かつて、TVを中心としたマスコミ業界では、「銀座で寿司」=「ザギンでシースー」のような、あえて逆にする言葉が流行っていた。
私が業界の末端に足を踏み入れた頃(注:現在も末端のまま)は、そんな業界用語を使うヤツはほぼ滅亡していたが、
「よろしく」→「しくよろ」だけは、積極的に使っていた人間がいた。
私は、そいつが嫌いだったし、そもそも業界用語自体を拒むタイプなので、しくよろなんて言葉は口にしたことがない。
なので、餃子専門店『しくよろ亭』も、だいぶ前から存在は知っていたのだが、
いかんせん屋号に嫌悪感があり、餃子好きにもかかわらず、訪問する気にならなかった。
それから時は流れて。つい最近、しくよろ亭店主のブログ「ぎょーびー@365」を発見。
近年は更新していないが、餃子を提供しているお店を一日一軒ペースで365日以上訪問し、ぎょーびー=餃子とビールを注文・紹介している。
そのブログから、店主の並々ならぬ餃子愛を知ると同時に、彼の餃子を味わいたくなり、先日初訪問してきた。
お店の場所は川崎市高津区で、最寄り駅は東急田園都市線の高津駅だが、隣の溝の口駅やJR武蔵溝ノ口駅からも歩ける。
私の地元立川市からは、そこそこ離れたエリアではあるが、数年前に足繁く通っていた、
激安食堂『おばちゃん八百屋』や、煮込みの『タイガーワン』(現在はどちらも閉店)からも近く、あの頃来ておくべきだったかな。
東急線代をケチり、武蔵溝ノ口から歩き、お店に到着。
看板の「手のし餃子」とは、「一枚一枚、手で延ばした皮を使ったこだわり餃子」のこと。 ※お店HPより
期待が高まる中、ドアを開けて入店。店内はカウンター5席に4人テーブル席がひとつ。私はカウンターの端に着席。
働いているのは男性店主ひとり。私より年長で、ちょうど「ザギン」などの業界用語を使っていた世代に該当しそうだが、
現在の風貌は、そのような言葉を使うようには見えない、寡黙でマジメそうな方である。
先客が、「ほろ酔いセット」500円を注文したので、私も相乗り。
その他、「水餃子」と、餃子は時間がかかりそうなので、「自家製チャーシュー・小」も頼んでおいた。
ほろ酔いセットとは、「焼餃子3ヶ」と「生ビール小」の組み合わせで、まずはビールが登場。
つまみ完成まで時間があったので、卓上のメニューを撮影した。
「焼餃子」と水餃子は、それぞれ5ヶ550円。水餃子はシイタケやセロリ入りもある。
「揚げ餃子」は4ヶ600円で、皮で具材を包まない、珍しい「オープンギョーザ」は4種で650円。
メニュー上段に記載された、「餃子ごとに皮も中身も変えている」のと、「すべてにんにくは使っていません」のがこちらの特徴だ。
餃子以外のメニューはこちら。私が注文したチャーシューの他、ナムルなども小サイズ(たぶんハーフ)が選べる。
カレー粉&ケチャップのソーセージ「カレーブルスト」という料理は初めて知った。
最後にドリンクメニュー。生ビールはサッポロ樽生で、小は380円。
ほろ酔いセットは、焼餃子3ヶで330円相当+ビール小380円=710円が500円なので、なかなかお得である。
上記以外にも、おつまみメニューや焼酎などが、下記画像のように壁紙で提示されている。
焼酎3種の上の黄色いマークは、「飛び出し注意」の警告で、具材に練り込んだスープが飛び出す場合があるようだ。
すでにビール小を飲み終えているが、餃子などはまだ到着しない。ドリンクメニュー欄には、
「餃子と言ったらビールですね。ざーぎょーとるーびー、しくよろ、みたいな…」という一文があるので、
この日は私も「ぎょーびー」に徹しようと、通常サイズの生ビール500円をお替わり。
2杯目のビールを半分ほど飲んだ頃、ようやく餃子が焼き上がった。
大きさは普通だが、焼き色が揃っており、裏返してみると、包むときのヒダの数も多く、丁寧に調理されたのがわかる。
食べてみると、ドバっと出てくるほどではないが、確かにスープが含まれている。
具材は野菜多めで、ニラの印象が強い。味が付いているのでタレは必要ないが、少し醤油を垂らしてみた。
卓上にある調味料は、醤油、酢、ラー油に、黒酢と一味。特に珍しいものはないかな。
もう1杯ビールをお替わりし、店主推奨のぎょーびーを改めて撮影。
