乗鞍の山懐に抱かれた平湯温泉は海抜1,250m。平湯・新平湯・福地・栃尾・新穂高などから形成される奥飛騨温泉郷のなかでいちばんの歴史を持ち大きな旅館街です。
以前は山間の鄙びた温泉地だったのだが、安房トンネルの開通で松本方面からのアクセスが大きく改善、東京方面からの観光客が一気に増加しました。
さらに、上高地や乗鞍のマイカー規制が実施されたことにより、この平湯の駐車場に車を置いて、シャトルバスに乗るという観光パターンが定着し、たったひとつのトンネルの開通で秘湯から山岳観光の大拠点へと大きく変貌しました。
平湯温泉地内には約40もの井戸・源泉があり、全部あわせて毎分13,000リットルという膨大な湯量を誇るとともに、源泉ごとに微妙に異なる泉質を楽しむことのできる、温泉好きにはたまらない温泉地ですね。
この平湯の温泉街から少し離れたところ、平湯神社のすぐ横にある、飛騨地方の旧家を保存した平湯民俗館に併設された温泉を伺ってみました。
このお湯、入浴料は「寸志」…脱衣所と露天風呂ひとつのプリミティブなお風呂で、脱衣所には棚があるだけの実にシンプル。
早速浸かってみると、過度の加水のためやや温くはなっているが、茶褐色で少し金気臭のあるお湯が掛け流されています。舐めてみても無味ではあるが、うっすら硫黄臭が漂います。
お湯の質もさることながら、森林浴と温泉浴が同時に楽しめる極上の雰囲気。自然を慈しむことができます。
このすぐ近くの旅館の源泉は硫黄臭がもっと強いものの金気臭が全くしない。ほんの数十メートルしか離れていないのにこの違い。平湯のお湯の底力を感じますね。
・場所:濃飛バス・平湯BT
・泉質:炭酸水素塩泉・ナトリウム-炭酸水素塩泉、塩化物泉(緩和性低張高温泉)75.2度
・訪問日:2012年9月13日
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