オヤジ達の白球(59)雪の接近
2月13日午後3時。空が灰色の雲におおわれてきた。
雪雲の接近が朝の天気予報よりも、はるかに速い。
チラチラと、綿毛のような白いかたまりが空から舞い降りてきた。
午後4時。駐車場の全体が白くなる。
「積もりそうだ。駐車場が白くなってきた」
「地面が乾いているからな。それで白くなるのが早いのさ」
車の屋根が白くなってきた。
表の様子を心配そうに見つめている慎吾の背後へ、北海の熊が近づいてきた。
「おい。キュウリ屋。ビニールハウスは大丈夫か?」
「5㌢や10㌢の雪じゃビクともしません。大丈夫です。
屋根は丸い形をしています。少々の雪なら、滑りおちていきますから」
「そうか、雪が勝手に滑り落ちるのか。じゃ心配する必要はないな。
ビニールハウスってやつは、意外に丈夫に出来ているんだな。
何年か前だがハウスの屋根へ、雪がたっぷり積もったのを見たことがある。
桜が咲くころだったなぁ。たしか、3月おわりのドカ雪だ」
「ありましたねぇ。確かにそんな年が。
あのときは20㌢ほど降りました。しかし、このあたりのハウスはぜんぶ無事でした」
「うん。あのとき潰れた話は聞かなかった。
20センチくらいの雪ならぜんぜん大丈夫なんだな、このあたりのビニールハウスは?」
「ええ。雪よりも、風対策を重視しています。
群馬の空っ風は、台風なみの強風になりますからねぇ」
「そいつは言える。
赤城の山から吹き下ろす真冬の空っ風は半端じゃないからな。
おっ・・・メールがやって来た」
熊のポケットでメールの着信音が鳴る。
「誰だ、今ごろ」液晶画面をのぞき込む熊の顔が苦笑にかわる。
「どうしました?」
「昨日から愛人と2人で水上温泉へ行っている先輩からだ。
ようやく口説けて、念願だった2人だけの温泉旅行が実現したらしい。
どれどれ。夕べの首尾の報告かな・・・」
熊が目を細めて、メールの文章を覗き込む。
だが、どうにも焦点が合わないようだ。画面を近くしたり、遠くしている。
「老眼ですか?。熊先輩」
「バカやろう。まだ老眼は早い。
だがよ。最近はとみに小さな文字が見にくくなってきた。ただそれだけだ」
「それなら、設定で直ります。
見にくいのなら大きな文字に変えればいいだけですから」
「そんな便利なことができるのか、いまどきの携帯は!」
携帯を受け取った慎吾が、表示の設定を変える。
「お・・・なんだよ。これならはっきり見えるぜ。どれどれ」
北海の熊が、大きくなった文章をのぞきこむ。
「なんだって・・・カミさんにばれるとまずいから、早めに宿を出て
帰りの道を急いでいる。
なんでぇ、一大事でも勃発したかと思ったが、ただの普通の展開じゃないか」
面白くもなんともねぇな・・・とつぶやいた熊の顔が次の瞬間、
いきなりあかるく輝く。
「なんだと。帰りの道を急いでいるのに、水上温泉から10キロほど南下した地点で
雪にはばまれて、ただいま立ち往生中だと・・・
おっ。もうそんなに降っているの、群馬県北部の山沿いは」
「えっ。ということはすでに国道17号線で、立ち往生が発生しているということですか!」
「そうらしいな。
ついでに、助手席で笑顔で呑気にVサインをしている愛人の画像まで送って来た。
愛人は笑顔でも、早く家に戻りたい先輩のこころのうちは火の車だ。
やれやれ。バレンタインデーの前日だというのに俺の先輩は、どうやら、
天国と地獄の中間にぶら下がっているようだな」
(60)へつづく
2月13日午後3時。空が灰色の雲におおわれてきた。
雪雲の接近が朝の天気予報よりも、はるかに速い。
チラチラと、綿毛のような白いかたまりが空から舞い降りてきた。
午後4時。駐車場の全体が白くなる。
「積もりそうだ。駐車場が白くなってきた」