その後、水餃子が茹で上がり、
さらに自家製チャーシューの小も運ばれてきた。
水餃子は焼餃子よりも皮が厚めで、野菜は少なめ。肉臭さはなく私好みの味で、具材に含まれるスープも多い気がした。
しっかりとした味付けゆえ醤油は不要で、一味を少しだけ付けてみた。
チャーシューは、柔らかい豚バラ肉が3枚。甘口ダレを絡め、ネギやカイワレを巻いて食べる。
中華屋さんのおつまみのように、冷たいチャーシューを並べて出すスピードメニューと予想していたが、温かい状態で出された。
また、カイワレが綺麗に揃えてあるのが、店主の生真面目さを表している。
水餃子を食べ終えたので、揚げ餃子を追加しようとしたが、壁のメニューに、ポテトフライと揚げ餃子の組み合わせ、
「ギョーザ&チップス」700円があったので、そちらをオーダー。元ネタは、英国料理のフィッシュ&チップスだろう。
カウンター席後方の壁には、ユニオンジャックの旗が掲示してあり、
別の場所にはビートルズ関連のレコードも飾ってあるなど、店主はイギリス好きなのかもしれない。
店内BGMでも、ビートルズの楽曲が流れていたのは、立川の洋食店『にゅうとん』と共通している。
「お時間かかります」と告げられたように、揚げ餃子は、茹でてから揚げるので時間がかかる、と知っていたが、
店主は私の注文が入ってから、揚げ用鍋に油を注ぎ、ガスを点火した。そういえば水餃子も、注文後に水が入った鍋の加熱を始めていた気がする。
油やガスを無駄にしない調理法だが、驚いたことに店主は、油が適温になるまでの間、焼餃子用の鉄板を外し、流水で洗い始めた。
付着した焦げなどを取り除くことで、綺麗な焼き目が付くのだが、鉄板の温度が下がるし、そもそもメンドーなので、
普通のお店は、ラストオーダー終了後に一度掃除するだけで、営業中に鉄板を洗浄するお店は初めて見た。
時間はかかっても、納得できる状態の餃子を食べてもらいたいという、店主のストイックさがうかがえた。
数分後、油鍋に投入したポテトが揚がると、すべて鍋からすくい、入れ替わりで餃子を揚げる。
一緒に揚げた方が当然早いし楽なのだが、それをしないのも店主のルールなのだろう。
餃子も揚がり、ケチャップとマスタードとともに、ギョーザ&チップスが提供された。
英国風パブチェーン『HUB』のフィッシュ&チップスと同様、英字新聞風の敷き紙に、たっぷりのポテトと揚げ餃子が2個。
ポテトでビールを飲み、もう1杯お替わり。最近は焼酎ばかりだったので、こんなに生ビールを飲んだのは久しぶりだ。
揚げ餃子も食べてみると、3種の餃子の中ではもっとも味が濃く肉汁がジューシー。
メンチカツのような味わいで、ビールとの相性も抜群だが、皮がサクサクなので、メンチよりも食べやすい。
この餃子も、調味料ナシで食べられるが、せっかくなのでケチャップとマスタードも試してみた。
以上、3種の餃子計10個とチャーシューにポテト、生ビールも4.5杯飲み干し、いい気分になったところでお会計。
今回タイトルの「会えない時間が 愛育てるのさ」は、一度は食べてみたいと、長年待望していたこちらの餃子への感情もあるが、
実際は、「しくよろ」から連想した、郷ひろみさんの名曲「よろしく哀愁」の歌詞の一部である。わかる人にバレバレだよね。
無論、ストイックな店主が丹精込めて作った、しくよろ亭さんの餃子は、期待どおり美味しかった。
滞在中、私以外にもお客さんは数名いたが、店主は誰とも私語を交わさず、調理に集中。
そんな寡黙な店主に、会計後あえて話しかけてみた。
私「ぎょーびー365というブログ拝見しました。勉強になりました」 店主「ああ、それはどうも」
私「もう更新はなさらないんですか?」 店主「お店を始めたから、できなくなっちゃったんです」
確かに、夜は営業があるし、昼間は仕込みに精を出している店主が、餃子とビールを楽しむのは難しそうだ。
ちなみに、そのブログの最終更新は2012年11月。最後に紹介したお店は、自身のお店『しくよろ亭』であった。
最後に、メニューブックに記された、お店データの画像を掲載し、今回はおしまい。
餃子 しくよろ亭
神奈川県川崎市高津区溝口4-1-5
東急田園都市線高津駅から徒歩約1分、溝の口駅やJR武蔵溝ノ口駅からも徒歩約10分
