7月の半ば。
引越してからすぐにトシヤが週3日通っている活動ホームで面談があった。
個別支援計画を立てるための聞き取りだったのだけど、その際活動ホームに常駐の看護師さんから私に話があると言われた。
その頃、毎日のように数回の自傷があり、それも徐々にパワーが増して顔が青黒く腫れ、口の中まで切れて血だらけになるほどで、私たちもものすごく気を揉んでいた。
看護師さんの話とは
「実は、実際にここに通っていらっしゃる方で自傷が原因でとうとう失明してしまった人がいるので、トシヤさんにはヘッドギアを着けるなりの対処をしていただいた方が良いかと思うのですが、ご検討いただけますか」ということだった。
確かに頭を激しく叩く時、こめかみ部分(視神経がある)に拳が当たるので以前から心配だという声があった。
そういう話をされて動揺しない親はいないと思うが、私も帰宅後に相方と相談して福祉用品のことをネットでもいろいろ調べてみたりもしたが、私も相方も本音のところは出来るだけそういう装具を使うことなく自傷を減らしていきたいという気持ちだった。
ヘッドギアなりを着けること自体トシヤが嫌がるだろうという推測もさることながら、着けているから「叩いてもよい」という許可を与えてしまうのではないかという危惧があったからだ。
そうはいっても、万一このまま自傷がエスカレートしていき、ほんとに危ないと感じたら観念していろんな装具を考えようという覚悟はしていた。
ところが、それからしばらく様子を見ているうちに、次第と自傷自体も減ってきた。
たまに起こるとそれこそ流血事件にまでなってしまうのだけど。
でも、ほんとうにこの1カ月ほどは目に見えて減ってきているし、穏やかに機嫌よく過ごすことがとても多くなっている。
去年までは学校という集団にいたのだけど、学校というところは秋口になると運動会やら文化祭やらの行事が必ずあって、その練習でものすごくストレスを感じて荒れてしまうという子どもが少なからずいる。
うちもその口だった。
でもまあ学校に属してる間は仕方ないと諦めるしかないなーと、そう思って毎年秋の嵐をやり過ごしていた。
ところが、卒業してみると特に緊張を強いるような行事が待っているわけでもなく、せいぜい地域の人を交えた「お祭り」がある程度。
そんな環境も手伝ってか、今年の秋はすこぶる快調なトシヤです。
子どものことだけでもストレスがないってほんとに有難いなーと思いつつ、他のところに別のストレスがあるって、やっぱり楽させてはもらえない星の基に生まれちゃったのかなーー