「地面が乾いているからな。それで白くなるのが早いのさ」
車の屋根が白くなってきた。
表の様子を心配そうに見つめている慎吾の背後へ、北海の熊が近づいてきた。
「おい。キュウリ屋。ビニールハウスは大丈夫か?」
「5㌢や10㌢の雪じゃビクともしません。大丈夫です。
屋根は丸い形をしています。少々の雪なら、滑りおちていきますから」
「そうか、雪が勝手に滑り落ちるのか。じゃ心配する必要はないな。
ビニールハウスってやつは、意外に丈夫に出来ているんだな。
何年か前だがハウスの屋根へ、雪がたっぷり積もったのを見たことがある。
桜が咲くころだったなぁ。たしか、3月おわりのドカ雪だ」
「ありましたねぇ。確かにそんな年が。
あのときは20㌢ほど降りました。しかし、このあたりのハウスはぜんぶ無事でした」
「うん。あのとき潰れた話は聞かなかった。
20センチくらいの雪ならぜんぜん大丈夫なんだな、このあたりのビニールハウスは?」
「ええ。雪よりも、風対策を重視しています。
群馬の空っ風は、台風なみの強風になりますからねぇ」
「そいつは言える。
赤城の山から吹き下ろす真冬の空っ風は半端じゃないからな。
おっ・・・メールがやって来た」
熊のポケットでメールの着信音が鳴る。
「誰だ、今ごろ」液晶画面をのぞき込む熊の顔が苦笑にかわる。
「どうしました?」
「昨日から愛人と2人で水上温泉へ行っている先輩からだ。
ようやく口説けて、念願だった2人だけの温泉旅行が実現したらしい。
どれどれ。夕べの首尾の報告かな・・・」
熊が目を細めて、メールの文章を覗き込む。
だが、どうにも焦点が合わないようだ。画面を近くしたり、遠くしている。
「老眼ですか?。熊先輩」
「バカやろう。まだ老眼は早い。
だがよ。最近はとみに小さな文字が見にくくなってきた。ただそれだけだ」
「それなら、設定で直ります。
見にくいのなら大きな文字に変えればいいだけですから」
「そんな便利なことができるのか、いまどきの携帯は!」
携帯を受け取った慎吾が、表示の設定を変える。
「お・・・なんだよ。これならはっきり見えるぜ。どれどれ」
北海の熊が、大きくなった文章をのぞきこむ。
「なんだって・・・カミさんにばれるとまずいから、早めに宿を出て
帰りの道を急いでいる。
なんでぇ、一大事でも勃発したかと思ったが、ただの普通の展開じゃないか」
面白くもなんともねぇな・・・とつぶやいた熊の顔が次の瞬間、
いきなりあかるく輝く。
「なんだと。帰りの道を急いでいるのに、水上温泉から10キロほど南下した地点で
雪にはばまれて、ただいま立ち往生中だと・・・
おっ。もうそんなに降っているの、群馬県北部の山沿いは」
「えっ。ということはすでに国道17号線で、立ち往生が発生しているということですか!」
「そうらしいな。
ついでに、助手席で笑顔で呑気にVサインをしている愛人の画像まで送って来た。
愛人は笑顔でも、早く家に戻りたい先輩のこころのうちは火の車だ。
やれやれ。バレンタインデーの前日だというのに俺の先輩は、どうやら、
天国と地獄の中間にぶら下がっているようだな」
(60)へつづく
ものはもう収穫できるのですか??
これも早いですね、やはり暖房を入れて
早く成育させているのでしょうね
ナスを収穫しながら 育成の手入れ
また 何時もの如く大忙しの時期に
なるんですね ナスも連作障害は
起きるのでしょうか・・
信州は先週オープンしたばかりの
ゴルフ場 今朝の雪で全部クローズ
です。 (≧∇≦) 可愛そうに
今は2段目に5輪から6輪の花が咲いています。
ナスの花は下をむいて咲くため、自力で受粉しません。
そのためホルモン剤を噴霧して受精させる必要があります。
この作業が2日おきに人手によって繰り返されます。
ナスはとにかく、手間暇がかかります。