何のきっかけもなく(私にはそう見えるから)トシヤの自傷が始まることがある。
自傷って何?と思われる人に説明。
パニック状態で自分の体を痛めつける行為ですけど、トシヤの場合は凄まじい勢いで頭や顔を平手や拳骨で殴りつけます。
壁に頭を打ち付ける人もいるといいます。
叩く音もさることながら、みるみる真っ赤に腫れ上がっていく顔を見てる方が辛くなる。
叫び声を上げながらやるので、ほんとに心臓が止まりそうにびっくりする。
止めさせたくても本人は忘我の状態なので私みたいな女の力では無理です。
何の前触れもなく始まるようなときは、おそらくですけど、昔の記憶が甦るいわゆるフラッシュバックが起きたのだと考えてます。
なにかの拍子で、以前傷ついたときの気持ちが甦ったんじゃないかとか。
彼らは一般的に記憶力が並外れてよいことが知られていますが、記憶力がよいというより、忘れることが出来ないというのが正しいと思います。
私たちはたとえ辛いこと、嫌なことがあったとしても、時とともに忘却していくことで傷ついた心を癒すことが出来ます。
とてもよく出来たメカニズムです。
ところがトシヤたちはそれが出来ない。
嫌だったこと辛かったこともデリートされることなく、どんどん蓄積されていく。
想像以上に辛い宿命です。
ただ救いがあるとすれば、辛いことばかりでなく楽しかったこと幸せだったことも忘れないということだから、それを増やしてあげることで人生を豊かにしてあげられるんではないかと考えてます。
私はトシヤが小さい頃から、いろんな体験を積ませてやりたくて奔走しました。
好きな音楽のコンサートへ行く、馬に乗せる、南の海に行く、海外へ連れていったこともあります。
トシヤがリラックスして笑ってくれれば、プラスの記憶が増えていく。
ただ、思春期という魔の時もあってなかなか私だけでは手に負えないようになってきましたが。
明日5日はトシヤの21歳の誕生日です。
早くも私の母から「トシちゃんに何か買ってあげなさい」とお祝いが送られてきました。
私だけでなく、トシヤの成長を見守ってくれている人がいる。
嬉しいです。ありがとう。
物欲などまったくない人ですから、母からもらったお祝いで何か素敵な体験をさせてあげられたらいいなと思ってます。
幸せな思い出をつくり、楽しい体験を積み重ねてあげることが、親として唯一出来ることかなとここに来て思うようになりました。