くじらが岸に着くと、6人のこどもたちは次々とくじらの背中に乗り込みました。
今日はくじらと約束していました。
『もうひとつの地球』に行く約束です。
くじらは真っ白い水しぶきを派手に立てると、海の底深く深く潜って行きました。
海の底は静かで、耳がツーンとしました。
ただ、くじらが海底を突き進む轟音だけがあたりに響きました。
3日と8時間くらいは経ったでしょうか、目の前に真っ白い大理石の扉が立ちはだかりました。
くじらは言いました。
『みんな、着いたよ。もうひとつの地球の入口だよ。』
『さぁ、入ろう』
すると、こどもたちは足踏みをして喜び、くじらの背中で小踊りしました。
ところが、その後ろで3人のこどもたちがメソメソ泣いてうずくまっていました。
くじらは言いました。
『どうしたの?』
こどもたちは答えました。
『もうひとつの地球なんて、こわい』
『もうひとつの地球なんて、あるわけない』
『いままでの地球でいいよ』
結局、3人のこどもは『もうひとつの地球』の中に入って行き、3人のこどもは海の中を泳いで帰って行きました。
6人のこどもたちは、それなりに楽しい人生でした。
でも帰って行った3人はいつも言っていました。
『もうひとつの地球に行けば、もっといい人生だったかもなあ』
《おわり》

★飛行機雲の写真は、今日の帰り道、地下鉄を降りた時に撮りました。
商店街の真上にくっきり見えました。