サヨコの独り言

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《 東国の古墳文化の実像を求めて 》 -大塚初重と明治大学考古学-

2023年07月26日 | 展覧会

この日は東京では35度超の猛暑日でしたが、「明治大学博物館」は駅から近いので思い切って行って来ました。「大塚初重」名誉教授は昨年に95歳で逝去されました。「大塚先生」は「明治大学考古学博物館」の初代館長を務めました。太平洋戦争から復員の後、発掘によって歴史を明らかにする考古学の存在に衝撃を受け、静岡県の「登呂遺跡」の調査への参加を皮切りに、1950年に創設された考古学専攻と歩みをともにする形で日本各地の遺跡の発掘調査とその研究に携わりました。

その中でも、石で古墳の墳丘を築く積石塚が特徴的な長野県の「大室古墳群」未盗掘の状態で壁画が描かれていた横穴式石室が発見された茨城県の「虎塚古墳」をはじめとする東日本の古墳文化を研究の中心に据え、実像を明らかにして来ました。本展では、「大塚先生」が手がけた発掘調査による数々の出土品・調査記録とその関連資料から、その研究と考古学の普及に対する情熱と足跡が伺えました。

「玉里舟塚古墳」の武人の埴輪は上半身と下半身を別々に作り、設置時にはめ込むという特殊な方法で作られています。これは茨城周辺のみで見られる方法だそうです。他に女子・力士・馬を引く人物や円筒埴輪・家形埴輪・馬形埴輪などが出土しました。「箱式石棺」は特殊な二重構造となっています。

「虎塚古墳」の「石室壁画」は「ひたちなか市埋蔵文化財センター」に所蔵されている実物大模型から画像を起こしたものなので、実際の壁画より鮮明に表現されているそうです。凝灰岩の粉末の白土を塗った壁に「赤いベンガラ」で図形を描き、天井石と床石は真っ赤に塗られています。三角文と丸文の他は武器・武具類が描かれているとの事。玄室は全長約3m・天井高1.5m・床面の幅1.5m(いずれも最大値)となっています。

「大塚先生」は現場で「スケッチ」を線描きし、宿舎に戻ってから水彩鉛筆で色付けしていました。何故「スケッチ」をするかというと、「スケッチ」をする為には対象物を確実に見つめないと描けません。観察しながら描くと、不思議と頭の中に特徴がインプットされるそうです。カメラで何枚も撮りまくると、それで安心して観察がおろそかになってしまいます。「スケッチ」は思い出の玉手箱にもなっているとの事。

余談ですが、「大塚先生」は1974年(昭和49年)の48歳頃の時に成田市に転居しました。「成田祇園祭」が大好きで、毎年鰻屋さんの2階を貸し切り、ゼミの学生さんやお弟子さん達と食事をするのを楽しみにしていたそうです。2019年が最後かな、とおっしゃっていたと女将から聞いていました。さっそく、先生が監修した「古代史散策ガイド 巨大古墳の歩き方」の本を持ってサインを戴きに行きました。快く応じていただきました。2020年にコロナ禍で「成田祇園祭」が中止になる前年の事でした。

右上:「三昧塚古墳」の金銅製馬形飾付冠・復元品 / 右下:「大室古墳群」を調査中の大塚氏<1984年>

「玉里舟塚古墳」の人物埴輪  /  「虎塚古墳」の石室壁画   /   「桜井茶臼山古墳」の石室のスケッチ

博物館前の大塚氏<1985年> /  「鳴滝古墳群」にて<2003年> /  「大室古墳」のスケッチ<2003年>

茨城県の「玉里舟塚古墳」  埴輪(上半身) / 埴輪(下半身)  /  箱式石棺

茨城県の「虎塚古墳」の「石室壁画」の実物大模型より  西壁 / 奥壁 / 東壁

スケッチの際に用いた画材(水彩鉛筆と筆で彩色) / 奈良県の「桜井茶臼山古墳」の石室で描く様子

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