主にオートバイ。時々クルマ。
なんだかんだと永年のブログです。
風に向かう刻
その姿はさながらバンビちゃんのように
さてさて。
前回の記事では今年前半のキャンプを振り返ったわけですが、
その前の年末も入れた6回のうち2回が、
一般に限界とされる風速10m/sを超えた15~18m/sの中での暴風キャンプでした。
そんな中、愛用のライダーズタンデムテントは破損することもなく、
ブランドイメージや価格帯、そもそもの製品開発時のターゲットとしては、
期待すらできない筈の強い風に対する耐久性を示してくれました。
正直なところ単純な耐久性でいえば、
他の人気メーカーのテントが色々気にならないでもなかったのですが、
よくよく考えてみると私はこのテントが好きなのです。
ここ1週間ぐらいはよくある買い替えの欲望に駆られまして、
スノーピークのアメニティドームS(ド定番)や、
小川テント(経営が不安定らしくよく名前が変わりますが今はキャンパルジャパン株式会社)の、
ステイシーST-2も本気で買う寸前までゆきましたが・・・
私の用途ではやはりどちらもちょっと決め手に欠けるのです。
キャンパーの間では初心者から大人気で非常にユーザーが多いアメド系は、
前室の構造や外観のお洒落なデザインなどを考えるととても魅力的ですし、
今にして思えば、年末の風速18m/sの館山(台場)で複数のキャンパーのうち唯一耐えていたテントが、
風を流す形状的に有利なアメドのMでしたので、その強さは相当なものです。
また、歴史のある小川のST-2についてもライダーとの親和性は高そうであり、
うお座型フレームの前室や各所に凝らされたノウハウにより、とても使い勝手のよさそうなテントです。
ただ・・・どちらもフレーム組立と共にインナーを建ててから、
フライをかけるオーソドックスな仕組みであり、
ツーリング先でさくっと設営をしたり、朝方の雨や露の中で撤収をするには少々面倒。
また、どちらも私のライダーズタンデムテントに比べるとインナーや前室のサイズが少々手狭でした。
唯一、製品として小川のステイシーネストはサイズと重量でとても惹かれましたが、
形はST-2と同じですのでそれで軽く6万円超えはちょっとなあ・・・と。
そんなわけで買い替え(買い足し)には至らず。
形もデザインも換気機能も設営の手軽さも好きなDODのライダーズタンデムテントを、
今後も活用することに致しました。実際の使用感はとても快適ですので。
で。『そんじゃあなんとか使えるようにしないと』と思いまして、
先の暴風キャンプで確認したこいつの弱点を対策してみようと思います♪
まずはライダーズタンデムテントはこんな形。斜め後ろからの姿です。
この時は前室のドアを跳ね上げてフライシート風として使っておりますが、
それを下げてフルクローズにすれば台形っぽい山なり形になりますので、
今までの利用経験上、ある程度風をさばけるような構造ではあるようです。
・・・が。問題が一つ。
このシリーズ最大の売りである”ワンタッチ”を実現する関係で採用された、
ポールの折り畳み機構に罠が潜んでおりました。
因みにポール自体は9.5mm径のアルミパイプで強度的にそこに問題はありません。
このテントがワンタッチで立ち上がる際、
まずはインナーとフライが一体型になったものを4本の外骨格一斉に立ち上げるのですが、
その足の折り畳み構造は次のようになっています。
頂点は傘のような構造ですが、
そこから下にある3か所の関節が写真の各方向に折れ曲がり、4つに畳まれる作りです。
そしてその曲がる箇所の機構はこんな感じ。
曲がった状態のロック部を180度回転させまっすぐにした後、
一方の突起をもう一方の穴に5mm程度押し込んでロックします。
と、これ自体は意外としっかりしていて、普通に建てている分には抜けたりしません。
ところがこれが暴風になると、
先述の折り畳みの方向と合わせて弱点を露呈し大問題になります。
問題はこの一番下の赤丸の部分。
(恐らく単に折り畳みの都合に過ぎないのですが)
何故か一番下の関節が外側に曲がるようになっていること。
この構造の所為で、風に煽られて張力が弱まるとロックが外れ、
さながら小鹿の脚のように外側に向かって外骨格が崩れ落ちます。
私が暴風のキャンプで悩まされたのがまさにここ。
風に煽られた続けたテントがある瞬間ロックをずらす方向に力が働くと、
僅か5mm程度しか噛んでいない、角のとれた形状の樹脂のロックが容易に外れます。
そうなると暴風が止むまでは何度ロックし直してもこの場所が外れ、
張力を失った他の関節まで釣られてロックが外れてテント自体が倒壊する、そういうシナリオでした。
