居酒屋日記・オムニバス (79)
第六話 子育て呑龍(どんりゅう)⑩
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/44/c15fd71a937f915b1bb8ff347221a5ef.jpg)
「呑龍様の門前通りに、山田屋という老舗の焼きまんじゅう屋が有る。
そこへ行き、焼きまんじゅうを適当に買ってこい。
ただそれだけのことだ。ただし、行くためのハードルが有る」
「ハードル?。どんなハードルですか・・・」安原が、ごくりと唾を呑み込む。
「それは、だな」と言いかけた幸作が、うしろを振りかえる。
案の定。真理子がするどい目でこちらを見ている。
「あぶねぇ、あぶねぇ・・・」安原をうながして、真理子と2人の娘から距離をとる。
真理子の視線が気になったからだ。
「あそこにいる真理子の娘。あの2人を連れて、焼きまんじゅうを買いに行くことだ。
そいつがクリアできれば、試験は合格だ」
「あそこにいる娘さん2人を連れて、焼きまんじゅう屋へ行くのですか・・・
無茶ですよ、絶対。そんなの無理に決まっています。
真理子さんさえ口説けないというのに、初めて会う娘2人を口説くなんて、
僕には、無理が過ぎます」
「無理なことは、最初から承知の上だ。
しかし。そのくらいのことが出来なきゃ、いつまでたっても真理子は口説けねぇ」
「女性を口説いたことはあります。しかし、子供を口説いたことは有りません。
無理ですって。僕には絶対に出来ません」
「わかった。じゃ、いさぎよく真理子のことは、あきらめるんだな?」
「そんな!・・・それはまた、別の話です!」
「別の話じゃねぇ。それじゃ聞く。
シングルママが、この世で一番大事にしているものは、いったい何だと思う。
普通は夫婦で力をあわせて子育てする。これはごく当たり前の話だ。
だがシンママという人種は、それとはまったく別の次元で子育てをしている生き物だ。
だれに頼ることもなく、自分の力だけで子どもを育てる。
つまり。もっとも大切にしているのは、必死で育てている我が子ということになる。
そんなこともわからない男に、シングルママと付き合う資格なんか無い!」
「しかし・・・僕はいままで、子供と接したことがありません。
どんな風にすれば子供たちに、好かれるのでしょうか・・・」
「そうだな。まずは、子どもの目線まで自分の目線を下げることだ。
いいか。間違っても、上から子どもを見下ろすんじゃねぇぞ。
つぎに、本音で話をする。
おまえさんが気持ちをひらけば、子どもたちも素直に話を聞いてくれるだろう。
それだけだ。あとは、運だ。
運がよければお前のことをママの友だちとして、認知してくれるだろう」
「効果的な説得の言葉とか、うまい作戦はないのですか・・・
教えてくださいよ。どんな風にあの娘たちに接近したらいいのですか・・・」
「ばかやろう。そのくらいのことは自分で考えろ。
いいか。家族になればいやでも毎日、顔を会わせることになる。
そのたびにお前は、いちいち俺にいろいろと聞いてくるのか?。
どうしたらいいのかは、一生けん命、自分の頭で考えろ。
正直に、自分の言葉で、相手が理解してくれるまで伝えていくことだ。
それがコミニュケーションを取るということだ」
「コミニュケーションをとる、ですか・・・」
「コミニュケーション不足は、絶対にダメだ。
告白するだけなら簡単だ。
だが告白したからには、相手の事情もよく聞く必要がある。
人はみんな、いろいろな事情をかかえて生きている。
どうしたらお前といっしょに、焼きまんじゅうを買いに行ってくれるのか、
あの2人の娘に、聞いてみろ。
友だちになってくれと素直に、自分の気持ちを娘たちに伝えろみろ。
そのくらいのことなら、出来るだろう。
真理子のことが本当に好きなら、お前にも、そのくらい出来るだろう」
「なんだか、出来そうな気がしてきました・・・」
じゃ行って来い。娘たちのところへと幸作が、安原の背中を押す。
呆気にとられている真理子を尻目に、安原がおずおずと、2人の娘のもとへ
近寄っていく。
(80)へつづく
新田さらだ館は、こちら
第六話 子育て呑龍(どんりゅう)⑩
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/44/c15fd71a937f915b1bb8ff347221a5ef.jpg)
「呑龍様の門前通りに、山田屋という老舗の焼きまんじゅう屋が有る。
