地主さんのご家族でお爺さん以外の家族の方々が
誰一人ご存じなかった磨崖仏の存在が確認出来て
大満足で帰宅した前回。
この度更に掘り進める為に再度出かけて来ました。
まるで温泉にでも浸かっているように見えます。
では、掘っていきましょう。
水抜きをして掘り進めていくと舟形光背が現れ
続いて錫杖、上体部が姿を現しました。
持錫宝珠形のお地蔵さんですね。
三重県安芸郡安濃町草生
室町期
蓮華座まで掘り出せれば良かったのですが
足元に岩が挟まっているのと
どんどん水が湧き出して来る為これが限界。
でもこれだけ出ただけでも大満足です。
人生初の磨崖仏掘り出しでした。
この大岩は「よつばれさん」と呼ばれ
おねしょの神さんとして今でも信仰されています。
「よつばれ」は「よばり(夜尿)」の方言でしょうか。
脇を流れる水路をおねしょをする子供の靴で堰き止めると
その子のおねしょが治ると云われる民間信仰の岩。
今でも幾つかの可愛い靴が水路に残されています。
皆さんは「よつばれさん」は大岩の事だと思い
岩に向かってお祈りされていたようですが
本来はこの「よつばれ地蔵」さんに
子供のおねしょが治るように
お祈りしていたのだと思います。
近頃はお年寄りの大きな靴が増えたそうな・・・
快く掘らせて頂いた地主様及びご家族の方々の
ご厚意に感謝いたします。
それにしても、せっかく掘り出されたのに、次の大雨で、また、地面の中にお隠れになるのではありませんか。
それが気掛かりと云うか残念です。
それに纏わるいろんな話をお聞きするのも楽しいです。
埋め戻すかどうかは地主さんにお任せしましたが
今の所、最初の写真の状態を保っているようです。
でも何れは・・・
子供のおねしょの身代わりで 水路ができているのかしら?
田んぼに水を引く水路ですが丁度大岩の脇を流れています。
靴で堰き止めるってよく考えてますよね~
何も知らずに行くと何でこんな所に靴がいっぱい落ちてるんやろ??
となります。
大きな靴で堰き止める方は切実な願いですね。
こんなふうに埋もれたり風化したりて忘れられて行った磨崖仏は他にもきっとたくさんあるのでしょうね。
移動手段が歩行から自動車に代わるにつれて
嘗て皆が普通に歩いていた道も廃道となり
其処に在った筈の磨崖仏、石仏も人々の記憶から消え去り
落ち葉や土に埋もれるに任せる悲しい運命を辿ります。
そんな磨崖仏、石仏の存在を記録として残しておかなければいけないと思っています。