営業時間 18時~24時
定休日 日曜、その他不定休あり
私が業界の末端に足を踏み入れた頃(注:現在も末端のまま)は、そんな業界用語を使うヤツはほぼ滅亡していたが、
「よろしく」→「しくよろ」だけは、積極的に使っていた人間がいた。
私は、そいつが嫌いだったし、そもそも業界用語自体を拒むタイプなので、しくよろなんて言葉は口にしたことがない。
なので、餃子専門店『しくよろ亭』も、だいぶ前から存在は知っていたのだが、
いかんせん屋号に嫌悪感があり、餃子好きにもかかわらず、訪問する気にならなかった。
それから時は流れて。つい最近、しくよろ亭店主のブログ「ぎょーびー@365」を発見。
近年は更新していないが、餃子を提供しているお店を一日一軒ペースで365日以上訪問し、ぎょーびー=餃子とビールを注文・紹介している。
そのブログから、店主の並々ならぬ餃子愛を知ると同時に、彼の餃子を味わいたくなり、先日初訪問してきた。
お店の場所は川崎市高津区で、最寄り駅は東急田園都市線の高津駅だが、隣の溝の口駅やJR武蔵溝ノ口駅からも歩ける。
私の地元立川市からは、そこそこ離れたエリアではあるが、数年前に足繁く通っていた、
激安食堂『おばちゃん八百屋』や、煮込みの『タイガーワン』(現在はどちらも閉店)からも近く、あの頃来ておくべきだったかな。
東急線代をケチり、武蔵溝ノ口から歩き、お店に到着。
看板の「手のし餃子」とは、「一枚一枚、手で延ばした皮を使ったこだわり餃子」のこと。 ※お店HPより
期待が高まる中、ドアを開けて入店。店内はカウンター5席に4人テーブル席がひとつ。私はカウンターの端に着席。
働いているのは男性店主ひとり。私より年長で、ちょうど「ザギン」などの業界用語を使っていた世代に該当しそうだが、
現在の風貌は、そのような言葉を使うようには見えない、寡黙でマジメそうな方である。
先客が、「ほろ酔いセット」500円を注文したので、私も相乗り。
その他、「水餃子」と、餃子は時間がかかりそうなので、「自家製チャーシュー・小」も頼んでおいた。
ほろ酔いセットとは、「焼餃子3ヶ」と「生ビール小」の組み合わせで、まずはビールが登場。
つまみ完成まで時間があったので、卓上のメニューを撮影した。
「焼餃子」と水餃子は、それぞれ5ヶ550円。水餃子はシイタケやセロリ入りもある。
「揚げ餃子」は4ヶ600円で、皮で具材を包まない、珍しい「オープンギョーザ」は4種で650円。
メニュー上段に記載された、「餃子ごとに皮も中身も変えている」のと、「すべてにんにくは使っていません」のがこちらの特徴だ。
餃子以外のメニューはこちら。私が注文したチャーシューの他、ナムルなども小サイズ(たぶんハーフ)が選べる。
カレー粉&ケチャップのソーセージ「カレーブルスト」という料理は初めて知った。
最後にドリンクメニュー。生ビールはサッポロ樽生で、小は380円。
ほろ酔いセットは、焼餃子3ヶで330円相当+ビール小380円=710円が500円なので、なかなかお得である。
上記以外にも、おつまみメニューや焼酎などが、下記画像のように壁紙で提示されている。
焼酎3種の上の黄色いマークは、「飛び出し注意」の警告で、具材に練り込んだスープが飛び出す場合があるようだ。
すでにビール小を飲み終えているが、餃子などはまだ到着しない。ドリンクメニュー欄には、
「餃子と言ったらビールですね。ざーぎょーとるーびー、しくよろ、みたいな…」という一文があるので、
この日は私も「ぎょーびー」に徹しようと、通常サイズの生ビール500円をお替わり。
2杯目のビールを半分ほど飲んだ頃、ようやく餃子が焼き上がった。
大きさは普通だが、焼き色が揃っており、裏返してみると、包むときのヒダの数も多く、丁寧に調理されたのがわかる。
食べてみると、ドバっと出てくるほどではないが、確かにスープが含まれている。
具材は野菜多めで、ニラの印象が強い。味が付いているのでタレは必要ないが、少し醤油を垂らしてみた。
卓上にある調味料は、醤油、酢、ラー油に、黒酢と一味。特に珍しいものはないかな。
もう1杯ビールをお替わりし、店主推奨のぎょーびーを改めて撮影。
その後、水餃子が茹で上がり、
さらに自家製チャーシューの小も運ばれてきた。
