「横山大観」と言えば富士山の絵が有名ですが、【群青富士】(六曲一双屏風)の展示期間が5月6日までとの事なので、ゴールデンウイークを避ける為に急いで24日(火)に行って来ました。【群青富士】は金泥の下地の上に描かれた森林の緑青(近景)、富士の群青(遠景)、残雪と雲海の白と3色だけのシンプルで大らかな作品です。白の絵具から金泥が透けてフワフワに見える雲海の感じとか、群青の富士と残雪とのシャープで力強い輪郭は実物でしか味わえないものでした。
【生々流転】は水の一生を表した作品で、1日の時間・1年の季節にもなぞらえていて、最後に行くと前に戻ると言う「無限のループ」になっています。40m以上にも及ぶ日本一長い画巻は圧巻でした。大胆に描かれた全体のタッチと比べ、人や動物・家は繊細に描かれていました。【彗星】は1912年の作品で1910年に接近した「ハレー彗星」を描いた水墨画です。シンプルですが発想がユニークで面白い作品だと思いました。「ハレー彗星」を実際に見たのか気になりました。100%「横山大観」の作品で見応えのある展覧会でした。
14時からボランティアガイドにより、所蔵作品を対話を交えながら鑑賞するギャラリートークがありました。この日のテーマは「点」でした。1作品目は「船田玉樹」の【花の夕】でした。「円いのは何の花なのか」から始まり、「真ん中の茶色の円は何か」など侃々諤々。実物より写真に撮ったほうが綺麗でした。他には「瑛九」の点描風の作品【田園】や、「リー・ウファン」の白い紙に点を描いただけの様の見える【海と島】に付いて語り合いました。対話形式のギャラリートークは初めての体験でした。
歩いて5分程の所にある「国立近代美術館工芸館」にも行きました。ここには初めて行きましが、この建物は「旧近衛師団司令部庁舎」を保存活用したものだそうです。ちょうど《工芸館開館40周年記念・名工の明治展》をやっていました。「浜田庄司」の【青釉十字文大鉢】や「三代德田八十吉」の【燿彩鉢 創生】など貴重な作品が沢山ありました。「鈴木長吉」の【十二の鷹】は修復後初のお披露目だそうです。全部で12作品。本物と見紛うリアルな表現には感嘆しました。「鈴木長吉」はこの作品の為に実際に鷹を飼って、写生を繰り返していたというから納得です。明治の匠の技に触れる事が出来ました。
「船田玉樹」の「花の夕」 / 「リー・ウファン」の「海と島」
国立近代美術館工芸館 / 「浜田庄司」の「青釉十字文大鉢」
「鈴木長吉」の「十二の鷹」の一部