帰宅した時、既に夕食を済ませた娘は、ピアノで好きに遊んでいました。
僕が食事を終えると、待ちかねたように「弾いて」とせがむので、ごく簡単な曲を奏でてみました。ほとんど右手だけで、左手はコードを押さえるだけ、しかもCばっかり。それでも「草競馬」なんぞを軽快に叩いてみると、久し振りに見ました、娘からの羨望と尊敬の眼差し。
ふふん、昔取った杵柄とは、正にこのことさ。
今の娘と同じ時分に習っていたエレクトーンを、中学一年生の夏頃にはやめてしまったんだっけ…。自分は弾けない癖に何かと練習に口を出し、二言目には「どうせやるならプロ並みの腕を目指せ」「一流でなければつまらん」と繰り返す父親への反発が、今まで口には出さなかったけど、やめた一番の理由だったよな…。
もっと、楽しく弾きたかったな…。
あれから三十年が経過し、もう、「プロ」にも「一流」にも、なる必要はありません。
娘が寝た後で、ヘッドフォンを着け、おまけでついていたテキストを開いて、一番最初に載っていたバッハの練習曲をちょこっと弾いてみました。
当然、片手ずつ。
右手はつっかえつっかえ、それでも何とか動きますが、左手はてんで駄目です。
でも、タノシイ。
これからは、純粋に、自分の楽しみとして、弾こう。
気の向くままに。
僕が食事を終えると、待ちかねたように「弾いて」とせがむので、ごく簡単な曲を奏でてみました。ほとんど右手だけで、左手はコードを押さえるだけ、しかもCばっかり。それでも「草競馬」なんぞを軽快に叩いてみると、久し振りに見ました、娘からの羨望と尊敬の眼差し。
ふふん、昔取った杵柄とは、正にこのことさ。
今の娘と同じ時分に習っていたエレクトーンを、中学一年生の夏頃にはやめてしまったんだっけ…。自分は弾けない癖に何かと練習に口を出し、二言目には「どうせやるならプロ並みの腕を目指せ」「一流でなければつまらん」と繰り返す父親への反発が、今まで口には出さなかったけど、やめた一番の理由だったよな…。
もっと、楽しく弾きたかったな…。
あれから三十年が経過し、もう、「プロ」にも「一流」にも、なる必要はありません。
娘が寝た後で、ヘッドフォンを着け、おまけでついていたテキストを開いて、一番最初に載っていたバッハの練習曲をちょこっと弾いてみました。
当然、片手ずつ。
右手はつっかえつっかえ、それでも何とか動きますが、左手はてんで駄目です。
でも、タノシイ。
これからは、純粋に、自分の楽しみとして、弾こう。
気の向くままに。