にゃんこのヨガ的生き方

毎日をゆったり、元気に機嫌よく暮らす

空白を満たしなさい

2013-06-15 13:59:54 | 
平野啓一郎『空白を満たしなさい』読了。『私とは何か「個人」から「分人」へ』がなかなか面白かったのと、評判がよかったので期待していました。分人の考え方がこの小説のカギになっています。

世界各地で死んだはずの人間が生き返る現象が発生。主人公も自殺をした後、生き返る。本人は、自分がなぜ死んだかを知らない。家族から死因は自殺だったと打ち明けられるが、全く心当たりのない主人公は(実は自分は殺されたのではないか?)と、自分の死因を追求していく。

面白かったですよ。往復の電車はもちろん、踏切やエレベータ待ちの時間も読んだりしました。かなり読ませました。

でも読んだ後、何も残らなかった。これはライトノベル?ケータイ小説? 

実は、日々生きていく中でのひとつの物の見方を私はこの小説に期待していたのですが、死に対しても、自殺に対しても、生に対しても、表面を撫でる程度で実に浅薄。専ら「読み物であること」に徹しています。今の時代、多くの読者に読んでもらうためにはこのような形を取らざるを得ないのかと、穿った見方をしてしまいます。

Twitterを見ると『感動した』『重い』という若い人の声が多い。そう言った呟きを読むと、若い世代がどれだけ本を読まなくなって、ものを考えなくなっているのかを改めて思うと同時に、彼らが今の時代に感じている閉塞感に触れたようで、そちらの方が気になりました。

やっぱり図書館で予約が回ってくるのを待ってればよかったな。





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