まほろば俳句日記

毎日見たこと聞いたこと感じたことを俳句にします。JーPOP論にチャレンジ。その他評論・エッセー、学習ノート。競馬も。

夏の風世界はノイズに満ちている 鈴木伸一/一句観賞~新俳句入門*特別編

2018-11-14 03:05:07 | 新俳句入門

夏の風世界はノイズに満ちている   鈴木伸一 【夏石番矢賞2018】 吟遊」80号より*アマゾン通販中

作者が所属する同人誌には、縁あって私も参加させていただいている。私の同人歴は昨年の春からに過ぎないので、気安く仲間などとは言えない。現に会ったことはない。彼は私より4歳下であるが、国学院大学在学中から40年を超える句歴がある。結社にも15年所属したが、その閉鎖性に嫌気が差して退会し、1998年の「吟遊」誌の創刊以来、同人誌のみを活動の場として来たという。群馬県の新聞のジュニア選者などの活動もしている。さて、掲句に取り込まれた《ノイズ》とは何なのだろうか。作者は多くの社会批判の句を発表している。代表の受賞理由も【平易な言葉の俳句創作による継続的な社会批判】とある。その中のいくつかを紹介してみたい。

権力を持たぬ手軽し夏野行く

氷菓より世界が先に融けるだらう

基地を囲む冷たい金網摑んでみる

空家ばかり目立って建国記念の日

毛虫這ふこれも世界の一部分

なかでも『基地を囲む冷たい金網摑んでみる』の一句に注目した。この《冷たさ》は季感とは異質な、基地と周囲とを隔絶する《金網》の人々の手触りを表現している。『摑んでみる』とあるから、実際に普天間や辺野古での体験がベースになっているものと思われる。それに比べると、掲句の【世界はノイズに満ちている】という単刀直入な心象表現は、それに比べるとずいぶんと飛躍した世界観を感じる。実のところ両句は同じ年に発表されたものなのだが、作者の日常性の奥深く侵食するように響いて来る《ノイズ》と基地を囲む金網の《冷たい》質感は、わずか17音の【定型】の表現の表層にあって自在に共存するに至った。後はこの世界を席巻する《ノイズ》の出自と『金網』の質感の関係付けを【定型】の中で追求することが迫られる。これがもし果たされれば、作者にとってひとつの達成なのかもしれない。

 

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【酉の市】初冬の小雨混じりの中で二番酉が鳴く・・三の酉は25日/俳句再出発(日記)

2018-11-14 01:43:43 | 俳句再出発

生きてこそ雨滴に打たれ三の酉   まほろば   最新作  即興

二の酉に間に合へばよし火吹竹   〃   旧作【檜紀代選】

日は【二の酉】でした。夜半になって近所の駅前公園で肌に突き立ってくる冷たい風と小雨を避けながら和んでいると、通勤帰りの人が手に【熊手】を持っていたので思い出しました。昨年まで3年続けて【一の酉】に参拝していましたが、今年は【ニの酉】にするつもりでしたので残念なことでした。しかし、25日の【三の酉】が残っています。こちらは必ず訪れたいと思います。今週の冒頭より波乱の日が続いています。今日の週半ばに諸事片付けておきたいと思っています。今夜はこの後、参加同人誌の代表の作品や文章について考察してみます。・・・《続く》

 

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熊田このは カバー 『生きてこそ』(原曲 KIRORO)

https://youtu.be/tgR4tuqflQI?t=148