d-マガジンで興味ある記事を読みました。
引用します。
サンデー毎日 2024年3月3日号
倉重篤郎のニュース最前線
甦れ! 石橋湛山
「親米自立」の保守革命へ
政党政治を根底から変えよ
(つづきです)
湛山の知恵から新しい日本の展望を
湛山の知恵をどう活用?
「湛山の言説がすべて今に当てはまるとは思わないが、その大胆な構想力と勇気に学びたい。日本全体が軍国主義、植民地主義、大日本主義に向かう時に小日本主義で異を唱えた。日本が科学技術に依拠して自由貿易に徹すれば、海外領土がなくても日本は繁栄できると主張した。まさに戦後は湛山が正しかったことが証明された。米ソ冷戦が始まる時に、日中米ソ平和同盟を唱えた。突拍子もないと聞こえたかもしれないが、実現していれば今日の事態はなかったともいえる」
今後の議連の役割は?
「超党派で湛山の言説を学ぶ中で、共通の土壌、土台ができればいいと思う。その先どうするかについて具体的な構想が今あるわけではないが、そこでできた新しい政治的な塊が、現在の国難を脱し、新しい日本のビジョンを描いていく上で何らかの役割を果たすことができればと思っている」
次に古川氏だ。
建設官僚を3年で退官、その後、政界に出るまで一時期、焼き鳥屋をやるなど変わり種だ。やはり改革のスタート地点は派閥解消だと言う。
「大変なことをしてしまった、と自民党が心から反省し、自己改革の覚悟をすることが起点だ。派閥解消がそれだ。岸田首相が率先垂範、覚悟を示した。ならば我々仲間も結集してすべての派閥は解散、いったん更地にしてそこから新しい自民党を考えようと」
総裁選後は派閥が復活?
「総裁選のあり方も変えるべきだ。推薦人20人という立候補要件は緩和する。全国の党員や都道府県連、地方議員の意向も入れ、間口は広げるが、途中で絞り、最後は上位5人くらいで国民の前で各種重要政策について、徹底論戦させる」
「ただ、派閥解消がことの本質ではない。政党政治の近代化という令和の政治改革が必要だ。一つは政治資金の透明化、二つに国会改革、三つに選挙制度改革、これを大きなパッケージにして国民の前に約束、この通常国会、秋の臨時国会、来年の通常国会で順次実現していく。そこで衆院は任期を迎え、信を問えばいい。途中、解散になっても自己改革の姿勢が大事だ」
「これは自民だけでできる話ではない。野党はもちろん、国会の外の人たち、例えば令和臨調などと提携、大きなテーブルをセットして、大きな議論をすべきだ。国会改革では、『事前審査』を見直すことも一案だ。国会提出前に与党が法案を事前審査する。与党は審査を済ませているので、国会質疑時間は野党に重点的に配分するという慣例だ。これでは、「攻める野党、守る与党』の構図になり、国民には喧嘩に見えてしまう。事前審査をやめ、与党議員も国会で本音で議論、妥協、修正してより良いものを作る。政治の信頼回復につながる可能性がある」
選挙制度はどうする?
「自公政権が国民受けのいい政策をひねり出し、都合のいい時期に解散し、政権維持のための政権運営をしているように見える現状では、国民はしらけ、投票率が下がる。 国民のしっかりとした支えがなければ、本来あるべき政策の断行は難しい。できるだけ幅広く民意を反映、吸収できる選挙制度が望ましい。個人的には、中選挙区連記制か大選挙区連記制がベターだ」
自民党はどう変わる?
「ある意味、55年体制的な政党政治は歴史的な役割を終えている。政党はあくまで国家国民のための道具であり、政党のために国家国民がいるわけではない。時代に合わなくなれば新しい政党政治につくりかえる。選挙制度を改め、全国の志ある人をどんどん国会に集める。幕末維新と同じだ。徳川幕藩体制が時代の変化に対応できなかった時には、田舎の下級武士たちが集まって知恵を凝らし危機を乗り切った」
日米同盟一筋では立ち行かなくなる
自民党に代わる新党?
