璋という名前
川端玉章という日本画家がいた。私はその雅号の「玉章(ぎょくしょう)」に親しみを感じている。玉を玉偏と考えて、左側に付けると、「璋」という字になる。この字の偏は「たまへん」である。偏には点(、)が付いていない。だから「おうへん」とも言う。
さて、他に「璋」が付く名前がないか? あるある。池内璋美(あきよし)。堂本印象に師事していた日本画家である。平成十年の日展に出品した「しじま」が特選となった。フランスのボンヌの町にある石造りの洗濯場を描いていた。私は、その静かな風景に引き込まれてしばらく見入っていた。日展というと真っ先に思い出す作品である。……そうだ、朱元璋もいる。中国明朝の初代皇帝である。いやはや、これは畏れ多い。無礼のついでに待賢門院璋子(しょうし)を挙げよう。これは鳥羽天皇の美貌を誇った中宮である。隣の鳥取県には柳宗悦の指導を受けた吉田璋也という民芸運動指導者がいる。島根県には、右の川端玉章に師事した田中頼璋がいる。旧瑞穂町出身の円山四条派の日本画家で相当人気がある。私も特に山水画が好きである。
「璋」という字にえらく拘ったが、この字には「玉(ぎょく)製の笏(しゃく)」という意味がある。だから、昔は人名によく用いられた。私はこの文字を見かけると、一瞬ドキッとする。実は私の「あきら」はこの字があててあるのである。父に聞いた話では、どこかのお宮の宮司さんに付けてもらったとか。私の場合は、どうやら名前負けしているようである。「璋」は右のような立派なお方にふさわしい文字である。だから宮司さんには申し訳ないが、「あきら」と表記している。やはりこれが一番落ち着くようである。(2007年投稿)
川端玉章という日本画家がいた。私はその雅号の「玉章(ぎょくしょう)」に親しみを感じている。玉を玉偏と考えて、左側に付けると、「璋」という字になる。この字の偏は「たまへん」である。偏には点(、)が付いていない。だから「おうへん」とも言う。
さて、他に「璋」が付く名前がないか? あるある。池内璋美(あきよし)。堂本印象に師事していた日本画家である。平成十年の日展に出品した「しじま」が特選となった。フランスのボンヌの町にある石造りの洗濯場を描いていた。私は、その静かな風景に引き込まれてしばらく見入っていた。日展というと真っ先に思い出す作品である。……そうだ、朱元璋もいる。中国明朝の初代皇帝である。いやはや、これは畏れ多い。無礼のついでに待賢門院璋子(しょうし)を挙げよう。これは鳥羽天皇の美貌を誇った中宮である。隣の鳥取県には柳宗悦の指導を受けた吉田璋也という民芸運動指導者がいる。島根県には、右の川端玉章に師事した田中頼璋がいる。旧瑞穂町出身の円山四条派の日本画家で相当人気がある。私も特に山水画が好きである。
「璋」という字にえらく拘ったが、この字には「玉(ぎょく)製の笏(しゃく)」という意味がある。だから、昔は人名によく用いられた。私はこの文字を見かけると、一瞬ドキッとする。実は私の「あきら」はこの字があててあるのである。父に聞いた話では、どこかのお宮の宮司さんに付けてもらったとか。私の場合は、どうやら名前負けしているようである。「璋」は右のような立派なお方にふさわしい文字である。だから宮司さんには申し訳ないが、「あきら」と表記している。やはりこれが一番落ち着くようである。(2007年投稿)