そのせいで途中から諦めて天井を足で支える羽目に。
ではどうしたらよいのか。要するに外れなきゃいい。
パイプそのものの強度は他製品のグラスファイバーポールのような軟弱なものではなく、
多少の負荷にも耐えられる感触ですし、もしそれが折れる時はどのみち無理。
というわけでロック機構そのものを固定する冶具を作ることにしました。
材料は3mm厚のアルミ板。強度と重量のバランスで選びました。
早速、ちょちょいと休日の余暇を使って工作。
外骨格4本分、4つを作りました。
糸鋸で切った関係で一部直線が出てなかったりしますが、
多少ガタガタなのはハンドメイドゆえのご愛嬌ということで( ̄ー ̄)。
それでは早速セット。
こんな感じで使います。
抜けて困るのは一番下のロック部だけですので各ポール1つづつで4箇所。
3mm厚のアルミですので強度もあり、がっちり噛んでロックがスライドアウトすることはありません。
当初は折りたたみ部分の機構そのものから金属で作り直そうかと思いましたが、
これならば手軽で機能もばっちりです。
こうなると各々の骨がとてもしっかりと機能し、風に対する対応に加え、
そもそもテントを立てる際の中途半端な張り具合の時も勝手に折れなくなりますので、
今まで設営の段階であったフラストレーションから解放されました。
感触的に良好にて、
つい楽しくて狭い自宅の生活感あふれるビジュアルの部屋で何度も建てて遊ぶ始末。
たったこれだけのことですが目論見通りに効果は抜群でした。
冶具自体は取り付けも取り外しも数秒程度ですから、次回のキャンプでも大いにラクになりそうです♪
そうそう。ついでにもう一つ修繕。
最近、外骨格の上から1つめの折り畳みロック付近にある、
ポールの固定が緩んでいたことに気が付いていたのでチェックすると。
なんとあっさりすっぽーんと抜けました。
画像の樹脂ロックの上側中心付近に錆びている部分があるのが判りますでしょうか。
ここにはアルミポールと樹脂ロック部を固定する”ピン”が刺さっているのですが、
どうやらただのスチールのピンだったらしく派手に錆びています。
これが昨年9月からの8回かそこらの利用ですっかり錆びまして、
内部で折れたらしくポールが抜けるわ、ジョイントが回転するわでもう大変。
折れたのはつい先日だったようですが、このへんもコストカットが出る部分でしょうか。
キャンプ先で雨や夜露に濡れることはよくあることであり、
完全に乾燥させてから出られないことも、
帰宅後すぐに乾かすことができないこともまたよくあることです。
そんな時に材料上の理由で簡単に錆びて折れるようでは少々困りますね~。
取り敢えず今回は、
手近な引出しに転がっていた書類クリップのピンをカットして補修しておきましたが、
遠からず適当な径のステンレスの針金でも買って更に対策をするつもりです。
と、斬新な機能とその手軽さには満足ながら、
コストの低さ、メーカーのノウハウの低さゆえか粗も目立つDOD製品ですが、
私はそのユニークさがとても好きですのでこれでまた楽しく使えそうです。
もし今後、アメニティドームやステイシーST-2の不満を解消し、
キャンプツーリングに適した製品がどこかから出たら危ないですが、
動きの遅い業界ですので暫くはこのままかなあ。
最後に余談。
同社の類似製品で、インナーがライダーズタンデムテント比でかなり狭い割に、
サイズ感の差がそこまでない関係で私は選ばなかったライダーズバイクインテントなるモデルがありますが、
そのテントでは、4本ある外骨格の前の骨2本が前室のフレームも兼ねており、
そのフレームは中間から下は釣り竿のような伸縮式のため、
そもそも折れ曲がらずに収納ができるようになっています。
どちらが機構的にすぐれているかは一長一短な気もしますが、
即ち、私が悩んだようなライダーズタンデムテントの弱点はないと思われます。
その点ではこれも気になるテントではあるのですが、
インナーの幅が1200mmで2名用サイズですのでコットを入れたりゆったり使うには無理があるかなあ。
とはいえ、狭さに問題なければこちらもかなり魅力的なテントです。
もし今のライダーズタンデムテントが完全に破損したらば、次はライダーズバイクインテントもありかも。
長くなりましたが私のお気に入りの ライダーズタンデムテント の改修話。
皆様も思い思いに気に入った装備がおありかと存じますが、
他人の装備について色々思いを巡らすのも楽しいものですよね。
この夏、またどこかのツーリング先のキャンプ場で、
もしお会いしたらばよろしくお願いいたしますヽ(´▽`)ノ♪