水餃子は焼餃子よりも皮が厚めで、野菜は少なめ。肉臭さはなく私好みの味で、具材に含まれるスープも多い気がした。
しっかりとした味付けゆえ醤油は不要で、一味を少しだけ付けてみた。
チャーシューは、柔らかい豚バラ肉が3枚。甘口ダレを絡め、ネギやカイワレを巻いて食べる。
中華屋さんのおつまみのように、冷たいチャーシューを並べて出すスピードメニューと予想していたが、温かい状態で出された。
また、カイワレが綺麗に揃えてあるのが、店主の生真面目さを表している。
水餃子を食べ終えたので、揚げ餃子を追加しようとしたが、壁のメニューに、ポテトフライと揚げ餃子の組み合わせ、
「ギョーザ&チップス」700円があったので、そちらをオーダー。元ネタは、英国料理のフィッシュ&チップスだろう。
カウンター席後方の壁には、ユニオンジャックの旗が掲示してあり、
別の場所にはビートルズ関連のレコードも飾ってあるなど、店主はイギリス好きなのかもしれない。
店内BGMでも、ビートルズの楽曲が流れていたのは、立川の洋食店『にゅうとん』と共通している。
「お時間かかります」と告げられたように、揚げ餃子は、茹でてから揚げるので時間がかかる、と知っていたが、
店主は私の注文が入ってから、揚げ用鍋に油を注ぎ、ガスを点火した。そういえば水餃子も、注文後に水が入った鍋の加熱を始めていた気がする。
油やガスを無駄にしない調理法だが、驚いたことに店主は、油が適温になるまでの間、焼餃子用の鉄板を外し、流水で洗い始めた。
付着した焦げなどを取り除くことで、綺麗な焼き目が付くのだが、鉄板の温度が下がるし、そもそもメンドーなので、
普通のお店は、ラストオーダー終了後に一度掃除するだけで、営業中に鉄板を洗浄するお店は初めて見た。
時間はかかっても、納得できる状態の餃子を食べてもらいたいという、店主のストイックさがうかがえた。
数分後、油鍋に投入したポテトが揚がると、すべて鍋からすくい、入れ替わりで餃子を揚げる。
一緒に揚げた方が当然早いし楽なのだが、それをしないのも店主のルールなのだろう。
餃子も揚がり、ケチャップとマスタードとともに、ギョーザ&チップスが提供された。
英国風パブチェーン『HUB』のフィッシュ&チップスと同様、英字新聞風の敷き紙に、たっぷりのポテトと揚げ餃子が2個。
ポテトでビールを飲み、もう1杯お替わり。最近は焼酎ばかりだったので、こんなに生ビールを飲んだのは久しぶりだ。
揚げ餃子も食べてみると、3種の餃子の中ではもっとも味が濃く肉汁がジューシー。
メンチカツのような味わいで、ビールとの相性も抜群だが、皮がサクサクなので、メンチよりも食べやすい。
この餃子も、調味料ナシで食べられるが、せっかくなのでケチャップとマスタードも試してみた。
以上、3種の餃子計10個とチャーシューにポテト、生ビールも4.5杯飲み干し、いい気分になったところでお会計。
今回タイトルの「会えない時間が 愛育てるのさ」は、一度は食べてみたいと、長年待望していたこちらの餃子への感情もあるが、
実際は、「しくよろ」から連想した、郷ひろみさんの名曲「よろしく哀愁」の歌詞の一部である。わかる人にバレバレだよね。
無論、ストイックな店主が丹精込めて作った、しくよろ亭さんの餃子は、期待どおり美味しかった。
滞在中、私以外にもお客さんは数名いたが、店主は誰とも私語を交わさず、調理に集中。
そんな寡黙な店主に、会計後あえて話しかけてみた。
私「ぎょーびー365というブログ拝見しました。勉強になりました」 店主「ああ、それはどうも」
私「もう更新はなさらないんですか?」 店主「お店を始めたから、できなくなっちゃったんです」
確かに、夜は営業があるし、昼間は仕込みに精を出している店主が、餃子とビールを楽しむのは難しそうだ。
ちなみに、そのブログの最終更新は2012年11月。最後に紹介したお店は、自身のお店『しくよろ亭』であった。
最後に、メニューブックに記された、お店データの画像を掲載し、今回はおしまい。
餃子 しくよろ亭
神奈川県川崎市高津区溝口4-1-5
東急田園都市線高津駅から徒歩約1分、溝の口駅やJR武蔵溝ノ口駅からも徒歩約10分
営業時間 18時~24時
定休日 日曜、その他不定休あり