メキシコにきてから、すっかり宵っ張りになってしまった。
メキシコの人々は、夜遅くまで人生を楽しむのである。
でも、次の日、会社や学校には普通に起きていく。
もし、寝坊して学校を遅刻してしまったら、目の前で鉄格子の門が閉まるらしい。
なので今朝は、10時くらいに我々が目覚めると、レナタがそこにいる。
幼稚園が間に合わなかったという事だ。
もー!今日は、間に合わなかったから、ママが怒ったわ。
さあ、遊ぼう!
いろいろ仮装をしてくれる。
なにかを投げる。
ベッドで飛び跳ね、おもちゃピアノを弾いてくれる。
気がすむと、ユニコーンの人形を並べはじめる。
わたしがスペイン語が、わからなくても構わず話し続けてくれるので、ありがたい。
わたしが覚えたての
フリオ
(寒い)
と、言ったら、毛布をかけてくれた。
元気のいい、優しい子である。
午後は、娘の留学生仲間のお宅に伺う。
とんでもなくセレブなお宅である。
このお宅のママがわたしのお友達、アヤベさんとまるでそっくりでびっくりする。
オードリーヘプバーン似のメチャ美人である。
ブラジル、イタリア、トルコ、台湾から来た留学生たち、このお宅のパパとママに、日本蕎麦を振る舞う。
パパは建築家であるが歴史が好きなようで、我々ポネッサに歴史ネタをふってくる。
第二次世界大戦で、日本はアメリカに負けただろう。
アメリカの事をどう思う?
うーむ。
とっさに、わたしは眉をひそめたんだと思う。
アメリカの事は常日頃、なんだか世界のジャイアンみたいって、思っている節があるわたしである。
日本人は、戦後、働いて働いてものすごい成長を遂げたんだよ。
ショコは、自分たちの事だから、ちょっと厳しい見方をしているんだと思う。
いま、日本には、いろんな問題があるようだけれど、それでもメキシコよりはずっといいんだ。
パパさんから、諭される。
アメリカ人にも日本人にもメキシコ人にも、いい人もいれば悪い人もいる。
歴史に絶対的善悪はないね。
などなど、通訳してくれる娘も真剣だ。
他の留学生たちは、みんなダラダラ過ごしている。
夜のフエスタに向けて休んでいるらしい。
フエスタは、みんなで夜中まで、飲み食いして踊ったりして騒ぐパーティ。
ママ!アヤベさんがママだけ送ってくれるって!!
娘に嬉しそうに言われる。
ハイ。おばさんは、フエスタには参加せず、おとなしく寝ましょうね。