そもそもケロウナには日本人が何人居るのでしょうか?
この質問をケロウナ移住歴15年の加藤さんにしてみました。加藤さんなんてどこにもある名前ですが、この加藤さんは知る人ぞ知る、日本山岳界のドン、人呼んで(本人もそう呼んでいますが)「ドン加藤」こと、加藤幸彦氏であります。山登りをしない私には何の有り難味も、畏怖の念もありませんが、その道では相当の人だそうです。
即断即決の加藤さんらしく、即座に返事が返ってきました。「ざっと700人」。
そんなにいるの?これは明治時代以降に移民として入植した移住者の子孫つまり日系カナダ人およそ500人を含む数だとのこと。
日系人は別にして加藤さんのような日本人は何人ぐらい?この質問に対して加藤さんはやおら自分の手を出して数え始めるではありませんか。「オレだろ、T君だろ、Kちゃんだろ、バーノンのH君だろ、ペンティクトンの寿司屋だろ・・・・・」。こうしてみると純粋の日本人は15所帯、せいぜい30人に満たないはずとのことで、これまた驚きました。(ケロウナだけでなくオカナガン地方全体でこの程度のようです)
次に大きな比重を占めるのがカナダ人男性と結婚して当地に住む日本人妻。およそ100人くらいとのことです。一時期100人近くを数えた留学生(語学留学を含む)も最近はグッと減り50人を割り込んでいるのではないかとの話でもあります。
そのうち落ち着いたら市役所や図書館で我が同胞の足取りを調べてみたいと思っています。今はこの大雑把な話を踏まえて前に進みましょう。
日系人や在留邦人を組織化した、いわゆる「日本人会」のようなものは当地にはありません。一番大きな理由は日系企業の進出が皆無に近いことだと思います。更にはカナディアンロッキー観光拠点のバンフのように日本人観光客を惹きつけるような観光の目玉があるわけでもないので、とにかく普通の日本人観光客はケロウナには来ないのです。したがって、あえて「日本人」を意識して取りまとめる必要もないのでしょう。
加藤さんが自分で指折り数えて固有名詞が出てくる、つまり加藤さんの頭の中ですべて把握されている当地の日本人に共通することは「個人の才覚で起業した一匹狼」たちなのです。嬉しいことは、加藤さんをはじめとして獰猛な「狼」は一匹もおらず、いずれも心優しい、気さくな日本人仲間なのです。ただいずれも個性豊な皆さんで、「こんな人たちを取りまとめたり、組織化したら運営が大変だろうな」という感じはあります。案外ここいらが日本人会の無い一番の理由かも知れません。特に皆さんゴルフがメシより好きな人たちで、心からゴルフを楽しむことのできる日本人ならこの仲間に歓迎されること間違いありません。
そうは言ってもバンクーバー、ビクトリアに次ぐBC州の第三の都市ケロウナで日本人のとりまとめをしてくれる人がいれば領事館としても有難いと、加藤さんに白羽の矢が向けられたこともあったようですが、体制・権力・組織とは対極にある山男ドンさんがおいそれと受けるわけありません。丁重にお断りされたようです。自分の力だけでいくつもの修羅場を切り抜けてきたドンさんの面目躍如です。
カナダ人と結婚してケロウナに住む日本人女性が情報交換したり、親睦を深めたりするための婦人会のようなものは緩やかに組織化されているそうで、その会長にもドンさんが担ぎ出されそうになったこともあるようです。フェミニスト、ドン加藤がなんて言ってお断りしたのかは聞き漏らしました。
中国人韓国人とおぼしきアジア人にはすれ違いますが、とにかく街を歩いていて日本人の姿を見かけることは殆どありません。Okanagan Golf Clubの日本人会員が私と滝沢さんとU氏の3人だけであることからも、他の都市に比べて如何に日本人が少ないかがわかってもらえるでしょう。
観光地で日本人観光客の団体さんと鉢合わせすると、異国の地で同胞にめぐり会った嬉しさよりも、徒党を組んで動き回る同胞からちょっと距離を置きたくなるような複雑な気持ちを抱くものですが、そんな場面はここケロウナではまったく起こりえません。日本人らしいとみると、「どちらから?」と声をかけたくなるのです。
ケロウナのドン、ドン加藤さんのHPで彼の一匹狼振りをとくとご覧下さい。
http://members.shaw.ca/donkato/