そこへ行き、焼きまんじゅうを適当に買ってこい。
ただそれだけのことだ。ただし、行くためのハードルが有る」
「ハードル?。どんなハードルですか・・・」安原が、ごくりと唾を呑み込む。
「それは、だな」と言いかけた幸作が、うしろを振りかえる。
案の定。真理子がするどい目でこちらを見ている。
「あぶねぇ、あぶねぇ・・・」安原をうながして、真理子と2人の娘から距離をとる。
真理子の視線が気になったからだ。
「あそこにいる真理子の娘。あの2人を連れて、焼きまんじゅうを買いに行くことだ。
そいつがクリアできれば、試験は合格だ」
「あそこにいる娘さん2人を連れて、焼きまんじゅう屋へ行くのですか・・・
無茶ですよ、絶対。そんなの無理に決まっています。
真理子さんさえ口説けないというのに、初めて会う娘2人を口説くなんて、
僕には、無理が過ぎます」
「無理なことは、最初から承知の上だ。
しかし。そのくらいのことが出来なきゃ、いつまでたっても真理子は口説けねぇ」
「女性を口説いたことはあります。しかし、子供を口説いたことは有りません。
無理ですって。僕には絶対に出来ません」
「わかった。じゃ、いさぎよく真理子のことは、あきらめるんだな?」
「そんな!・・・それはまた、別の話です!」
「別の話じゃねぇ。それじゃ聞く。
シングルママが、この世で一番大事にしているものは、いったい何だと思う。
普通は夫婦で力をあわせて子育てする。これはごく当たり前の話だ。
だがシンママという人種は、それとはまったく別の次元で子育てをしている生き物だ。
だれに頼ることもなく、自分の力だけで子どもを育てる。
つまり。もっとも大切にしているのは、必死で育てている我が子ということになる。
そんなこともわからない男に、シングルママと付き合う資格なんか無い!」
「しかし・・・僕はいままで、子供と接したことがありません。
どんな風にすれば子供たちに、好かれるのでしょうか・・・」
「そうだな。まずは、子どもの目線まで自分の目線を下げることだ。
いいか。間違っても、上から子どもを見下ろすんじゃねぇぞ。
つぎに、本音で話をする。
おまえさんが気持ちをひらけば、子どもたちも素直に話を聞いてくれるだろう。
それだけだ。あとは、運だ。
運がよければお前のことをママの友だちとして、認知してくれるだろう」
「効果的な説得の言葉とか、うまい作戦はないのですか・・・
教えてくださいよ。どんな風にあの娘たちに接近したらいいのですか・・・」
「ばかやろう。そのくらいのことは自分で考えろ。
いいか。家族になればいやでも毎日、顔を会わせることになる。
そのたびにお前は、いちいち俺にいろいろと聞いてくるのか?。
どうしたらいいのかは、一生けん命、自分の頭で考えろ。
正直に、自分の言葉で、相手が理解してくれるまで伝えていくことだ。
それがコミニュケーションを取るということだ」
「コミニュケーションをとる、ですか・・・」
「コミニュケーション不足は、絶対にダメだ。
告白するだけなら簡単だ。
だが告白したからには、相手の事情もよく聞く必要がある。
人はみんな、いろいろな事情をかかえて生きている。
どうしたらお前といっしょに、焼きまんじゅうを買いに行ってくれるのか、
あの2人の娘に、聞いてみろ。
友だちになってくれと素直に、自分の気持ちを娘たちに伝えろみろ。
そのくらいのことなら、出来るだろう。
真理子のことが本当に好きなら、お前にも、そのくらい出来るだろう」
「なんだか、出来そうな気がしてきました・・・」
じゃ行って来い。娘たちのところへと幸作が、安原の背中を押す。
呆気にとられている真理子を尻目に、安原がおずおずと、2人の娘のもとへ
近寄っていく。
(80)へつづく
新田さらだ館は、こちら
弱く感じます。 ひ弱に・・なんて
いってますと、叱られます。
ソフトは皆で戦いますから、勝った時は
大勢で・・そして勝敗もいつも皆で
共有ですが・・ゴルフコンペでは
お昼のときくらいしか、皆のスコアー
が判りませんから・・コンペの時は
スコアーの巡回車出しましょうか???
居酒屋主催のゴルフコンペも、今回で23回目。
年に2回、春と秋に開催していますので
今年で足かけ12年目。
よくぞこれまで、長く続いたものです。
発足の頃は、全員が110前後も打つ強者たちばかりが揃っていましたが、
最近は90台が増えてきました。
苦節10年・・・みなさん、ずいぶんと腕をあげました!