京恋し

頑張った時のご褒美は京都。ずっと憧れ。

藪萱草(やぶかんぞう)

2008-07-12 22:07:16 | 季節のことば
萱草の「萱」は「忘れる」という意味。別名を「忘れ草」といいます。

        
        ヤブカンゾウ:ユリ科中国原産
        すでに有史以前に日本に渡ってきていたと言われています。
        春の若芽はおひたしにすると美味しいし、蕾も花も
        食べられるそうです。

        
        万葉時代には忘れ草といわれ、身に付けると辛い思いが
        忘れられるとされていた。

      忘れ草 わが紐に付く 香具山の古りにし里を忘れむがため  大伴旅人
       (忘れ草を着物の紐に付けました。香具山のふもとの故郷を想う
        気持ちを忘れられるかと)
        大宰府で長官だった旅人がふるさと飛鳥への望郷の念を詠んだ歌。

        
        忘れられると言うから紐に付けたのに…       
       忘れ草わが下紐に付けたれど 醜(しこ)の醜草 言(こと)にしありけり
        (憎たらしいダメな草だ、言われていることと違うじゃないか
        効き目がないと怒っているのは旅人の息子の家持(やかもち)です。
        
        
        万葉時代にはいたるところにヤブカンゾウが咲いていて、
        身近な花だったのですね。

        蛇足ヤブカンゾウを身に付けなくても忘却力が
            年毎にしっかりと身に付いています


        
        昨日、山の上ホテルでの万葉集講座の帰り、明治大学の
        横通りで出会いました。何の木?花をいっぱい付けて。

        
        何年もこの道を歩いているのにこんな花盛りに会ったのは
        初めて。初めて気が付いたというべきでしょうか。
        
        ハゼノキのようです。ウルシ科日本、東アジア原産。
        実から木蝋を採ったので別名ロウノキ。
        英名もずばりワックスツリーですって。

        
        ビル風にあおられて、ぱらぱらと花屑をこぼしていました。
        おが屑のような花屑が地面を覆い、塀や壁の根本にうず
        高く吹き貯まっていました。

       「小さい秋見つけた」(サトーハチロー作詞)
          :
        むかしむかしの風見の鶏の 
        ぼやけたトサカにハゼの葉ひとつ
        ハゼの葉赤くて入日色
        小さい秋小さい秋小さい秋見つけた

        秋に葉が入日色になったら判明することでしょう。