前回までに1970年代の自分史を摘んでみた。果たして、私にとって人生の出発点とも言うべき時代との抗いが鮮明に描き切れただろうか。その答えは否である。私とは誰かなどという、現在では死語となった【自分への問い】が有効なはずもない。あるのは、ただ1970年代という死屍累々の文字通りの荒地が即物的に拡がっているだけであろう。しかしながら、それでも私にとって1980年という区切りはあるにはあった。1979年の自主イヴェントの失敗と業界(音楽・放送)参入の断念、そしてついに大学の中退があった。しかし、これらは今で言うところのニートとはどこか違っていた。何らかの社会活動への参加の意欲は燻り続けていたのだ。その一つが【俳句】であった。この最初の俳句入門時にあったのは、俳壇を構成する【結社】の投句・句会・吟行(写生)などの集団的創作活動であった。これは極めて社会的なもので、結社運営と所属(結社)員の日常(句作)を主宰するということ自体が、企業や家族と近似していた。ラジオの深夜放送の俳句コーナーから紹介された俳句結社『河』は、偶然にも映画・出版界の寵児であった角川春樹氏が副主宰を務めており、その時代や社会に風穴が開けられていた。しかも、新人会として既存結社員とは区別して結社内句会を展開しており、私のような時代から取り残されていた者には格好のアイデンティティを提供される場となった。ほぼ同時に、書店で発見した『現代俳句』の坪内稔典氏はそれとは全く異なる俳句へのアプローチを行っていた。私はここでも引き裂かれたのだった。・・・《続く》
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