獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

『居場所を探して』を読む その38

2024-11-29 01:36:14 | 犯罪、社会、その他のできごと

友岡さんがこの本を紹介していました。

『居場所を探して-累犯障害者たち』(長崎新聞社、2012.11)

出所しても居場所がなく犯罪を繰り返す累犯障害者たち。彼らを福祉の手で更生させようと活動する社会福祉事業施設の協力で、現状と解決の道筋を探った。日本新聞協会賞を受賞した長崎新聞の長期連載をまとめた一冊。

さっそく図書館で借りて読んでみました。

一部、引用します。

□第1章 居場所を探して―累犯障害者たち
■第2章 変わる
 ■変わる刑事司法と福祉~南高愛隣会の挑戦をめぐって
 □山本譲司さんインタビュー
□おわりに 


第2章 変わる

変わる刑事司法と福祉~南高愛隣会の挑戦をめぐって

(つづきです)

年が明けた1月24日午後。長崎地検の一室。
南高愛隣会理事長の田島良昭は、数人の部下とともに地検の幹部らと向き合っていた。
「是非ともいい仕組みをつくっていきましょう」
田島の言葉に、何人かの検事がうなずいた。
その表情には、高揚感と緊張の色が浮かんでいた。
「新長崎モデル」と呼ばれる新たな試みが産声を上げた瞬間だった。
生活苦などが原因で罪を繰り返す累犯障害者。検察捜査という刑事司法の「入り口」に福祉の視点や手法を取り入れ、刑務所ではなく、社会内で更生させる道を探る試みが、長崎を舞台に始まることになったのだ。
この問題では近年、障害者が刑務所を出た後、福祉に橋渡しする制度が全国で整った。裁判所に執行猶予判決を求め、福祉施設で更生させる「長崎モデル」と呼ばれる取り組みも長崎で先駆的に行われていた。福祉と司法の連携は、かつてないほど進んでいた。
しかし、田島はまだ不満だった。
「刑務所を出た後の支援が『出口』だとすれば、検察捜査は『入り口』。『入り口』をふさげば、この問題は大きく解決に向けて前進するのではないか」
11年7月、最高検がつくった「知的障がい専門委員会」の外部参与に田島が就任してから、福祉と検察の距離は格段に縮まっていた。
この年の秋には、最高検の検事らが愛隣会の施設を視察。同じころ、田島は企画書をたずさえ、最高検に新長崎モデルを直談判した。「無茶な人だ」と半分呆れられたが、年末には正式にゴーサインが出た。
大阪地検特捜部の不祥事で改革を迫られている検察と、累犯問題対策をより進化させたい南高愛隣会。両者の思惑がこれ以上ないタイミングでぴたりと一致した。

(つづく)


解説
生活苦などが原因で罪を繰り返す累犯障害者。検察捜査という刑事司法の「入り口」に福祉の視点や手法を取り入れ、刑務所ではなく、社会内で更生させる道を探る試みが、長崎を舞台に始まることになったのだ。

これが、「新長崎モデル」と呼ばれる新たな試みが産声を上げた瞬間でした。

 

大阪地検特捜部の不祥事で改革を迫られている検察と、累犯問題対策をより進化させたい南高愛隣会。両者の思惑がこれ以上ないタイミングでぴたりと一致した。

このタイミングで絶妙な役割を果たしたのが、このブログでも連載した、冤罪と闘った村木厚子さんと、別のところ(獅子風蓮の青空ブログ)で連載している、累犯障害者の問題をクローズアップさせた山本譲司氏です。


獅子風蓮



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