店主敬白(悪魔の囁き)

栄進大飯店の店主さがみやがおくる日々の悪魔の囁き。競馬予想や文学・音楽・仕事のグチやちくりまでいろいろ。

エマニエル夫人

2008-03-14 23:38:56 | 小説・読んだ本
 おいらたちの世代にとって、夫人の映画は
「禁断の作品」だった。
 シルビア・クリステルのショートカットのすっきりとした美貌、そしてやってることの大胆さ。
 でも、おいらたちはこの映画が公開されたとき、まだ未成年だったので、夫人はグラビアでしか拝むことのできない、手に届かない女性だった。
 同性でありながら彼女は、ぶっとんだまったく別の世界にいる人だったのだ。
 (男性なら、彼女に手に届かないからこそ、妄想をかきたてられちゃったヒトもいるかもしれない。)
 あとでビデオになったり、深夜映画になったけれど、なんかテレピの小さい画面で拝むと、オトナの世界をのぞきみしたようなありがたみ(何の)がうすいような気がしていた。
 そんな映画の原作が、今は文庫で読めるのである。
 二見文庫「エマニエル夫人」である。
 読んでみて驚いた。
 あのオトナっぽいシルビア・クリステル演じる夫人が、原作では20才前に結婚して、作品の中でも20代前半だったことだ。
 なんだ…まだコギャルを卒業したばかりじゃん。
 彼女は本当に「若妻」なのだ。
 性に好奇心があるのも当たり前っていうか、やりたい盛りなんだよね。
 日本の「元ヤン若奥さん」との違いは、うまいこと上流生活してるってことか。
 そう思うと、禁断のベールの奥にあったほのかな憧れも、見事にぶっとんでいく。(まあ、セレブに憧れる人は別だろうけど)
 それと小説の中で、出会った男のひとり、マリオ(まあ、先導者ってことか)がえんえん語る「性哲学」がウザい。
 やりたいんだったら、それに理屈なんかつけずにやればいいじゃん、それが若さなんだから・・・とかいうツッコミを入れたくなったのは、果たしておいらだけなんだろうか。
 いるんだよ、こういう・・・
「何かやるときに理屈をつけないと、先に進めないタイプ」のヤツって。
 後づけならぬ先づけの理屈にがんじからめになっても、そんなエッチて楽しいのか?
 っていうか、エッチに理念ってあんまり導入しないほうがいいんじゃ・・・。
 まあフランスは、サドがいる。
 「性哲学」なんてものがあるらしいから、なにかウンチクたれないと、文学としてはまずいのか?
 マリオの理屈って、その程度なんだよね、悪いけど。
 別にその理屈がなくても、エマニエルが奔放に、大胆に楽しんだからこそ、あの映画は魅力的だった気がするんだけど。
 


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