「新党ではなく新しい連立だ。保守中道勢力が軸となる新しい政党政治を目指したい。各政党が昔の自民党各派のように、時に応じて合従連衡する。欧州のように、選挙結果に応じて政党同士が政策協定によって連立を組む。政治とは船に喩えれば舵取りだ。時代の舵を切るには国民の支持がないとできない。逆に、国民から反発、ネット攻撃があっても、それにすくんで、氷山を見ないふりをすれば、国民もろとも壊滅、船は沈没する。変える勇気、変わ る勇気、それを持つことだ」
「世界を見渡すと100年前に似ている。格差が拡大し、分断と対立が生まれ、政治が不安定化する、そこに破滅的なポピュリズムが台頭する。ヒトラーも日本の軍部もそこから出てきた。このタイミングで政党政治が信頼を失ったのは極めて深刻だと思っている」
湛山議連と連動?
「全く重なるわけではないが、強い親和性がある。湛山の独立自尊、自主自立精神は今も生きる。世界が流動化、米国発の価値観も縮んで行く中、自分の頭で考え、自分の足で立ち、重心を低く構える、そういう体制にシフトすることだ」
自力でどう立つ?
「日米同盟一本足打法から『多国間主義』『多元的外交』へと大きく舵を切るべきだと考えている。日米関係が重要であることは否定しないが、米国が世界の警察官としての意思も能力も失い、自国主義の殻に閉じこもりそうになっている今、日米同盟一筋にただ米国と足並みを揃えていればいいというわけにはいかない。日本は独自の外交を展開し、米国に対しても適時的確に助言できる関係を築くべきだ。そのために現行の日米安保地位協定の見直しは 不可避だと思う」
◇ ◇
カオスとは、ギリシャ神話で言う、万物発生以前の秩序なき状態のことだが、それは同時に、すべての事物を生みだすことのできる根源でもある。裏金カオスの創造力にも要注目だ。
【解説】
「湛山の言説がすべて今に当てはまるとは思わないが、その大胆な構想力と勇気に学びたい。日本全体が軍国主義、植民地主義、大日本主義に向かう時に小日本主義で異を唱えた。日本が科学技術に依拠して自由貿易に徹すれば、海外領土がなくても日本は繁栄できると主張した。まさに戦後は湛山が正しかったことが証明された。米ソ冷戦が始まる時に、日中米ソ平和同盟を唱えた。突拍子もないと聞こえたかもしれないが、実現していれば今日の事態はなかったともいえる」
湛山の政治思想は、私も賛同します。
湛山は日蓮宗の僧籍を持っていましたが、同じ日蓮仏法の信奉者として、その平和主義の背景に日蓮の教えが通底していたと思うと嬉しく思います。
公明党の議員も、おそらく政治思想的には共通点が多いと思うので、いっそのこと湛山議連に合流し、あらたな政治グループを作ったらいいのにと思ったりします。
しかし、そういうふうにならないのには訳があるのでしょう。
創価学会の第2代会長・戸田城聖氏は、当時は日蓮宗を邪宗として敵視していましたので、石橋湛山をこころよく思っていなかったようです。
たしか、小説『人間革命』にも、そんな記述がありました。
そういう歴史があるので、創価学会員や公明党議員の中には、公然と石橋湛山を評価するような意見が出しにくいのではないかと思います。
あれほど豪放磊落だった戸田氏も意外と了見が狭かったようです。
もっと、石橋湛山に学び、公明党の政治の師とすればよかったのに。
PS)
別のところ(獅子風蓮の青空ブログ)で関連記事を書きました。
石橋湛山をライバル視していた戸田城聖(2024-03-02)
戸田は、石橋湛山が首相になったことで日蓮宗が大喜びしていることに不快感を表明したのです。
そして、「将来、私の言葉が、いかように現れるか、ご覧ねがいたい」と、不吉な予言をしたのです。
そして、湛山が肺炎という病に倒れ、短命の内閣に終わったことに、よろこぶのです。
さらに、代わって戸田と親交のある岸信介が首相となったことを祝しています。
しかし、「人間革命」の新しい版では、なぜかその辺のことが削除され、改ざんされています。
そういう歴史があるので、創価学会員や公明党議員の中には、公然と石橋湛山を評価するような意見が出しにくいのではないかと思います。
おそらく戸田は、石橋湛山を政治的にライバル視していたのではないかと思います。
しかし、当時の創価学会員は、自分たちの国の総理大臣が病のために退陣を余儀なくされて、短命内閣に終わったことを「ざまあみろ」と喜び、それを予想していたかのような発言をしていた戸田氏を賞賛していたのですね。
あきれた団体です。
獅子風蓮