が先行してしまい、深刻な分断を引き起こしているように見えます。ぶっちゃけ、「あいつらに賛同したくないから反対(賛成)」の域に達してしまいかねない。だから早く情報を出して欲しいです。
実際の「ぼくプリ」が小学生にも見せられない内容だった場合は、また別途考えてみる。
【子供向けとは何か(1)】
この言葉はかなり曖昧で、そのせいで擁護・批判のどちらも話がかみ合っていないように見えます。
私の考えとしては、この言葉の背景は主に2つある。
まずストレートに「子供を大切にしよう」という「大人」としては当然の思想です。
子供席がなくても、自然と子供を前に誘導して譲っている光景は、プリキュアイベントでは頻繁に見かけます。
この感覚が(そうでない人もいますが)共有されているので、子供を優先しないことに大きな違和感を持ってしまう。
「仮面ライダー」等よりこの感覚が強く表れるのは、「プリキュア」の対象年齢が短いことが理由の一つかと思います。
保育園・幼稚園の年中・年長さんが最盛期で、小学校に上がると徐々に恥ずかしさを覚え、フェードアウトしていく。これが一般的なイメージでしょう。
「仮面ライダー」等より対象年齢が低く、「アンパンマン」等ほど記号化されていない。
だから短い期間を精一杯楽しんで欲しいという気持ちが、他より強く出る。
もう一点、対象としてイメージするのが「女児」なのも影響していると思います。
これに関しては正直あまり良いことではないのですが、「女の子は(男の子より)守るべきだ」が出やすい。男の子は我慢しろ。
完全に差別ですけど、是正すべきは「男の子は我慢」の方だと思うので、これ以上は触れないことにします。
(「スイートプリキュア♪」ラブギターロッドのCMから引用)
やや蛇足になりますが、このラブギターロッドのCMは個人的にとても好きです。
なりきり遊びを楽しむ女児(小学生ですが)と、それを受けてお姉さんやオッサンが楽しく踊りだす。中心に子供がいて、周囲が盛り上げる。
この項でいう「子供向け」の精神が現れていると思う。
【子供向けとは何か(2)】
もう一つの背景は、「子供向けに相当する内容が好きであり、それをプリキュアらしさと認識している」。
「(プリキュアにおける)子供向け」としてすぐ思いつく要素だと、とりあえずはこのあたりが代表例かと思います。
・恋人がいない。過度の恋愛描写(例えばベッドシーン)がない
・性的な強調をした入浴や水着などがない
・腕が切断されたり、メインキャラクターが死んだりしない
・バッドエンドで終わらない
※例外もある。例えば夢原さん。絶対の条件ではなく傾向と捉えてください。
これらは、同じ「子供向け」でも「仮面ライダー」等にはあてはまりません。
逆に「アンパンマン」等だと、もっと厳しい制約がある。
つまりは「子供向け」とは「プリキュアの基本方針」「プリキュアのレギュレーション」を言い換えている面がある。
「プリキュアは子供向けだから」とは、「プリキュアは過度の恋愛描写がなく、お色気シーンがなく、グロシーンもなく、ハッピーエンドで終わるものだ」と、この点ではほぼ同義です。
そのため「子供向けではない」と言われると、これらのレギュレーションが撤廃されたように感じてしまう(後述しますがこれは誤認)。
言い換えると、「プリキュアらしい」と感じていた諸々の要素の撤廃ですから、「プリキュアらしくないなら、そんなのプリキュアじゃない」となります。
【批判側の誤解(と私が思うもの)】
次に、批判側が誤解していると思うことに触れてみます。
(1)の「子供向け」については、逆に言えば「卒業してしまう小学生を捕まえるために企画した」とも考えられます。
「(いわゆる)腐女子狙いだ」のようなレッテルが先行し、擁護側も「大人向けなんだから子供は騒いで迷惑」のような反応をしているせいで、影が薄くなっちゃっていますが、小学生や中学生をターゲットにしていても何らおかしくはありません。
その場合も「未就学児が見られない」ことは何も変わらないんですけれど、印象は大分違います。
アニメのプリキュアに恥ずかしさを覚え始めたら、次はステージのプリキュアへ。
例えば公式のキャッチコピーが「プリキュアを卒業した子供たちへ」などだったら、子供向け(未就学児)から子供向け(小学生)への拡張ですから、反発は減ったと思う。
(2)については、プリキュアらしさ(過度な恋愛シーンがない等)を捨てるとは発表されていません。
「挑戦」「大人向け」を強調して擁護しすぎているせいで、ありていに言えばBL的要素や露出が増えるんじゃないかのような懸念があるのですが、現時点では被害妄想の域です。
その視点で見ると、発表されているコスチュームは露出度が低く、もしかしてこの懸念を事前に防ぎたかったのでは?とすら思えます。
【擁護側の誤解(と私が思うもの)】
一方、上記の「子供らしさ」の言葉の背景を踏まえると、擁護意見の幾つかは「反論」になっていないのが分かるかと思います。
「小学生も子供だ」は、この文脈でいう「子供」とは、コアターゲットの未就学児のことなのでずれている。
「小学生になってから見ればよい」は、「小学生になったら卒業」とかみ合わっていない。
「映像化してから見ればよい」は、「子供に譲る」精神に反するし、そもそも見せられる代物なのかの疑問が残る。
「仮面ライダーにも子供お断りがある」は、「ここでいう「子供向け」とはプリキュアのレギュレーションのこと」なので、他番組は関係ない。
「未就学児は騒ぐから」「楽しめないから」は、「そこを放棄したらプリキュアじゃない」。
「新しいことへの挑戦、多様性を認めよう」は、「プリキュアらしさを全否定するなら、ただの破壊だ」。
深夜放送予定の「まほプリ」続編については、見ようと思えば未就学児も見られますから、前提が異なります。
オトナプリキュアの発表の際に「子供向けなのは変わらない」とのコメントも出ていたので、(2)の要素にも反しない。
【公式サイドに望むこと】
反論は多々あるかと思いますが、以上がひとまず今の私の認識です。
その上で公式様にはできればお願いしたいこと。
とにかくさっさと情報を出して欲しい。
これらの問題は、あらすじが発表されるだけでもそれなりに解消します。
舞台稽古の様子がアップされれば、どんなノリかもある程度は分かります。
「ああそうか、プリキュアのレギュレーションが全撤廃ではなく、ここを変えるだけなのか」のように分かれば「子供向けじゃないからプリキュアじゃない」は薄れるはず。
「小学生の子供を連れて行っても大丈夫なのか?」を懸念している親御さんもいるんじゃないかと思います。
現状だと擁護も批判も誤解が先行してしまい、深刻な分断を引き起こしているように見えます。ぶっちゃけ、「あいつらに賛同したくないから反対(賛成)」の域に達してしまいかねない。だから早く情報を出して欲しいです。
実際の「ぼくプリ」が小学生にも見せられない内容だった場合は、また別途考えてみる。