北へふたり旅(34)
妻の顔を見て、顔なじみのクラフトマンが飛んできた。
「お待ちしていました」最上級の笑顔を見せる。
店舗のほぼ中央。クラフトマンの作業部屋がある。
クラブを加工するための道具が、所狭しと並んでいる。
「頼まれていたLシャフトのゼクシオ9です」
妻のためのクラブを抱えてきた。
シャフトはフランスボルドー産のボルドー色。
妻が好む色だ。
日本酒や焼酎は、ほとんどが無色透明。
日本の色彩に酒に由来するものはまったくない。
ワインやウィスキー、コニャックは淡い黄色から褐色、赤紫色まで存在する。
酒は大人を酔わせ、夜の社交を彩る。
深みのあるワイン色の赤には幅広いバリエーションがある。
ワインレッドは濃い紫がかった赤で、ボルドーの赤は暗い。
「わたしのために頼んでおいてくれたの?」
「いらないならキャンセルしてもいいよ」
「あなたからのひさしぶりのプレゼントです。
辞退するなんてもったいない。あら・・・」
3・4・5のフェアウェイウッドの中に、5番ユーティリティが混じっている。
「5番ユーティリティ?」
妻はユーティリティクラブをつかったことがない。
初めてのクラブに興味をしめす。
ユーティリティは、フェアウェイウッドとアイアンの中間クラブ。
「女性用アイアンは、7番からが主流です。
5番ウッドと7番アイアンのあいだを埋めるクラブが、5番ユーティリティです。
別売りの5番アイアンと6番アイアンもありますが、非力な方には
使いやすいユーティリティをおすすめしています」
「ふぅ~ん。で、つかいやすいの、これ?」
「好みもあります。でも私はおおくの女性これをおすすめしています」
「山ちゃんが言うなら信用するわ。
振ってみたいわね、今すぐにでも。
でもね、残念ながらまだ振ることができないの、わたし」
「なにか不具合でもあるのですか?」
「右の手首を骨折しちゃったの。
チタンプレートで固定したので痛みはありませんが、まだリハビリ中なの。
なかなかもとに戻らないのよ、握力が・・・」
「なるほど。そういう事情があってLシャフトに変更したのですか。
なかなか的を得たナイスな判断だと思います」
「リハビリが中だるみ状態なの。
説教するより、ニンジンを鼻先へさげたほうが速いと考えたのかしら」
「あと10年ゴルフをなさるのなら、いまLシャフトに切り替えるのは有りです。
ながく楽しんでください。ゴルフ人生を」
「夢があるのよわたしたち。
笑っちゃ駄目よ。
ゴルフの聖地・セントアンドリュースへ2人で行きたいの」
「いいですねぇ~。
世界中のゴルファーが一度は訪れたいと夢見ているセント・アンドリュース。
スコットランドです。
ゴルファーはみんな夢に見ていますが、実際には遠いですからね」
「そうなの。遠いのよ。セントアンドリュースは。
わたし高所恐怖症なの。だから飛行機はぜんぜん駄目。
船で行くしか方法がないでしょ。
そうすると聖地へ着く前に、豪華な船旅に費用がかかりすぎて、
破産してしまいそうです・・・うふっ」
(35)へつづく
妻の顔を見て、顔なじみのクラフトマンが飛んできた。
「お待ちしていました」最上級の笑顔を見せる。
店舗のほぼ中央。クラフトマンの作業部屋がある。
クラブを加工するための道具が、所狭しと並んでいる。
「頼まれていたLシャフトのゼクシオ9です」
妻のためのクラブを抱えてきた。
シャフトはフランスボルドー産のボルドー色。
妻が好む色だ。
日本酒や焼酎は、ほとんどが無色透明。
日本の色彩に酒に由来するものはまったくない。
ワインやウィスキー、コニャックは淡い黄色から褐色、赤紫色まで存在する。
酒は大人を酔わせ、夜の社交を彩る。
深みのあるワイン色の赤には幅広いバリエーションがある。
ワインレッドは濃い紫がかった赤で、ボルドーの赤は暗い。
「わたしのために頼んでおいてくれたの?」
「いらないならキャンセルしてもいいよ」
「あなたからのひさしぶりのプレゼントです。
辞退するなんてもったいない。あら・・・」
3・4・5のフェアウェイウッドの中に、5番ユーティリティが混じっている。
「5番ユーティリティ?」
妻はユーティリティクラブをつかったことがない。
初めてのクラブに興味をしめす。
ユーティリティは、フェアウェイウッドとアイアンの中間クラブ。
「女性用アイアンは、7番からが主流です。
5番ウッドと7番アイアンのあいだを埋めるクラブが、5番ユーティリティです。
別売りの5番アイアンと6番アイアンもありますが、非力な方には
使いやすいユーティリティをおすすめしています」
「ふぅ~ん。で、つかいやすいの、これ?」
「好みもあります。でも私はおおくの女性これをおすすめしています」
「山ちゃんが言うなら信用するわ。
振ってみたいわね、今すぐにでも。
でもね、残念ながらまだ振ることができないの、わたし」
「なにか不具合でもあるのですか?」
「右の手首を骨折しちゃったの。
チタンプレートで固定したので痛みはありませんが、まだリハビリ中なの。
なかなかもとに戻らないのよ、握力が・・・」
「なるほど。そういう事情があってLシャフトに変更したのですか。
なかなか的を得たナイスな判断だと思います」
「リハビリが中だるみ状態なの。
説教するより、ニンジンを鼻先へさげたほうが速いと考えたのかしら」
「あと10年ゴルフをなさるのなら、いまLシャフトに切り替えるのは有りです。
ながく楽しんでください。ゴルフ人生を」
「夢があるのよわたしたち。
笑っちゃ駄目よ。
ゴルフの聖地・セントアンドリュースへ2人で行きたいの」
「いいですねぇ~。
世界中のゴルファーが一度は訪れたいと夢見ているセント・アンドリュース。
スコットランドです。
ゴルファーはみんな夢に見ていますが、実際には遠いですからね」
「そうなの。遠いのよ。セントアンドリュースは。
わたし高所恐怖症なの。だから飛行機はぜんぜん駄目。
船で行くしか方法がないでしょ。
そうすると聖地へ着く前に、豪華な船旅に費用がかかりすぎて、
破産してしまいそうです・・・うふっ」
(35)へつづく
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大きな夢を持ち続けると・・その夢は
必ず叶うものです。船で行くよりも
ファーストクラスの方が快適で
安くて早いですよ
今日の群馬は午後から雨。
30℃まで届かず、蒸し暑さだけが漂っています。
朝の散歩も半袖では肌寒さを感じます。