今回のテーマは「歌舞伎の衣裳」でした。松竹衣裳(株)の衣裳担当の高橋孝子氏に解説して頂きました。
歌舞伎の上演に必要な大道具・小道具・衣裳・かつら・音楽等を、それぞれ幕ごとに書き抜いた注文覚え書を「附帳」と言います。この「附帳」を元に衣裳を新しく作る場合、色見本で色を決めて打ち合わせをします。役者さんの思うイメージと合わないで苦労する事もあるそうです。また、十二単等の「襲(かさね)色目」は実際には重ねず、衿と袖口の見える所だけに付けるそうです。その他、裏話をいろいろと話して頂きました。
最後に解説を交えながら着付けの様子を見せて頂きました。モデルは女性の方でした。帯は殆ど2部式となっています。最初は「藤娘」でした。「藤娘」の場合、多くは着物の柄が左右違う「片身替わり」仕立てになっています。これは左右で「人間」と「藤の精」を表しているそうです。
次は「赤姫」について。歌舞伎に登場するお姫様役を、その衣裳の色から「赤姫」と呼びます。しかし、「赤姫」といっても衣裳が必ず赤と限定されているわけではなく、藤色や淡紅色が用いられることもあります。そして、その役柄を「赤姫」と総称しています。
ついでに5階ギャラリーの「歌舞伎衣裳展」を見て来ました。「市川海老蔵」さんの「連獅子」・「源氏物語」など13点の衣裳と「勸玄」君の「光の君」(7月公演の時の物)の衣裳が1点展示してありました。小道具も展示してあり、手に取って体験出来ました。「差し金」(蝶)・「貝」(蛙の鳴き声)・「雨うちわ」・「波ざる」など4点。「差し金」以外は放送博物館などで見た事がありましたが、体験は初めてでした。「波ざる」は想像していたより重かったです。
「藤娘」(左)と「赤姫」 / 「差し金」(蝶)・「波ざる」 / 「毛抜」より「粂寺弾正」の衣裳
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