いつものようにボンヤリテレビを眺めていたとき、BGMに「岬めぐり」が流れてきました。「悲しみ深く胸に鎮めてくれる」のどかな景色を歌った山本コータローの名曲……コレだ!!!早速時刻表の路線図を繰ってみる。風光明媚な岬を巡って、お約束の灯台があって、なおかつ温泉がある場所は…っと???そこで見つけたのが丹後半島。早速、次の休日に早速旅立つことにしました。岬めぐりの気楽な旅なので軽装がいちばん。サンダル履きで京都から特急「はしだて」に乗りこみます。
列車は山陰線と北近畿タンゴ鉄道を通って宮津に到着。ここで丹後海陸交通のバスに乗り込みます。車両はいすゞのワンステップ「エルガ」です。丹後海陸交通はその名の通り、丹後地方のバスと天橋立の観光船を運営する企業で、阪急阪神東宝グループの一員です。
宮津市内を抜けるとすぐに日本三景のひとつ、天橋立が見えてくる。阿蘇海をぐるっと回って橋立の反対側へ。バスの窓から見える碧い海はまさに「岬めぐり」そのもの。頭の中であのメロディーがループしています。
バスはやがて家と船庫が一体となった独特の家の造りの舟屋で知られる伊根を通過。狭い町並みを超絶技巧ですり抜ける運転手さんは女性です。しかし、バスの車窓から見える舟屋はあまり面白くない。ここでは海側から望むのが正しいのでしょう。伊根からまたひとつ峠を越し、再び日本海に出会います。
断崖に沿って走ると終点の経ガ岬に着きました。案内表示では灯台まで3キロほどの道程とのことなので歩くことに。断崖の上のバス停からどんどん坂を下っていき、波打ち際まで降りてきました。目の前には透き通った海。期待が高まるぞ!
ここから反対に上り坂。ところが上れども上れども灯台が見えてこない。アレレ?おかしいな。そのうち道は悪くなってくるし、生い茂った枝を掻き分けるような状態になってくる。今さらサンダル履きを呪えどもいまさら仕方ない。汗は滝のように流れ、息も絶え絶えになり、不安感が最高潮になってきたとき、いきなり視界が広がりました。眼前に白い灯台と青い空、そして、紺碧の海が…(しばし無言)
感動を深めてくれたシチュエーションに感謝しながら来た道を戻り乗りバス停にたどり着くと、そこにさっきのバスの運転手さんがいました。「え!灯台に行ってきたの?しんどかったでしょ。普通行かないよ…教えてあげればよかったわね」ニヤリ
バスを乗り換え、途中、カニがここで水揚げされただけで値段の跳ね上がる間人(たいざ)を通過して網野に到着。ここから北近畿タンゴ鉄道で木津温泉に向かいます。
木津温泉は旅館が5軒ほどしかない小ぢんまりした温泉です。このときはまだ「志らさぎ荘」があって、ここの水に近い温さだが、しっとりとしたお湯がマニア向けで実によかったんだが、閉館してしまいました。建物も廃墟の一歩手前で実に味があったんですがね。残念です。
翌朝、木津温泉駅から北近畿タンゴ鉄道で豊岡へ。ここで山陰線に乗り換え、円山川沿いをしばらく走るとまもなく、終点の城崎。この電化区間の末端では113系3800番台が走っています。この電車、中間車を無理やり先頭車に改造した代物で、日本一のブサイク電車と言ってもいいでしょう。だいたいJR西日本は他のJR各社に比べて車両を永く使う傾向にあるが、ここまで醜い姿に変えてまで使い続けるっちゅうのはどうなんだか…(現在は廃車されています)
城崎からは非電化区間になるため乗り換えです。プラットフォームの先に1両だけのディーゼルカー・キハ41が待っていました。
座席もほぼ埋まり、出発。城崎の温泉街の中をとおり、トンネルを越え、日本海が見えてくると竹野です。漁港の香住から団体客が乗ってきて車内はいっぱいに。しばらく進むと餘部鉄橋です。
ここは日本一高く作られた鉄の橋で、強風にあおられた客車が落下し、大惨事になった記憶も新しい。長いトンネルを抜けると突然に突然鉄橋が現れ、眼下の視界が広がります。
あっという間に通り過ぎて餘部駅に停車。ここで団体客も一気に降ります。たぶん鉄橋の下を観光するのでしょう。
ディーゼルカーは再び出発し、すぐに終点浜坂に到着。浜坂の名物はなんと言ってもカニ。シーズンには関西から多くのお客が訪れます。しかし今はオフシーズンの夏なので、駅前は閑散としています。おみやげ屋も休業しており、カニの絵の看板もどこか寂しげ。駅前には浜坂温泉の発見を記念するモニュメントが建っています。消雪用の地下水を得るために井戸を掘ったら、60度近い温泉が沸いて出たとのこと。実にうらやましい。
浜坂駅からは湯村温泉行きの全但バスに乗ります。温泉に行くバスにしては、乗客が通学の高校生か老人ばかりで観光客の姿はない。最近、どこのバスに乗ってもそうで、ここも然り。みんなマイカーか旅館の送迎なんでしょうね。湯村温泉へ向かうこのバスは、途中、浜坂の町外れにある七釜温泉を経由、ここで下車しました。
再び山陰線で城崎駅へ。城崎は言うまでもなく日本の代表的な温泉地のひとつ、超メジャーな温泉。しかし、現実は源泉を集中管理していて、どの旅館や外湯も全く同じお湯が流れています。しかもそのすべてが塩素投入の循環式。源泉かけ流し原理主義者のワタシは今までスルーしていましたが、温泉街の雰囲気を楽しみたいので、いっぺん城崎に泊まってみることにしました。旅館組合の運営する案内所で旅館を紹介してもらい、旅館を決めた後、外湯を巡ってみました。
城崎はこれで終了。掛け流し原理主義の私には不満足でしたが、ここは風情や情緒を楽しむところなんでしょう・・・アッ!旅館の風呂に入るの忘れてた!
- 訪問日:2005年9月15・16日
サンダル履きも....The昭和!って感じで....めっちゃいい!!!!
温かくなってきたら絶好の場所ですよ。
魚も旨いし…